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のりちゃん友チョコデビューする後編

 冷蔵庫を3人で覗くとツヤツヤのクランチチョコレートが出来上がっていた。のりちゃんはそこから2つ取り出して、


「コーキ、にぃに。のりちゃんが初めて1人で作ったチョコレート食べて。」


 今までだって、のりちゃんが1人で作れるレシピは存在していたし、作ろうと思えば1人で作ることも出来たんだ。だけど、どうせならバレンタインデーにのりちゃんの手作りチョコレート貰いたいじゃないか。はなかちゃんの為にだけ頑張っていると思ってたけど、翔と僕の為にも頑張ってくれたんだ。誇らしげに渡されたチョコレートに泣きそうになった。

 こうして僕はのりちゃんのファーストチョコレートを無事にGET出来た。

 モチロン、ファーストチョコレートの写真は何枚も撮影した。


 保育発表会当日、正にこの日がバレンタインデー。昨日の晩は、のりちゃんが1人で作ったチョコレートの中から、見た目を厳選されたチョコレートを、パッキンを入れた柄付きのクリスタルパックに詰め込んで、マスキングテープで留めてラッピングしていた。「はなかちゃんだいすき」と書いたカードも添えられていた。

 3週間特訓中に生産されたチョコレート達は、僕と作ったチョコレートは4等分され、のりちゃんが1人で作ったチョコレートの残りは、7等分された。良かったな隆。のりちゃんは、隆の分を忘れていなかったようだ。

 1人ずつにメッセージカードもせっせと書いていた。のりちゃん意外とマメ子かもしれない。

 登園すると、もうはなかちゃんは来ていたみたいで袋を持って走ってきた。


「のりちゃんおはよう。はなかチョコレートクッキー作ってきたよ。」

「はなかちゃんおはよう。のりちゃんもチョコレート作ってきたよ。」


 お互いに友チョコを交換する2人。今年から始まってしまった友チョコは高校を卒業するくらいまでは続くんだろうな。高校生になったのりちゃんは一体何を作ってくれるんだろう。

 きゃぁきゃぁはしゃぎながら、お互いに貰った宝物を抱えて2人は教室へ入っていった。

 会場のスペース状、1人の子供に付き大人は2人までという制限があったため、真剣勝負のじゃんけんで勝ち抜いたチコちゃんが、講堂で場所取りをしてくれていた。


「わらし、こっちだよ~。」

「チコちゃん、場所取りありがとう。」

「あたし、今日はのり子ちゃんのチョコレート楽しみ過ぎて、めちゃ早く保育園に着いちゃった。」

「チョコレートは家に置いてきたよ。」

「ガーン。」

「ここで渡したら、他の3人もなんだかんだ理由をつけて保育園に来ちゃうじゃないか。」

「それもそうだね。兄さまならやりかねないわ。」


 トライアングルを鳴らすのりちゃんも、手首にふさふさをつけて歌いながら踊るのりちゃんも、去年の発表会と比べようもないくらい堂々としていた。流石に年長さんになると、最初から最後まで泣きっぱなしっていう園児は居ないようだ。

 発表会に来れなかった翔や、『チームわらし』の為にしっかり映像に残した。去年のビデオは、のりちゃんのアップばかりで全体像が1秒も無く、カハクちゃんにさんざんダメ出しされたから、今年は、画面を引きで撮る事も所々で入れた。

 僕からしたらのりちゃん以外の園児の映像なんて全く要らないが、のりちゃんが成長して、思い出として再生した時に友達がだれも映っていなかったらかわいそうでしょと、カハクちゃんにこんこんとお説教された。

 のりちゃんを連れて帰ると、居残り組が、雁首揃えて門扉の前で待っていた。


「ただいま~。」

「「「おかえり。」」」


 ゾロゾロとリビングに移動すると、昨日それぞれの席にラッピングされたチョコレートの袋が、大きい袋と小さい袋が1セットで置かれている。


「大きいふくろは、コーキと一緒に作ったチョコで、小さいふくろはのりちゃんが一人で作ったチョコだよ。」


 えっへんとやや胸をそらしてのりちゃんが『チームわらし』の面々に説明した。しばらくの間白熱した撮影会が開かれた事は言うまでもない。


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