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125/151

125.味方はいても、やっぱり物理的に勝利したいよね


――寂しくて、つい貴女のよく使っていた『偽装魔法』を使ってしまった。


「は??」


 はああああああ?

 待て待て待て待て、全っ然あっさりじゃないな!? めちゃくちゃ私に罪をなすりつけようとしてるな!? 大体、フェリクスお前、私がいなくなって寂しいなんて嘘つくんじゃねえよ!! 違うだろ! 寂しいんじゃなくて、主従関係を盾に使って私に対する非人道的実験の数々が出来なくて退屈だなとか、表現するならこっちだろ!!!

 そもそも時系列だっておかしいでしょうに。その偽装魔法を使ったのって、誓約書を書く前だよね。私、出て行く前だよね!? 寂しさ関係なくない!?


「……そ」

「?」

「それ、は違う、と思い、ますよ?」


 全ての怒りを乗り越えて、やっとのことで私はそう返した。一応腐ってもシュタイン先輩はあの家の執事だから暴言は控えた。私、頑張った、偉い。誰か優しく抱きしめてくれてもいいんですよ? そんなの無いって知ってるけど。そろそろさすがに泣くぞ。


「……おいシュタイン」


 なあに、レイズ様。そんなの私に問題があるって、フェリクス様のこと擁護するの? 腐っても弟だもんね。


「さすがにその話はおかしいだろ」

「レイズ様……」


 まさか味方になってくれるんですか。


「ええ、彼女の言い分は最もだと思いますよ」


 シュタイン先輩まで。

 二人ともどうしたの。えっもしかして遂に来た? この物語のざまぁな展開が。お赤飯炊いちゃう?

 そんな私の熱い期待に、先輩は首を振って答えてくれた。


「しかし例の如くフェリクス様はああいう方なので、深い追求はなされず、今回は軽い警告で話が済まされました」


 済まされたんかい! いやいや、済まされないでしょ。二人分の命がかかってるんだよ。それを軽い警告で、って。なんなのそのソフトな対応。やっぱりあれだろ、屋敷の人間、全員あのガキに洗脳されてるだろ。


「むしろお屋敷内では、『偽装魔法』を最初に使ったルセリナさんが悪という方向に」


 ははは、やっぱりそうなったかー。よし、奴を消そう。


「レイズ様、頭の手、離してくださいよ」


 勢いよく一歩踏み出した私の体は、見事に妨害された。


「どこ行くつもりだ」

「ちょっと昔の職場に忘れ物が」

「やめとけ」

「い、嫌ですー」


 有給か? 有給を使えばいいのか?

 レイズ様との無意味な攻防は続いた。


「ちなみに、アリスさんは必死に貴女を擁護していましたよ」

「えっアリスちゃんが!」


 邪魔な片手を払いのけ、先輩の方に身を乗り出す。

 アリスちゃんが私の擁護だって? 先輩たまには良い情報くれるじゃないか。


「さっすが私の見込んだ子ですね。よっヒロイン素質! お料理美味しい! 家事も万能! 可愛い!」

「言ってて悲しくならないのか」

「全然!」


 しいて悲しいとすれば、私が女でアリスちゃんとは結婚出来ないことくらいかな。




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