英雄試練#1
装備を受け取った僕は新しい装備の性能を試すため迷宮の前に来ていた。
そして迷宮の前にある転移魔法陣に触れそのまま50層を選択する。
ちょっとした浮遊感が僕を襲いしばらくすると50層の転移魔法陣前に転移する。
このときの僕は浮かれていた。
新しい装備を手に入れたことに加え51層目、それは冒険者が中堅に入ったことを意味するらしい、ので僕も中堅かぁ……と思いながらも51層への扉を潜る。
すると突然無機質な声が聞こえ始めた。
〈"適正者"の51層への侵入を確認〉
〈適正、女神の加護及びシークレット職と 判断〉
〈適正複数所持につき難易度を最大化〉
〈シークレットクエスト、試練を開始〉
〈自動で迷宮最深部へ転移させます〉
〈では、健闘を祈ります〉
と言う言葉と共に僕の周りに魔法陣が顕れ先ほどの浮遊感が襲い次に目を開けたとき僕は………周りの景色を見て驚愕した。
そこは全てが光り輝き少しの光が跳ね返り幻想的な雰囲気を醸し出していた。
その中で凄く異彩を放つ存在がおりそれは……僕の両親を殺した龍であった。
正確にいえば両親を殺したのはこの龍ではないだろう。
両親を殺した龍は両親と相討ちになったしそもそも両親を殺した龍は赤龍であり目の前の龍は虹色であった。
しかし、龍は龍だ。
別に種類が違うとかどうとかの問題ではない。
ただ両親を殺した恨みを償わせようと僕は虹龍に短剣を振るう。
すると次に来たのは浮遊感、しかしそれは転移などではなく衝撃によるものでありその後に痛みが襲いかかる。
壁にぶつかり勢いが収まった僕は「チっ。」と舌打ちをし僕はなにが起きたか冷静に判断する。
そして気づいてしまった。
龍は尻尾を振っただけだと。
しかし何故か恐怖は沸かなかった。今までで一番強い相手に何故か心が踊り凄く心が熱くなった。手に汗が顕れるが不思議と身体は戦いたくてウズウズしていた。
そして僕は身体強化魔法のブーストを唱え再度突撃する。しかし龍は長い体をうねらせ攻撃を避けるとそのまま僕に体当たりをぶつけてくる。
「グハッ?!」
その攻撃を短剣をクロスでガードしたが僕は衝撃で吹き飛ばされそして壁に思いっきりぶつかる。
そして手を見ると自身の持っている短剣の刀身の部分がないことに気づく。そしてその刀身は僕の身体に刺さっていた。
両親の形見である短剣が折られ、それをしたのが両親を殺した種族に怒りを覚えながらも少し心を落ち着かせ刀身を僕の身体から引き抜き柄の部分と一緒に指輪の中にしまう。
そして咳に混じり血が出てきたが僕は「フルヒール」と唱え自分を治癒する。
それからは先程の繰り返し。
何度も何度も龍に突っ込んでは吹き飛ばされ突っ込んでは吹き飛ばされを続けていた。
たまに魔法を放ったり斬撃を飛ばしてみるが全て避けられ反撃される。
しかしなにも意味のない突撃に見えるが1つだけ分かったことがあった。
それは龍は技術による戦闘ではなく力任せの攻撃や防御だったのだ。
何度かフェイントを掛けたとき何と言うかそちらに意識を持って行かれた反応をしていた。しかしそれをカバーするような速度で攻撃を避け反撃を行っていた。
その結果が今も僕が生きている理由だと思う。技術が伴わない攻撃は致命傷になり得ないのだ。それでもかなり痛いけど。
そんな考察をしながら僕は次の攻撃を仕掛ける。そしてまたもや吹き飛ばされる。
しかし急に龍が苦しみ始める。
その様子を見ながら僕は笑みを浮かべる。これこそ僕の作戦で龍に無作為に突撃している、と思わせた理由の1つだ。
名前はポイズンブースト。自身の身体に触れたものは毒状態になるというもので一応オリジナルの魔法である。
しかし一見チートに見えるこの魔法だが欠点が2つあり1つ目は魔力を大量に消費するというものだが何故か有り余ってる僕の魔力は大量にあるためそこは問題ではない。
2つ目の欠点は自分自身も毒状態に掛かると言うもので当たり前だが自身に毒を纏っているため敵が掛かる毒状態の1.5倍ほどは効力が凄くその毒は通常のポイズンの2倍ほどの力だ。因みに通常のポイズンだとBランクの魔物が10秒ほどで死滅する。
しかしここで疑問に思うだろうがどうして僕が毒にかからないのか。それはあの憎き不老不死とか言うスキルに含まれる状態異常無効の能力だ。
正直不老不死自体は凄く嫌だが状態異常無効はかなり嬉しい。
なんなら不老不死だけ消えて状態異常無効だけ残って欲しい。とまぁ思ってしまうがそんな理由で僕には毒が効かないのだ。
そんなことを考えていると龍がこちらを睨みつけてそのまま突撃してくる。その速度は今までの速度の三倍ほどの速度で突っ込んでくる。
そして…………龍が真っ二つに割れ僕を避けるようにして割れていく。
なにが起きたかって言うと龍は自身の速度によって切断されたのだ。
正確に言うと僕が張った糸によって龍自身の速度で切断されていきそのまま死んだのだ。
まぁ普通は速度に負けて糸が切れてしまうだろうが僕の張った糸はミスリルで出来ており更に僕の魔力を込めているためかなりの強度があるのだ。
更に言うと糸に火魔法を付与しているため血が出ずに再生もされない。
そしてミスリルは魔力伝達率が高い。
つまりは魔法を付与するのが一番簡単なのだ。しかも龍は毒により錯乱しておりもはや見境などなく、単調な動きだったため誘導しやすかった。
しかし糸を硬くするために持続して魔力を注ぎながら更には火魔法を付与していたためかなりの魔力を消費した。魔力不足と度重なる痛みで余り身体の自由は効かなかったが一応意識は保っておりその後は闇魔法である人形操作により自身の身体を動かし糸を回収する。因みに龍の死体は自動で指輪に収納された。
そしてしばらくすると宝箱が現れた。
パカッっと開けるとそこにはなんか箱みたいな物と本が1冊入っていた。
このときの僕は忘れていた。本はスキルブックであることを。
箱の説明が書いてあるかと思い本を開く。すると頭に『ユニークスキル、神之暴食を獲得しました。』と言う声と共にスキルの情報が開示される。
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ユニークスキル
神之暴食 Lv.1
効果 自身が倒した敵のステータスの4分の1を自身がのステータスに加算する。レベルにより変動。
自身のステータス値を上回っていた場合その全てを自身のステータスに加算する。
確率で倒した敵のスキルを習得出来る。運のステータスに依存する。
無限に食べ続けられ、食べた量につき食事を取らなくていい。体重が変動しなくなる。
説明 大罪スキルの1つで神の精神である食欲のスキル。
その他にも神の怒りである"憤怒"、神の欲である"強欲"、神の弱さである"怠惰"、神の理不尽である"傲慢"、神の妬みである"嫉妬"、神の性欲である"色欲"があり、それぞれ七大迷宮攻略により獲得出来る。
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あぁぁぁぁ………またやらかした。
そう思いながらも僕はまぁ特に害はないし良いか、と思いながらも次は箱を鑑定する。するとまたしても変なことが書かれていた。
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合成箱
効果
1度だけ入れた素材を合成する。素材は3つまで。
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それを見た僕は試しに先程折れてしまった剣の刀身を両方入れ虹龍のレアドロップ品である虹龍の魔核を入れてみた。
すると急に箱が光を放ち始めしばらくすると光が収まる。
そこには箱はなく代わりに黒い小太刀と黒い鞘がが置かれていた。
禍々しい雰囲気を放つ小太刀を手に取り鑑定する。すると表示がいつもと変っていた。
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魔刀・虛鴉
カテゴリー・小太刀
効果
不壊属性 (壊れず刃こぼれすることがなくなる)
??? (条件を達成達成すると解放)
全ステータス1.5倍
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……これまた凄いな。と僕は思わず口調が変ってしまうほど変な能力であった。
異常なほど強い装備に若干うわぁー……と思わないでもないけどとりあえず少し体を休めるため部屋の端によりかかり休息を取る。
体感で一時間ほど待ってから新しく現れた扉に向かいやっと帰れるのかぁ。と思いながら扉を潜る。
凄い光を放ちながら僕は浮遊感に襲われた。そして次に見た光景は………目の前に大量にいる虹龍の姿であった。
遅くなってすいませんでした!2作目と3作目を投稿してたら遅くなってしまいました。多分2.3作目が安定するまで更新出来ないかもですがよろしくお願いします!
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