レストラン
このテーマパークには二カ所レストランがある。
バイキング制の森の中の店をイメージした店舗と、オーダー制のお城のイメージの店舗だ。
それとは別だがカフェもある。
「どっち行く?」
恭平は問う。
透、将生、留美は愛子が居る事を考えオーダー制を薦める。
だが何も知らない渉、恭平と値段を考えた光はバイキングの店、イン ザ フォレストを推す。
三対三で最後の一人、愛子に託された。
「正直、両方行きたいのだけど…」
愛子は困る。
「愛花さん、あなたは此方にするべきです」
透は言う。
それは、安全第一を考えての事だった。
「わかったわ。なら、二手に別れましょう。留美、あなたも自分の行きたい方選んでいいのよ」愛子はそう結論づける。
結局光や恭平に誘われ、留美はインザフォレストに行ったのだった。
「渉、何故こっちについてきた」
愛花が愛子だと知らない人間が来ると、面倒だ。
それは将生だけでなく透も同意見だった。
「いいじゃん、好きな方でいいんだよね?」
後半は愛子に言う。
愛子は頷くが、正直来てほしくなかった。
4人は個室で食べる。
透が言うと、店長があっさりと案内してくれたのだ。
「愛花ちゃんって、愛子様に似てて美人だよね」
食事後、渉は愛子の顔をまじまじと見つめて言う。
愛子本人なので当たり前だが、三人は内心どぎまぎした。
「お待たせしました。コーヒーゼリーアイス乗せです」
タイミング良く店員が現れる。
それぞれの場所に置かれると、皆食べ始めた。
「愛花ちゃん、美味しいね」
将生が愛子に語りかけ、微笑み合う。
「愛花さん、口に付いてますよ」
「あ、ありがとう。透君」
「いえ」
愛子の礼に透も微笑む。
「…何か、二人共愛子様に接してるみたいだな」
渉は膨れる。
気づかぬは本人ばかりで、二人も愛子が好きだとわかってる渉にとって違和感だらけだ。
「しかも、俺は仲間外れなのも似てるし」
それも渉が不機嫌の理由の一つだった。
「渉、女性には紳士である事が重要だ」
「そうだぞ!」
透の言うことは納得できたが、同調した将生には納得出来なかった。




