結ばれない(表現2)
「ねぇ、僕君?」
彼女はいつもの陽気な声で言う。
「んー?」
僕は少し考え事をしていたから、曖昧な返事を返した。
「僕君って、今、彼女とかいるの?」
彼女の声に少しだけ恥じらいが混じる
「いきなりどうしたの?」
僕は考え事をしていたのでそのことに気がつかなかった
「いきなりでもいいじゃん、それで彼女いるの?」
彼女のいつも陽気な声で言う
「いないよ」
僕は少し悲しげに答える
「じゃあー好きな人は?」
彼女は声に嬉しさが乗る
「いないね」
僕は嘘をついた
「そっかー、いないのかー……
……僕君、私と付き合ってくれない?」
彼女は少し気合を入れた声で言う
「どこに?」
僕は戯ける
「そうじゃなくて、私の彼氏になってくれませんか?って言うこと」
彼女は少し強めの口調で言う
「ああ、そう言う意味かー。どうして僕なの?」
僕は話を少しだけ逸らす
「うーん、僕君が彼氏だったらいいな〜って思ったから、かな?」
彼女は恥じらいながらも答えてくれた
「ふーん」
僕は興味なさげに言う
「ふーんって、僕君は変わらないね」
彼女は怒るでもなくそんなことを言った
「そうかな?」
僕は本心からそう答える
「うん、変わらない……
……そろそろ返事、貰いたいんだけど。」
彼女が話を戻す
「うーん、ごめん」
僕は少しだけ考えて答える
「はははっ……え、えーっと り、理由……聞いてもいい、かな……?」
彼女が震える声を抑えつつ言う
「理由?うーん、僕が君のことを好きじゃないから?」
僕は曖昧に答える
「き…嫌いってこと……?」
彼女は今にも泣き出しそうだ
「ううん、嫌いじゃないよ。でも、好きってほどでもないから」
僕は正直に答えた
「そっかー。なら、可能性はある……んだよね?」
彼女に少し元気が戻る
「それを本人に聞くの?」
僕は嘲けるように言う
「それもそうだね」
彼女がいつもの調子に戻る
「うん」
僕は答える
「ねぇ、僕君?」
彼女は長い沈黙の間に何かを決意したようだ
「んー?」
僕はまた、考え事をしていて曖昧な返事をしす
「私ね?僕君が、この人となら一緒に居たい!って思えるくらいいい女になって、もう一度告白するね?」
彼女はすごくいい笑顔で言う
「うん。でも、そのとき君は、いろんな人にモテモテで、そして、新しく好きな人が出来たりするんだろうね」
僕は自分が嫌になる
「そんなことはないと思うけどな〜」
彼女は呑気な声で答えた
「じゃあ、そのときはオッケーするよ」
僕はその時なんて答えるだろう
「本当!?」
彼女はとても嬉しそう
「うん、もしその時が本当に来たらね」
僕はさっき好きな人に振られたばかりで
「約束だよ?」
彼女は嬉しくて念を押す
「うん、約束」
そして今、新しく好きな人が出来て……
みなさんはどんな捉え方をしましたか?