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はなかちゃんとおデート後編

本作品をお読みいただき、評価感想ありがとうございます。

本好きの下剋上の新刊を読み、Web版との検証をしつつ完結まで読み直し、積ん読を消化した中の、茅田砂胡さんの新作を読み、消えるホットドッグ食べたいから作ろう。うん作ろうと、俠飯の1か2にあったホットドッグを食べつつデル戦読み直そうと電子書籍を開く前にコチラにログインしたら、5リラさんから感想があり、更新した日から4日も経っていた事に気がつきました。ヤバかった。今からデル戦読み始めたら1週間に1回の更新なんて嘘八百でした。

あと、読者の皆さんの本棚に君は小さな居候が増えてて、布教活動成功だゼ白胡麻さんオススメして下さってありがとうございます。前書きや後書きも読んでくださる方がいらっしゃった事が解って嬉しいです。いつも読んでくださりありがとうございます。


 わらじトンカツを食べた私達はエスカレーターで降りる事にした。長い下りのエスカレーターは、下を見るとちょっと怖い。歩道橋とか、長いエスカレーターとかって、何で落ちる事を想像してしまうんだろうねって、はなかちゃんと笑い合った。

 せっかく街まで来たから、表通りもブラブラ散歩しようって話になりはなかちゃんとウィンドウショッピングするけど、私達にはまだ着こなせない大人っぽいお店ばかりが並んでいた。

 車2台分程の道で信号待ちをしていたら、物凄いスピードで左折して来たワンボックスカーのスライドドアが開いて、毛深くゴッツイ手が私の腕を掴んで車に引きずり込まれそうになった。とっさの事で頭が真っ白になって叫び声も出せない。


「のり子ちゃんの腕を離しなさい。」


 凛とした声がして、毛深い手首を捻り上げたのは、チコちゃんだった。


「チコちゃん。」

「兄さまに、今日は嫌な予感がするからチコも付いて行けって言われたんだけど、付いて来て良かった。後のことは弟妹弟子に任せて、気持ちが落ち着くまで3人でお茶でもしようか。」


 はなかちゃんと私の手を繋がせたチコちゃんは、私と手を繋いだ。3人並んで真ん中だとまるっきり子供扱いでチョット切なかったけど、誘拐されそうになった今は子供ポジションが安心するかも。

 ケーキも頼んでいいんだよとチコちゃんが言ったけど、あのわらじトンカツを完食した私とはなかちゃんは、甘いドリンクで手を打つ事にした。チコちゃんは、ティーソーダ。大人な雰囲気な飲み物だね。私とはなかちゃんは、アイスキャラメルマキアートに決めた。

 テーブルにそれぞれの飲み物が配られて、一口飲む。口の中に甘いキャラメルの味がひろがった。うん。美味しい。


「チコちゃん。私何で人間に誘拐されかけたんだろう?」

「のり子ちゃん。『何で』って、どうして解らないの?」

「臓器密売的なやつしか思いつかないもん。」

「のりちゃん、臓器密売なら私も一緒に攫われてたと思うよ。」

「確かに。」

「のり子ちゃんは、わらしが大事に大事に育ててるのに、ちっとも贅沢させてもらえてないから、自分がお嬢様だって自覚が無さすぎる。」


 はぁ。とため息をついたチコちゃんの視線が痛い。

 お父さんは医者だしお母さんは看護師だから、一般家庭よりはお金持ちかもしれないけど、我が家の内装を見る限り暖炉も鹿の頭の剥製も無いしとても豪邸には見えない。お嬢様って腰に手を当ててオホホホホって笑ってるアレだよね?私一回も腰に手を当ててオホホホホって笑った事無いし。


「のりちゃん、私ものりちゃんがお嬢様って知らなかったよ。だってお嬢様って公立中学なんかに通わないよね?」

「お兄ちゃんも、私と同じ中学だったよ。高校だって公立に通ってるよ。」

「私、お嬢様って悪役令嬢ざまぁ物にしか存在しないと思ってた。」

「はなかちゃん、私だってお嬢様の生息先ってそこしか知らないよ。」

「中学生の経験値から推測される人物像ってそんなものじゃないかな。」


 チコちゃんのズバッとな大人な意見に無言でストローでキャラメルマキアートを吸い上げていたら、コーキから電話がかかってきた。


「何?」

「車道に路駐してるから、飲み終わったら大通りまで3人で来てね。」

「わかった。」


 コーキが何故車で迎えに来たか謎だったけど、お嬢様とはなんぞやトークで盛り上がった3人はコーキがマッピングを送ってきた場所へ移動した。

 スヌーピーの横顔から耳を取ったようなシルエットの白い車に乗り込んだ3人のシートベルトを締めた事を確認したコーキが静かに車を走らせた。


 ◆◇◆


 はなかちゃんを自宅に送り、誘拐事件なんかあったっけ?と思う程の日常的空気な台所で、コーキとひたすらホットドッグを作りながら、今日の事件や、何故お嬢様に育ててくれなかったかを聞いていた。

 私がスライスした玉ねぎを酢、オリーブオイル、カレー粉で漬けたものを細長いロールパンの切れ目に押し込んで、コーキは焼いたウィンナーを乗せていく。


「僕が、初めて渡辺家で一緒に住んだのりちゃんのご先祖様がね、女の子は何処へ嫁ぐかわからないし、男の子は夢を求めて出奔するかもしれないから、どんな環境どんな状態でもしぶとく生きれる様に、なるべく質素な生活をする事。形あるものは無くなる恐れがあるけれど、知識と経験があれば、裸一貫でもやり直しがきくから知識と経験を得る為にはお金と時間の糸目をつけない事って、強くシツコク言い含められた僕が『指切りげんまん』したからだよ。」

「へぇ。私のご先祖様って昔臭いけど、子孫に本当の幸せを掴んで欲しかったんだね。

 コーキごめんね。私が子供っぽいから私を信用してくれなくて口うるさくしているんだってずっと思ってた。私がしっかりしてても、社会には常識が無い大人も、お金の為なら悪い事を平気でする大人が居るって今日、解った。いつも私の事気にかけてくれてありがとね。」

「のりちゃんっっ。」


 ケチャップとマスタードを塗ってた私をギュッと抱きしめたコーキの胸元には赤と黄色のシミが。


「ちょっと、コーキ。1個ホットドッグがダメになったじゃん。」


 ペリッとコーキを引き剥がして、私はチコちゃんの弟妹弟子達へのお礼をせっせと作った。

玉ねぎじゃなくてもキャベツでも美味しいです。

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