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涙が止まりません

とりあえずショッピングモールに向かって、広域農道を歩いていると、葬祭場の案内看板が見えてきました。

『鈴木家斎場』と、書いてあります。うん、私の名字ですね…ありふれた名字ですし、ここは隣町です。

きっと別の人に違いありません。

そんなことを考えつつ歩いていると、葬祭場の前に到着で……あれ?バイト先の店長が建物の陰で煙草を吹かしています。

まさか、私の…御…葬…式…ですか?

私は駆け足で葬祭場の中へ向かいました。

入口では黒いフォーマルスーツ姿の親友がいました。

「希美!希美!希美!」

大声で叫びますが反応がありません。

そのあとは狂った様に、親戚や家族に大声で呼びかけました。

母が天井の辺りを見渡して「玲子?」と、小さな声で呟いていましたが、それ以上の反応はありませんでした。

はっ、いけません。

私の身体が祭壇の中で眠っているじゃないですか!

すぐに戻ろうと試みますが、今の私では空気のような存在のようで触れる事すらできません。

「何でよ!何でよ!何でよ!わたしの身体返してよ!!!」

渾身の叫び声は誰の耳にも入らず、大粒の涙が止まりません。

わたしの隣で、穏やかに眠っている自分の顔に夜露のような小さな一滴の涙が静かに頬に落ち七色の微細な輝きを放っていました。

私はそんな事に気づかずにただ悔しくて、悲しくて涙が枯れるまで泣き続けました。


私は鈴木玲子は、もうこの世にはいませんでした。


わたしは、もう何もする事も思い付かず、ただ立ち尽くすしかありませんでした。

すると、控え室から僧侶が一人、小さな女の子連れてやって来ました。

「えっ?女の子?」

わたしが、不思議に思っていると、女の子が話しかけてきました。

「おねえちゃんも私と一緒なの?」

わたしは驚いて声が出ませんでした。

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