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のりちゃんが捕まえた新しい住人

拙作をお読み頂き、ブックマーク、評価、感想などありがとうございます。先日、ランキングで、読者さんからオススメされた「きみは小さな居候」とお隣さんしました。いつもは、勇者やダンジョンの間に座敷童子だったので居心地が悪かったのですが、他の座敷童子がお隣さん。超心強い。そしてとても素敵なお話なのでお隣さんできて光栄でとても嬉しかったです。

きゅうりの味噌汁は、メラウマではありませんがこの時期きゅうりの消費に困ってる方には役立つかなぁと入れてみました。

 翔が帰ってきて、ニホントカゲが入っている水槽に奇声をあげながら歓喜の踊りを捧げているのをのりちゃんは、ニコニコと眺めている。


「ほら。先にご飯食べちゃうよ。」

「「は~い。いただきま~す。」」


 いつもは、矯正箸を使うようになったのりちゃんも、素麺が伸びてしまっては美味しくないから、フォークを使って食べている。フォークにひっかけた素麺の先っぽを顔の上に持ち上げて下から食べようとするのりちゃんを窘め、フォークから食べるんだよと根気よく教える。冷たくて美味しいねと、ニコニコ。翔は早くニホントカゲをじっくり眺めたくて噛まずに飲み込んでいる。いなりとのフードファイトを思い出すよ。カハクちゃんの「私がニホントカゲのお家を完成させるまでお預け。」と鶴の一声で、おとなしく昼ご飯を食べている。翔も怒らしてはいけない人物が誰か分かっているようだ。

 食後のデザートを食べて休憩した後に、翔とのりちゃんはリビングでカハクちゃんと水槽を両脇から覗き込んでいた。水槽の底から土が盛り上がって高低差が出来、黄緑色した苔のじゅうたんが敷かれた場所や、土がむき出しの付近にはごろんとした石が転がされて、毛足の長い草も生えてきた。もう水槽というよりは、テラリウムそのものだ。


「カハクちゃん、ニホントカゲのおうちすてき。」

「ありがとう。のりこちゃん。」

「翔、ニホントカゲに名前つけてあげな。」


 毎回訂正するのも面倒だから、もう間違った認識は上書きしてしまえっっ。


「パラリティタン!!」

「にぃにパラちゃん?」

「パラリティタンだよ。」

「パラちゃん!!!」

「もう、のりちゃんは、パラちゃんでいいよ。」


 ジョージでも太郎でもいくらでも名前がある中で何故恐竜の名前?しかもマニアックなとこついてきたなぁ。


「翔、のりこちゃん、パラリティタンは、神経質で臆病だから水槽を突っついたりしたらダメよ。」

「「は~い。」」

「虫も勝手に孵化するようになっているから。」

「「ふか?」」

「卵から生まれる事よ。餌やりはしなくていいから、水だけ入れてあげてね。」

「「は~い。」」


 ちゃぶ台にパラリティタンが入った水槽が設置された。こうして我が家に新しい住人が増えましたとさ。

 飽きもせず翔は水槽にくぎ付けで、息をひそめてパラリティタンの動向をうかがっている。

 カハクちゃんとのりちゃんは、オキナワスズメウリのリースを作り始めた。ハート型のリース枠に、実が表面に向くよう蔓をうまく絡めていく。美術班のカハクちゃんが、こっちにこれあっちにこれと、のりちゃんに指示を出し、置いたそばから細いワイヤーで固定していた。

 カハクちゃんが作ったら物の数分で仕上げてしまうリースを、のりちゃんと一緒になって気長に作成してくれたハートのリースは、今は緑だけど、これから、いろんな色が混じってカラフルなリースになっていくだろう。ハロウィンの時には黒とオレンジのリボンを足し、クリスマスには緑のリボンが足される。秋から冬にかけてのお楽しみだ。


 ◆◇◆


 午前中から、午後いっぱいカハクちゃんと遊んだのりちゃんは、電池が切れたのか夕方からウトウトし始めた。


「カハクちゃん、夕飯僕が作るけど食べてく?」

「のりこちゃんが作らないなら食べない。」


 いっそ清々しいと思うが、のりちゃんがお料理をお手伝いする時しか、カハクちゃんは我が家での料理を食べなくなった。あらかじめのりちゃんと作ったクッキーを渡すとさっさと帰ってしまった。

 気を取り直して、夕飯の準備に取り掛かる。お鍋に水とだしパックを入れて沸騰させる。キャベツを千切りにして少し塩を振り水気を切る。きゅうりを刻んでお鍋になげこんだら、千切りキャベツ、コーン、ツナをボールに入れ、あらかじめ混ぜておいたマヨネーズ、砂糖、塩、酢、コショウで和える。きゅうりに火が通ったら、合わせ味噌を溶かして火を止める。


「コーキー。」

「のりちゃん、こっちだよ。」


 翔がのりちゃんを抱っこしてヨタヨタと台所へ連れてきた。


「翔ありがとうな。のりちゃんどうしたの?」

「コーキだっこぉ。」


 屈んで翔からのりちゃんを受け取り抱っこし直すと、柔らかな頬が僕の頬にピトリとくっついた。


「のりちゃんがねてる間にカハクちゃんかえっちゃった。」

「会いたい時にいつでもコーキがLINEで呼んであげるよ。いなりも、チコちゃんもクラマもいつも呼んだらすぐ来るでしょ?」

「ん。のりちゃん、がんばってお料理する。」


 のりちゃんを降ろすと、トコトコと、Myスモックを取りに行った。困ったなぁ後はチキンを焼くだけなのに、のりちゃんがやる気になってしまった。


「翔も手を洗っておいで。」

「イエッサー。」


 敬礼をするとパタパタと走って洗面所に向かう。


「翔走らなくていいから、転ぶなよ。」


 鳥もも肉に、フォークを刺して穴を空けている間に、翔が水、砂糖、しょうゆ、酒を計量スプーンで計ってボールに入れるのをじっと待つのりちゃん。全部入れ終わったのを見計らっておもむろに味噌計量マドラーでグルグル混ぜ合わせていた。すぐ混ざるんだけど、達成感を持たせるためにそのまま放置プレイにして僕は熱したフライパンに、鶏皮を下にして焼き始めた。裏返して焼き色がついたら、翔&のりちゃん作成の照り焼きのタレを弱火でからめて、今日の晩ご飯完成です。

 カハクちゃん、夕飯まで待っていたらのりちゃんのお手伝い料理食べれたのに残念。







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