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来年の手帳

拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価、感想をありがとうございます。カルマの塔が削除されていてがっかりしていたら、もうとっくに別サイトで更新されていたことを遅ればせながら本日知りました。早く書籍化されて欲しいと願う作品です。1話からまた読んできます。

 無事に天下一品祭りも終わり、受験を目前としながらも、来年の手帳を物色していたら、なんと今年は『ヨシタケシンスケ』がある!!!

 ここ数年は『MOTHER2』のカバーを使いまわしているんだけど、パソコンのモニターをにらみつつ


「コーキ~今年のほぼ日ヨシタケシンスケがあるよ~。どうしよう。悩む~。ってかこれ2018年度版にもあったんじゃん。昨年はLOFTで買ったからノーチェックだったよぅ。」

「のりちゃんが、欲しいなら買えばいいじゃん。」

「でも、今年もMOTHER2のカバーも出てるんだもん。」

「来年どちらのカバーを使うか決めればいいから品切れになる前に両方GETしておけばいいんじゃないの?」


 こういう時のコーキは無駄遣いしちゃいけませんを発動しない。期間限定プライスレスなのです。


「じゃぁ、コーキは『ヨシタケシンスケ』使ってよ。私『3ばんめのばしょ』使うから、それで7月になったらカバー交換しよう。」

「僕手帳に書くことないんだけど。」

「私と行った場所のチケットとか貼ればいいじゃん。」


 コーキは大抵メモも記録もスマホで済ませてしまうから、手帳なんて普段持ち歩かない。私は文字にした方が記憶に残るからなるたけメモは紙媒体を使っている。だから受験勉強用の英単語の書きなぐりや、歴史の年表も紙に書き起こしている。切実にネズミに耳をかじられて青くなった猫型ロボットの未来アイテムの食べたら暗記できる食パンが欲しい。

 はぁ。本当に志望校行けるかなぁ。

 クラマは、今のまま勉強すればもう一つ上のランクも狙えるぞ。と言うけど家から1時間以上もかかる学校に毎日通学する自信が無い。それこそコーキが毎日車で送り迎えなんてしそうで、またビッチ扱いされたら嫌だからね。本当は、はなかちゃんと同じ学校だったらよかったけど、はなかちゃんは看護師になりたいから、推薦枠が多い学校を調べてそこへ

 進学すると言う。もう将来やりたい事が決まっているはなかちゃんはやっぱりカッコイイ。

 ……大人になった私は何やってるんだろう。お兄ちゃんも中学の時には既にやりたい事が決まっていたし、何でそんなにあっさりと将来を選択できたのかな。お兄ちゃんが帰ってきたら聞いてみよう。

『合格』と書いてある甘栗むいちゃいましたの封を開けて一粒口に放り込んだ。20種類もパッケージがある中から『合格』だけを探して大量に買ってきたコーキの執念は物凄いと思う。あの人の、期間限定と、ゲン担ぎにかける情熱は鬼気迫るものがある。

 私もそれくらい執着できる物が出来たら、将来やりたい事とか、なりたい職業とかが見つかるのかな。全く想像がつかないけどこのまま進学して、どこかに就職して、いつか誰かと結婚してお母さんになる日が私にも来るのかな?

 お嫁に行ったらこの家を出ていくんだよ?いなりや、カハクちゃんと遊べるのもあと10年くらいしかないのかな?

 漠然とした未来に対して今必死に頑張る意味ってあるのかな。学校の先生は、将来なりたい職業が決まった時に焦らず済むようなるべくいい成績をキープして土台を作っておくことが重要ってもっともらしく言うけど、なりたい職業が大人になっても決まらなくってフリーターとかになった時に、10代で勉強に費やした時間って無駄にならないのかな?『受験』という未知のプレッシャーに押しつぶされそうになって現実逃避をしている事は重々承知しているんだけど、私立に推薦してもらう子達は卒業式前に進学する学校が決まっているのに、公立高校を受験する私は卒業してからしかどこの学校に進学できるかが決まらない。

 どうしよう中学生浪人になったら。モヤモヤと悪い方向にベクトルが向いている。

 ウジウジ悩んでいても一歩も進めない。とにかく今できる事をやって3月にあの時こうしておけばよかったと後悔しないようにしよう。来年の手帳にたくさん楽しい思い出を記そう。がんばるぞっっ。浮上してきた気持ちを鼓舞する為に、もう一袋『合格』と書いてある甘栗むいちゃいましたの封を開けた。


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