48.仲良し従者コンビ(仲良し度EX)
結局、花嫁選びに参加することになってしまったかー。安易に結婚をちらつかせる世界観って一体どうなのさ。
まあ、やるからには頑張るけどね。
ときに、結婚といえば気になることがある。
「あの、シュタイン先輩」
「なんですか? 報酬の件なら後と……」
「いやいやそっちじゃなくて。結婚したんですよね、アリーゼ様と」
私が屋敷を出たあの日、シュタイン先輩はアリーゼ様に結婚を迫られていた。凄い迫力で。あれはもう秒読み、いや0分ジャストって感じだった。
「……それがどうかしましたか」
「いやぁ、そんな人がなんでこんな、使いっぱしりみたいな雑務をやっているのかなって」
アリーゼ様といえばレイズ様のお姉さんに当たる。つまりもちろん彼女もお金持ち。
そんな相手と結婚したのなら、シュタイン先輩だってもちろんそれこそ豪遊、遊んで一生暮らしてもおかしくないはずなのに。何故こんな場所まで遠路はるばるやって来ているのか。
「気になりますか」
「まあ、一応」
玉の輿っていうのは、いわゆる宝くじで一等前後賞を当てるような夢のある話だ。それなのに今もこうして堅実に働いているっていうのは、なんか妙に気になるものだ。
あと一応、自分の同僚であり、先輩だったしね。
「……なるほど。そうですか」
「!?」
わ、笑った?
今、笑ったぞこの人。いや、いつも笑ってるんだけど。そうじゃなくて、本当に笑った。な、なんで? よーし、考えろ、考えるんだ。
……。
ははーん、なるほど。よし、分かった。さては、余裕の笑みってやつですね?
こんな所まで遠路はるばるやって来たのは単に暇だから。時間もお金も余りに余ってやること無くて暇になって、だからこそこんな執事の真似事をしてる。そしてこれからたっぷりと玉の輿になった自慢アピールをするおつもりですね? 分かったぞう。
「やっぱり理由、聞かなくていいです」
自慢なんてさせるかってーの。
「いいんですか」
「いいんです」
ふう危ない。危うく自分と相手の置かれてる現実をの差に、ショックで一週間ぐらい夢に出るところだった。神回避だな、私。
でも、いいなぁ。暇を持て余した貴族たちの娯楽(労働)。
「私も先輩みたいになりたいですね……」
やる事なくて暇だからメイドしてますとか言ってみてぇ。
「なりたいんですか」
「ええ、かなり」
一発逆転玉の輿。なんて素敵な響きなんだ…
「じゃあお待ちしてますよ」
「は?」
待ってるだって? 私が? 玉の輿に? これから追放されるのに?
はい出ました、適当なお返事。
「無理無理、どう考えても無理ですよ」
何その奇跡。実は自分が聖女だった並のパワフルワードが降って来ないと成立しない奴でしょ。
「他人事だからって全く……」
先輩は相変わらず笑ってて、それ以上何も言わなかった。まあそれもなんかこの人らしいな。




