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こんにちはのりちゃん

拙作を読んでいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。「座敷童子が小豆ご飯に飽きたと言っています。」のカーニバルがこちらにも飛び火して怖い。そして、飯テロ詐欺が暫く続く事に今更気がつきました。のりちゃんご飯食べれないんだもん。すいません。

 退院してきたのりちゃんは、リビングに置かれたベビーベットに寝かされている。髪の毛は薄いし、顔は真っ赤でしわくちゃでおサルさんみたいだ。今度こそのりちゃんに子ども扱いされない為にも、どれだけのりちゃんに狭いから小さくなってと言われても今の大きさをキープするぞ。と心に固く誓った。

 すやすやと眠るのりちゃんが、本当に存在するか心配になってほっぺたをツンツンしてみる。母乳を吸う夢でも見ているのか、口がちゅっちゅと動いてる。

 僕の『のりちゃん』はちゃんと僕の住む家に生まれてきてくれた。


「わらしさま、ボクにものりちゃん見せて。」

「いいよ。ほらっ。」


 翔の両脇に手を入れて抱き上げると眠るのりちゃんを見せてあげた。


「女の子に見えないね。」

「これからたくさんおっぱいを吸って大きくなったら女の子らしくなるよ。翔も生まれた時はしわくちゃでおサルさんみたいだったよ。」

「うそだぁ。ボクおサルさんじゃないよ。」

「噓だと思うなら舞に翔が生まれた時の写真見せてもらえばいいよ。」


 翔を床に下すと「おかぁさーーーん。」と舞を探しに行った。僕はさっとスマホを取り出して今日の『のりちゃん』を撮影する。のりちゃんが生まれる予定日にあわせて256GBのスマホに機種変更したのだ。撮影したのりちゃんを『チームわらし』のグループLINEに添付する。直ぐに通知音が鳴る。


 カハク:昨日と同じに見える。

 いなり:寝てばっかだな。

 チコ:目は開かないの?

 クラマ:いつ料理が作れるようになる?

 わらし:今晩のりちゃんに会いにおいでよ。 


 妖力が欲しいだけのクラマは、料理の事しか頭にないけど、のりちゃんに会ったらこの魂の温かさが解るはずだ。

 泣き出したのりちゃんを横抱きにして舞の元へ連れていく。まだ首が座ってなくてぐにゃぐにゃしたのりちゃんは軟体動物みたいだ。


「のりちゃん、コーキがおっぱいの元に連れていくからね。」


 のりちゃんが一番に呼ぶのは僕の名前じゃないと嫌だ。赤ん坊に「わ・ら・し」は言いにくいと、翔で経験済みだ。だから毎日毎日コーキ・コーキと教え込んでいる。


「舞、のりちゃんがお腹すいたって。」

「わらしさまありがとうございます。」


 翔の時と違ってろくに昼寝もできないからこの頃の舞は憔悴しきっている。のりちゃんから母親を引き離すのは得策じゃないから我慢してたけど、そろそろ大丈夫だよね。


「舞、すごくやつれてる。それじゃぁ母乳も出なくなるだろうから、夜は僕がのりちゃんの面倒見るよ。」

「お願いしてもいいですか?」

「うん。」

「ありがとうございます。」


 わが子に対して愛情が薄いわけではないだろうけど職業柄なのか、舞の思考は合理的で僕としては扱いやすい。


 ◆◇◆


 夜中に鳥居から現れた4人は、ベビーベットを囲んでのりちゃんをのぞき込んでいたら、ふぇぇぇと弱く泣き出した。のりちゃんはギャン泣きになるまでの時間が結構長い。


「僕ミルク作ってくるから抱っこしてあげて。」

「落としそうで怖い。」

「オレには無理。」

「あたしが抱っこする。」

「だっこしたまま横にゆらゆら揺れてあげて。」


 クラマは聞こえないふりをしていた。のりちゃんをベットからすくいあげてチコちゃんに渡す。


「のりちゃん。コーキがミルク作って来るから待っててね。」


 ぎこちなくゆらゆら揺れてるチコちゃんをしり目に台所へ向かう。消毒液につけてある哺乳瓶をさっとすすいで粉ミルクを入れて調乳ポットのお湯を注ぐ。人肌に湯の温度を保っておけるコイツは優れものだと思う。哺乳瓶を振りながらリビングに戻った。


「チコちゃんありがとう。」


 チコちゃんからのりちゃんを受け取って胡坐をかいた足の上にのりちゃんを寝かせた。


「ほ~ら。コーキがのりちゃんにミルクを作ってきたよ。」

「わらし、コーキ、コーキうるさい。」

「僕だってしつこいのはわかってるんだよっっ。でものりちゃんに一番最初に名前を呼でもらいたいんだもん。」


 哺乳瓶をのりちゃんの口に当てながらカハクちゃんに反論した。ゴクゴクジューゴクゴクジューと音をたててミルクを飲みほしたのりちゃんを縦抱っこしてげっぷを出させると、もうすやすやと寝始めていた。

 たくさん寝て早く大きくなぁれ。








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