表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/151

34.お一人様で何が悪い


「あ―暇だ」


 待てど暮らせどレイズ様らしき人影が通ることも無く、私はだた窓の外をぼんやりと眺める人になっていた。

 恋愛の街アロマスク。恋愛の街というのは本当のようで、至る所でグループでだったり二人きりでだったり、楽しそうにしている姿が拝める。平和な街だ。治安とかどうなってるんだろ。


「お姉さん、一人なら一緒にお茶でも」

「しません」


 このように誰しもが一人でいると平然と声をかけられる状況にある。そういうのが好きな人はいいかもしれないけど、私のように自分以外は基本疑ってかかりたい人間にとっては居心地の悪い街である。

 だから極力話しかけられないように喫茶店の片隅で陰気なオーラを放つ私は、妖怪の類と間違えられてもおかしくない。

 そんな中にも物好きはいる。


「お姉さん暇なんだよね?」

「さあ」

「さあって、さっきそう言ってたよ」

「ははっ……かもしれませんねぇ」


 面倒くせえ。

 レイズ様が一人か二人くらい私に声をかける人間もいるだろうといった予測は見事に的中し、このように根気よく話しかける人間も中にはいるのだ。

 その場合は最終手段。


「じゃあ一緒にお茶でも」

「すみませんね。私、お金が恋愛対象なんですよ」


 こう言って引かない人間はまずいない。

 聞いたが最後引きつった笑顔で何事も無かったかのように立ち去るのがオチだ。


「そっかー……」


 はい、おしまい。

 何気に言った自分も傷つくが、発生原因の不明な突然の好意を素直に受け止めるよりはマシだ。

 さらば、ちょっと軽い感じのモノ好きな男性よ。


「レイズ様来ないなー」


 何となくだけど今日は戻って来ないかもしれない……宿屋でも、探すか。

 よく考えたら昨日の夜だってまともに寝れなかったもんな。そう考えたら急に眠くなってきた気がする。今日は早めに休もう。


「すみませーん。お会計お願いします」

「はーい。えっと、お会計は……900,000マニーです」

「900,000……マニー?」


 私が頼んだのはアイスコーヒー一杯だったはずだが?


「えっと、900マニーの間違いですかね」

「いいえ。お一人様料金になりますので900,000マニーですね」


 ですねって、そんな笑顔でサラッと。お姉さんドSの素質ある。


「あの、一応聞きますがお一人様料金って……」

「あらっ? もしかしてご存じありませんか。この街は恋愛を推奨する街でして、その施策でお一人様には本来の1000倍の料金をお支払いいただくことになっているんですよ? ほらメニューの下の方にも小さく」


 見えねえよ! 終わりの方とかほぼかすれてるじゃん。


「これ文字がちょっと見にくくありませんかね」

「あらそうですね。この街でお一人様なんて今までなかったから……」


 おかしいだろこの街。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ