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のりちゃんが寝返りをした

拙作を読んでいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。なるたけ頑張りますなんて言った舌の根も乾かないうちに、よそ様の本棚を漁って面白そうな話を見つけては貪るように読んでおりました。……ストック切れました(震え声

 これまでのりちゃんの子供を育てて来た僕からしたら、僕の『のりちゃん』が寝返りをするのが遅い。冬で厚着してるからだよ。とか、寝返りは気にしなくていいよ。と看護師さん達になだめられてものりちゃんがスクスク育っているのか心配になる。

 のりちゃんが生まれて一時期赤ちゃん返りした翔も、最近では落ち着いてお兄ちゃんヅラしている。


「わらしさま〜。この絵本のりちゃんに見せてあげたいから読んで。」


 ニコニコしながら翔が持ってくる絵本はのりちゃんにはまだ早い。だけど翔がのりちゃんを大事にしたい気持ちはわかるから左膝には翔、右膝にはのりちゃんを乗せて絵本を朗読する。野菜の名前を早口で言うテンポのいいその絵本を朗読すると、のりちゃんがキャッキャと笑った。前世、のりちゃんは、滑舌も悪くボケ担だった。今世は、どんなのりちゃんに成長するんだろう。最後まで絵本を朗読すると翔は、満足したのか庭へ飛び出して行った。

 カハクちゃんと相談しながらのりちゃんの成長過程に合わせて庭をカスタマイズしている。

 仕事が忙しい隆・舞夫妻には分からないけど、庭を駆け回る翔は気がついたようで、ここが違うあそこが違うと間違い探しのように指摘していく。賢い子に育ちそうな翔の頭を撫でて、のりちゃんとお庭で遊ぶ時の注意点を長々と説明した。

 レンガが敷かれていた場所はそのまま寝転がれるように芝生に変わっている。日当たりの良い場所に敷いたピクニックシートの上に更に毛布を敷いた。翔とのりちゃんと3人で初めてのお外ランチだ。

 翔のお昼ご飯は、のりちゃんが昔作ってくれた玉子焼きのサンドウィッチで、のりちゃんには出汁で煮込んで潰した人参だ。

 のりちゃんに早く人参のガレットを食べさせてあげたいな。甘い人参にビックリするかな。

 僕はのりちゃんがしてくれた事をトレースしている。のりちゃんが僕に与えてくれた思い出の数々は、本当に優しくて幸せな時間だった。きっと僕の『のりちゃん』も幸せになるはず。

 そんなのりちゃんの最近のお気に入りは、イチゴ。すり潰したものをスプーンで食べさせてるけど、翔はそのまま食べるからピクニックシートの上には翔用のイチゴが紙皿にいくつか残っていた。

 寒くないように厚着したのりちゃんがコロンと転がって紙皿のイチゴに手を伸ばした。

 のりちゃんの初めての寝返り。僕は紙皿をのりちゃんが手を伸ばした反対側に移動させてスマホ待機した。

 イチゴの甘い匂いにつられてのりちゃんがもう一度寝返りをうつところを動画に収められた僕は、ホクホクしながら胡座をかいた膝の上にのりちゃんを座らせてスプーンですり潰したイチゴをのりちゃんの口に運んだ。

 イチゴを餌にコロコロ転がされて疲れたのりちゃんはイチゴを食べながらウトウトしだした。僕はのりちゃんを抱っこしたまま翔が庭を駆け回る様子を見ていた。

 カハクちゃんに頼んであの辺の木を成長させてブランコを設置してもいい頃だ。

 ベンチ式にすれば、のりちゃんを抱っこしたままユラユラできる。

 早速LINEしよう。首の座ったのりちゃんを抱っこするカハクちゃんは、新生児の頃ビビりまくって一切のりちゃんに触らなかった時とはうってかわり、積極的にのりちゃんを抱きあげるようになった。

 のりちゃんを抱っこしている時のカハクちゃんは、僕に優越感を向けてくるけど、のりちゃんは絶対僕の方が好きだ。

 のりちゃんの寝返り動画を添付して、ベンチ式ブランコを設置する相談をカハクちゃんとした。

 ブランコの周りには何を植えたらのりちゃんが喜ぶかな。


「わらしさま〜。ダンゴムシがいた〜」


 翔がダンゴムシを手のひらに乗せて駆け寄って来た。

 コロンと丸まったダンゴムシを披露する翔に、のりちゃんが口にしてしまうかもしれないから、ダンゴムシを持ってくる事を禁止した。翔は、


「のりちゃんは、虫を食べるの?」


 と不思議がっていた。


「赤ちゃんは何でも口に入れるから、のりちゃんの近くに食べては駄目なものを置かないでね。」


 と理解したかわからない翔に言いふくめた。

 クチバシのように尖らせた唇が、だらしなく開いて眠るのりちゃんを見て、切実にねがった。

 のりちゃん、お願いだからダンゴムシは食べないでね。


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