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105/151

105.これは全年齢対象作品なので何があっても暗転で済ませる


 朝。その日の目覚めはとても心地が良かった。ふかふかのお布団、爽やかな朝の光、小鳥のさえずり。目覚ましも鳴らなければ、誰も起こしに来ることもない。まるで富豪令嬢にでもなったかのような、なったかの、ような……?


「あ」


 私はパチリと目を開けた。細工を凝らしたきらびやかな天井が目に入る。


「そうだ、私、結婚したんだ」


 正確には告白しただけに過ぎない。けれど作戦通り話が進んでいれば、私は花嫁としてベルさんこと領主ヒューベル氏の妻になっているはずである。

 「はず」というのは結果を聞く前に自分が魔法に反発した疲れで深い眠りについてしまったからだ。こうして朝を迎えているわけだし、まあ私は問題なく花嫁に選ばれたんだろうけど。


「ん、花嫁になって朝を迎えた? 一晩過ごしてる? え、まさか」


 慌ててベットから起き上がる。

 いやまさか、気付いたら事後だったなんてことは。


「……」


 パタパタと布団をめくるなどしてみたけれど、寝具には誰かがいるどころかいた形跡すら残っていなかった。


「よ、よかった」


 ほっと胸をなでおろす。暗転で全てを解決するようなよく分からん朝チュン展開などごめんだ。

 さて、そうと決まれば私はもう一度寝ようと布団を瞳を閉じ……


「何がよかったんだよ」

「ひえっ」


 だ、誰もいないと思っていたのに声がするぞ。しかも男の。嫌だ、気付いたら一夜を共にしていたなんてそんな展開は……!

 私は布団から顔を出し、声の主を慌てて探す。


「……女性の寝室に入るとか失礼にも程がありませんか、ねえレイズ様?」

「主人を放置してもうひと眠りするとか、自分の立場を忘れたか、アホメイド」

「疲れてるのにごめんね、勝手に部屋に入って。コイツが起こすってきかなくて。おはよう、よく眠れた? ルセリナちゃん」


 部屋の扉の前。開け放しになったその入り口にレイズ様とベルさんの二人は仲良く並んでいたのであった。


===


「たかが告白くらいで倒れるとかお前の頭は五歳で止まってんのか」

「とんでもない、現在進行形で二十歳を迎えてますよ」


 着替えを済ませた私は二人と朝食をとる事になった。

 私達が朝食を食べ始めると、屋敷の使用人達がそれに合わせテキパキと動いた。


「大体、私は結婚したのでもうレイズ様のメイドではありませんし、とやかく言われる筋合いは無いと思いますが」


 一口大に切ったソーセージを口に運ぶ。美味しい。これからこんな料理が毎日食べれるのか。


「これからはメイドではなく、夫人と呼んでください。ルセリナ夫人」

「はっ」


 レイズ様は鼻で笑った。こいつ失礼だなー。


「そんな事言うならもっと格好に気を使えよ」

「いやーそれはまあ」


 私は領主の妻にあるまじき明らかに適当な格好に視線を落とした。

 だって面倒なんだもん。キラキラした格好とかお洒落するの。どうせ身内しかいないし朝ご飯くらい緩い恰好で食べたいでしょ。


「そこは気にしないってことで」

「ふーん」


 明らかに信用していない顔だ。


「じゃあベルに質問」


 今度はクイズタイムか。

 私は黙ってレイズ様の顔をみつめる。


「そんな奴が花嫁としてふさわしいでしょうかー? 制限時間は15秒、はいスタート」

「えっ」

「ちょ、ちょっと待って! レイズ様」


 予想外の方に話が転がってしまった。

 いきなり何を言いだすんだ、この男。


「残り10秒ー」

「あ、う、え、ええっと、大丈夫ですよね。私、花嫁ですよね?」

「残り5秒」

「ベルさーん!」

「ごめん」

「!?」


 ベルさん今『ごめん』って言った?


「ルセリナちゃんは、花嫁じゃないんだ」

「え?」


 え、え?


「えええええええっ!!!」



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