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テスト
テストの季節がやって来る。
町が整備され店でアルバイトが出来る様になったとはいえ、小遣いは欲しい。
寮内は無料だが、趣味等には費やせなかった。
現在、一学年につき六十人程。
テストの総合順位により小遣いが貰える制度が出来ていた。
とはいえ、貰えるのは上位半分の人間だけだ。
学生等はモチベーションを上げ、小遣いの為にテスト勉強に励んだ。
「では、テストを返します」
教科担当が授業毎にテストを返してゆく。
五教科の総合順位は後に学年事に壁に張り出され、喜ぶ者と泣く者が出た。
愛子は全教科満点で一位、一方留美は最下位ではないものの下位だった。
「愛子様、凄い」
「素晴らしいです」
教師も生徒も褒め称える。
笑顔で愛子は対応するが、うんざりしていた。
そんな中、一人だけ追試者がいた。
隣のクラスの真壁将生、趣味の為にアルバイトをしている者だ。
つまりはあまり勉強をしていないという事。
生徒の中でも浮いていて、教師も彼には困り果てていた。
その噂を聞き、愛子は興味を持った。




