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13.使用人三人組と身分違いの恋


 いやあ凄い。実に凄い。

 国外追放と言われたその翌日、早速家を追い出されることになろうとは。


「いやぁこの事務手続きの速さ、もっと他に活かしてもらいたいね」

「本当、貴女はそういうところ最後まで何も変わらないですね」


 すっかり綺麗になってしまった私の部屋。そこにはただ四角い空間が広がっていた。

 昨日まで誰かがここで生活していたなんて誰も思わないだろう。


「さてと。アリスちゃんこれありがとうね!」

「いえ私に出来るのはこのくらいで」


 アリスちゃんから貰ったバスケット。中には彼女の作ったミートパイやサラダが入っている。朝から早起きして用意してくれたらしい。散々迷惑をかけたのに最後まで彼女はいい子だ。

 それに比べてこの人は。


「シュタイン先輩も餞別をご用意してくださってもいいんですよ?」

「選別? つまらない冗談ですね。むしろ貴女が私に感謝の贈り物をする場面でしょう」

「ははは、感謝? 贈り物? 先輩ったらご冗談を。誰のせいでこうなったと思ってるんですか」

「自分のせいでしょう」


 最後まで容赦がない。


「確か門の前に馬車が止まってるんですよね」

「ええ。魔法である程度までは指示を出せば移動出来るようにしてあります」

「魔力いらずの空飛ぶ絨毯でも用意してくれればよかったのに」


 どうせ追放するんだからそのくらい高価な品の一つや二つくれたっていいだろうに。


「馬車がご不満なら自分の魔法で移動なさいますか? 途中で魔力切れでお亡くなりになるかもしれませんが」

「そうなったら先輩の元に化けて出ますね」

「ルセリナさん……そんなに私のことが忘れられないんですね。嬉しい限りです」

「そんなに嬉しいのでしたら、再雇用してもいいのですよ?」

「ははは、ご冗談を」


 私、攻撃的な魔法一つくらい何か覚えてたかな。即死するやつ。


「仕方ないので私から先輩に最後に一つプレゼントを――」

「シュタイン! 貴方こんなところにいたのね!!」

「アリーゼ様」


 アリーゼ様? 珍しいな、そんなに息を切らして。普段はあれだけ上品を心がけていたのに。よっぽど急ぎの用事でもあったか。

 

「探したのよシュタイン!」

「お嬢様」

「お嬢様はおやめになって。前にも言ったでしょ、私は貴方と婚約することに決めたって」


 おやまあ。


「今日はそれをお父様に報告する日だとあれほど言ったじゃない」


 なるほど。どーりで今日はハスター様やローザ様を見かけない訳だ。


「二人とも別室でお待ちだわ。早くいらして! そうだわ、アリスちゃんも一緒にいらっしゃいな」

「えっと、でもレイズ様とルセリナ先輩のお見送りが……」

「見送り? ああ、そんな事もあったわね。別にいいのに」


 あったわねってアンタ、よくないだろう。私はともかく片方は自分の実の弟なのに。

 大体なんだ、私に対する態度と他の二人に対する態度が随分別だな、おい。


「じゃあそれササッと済ませて終わったらすぐ私の部屋にいらしてね。三分以内でお願い」


 三分って。そんなんじゃカップラーメンもまともに食べられないんだけど。

 そんなこんなで、嵐のようにやって来たアリーゼ様は、これまた嵐のように去っていった。


「……行っちゃいましたね」


 アリスちゃんがポツリとそう呟いて、何とも言えない微妙な沈黙が流れた。


「……」

「……」

「……シュタイン先輩」

「なんでしょう」

「結婚、するんですか」


「貴女には関係ない話でしょう」


「……ま、そうですね」


 アリーゼ様と結婚かぁー玉の輿だなぁー

 身分違いの恋ってやつになるのかな。最近流行りだなぁ。

 もし相手がアリスちゃんだったら全力で止めたけど、相手はあのアリーゼ様。

 人間性的にはどっちもどっちって感じでいいんじゃない。


「とてもお似合いですよ」


「……ありがとうございます。そういえば、私に何かプレゼントがあったのでは?」


 即死魔法のことか。


「ああ、いえ別に大したものじゃ無いんで」

「そうですか」


 これから貴族になるかもしれない人殺したら後で偉い目に合いそうだもんな。


 そうこうしているうちに私達はやがて正門へとたどり着いた。


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