カハクちゃんのお手伝い。
拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価、コメントありがとうございます。えーっと。ROM専詐欺2日目ですが、日間ランキングありがとうございます。すいません。まだマーライオンなのです取り急ぎのUP不完全ですが、感謝の気持ちだけ伝わったらいいなぁと思っています。
のりちゃんが珍しく出張出店している。
最近擬態して大学に通うカハクちゃんから大学祭の助っ人を頼まれたからだ。
あんなに無表情で無反応なカハクちゃんと、友達になれる人がいるなんて僕は驚きでいっぱいだ。
カハクちゃんからお願いされてのりちゃんが考えたスイーツは、たこ焼き器にホットケーキミックスを入れて時間が経ったら3/4のパックマンみたいな形にしてから最後にくるっと丸くする鈴カステラだった。あとは、蜂蜜か、チョコレートをトッピングしておしまい。
ホットケーキミックスを丸くするまでが大変だけど、皆んなヤル気だ。
しかし、無茶振りなカハクちゃんはさて置いて、アラサーなのに、のりちゃんはまだあどけなくて、ルックスだけなら大学生でも通用するくらいだ。僕は心配でしょうがない。のりちゃんの料理の腕じゃなくて、あどけなさを狙って大学祭にのりちゃんを助っ人に呼んだなら、いくらカハクちゃんでも許さない。
「のりちゃん。カステラ焼けたけど、どうしたらいいの?」
「コーキ、それチョコレート沼にぶっこんで。私次のカステラ焼くから。」
なんで、のりちゃんこんなにノリノリで売り上げに貢献しているんだろう。
「ちょっとコーキ。鈴カステラ作らなくていいからレジに常駐して。」
鬼気迫るのりちゃんからの指令で僕は渋々レジ対応をしている。
「ちゃんとお顧客様には笑顔で対応してよね。」
うっわ。のりちゃんのその言葉、僕にはめっちゃ心臓に短剣刺さったわ。
のりちゃん、僕が他の女の子に笑いかけても嫉妬してくれないんだ。……もう、のりちゃん閉じ込めてもいいよね?
僕、散々待ったよね?のりちゃんの心が欲しかったからこれだけ待ったのに、客寄せパンダにするなんてあんまりだ。
僕の心はどんどん真っ黒になり、どうやってのりちゃんを閉じ込めるかシミュレーションしていたら、今年の売上一位がカハクちゃんの所属しているサークルだと発表された。
「コーキやったねぇ〜。」
首に巻きつくのりちゃんに、え!?何が?と聞くと、
「コーキ屋上でで寝転がってみたかったんでしょう?」
……。そりゃ寝転びたかったよ。僕にあからさまに言い寄ってきた女にのりちゃんが果敢に挑んでくれたこの屋上に。僕もう死んでもいいと思ったもん。そうは言ってもまだ無事に生きてるけど。ちゃんと、僕がのりちゃんのモノだって明言してくれたんだもの。あの時の高ぶりが蘇ってきてのりちゃんをぎゅっと抱きしめた。
「のりちゃん、さっき僕の事客よせパンダにしたけど、もう僕いらない子?」
「だ~か~ら~。今そばにいるでしょ。何で要らない子なんて思っちゃうの?」
「だってほかの女の子に愛想ふりまけって言ったじゃないか。」
「それはそれ、これはこれなの。なかなか屋上なんて開放してもらえないんだからね。特別だよ。」
ほら寝っ転がってごらんとニコニコするのりちゃんを見ていたら僕のドス黒い心はあっけなく浄化されたわらえながら現金だ。
「ねぇ、コーキ屋上で寝っ転がってみてどんな気分?」
鱗雲が視界いっぱいに広がった秋空を見ながらのりちゃんが膝枕してくれて幸せなわけだけど。
「のりちゃん。僕とても幸せだよ。ありがとう。」
すっと背後から近寄るカハクちゃんが、これ『貸し』だからとささやく。
カハクちゃん恐るべし。
カハクちゃんに何を返さなくちゃいけないか考えるだけで恐ろしいけど、今はただのりちゃんに感謝の気持ちを伝える。
「のりちゃんありがとう。僕とても幸せだよ。」
「よかったぁ~。コーキの願いが叶えられて。」
僕は、耐えきれなくてのりちゃんの腰に抱き着いた。
苦しいよぅとクレームを言うのりちゃんに、ごめんごめんと言いながら更にぎゅうぎゅうに抱きしめた。
のりちゃん未来永劫愛してる。
だから、ずっと、ずーっと僕の隣に居てね。




