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100/151

100.この物語は120%ご都合主義でお送りしております


「おおおお」


 湧き上がる歓声。

 違う、そうじゃない。私が欲しいのはバラエティ番組でご本人登場した時のような驚きのリアクションじゃなくって、なんじゃそりゃって言う困惑のリアクションなのよ。分かる? ねえ?


「わー! ヒューベル様!!」


 全っ然駄目だこいつら。土地柄なのかなんなのか、滅茶苦茶普通に適応してきてる。驚け、現領主に変わっていきなり違う男が出てきたんだぞ。驚けって。

 

「やあ、宜しく~」


 や、ベルさんも愛想振りまいて手を振ってる場合じゃ無いだろ。

 颯爽と登場し、さも当然のように前領主コルトン様の椅子に腰かける姿を、私は終始モヤモヤと眺めていた。


「こちらのヒューベル様、なんと実はですね……」


 司会者が饒舌にカンペを見ながら彼の説明に入る。

 その小慣れ感! ご都合主義ってこういうのじゃないと思う! もう我慢ならん!


「ちょっと! ベルさん!!」


 自分の告白の件もあり既にベルさんと対峙する位置に陣取っていた私は、周りに聞こえないような小声で話しかけた。


「ん、何?」


 ベルさんはケロッとした表情でこちらを見上げた。

 ぐうう、なんでそんなに余裕でいられるかなぁ。返答次第によっちゃただじゃおかない。


「これ一体どういうことですか」

「え、ああ、だから俺言ったでしょ。そういう段取りにしてあるって」


 段取りにしてあるだと?

 その言葉に無数のクエスチョンマークが浮かんだ。

 この人がこんなタイミングで出てくる話、聞いてなかったはずだけど。


「いやそんなこと言ってな……」

「レイズと言い合ってた時、最後にほらー」

 

 最後に?

 ふわふわとあの時の事を思いだす。

 告白出来ない私にレイズ様がボロクソに文句を言ってて、確かその時『好き』って言えれば優勝出来るから心配ないって話聞いた気がする。もしかしてあれがこれか。


「…………言ったか、も?」

「でしょ?」


 ベルさんはその反応を見透かしているように優しく笑った。

 これじゃ文句言う気にもなれない。


「お爺ちゃんは嫌だって言ってたからね。だからちゃんとほら、俺が出て来た。これでルセリナちゃんがどんな言葉で告白しても受け止められる」

「そ、それは……ありがとうございま、す?」 

「どういたしまして」


 ……なんだか完全にこの人のペースに飲まれているような気がするな。

 大体なんなの、その正装。いつものヘラヘラ優男と違って、ただのハイスペック爽やか領主様じゃん。そういうのだけでカッコよくなれるのズルくない?


「あっほら、そろそろ始まるよ」


 しかも本人は無自覚ときてる。

 けどま、どうせメイドとして仕えるならこういう人の方が良かったかもね。


 自分だって望まない領主役をやってるはずなのに、それでも明るく接してくれるベルさんを眺めながら、レイズ様じゃ絶対こうはならないんだろうなとついそんな事を思ってしまった。


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