入園
「凄い、皆楽しそう」
愛子は呟く。
この日本特区にこんなに人が集まっていたのかと驚かされる。
そして、皆本当に楽しそうなのだ。
「娯楽が少ないですからね。うちの生徒も恐らく沢山来ているでしょう」
「あー、確かに」
透の言葉に将生は納得する。
早速クラスメイトを見つけたのだ。
「時間短いし、列に並ぶんだから早く行った方がいいんじゃ……」
光の最もな指摘に留美は頷く。
愛子はお忍びだ。
優先して乗る訳にはいかなかった。
「とりあえず、特に行きたいもの絞ろうか」
将生は提案すると見取り図を広げる。
「やっぱりジェットコースターは外せないよな」
光が言うと、将生が頷く。
「観覧車は?留美ちゃん一緒に乗らない?」
恭平が下心目的で提案し、皆をあきれさせる。
「お化け屋敷は?こっちもドキドキできるけど?」
アシストなのか、渉も提案する。
その様子を見て、透はため息をつく。
「皆さん、メリーゴーランドみたいな安全そうなものにしてください。それで、愛花さんは何に乗りたいですか?」
透に言われ、愛子は考える。
遊園地の乗り物なんて、乗ったことが無い。
「どれも乗ってみたいわ」
愛子の言葉に皆考える。
「できるだけ回ろうか」
将生の提案に、皆頷くのだった。




