閑話 矢を作る話4やじりの話
登場人物
アイハ:主人公、女性。現実で学生時代に洋弓・アーチェリーをやっていた経験がある。オハナシの都合で3人の内、最初に喋る。
サダ:主人公の仲間、男性。3人の中で色んなゲームに詳しく、戦闘指揮もする。オハナシの都合で2番目に喋る。
メハシ:主人公の仲間、男性。3人の中で現実の歴史に詳しく色々と考証したり、検証する役割がある。オハナシの都合で3番目に喋る。
(今回から他の小説でやっていた手法を真似て、登場人物一覧をつけました)
「鏃は届いた?」
「おう!さっき届いたぞ」
「新型矢羽にあわせたものと通常型、両方ありますよ」
「よし!松脂も取ってきたわよ」
「今日も雨だしな外出せず家にこもって矢を作るぜ! 火鉢は持ってきたか?」
「火鉢はあり……あ!鉄箸がないんで取ってきます!」
まったくオッチョコチョイなんだから。さて矢じり、矢尻、鏃、全部、同じものだ。英語ではアローヘッド、どの辺からシリがきたのかのは謎ね。
この鏃と矢本体をくっつけるのに私たちは松脂を使っている。松脂は鉄箸で溶かしている。
矢本体、日本語では、矢柄、箆、篦というらしいんだけど、わたしはアーチェリー出身なので、だいたいシャフトと呼んでいる。
ゲームのプレイヤーの中には弓道経験者もいて、人によって、この辺は適当に使い分けている。
という訳で、しばらく1人考え込みながらも、鏃を仕分けて、シャフトを分けていく。
まずは普通の矢から作ることにする。ちょっと前に作った矢羽を改良したシャフトは後回しだ。
「この松脂を溶かす作業って、何か落ち着くわよね」
「あ〜分かるかも。このレトロというか、懐古趣味というか火鉢って良いよな」
「さらに炭まで自家製ですからね。愛着が湧きますよね」
松脂は色が黄色、琥珀色、透明なオレンジというか、それくらいの色をして棒状に固めてある。
ちょっと太めのスティックのりみたいな大きさだ。色はぜんぜん違うけど。
松の木から樹液(生松脂)を取ってきて蒸留した後に煮詰めると出来る。
松脂を煮詰めてるときは正直クサい、サダくんは嗅覚が変なのか、平気らしいけど。
色々な用途があるけど、主に接着剤として使っている。火鉢で熱した鉄の箸を松脂スティックに押し付ける。そして溶けた部分が冷えて固まらない内に、シャフトの先端部分につける。それがゆるいと鏃が取れちゃうから要注意だ。
たまに的の中に刺さって、鏃が中に残っちゃうこともある。
「なんか、松脂から変なもの出てるんじゃないかっていうくらいに落ち着くわ」
「いやぁ、ソレはないだろ」
「炭から一酸化炭素でてますから、それじゃないですか?」
「一酸化炭素は吸ったら死んじゃうわよ」
「換気はしてあるから大丈夫だろ」
「そうですね。次の弓ギルド対抗試合まで、命は大事にしないとですね」
「それが理由なの?そうじゃなくとも命大事だよ!?」
「まぁ、そうはいっても勝ちたいしな。それに弓の性能はともかく、今のとこ矢の多様性とかでは負けてるしな」
「確かに鏃の開発は僕たちは出遅れたかもしれないですね」
「鍛冶の製鉄までは手がまわらないもん。ある程度、鏃は後回しにしちゃったしね」
「あと竹もないしなぁ」
「篠竹が必要になるは考えてませんでしたからね」
私たちのギルドは現実世界の弓矢の中でも洋弓に近い形状のものを作っている。もちろん、クロスボウなんかも扱っているが専門は洋弓(ぽい弓)だ。
他に和弓(に近い弓)や、大型のバリスタ(攻城兵器ぽい機械弓らしきもの)を得意としている人達もいる。
そして現実世界でも和弓というか日本の弓矢は世界屈指の鏃の豊富さを誇る。とにかく多様な鏃があり、狩猟用、戦争用の使い分けはもちろん切り裂く事を目的としたり、刺さるんじゃなく衝撃で打ち砕く用の鏃もある。肉に刺さったら抜きにくいのは普通で、鏃の糊付けを甘くして体内に残りやすくしたり、出血を強いるよう鏃に穴が開いてるのもある。
親の仇を取るのにはぜひこれ!オススメ!みたいな鏃の紹介文がある国はたぶん日本だけだと思う。
そんなに親の仇がいっぱいいるような人生は御免こうむる。修羅道を歩みたいわけじゃない。
こういった多様な鏃は世界でも中国と日本で生まれた。これは主に竹の矢、篠竹と言われる細い竹を矢に加工できたことが大きな理由だと思う。
大きな重たい鏃を着けようとしても、普通の木のシャフトではノリの接着面の問題でくっつかないか、つけてもスグに取れてしまうだろう。けれどシャフトの方に穴があいていれば、そこに突き刺す事ができる。それにより鏃を安定させることが出来るのは大きなメリットだ。
竹は完全に輸入になる。鉄製品、鍛冶はある程度は自作もできるが大量生産は人手が足りない。
あと土地的に鉱石が取れないから、どのみち原材料という意味では鉄製品も完全輸入だ。
まぁ欠点はあるけど、森に私たちの集落を作ったのは間違っていないと思う。
「竹も鉄もなんでも欲しいものは揃うわけじゃないけどさ。利点もあったじゃない」
「そうだな。それなりに戦闘力はある自負はあるが、全戦全勝とはいかない。なんでもあったら競争率やばいだろ」
「このあたりだと、矢の販売先にも困りませんしね。それに木炭の卸先として製鉄ギルドと仲良くなれましたし」
このゲームはストラテジーゲーム。自分たちの所有する領地を開拓したり、技術開発する内政・生産にも力をいれるゲームではあるが、領地の奪い合いをするという側面もある。
資源がたくさんある土地というのは、あまりない。ゲームバランスとか、プレイヤーに公平感をだそうとした結果であるが、完全平等ではない。
結果としてチョットした差でも優位に立とうと人気の土地は戦地でもある。コロコロと持ち主が変わる。殺ろ殺ろ、とか(首が)コロコロな土地は御免こうむる。
「生産と採集だけしていて、自己完結できるように出来ていないのはゲームとしてはイイところじゃない」
「まぁな。生産と採集というゲームタイトルに真っ向からケンカ売るけどな。戦闘専門のオンラインゲームだと極振りとか、特化型のキャラビルドが正解だしな。得意分野を伸ばすのも必要だよな」
「各集落で長所を作って、交易していく方が強くなれるってことです。人との交流できるのがオンラインゲームの楽しみですし、そのための仕組みなんでしょうね」
「交易メインのギルドも楽しそうだけど。でも戦争にもなるのよね〜」
「それな。交易を狙う山賊プレイヤーもいるしな」
「お金がたくさんあるギルドというのも楽じゃないですよね。金の卵を産む鶏は争いのもとです」
「やっぱり平和が一番よね」
「こうして静かに生産作業するのも戦うのとは別の楽しみだな」
「作ってるのは武器なんですけどね」
そんな話をしていたら、『てきしゅう〜敵襲だぁ!襲撃戦だぁ!』と外から警告の叫びが・・・
「私の生産作業が終わった・・・」
「うん、アイハが平和が一番とかフリをするから」
「ですね。アイハさんが口にした時点で戦闘フラグ確定でしたね」
そんなアホな!私のセリフは「押すなよ!絶対に押すなよ!」というお笑い番組の前フリじゃないわよ!
タイトル変えたら、閲覧者増えました。
う〜む、もっと変えたら、増えるだろうか?
今、矢を作る話ばっかしてるから、、、
「矢作さんがVRMMOをやる話〜O木さんもいないし、メガネもかけてないけど〜」
有名人の名前じゃないかって?ナイヨ。ソンナことナイヨ
じゃあ、考古学的に紀元前1万年くらいの洞窟壁画に弓もった人が描かれているし、やはり「なろう」では最強・恋愛というのが定番の1つ、、、
「1万と2千年前から最強兵器の弓矢を愛してる」
え?歌をパクってるぽい?シラナイですよ、ええ、シラナイです、、、アクエリ○ンなんて!(実際には8000年くらい前らしいです)
なんか良いの思いついたら、変えます。




