ウサギさんになったのりちゃん
拙作を読んでいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。ランキング10位圏外になり、やっと平穏な日々が訪れました。
アホみたいにアクセス数だけ上がって無反応。まぢ心が削られますね。お気に入りユーザー登録された方も含めアクションを起こしてくださった方々本当にありがとうございます。
クラマの護符のせいかどうかは別として、のりちゃんの語彙はどんどん増えて今ではスラスラおしゃべりできるようになったんだ。翔が居るのも大きいと思う。保育園から帰ってくると一目散にのりちゃんにへばりつく翔は間違いなくシスコンだ。
のりちゃんがお昼寝をしている間におやつを作ろうとカボチャを茹でていると、のりちゃんが起きて台所までトコトコ歩いてきた。
「コーキなにちてるの?」
「のりちゃんおはよう。おやつを作ってるんだよ。」
「のりちゃんもおてつだいする。」
「じゃぁのりちゃんスモック着よっか。」
「あいあいさ~。」
2歳になったのりちゃんは、お料理に興味津々で、まだちょっと早いかな?とグーグル先生に聞いてみたら、「興味があるならさせてあげると、発達が早くなる。」と書いてあったんで早速のりちゃん用にスモックを何着かポチった。
食器棚の脇に、のりちゃんが手の届く高さに張り付けたフックにスモックはひっかけてある。スモックを取ってきたのりちゃんが僕にスモックを渡して万歳をした。
受け取ったスモックを着せて、両脇を抱えて抱っこして蛇口をひねった。のりちゃんは上手に手をごしごしして手洗いをした。
「材料をテーブルに持っていくからのりちゃん向こうで待っててね。」
「は~い。」
右手を挙げて元気よく返事をすると、トコトコ歩ていった。串が通るくらい柔らかく茹で上がったカボチャを、ホットケーキミックス、豆腐と共に食卓ーブルへ持って行った。僕が小さかった頃も良くこのテーブルでのりちゃんのお手伝いをしたなぁ。
椅子の上にたっちしたのりちゃんの後ろに立って、ボールに入ったカボチャを、マッシャーを握る小さな手を上から包み込んでヨイショ、ヨイショと潰した。ホットケーキミックスと豆腐を加えて混ぜる。
どろんこ遊びみたいで、のりちゃんが一番好きな工程なんだ。
「のりちゃん、お団子にするよ。」
「は~い。」
真剣な表情でコロコロお団子を作るのりちゃんの唇が、アヒルのくちばしみたいにとんがっている。横からほっぺたをつっつきたくなるくらいかわいい。
ドーナツ生地で汚れたのりちゃんの手をゴシゴシ洗った。
後は、揚げるだけになったドーナツたちを台所に運んだ。コンロから離れた場所に踏み台を置いて、
「のりちゃんはそこでたっちして見てる係ね。」
「のりちゃんみてる。」
シンクのふちを握って背伸びをするのりちゃんに、気をつけながら僕はドーナツを次々揚げていった。
揚げたてのドーナツを半分に割ってフーフーして冷ますと、のりちゃんの口に一切れ放り込んだ。
「はい味見。」
もぐもぐして目を輝かせたのりちゃんが、
「コーキおいしいね。」
「のりちゃんがお手伝いしてくれたからいつもの2倍おいしいよ。」
「のりちゃんおてつだいできたもん。」
ニコニコ笑うのりちゃんと、出来上がったドーナツを袋に詰めた。
スモックを脱がせて、ウサギの耳が付いたカバーオールにお着換えしたのりちゃんをベビーカーに乗せて翔をお迎えに行った。
どの部屋からも『お帰りの歌』を歌う声が響いていた。御多分に洩れず、桃組さんの教室にいる翔を覗くと、『お帰りの歌』を元気に歌っていた。
「わらしさま~。のりちゃん~。」
通園バッグを斜めがけにした翔がこちらに走ってきた。
「にぃに~。」
翔に手を伸ばすのりちゃんのほっぺたに、ちゅっとキスをした翔は、のりちゃんに、
「のりちゃん、とりっくおあ~とり~とって言って。」
「にぃに~。とるっくあとる~と。」
「はい。のりちゃんどうぞ。」
背中に隠し持っていたビニール袋のお菓子をのりちゃんに渡した。
「翔もトリックオァトリートって言ってみ。」
「わらしさまとりっくおあ~とり~と。」
「はい。僕とのりちゃんで作ったカボチャのドーナツだよ。」
「にぃにど~じょ。」
「わらしさま、のりちゃんありがとう。」
翔は、ドーナツの袋をお友達に見せびらかす為走って行った。
モフモフのウサギさんになってるのりちゃんは、翔のクラスのちびっ子達に囲まれた。ちびっこ達はボクの『のりちゃん』がドーナツ作ってくれたんだよと自慢しまくる翔のドーナツを羨ましげに見つめている。僕はこの状況が予想できていたから余分に持ってきたドーナツを配った。
のりちゃんは、お兄さんお姉さんに囲まれてニコニコしていた。
夜まで待てなかった『チームわらし』のメンバーはのりちゃんウサギと記念撮影を繰り返した挙句に、ドーナツをそれぞれ受け取ってそそくさと帰って行った。
……クラマ早く身長が伸びるといいな。




