ーーーペットショップ「ステイハート」ーーー
翔「お疲れ様です‼︎」
智也「翔お疲れ!今日も頼むぞ!」
翔「はい!もちろんです!」
ペットショップ「ステイハート」
社長の神谷智也-かみやともなり-さんとの出会いは幼稚園生の頃だった。
幼稚園から中学まで同じ学校に通う幼馴染の神谷和也-かみやかずや-の父で、
父と暮らしていなかった俺を気遣い、自転車の乗り方やら、
キャッチボールの相手を良くしてくれていた。
初めてのバイトは中学校三年生の時、片親の俺の母が発作で入院をし、
1人で家にいた事を和也から聞いた神谷さんが家に来て、
「1人でいるなら俺の家で暮らせ、豪華なおかずは無いが、たくさんの米と母ちゃんが作る最高の味噌汁はある」
と言って俺を居候させてくれた。
その時に、幼いながらに思った一宿一飯の恩義として、
お店の掃除やら片付け等を手伝っていた。
本当に、感謝してる。
自分に温かさを教えてくれた人。
バイトも特に問題無く、終わりの時間となり、
更衣室で着替えていたら社長から、
智也「翔はそういえばいつまでバイトする?自衛隊に
入ったら忙しくなると思うし、早めに辞めて、
少し遊んでから自衛隊行くか?」
翔「いや、ギリギリまで働かせていただきます。
この場所で最期まで頑張りたいです。」
智也「ったく働きもんだなー。でもギリギリまではダメ
だ。入隊の10日前には辞めてもらう。自由な人間
として最期の10日間を過ごしなさい。」
翔「自由な人間って。刑務所ぢゃないんですから、
全然へっちゃらですけど、社長がおっしゃるなら、
指示に従います。」
智也「刑務所よりキツイんぢゃないか?とにかく今の内
に悔いが残らない程遊んでおきなさい。
それぢゃあ、気をつけて帰れよ。」
翔「まぁ、体力的にはそうですかね。悔いは残らないで
す! どんな人生も後悔せずに生きると決めてますか
ら!お疲れ様でした!」
ガチャン!
智也「果たしてあいつは、あの真っ直ぐな心をどうやっ
て社会にぶつけていくのかな。心配だが、
あいつなら大丈夫か。」