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107/151

107.幸せはみんなで分かち合うものと見せかけて蹴落としたもん勝ち


「あ、ちょっと待って下さい」


 ベルさんが万人と結婚するという非常にトンチキな結末を迎え、ついつい話をスルーしてしまいそうだったけど、まだ話は終わっていない。


「じゃあ、どうして私が花嫁じゃないんですか?」


 確かに彼は私に言った、『ルセリナちゃんは、花嫁じゃないんだ』って。

 ベルさんが万人と結婚するって話なら、私だってその例外じゃないはずだ。勿論レイズ様だって。


「あーそれは」

「お前はなんでここにいるんだよ」


 ベルさんの会話を遮って、レイズ様が口を挟んだ。

 相変わらず上から目線の口調。

 もうこの人には、私の疑問は解けているものらしい。


「え、なんでここにいるってそりゃあ……」


 息をするように馬鹿にされちゃ堪らないので、私はすぐさま答えを返す。


「ベルさんと結婚した、から?」

「じゃないだろ。もっと前。そもそもなんでこの街にいる」

「レイズ様が行きたいって言ったから」


 本当はさっさと国外追放されなきゃいけないのに、我儘レイズ様が自分の娯楽の為にこの街に寄り道なんてしたから……あ。


「分かった、追放されたからだ」


 ポンと手を打ち納得のポーズで答えた。


「じゃあ追放されたってことは?」


 物分かりの悪い部下を見るように、レイズ様はイライラした様子で答えを促す。

 はいはい、分かりました。分かりましたって。流石のルセリナさんだって、そのくらいは答えられますよっと。


「私はこの街の、それどころかこの国の人間ではない。つまりそのベルさんの『みんな仲良く結婚』ルールが適用されない、とそういう事ですかね」

「そういう事だ」


 よっし、ここは花丸正解。

 うーんでも、私は先に告白したわけだし、そこはそこで受け入れられてもいい気がするけど。


「なんだ文句でもあるのか」

「いえ、別に」


 何故か死ぬほど機嫌が悪いからこれ以上言うのはやめておこう。


「ふふふ。実はね、ルセリナちゃん、レイズったら……」

「おいベル」

「はい」

「余計なこと言うなよ」

「はいはい」

「?」


 意味深な二人の会話。なんだろう、私が寝ている間に何かあったのか。


「……大体、こいつ一人で幸せになんてさせるかよ」

「!」


 レイズ様ったら何その気になる発言。それは、それはもしかして!


「え。そ、それはもしかして、俺がお前を幸せにしてやんよ的な発言……ですか?」


 嘘、まさかの確変モード?

 寝ているうちに本格派恋愛物語に世界線が移行しちゃった??

 いいよ、それならそれで。本格派として優しくしてくれるレイズ様がいるなら。


「そ、ん、な、わ、け、あ、る、か」


 レイズ様のフォークがお皿のお肉にぶっすり刺さる。

 お坊ちゃまともあろうお方がそんなお下品な。軽い冗談言っただけだったのに……ねぇ?


 残念ながら、優しいレイズ様は何処にもいないようで。


 一部始終を見ていたベルさんは、肩を震わせて静かに笑っていた。


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