嫉妬
放課後、渉は一組へ向かう。
その日の放課後は渉なのだ。
「留美、帰りましょう」
愛子は言うと席を立つ。
愛子は留美を従えて教室を出た。
その頃、丁度二組もHRを終えたらしくざわつく。
生徒が二組から少しづつ出て行く。
「中川、何してるの?行くわよ」
「はい」
愛子に言われ、意識を切り替える。
渉は愛子達と共に下駄箱に向かって歩きだした。
歩いている最中も愛子は声をかけられると言葉を交わし、手を振る。
「あ、愛子様」
将生が気付く。
側には光も居る。
「あら、今から帰る所かしら?」
「いや、光とゲーセンです」
愛子と将生は普通に会話を交わす。
渉は自分への態度と違って少し不機嫌になる。
「留美ちゃん、将生が居るから先に外に行かない?」
笑顔で留美に言う。
「え?え?」
留美が戸惑っていると、渉は留美を強引に連れて行く。
「先に待ってるから、将生よろしく」
渉は言うと留美を引きずって去っていった。
「なんだよ、あいつ」
光は言う。
だが、それは愛子も同じだった。
渉は愛子の事が好きな筈だ。
だが、留美と仲が良い。
「将生、二人はどうせ昇降口で待っているのでしょう?なら、早く向かいましょう」
「はい」
渉は去っている。
だが、愛子は気楽な表情では無かった。
光が、知り合いではない者がいるからだろうかと将生は考えるしかなかった。




