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118/151

118.途中参入はお断りですが?


 唐突に告げられた死のタイムリミット。残り時間は20分。んな馬鹿な。


「なんで早く言ってくれなかったんですか!」


 レイズ様の襟首を握りしめ、私は問い詰めた。

 タイムリミット、そんなものがあるなら買い物しないでさっさと旅立ったのに。それを黙ってるなんて、レイズ様ったら本当は自殺願望でもあったのか。いや無いよね。無いと言ってくれ。


「いいから離せ!」

「嫌です!」

 

 問い詰めたって何の解決にもならないのは分かっていたけど、私は手を離せなかった。だって私は、死にたくないんですよ。

 

「あーもう! お前は!」


 かなり嫌そうにしていたが無理矢理引き剥がされることは無かった。

 というか事情を知っているはずのレイズ様本人も苛立っているのは何故?


「な、何かまだ私に隠し事でも!?」

「だーかーらー」


「その辺にしてはいかがですか」


 え、誰?

 途中参入。私達の喧騒に紛れるようにして、その声は別の方向から現れた。もちろんベルさんではない。聞き覚えのある男性の声。つい最近も聞いたような……とするともしや、この声は。

 私は慌てて声のした方へと視線を向けた。


「仕方ないでしょう。レイズ様だって、タイムリミットの話まではご承知でなかったんですから」

「!」


 ピシッと着こなしたスーツ。一見信頼のおけそうな真面目そうな風貌。

 なんなの、マリアさんといい、そうやって訳知り顔の人が登場してくるのが最近のブームなの?


「シュタイン先輩!」


 それは、お屋敷での小姑……いや元上司ことシュタイン先輩だった。再会は実に先日の夜ぶり。

 彼こそが私に花嫁選びに参加して、後腐れなくレイズ様を追放に導けと指示した張本人である。

 でもさ、こう言っちゃなんだが、この場には出て来ない感じじゃなかった? 先輩、どう見ても陰ながらアドバイスしてフェードアウトする役回りじゃなかった? 駄目ですよ脇役が出張っちゃ。


「どうしてここに?」


 私はつい、ありきたりな台詞を吐いてしまった。

 それを聞いた先輩は、別に怒る風でもなく諭すように告げた。


「本当は黙って見てるつもりでした」

「で、ですよね」


 珍しく望み通りのシュタイン先輩の言葉。

 よかった、やっぱり私の認識は間違いじゃなかったようだ。


「しかし」


 え、続きあるの。

 こういう場合の逆接的な接続詞の後には嫌な言葉が待っている。


「キッチリ任務をこなすどころか、花嫁選びでは花嫁にまでなった挙句、まさか翌日までたっぷり睡眠まで取るとは思わず。ルセリナさんには私の話、理解していただけなかったのでしょうか」


 ほらやっぱりね、嫌味なお小言だった。

 でも今回は返せる答えがある。


「いえいえ」


 私はすかさず首を横に振った。


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