表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/45

星空を見に夜のドライブ

拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。ROM専に戻る詐欺がまた本日も。ランキングお礼そろそろネタが……。

本屋で平積みしてあった五つの塔の頂へがメラ面白くて続きを読もうとWEB版にブックマークをしましたが、これを書き終わるまでは我慢だと。我慢して書きました。今から続き読んできます。

「のりちゃん、星を見に行こう。」

「いきなりだねぇ。寒くない?」

「寒い方が空気が澄んで綺麗に見えるよ。それにサンルーフ開ければ車の中で寝転がって見れるよ。」

「ふ~ん。じゃぁ行く準備しなくちゃね。」


 のりちゃんは、冷凍庫からご飯を取り出して、チンしてる。


「今から出発だと、着くのは夜中だよね。小腹がすいた時用におにぎり作るね。おにぎりならコーキ運転しながらでも食べれるでしょ?」


 5色の花むすびと書かれた袋をさっさか振って解凍したご飯を振りかけておにぎりに握ってるのりちゃんの背中を眺めて、僕は幸せだなぁ。幸せに浸る。今世『のりちゃん』に会えなかった時間が灰色の時間であればあるほど、今の僕はほんの些細な出来事でさえ幸せに思う。


「コーキ冷蔵庫からきゃらぶき出して、アルミカップに詰めて。」

「了解。」


 折り畳みのランチボックスに、握りたての振りかけおにぎりと、きゃらぶきを僕は詰めた。


「お茶は自販機で温かいの買えばいいから、のりちゃん着替えておいでよ。」

「うん。」


 1階をパティスリーにする時に3階建てに建て替えた僕らの家は、2階がリビングとキッチンがあり、3階に寝室など生活スペースになっている。のりちゃんはウォークインクローゼットのある3階へ上がっていった。

 程なくして戻ってきたのりちゃんは、パンツに履き替えてモコモコのセーターを着こんで完全防備だ。


「のりちゃん車の中から見るからそんなに厚着しなくても大丈夫だよ。」

「外お散歩したいからこれでいいの。」


 なんだ。のりちゃんも星空ドライブ嬉しいんだ。わ~い。とかキャーとかないから僕に無理やり付き合ってくれるのかと思った。


 黒のワンボックスカーを出してここから4時間離れた山奥へ僕らは星空ドライブに出かけた。

 高速を降りて進んでいくと、どんどん標高が高くなり暗い山道をグネグネ山肌を這うように車のハンドルを切る。真っ暗な山道をヘッドライトが照らす。黄色い四角の標識には、鹿の影が描かれている。


「ねぇねぇ、この鹿マークよく見かけるけど、私1回も鹿に遭遇したことないよ。本当に野生の鹿なんているのかな?」

「鹿は、用心深い生き物だからそんなにエンカウント率は低いけど、居るよ。」

「それに出会えたらラッキーだね。」

「今度鹿発見の旅にでも行こうか?」

「そうだね。」


 僕とのりちゃんは、たくさんの約束をする。のりちゃんが寝てる間に僕は毎晩今度はどんな約束をしようかとネットサーフィンして話題のスポットなんかを探してるんだ。鹿は、クラマに頼めば1発で遭遇できると思うから、後でLINEで聞いてみよう。


「のりちゃん、着いたら起こすから眠かったら寝て良いんだよ。」

「や、流石にまだ眠くないよ。おにぎり食べる?」

「うん。食べたい。」


 ゴソゴソとカバンからランチボックスを出しておにぎりを手渡してくれた。5色の色が華やかなこの振りかけは海苔で包むのが勿体ないと言ってのりちゃんは海苔を巻かない。程よい塩加減で素朴に美味しい。


「きゃらぶきも食べる?」

「うん。」


 僕は口を開けると、そっときゃらぶきを口の中に入れてくれた。なんだこれ。新婚さんらしくてすごくいい。いつもは恥ずかしがってしてくれないのに、これからは、運転中に何か食べさせてもらえるものを必ず持ってドライブに行こうと心の中で決心した。


「振りかけおにぎりの時って何故だかこのきゃらぶきが無性に食べたくなるよね。」


自分もきゃらぶきを口に放り込んだのりちゃんが不思議そうに言うけど、この組み合わせは前世の、のりちゃんがしていた組み合わせだった。


「普通の具のおにぎりの時は、たくあんがいいのに、振りかけおにぎりは、きゃらぶきだよね。」


 今度はたくあんもあ~んしてもらうぞ。

 少し道の開けた場所に車を止めてサンルーフのカバーを外す。

 二人であおむけになって空を見上げた。暗闇で見る星空は、星降る夜と表現されるくらいに沢山の流れ星が光の尾をつけて飛び去って行く。


「なんだか世界に2人だけしか居ないみたいでちょっと怖いね。」


 僕はむしろそのほうが嬉しいけど、のりちゃんの手を握って


「今だけ世界に2人だけごっこにしよう。」


 おどけて答えると、クスクスのりちゃんが笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ