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冷静
留依、その言葉に和泉修介は反応した。
すぐにデータを持ってこさせる。
だが、簡単なデータには載っていなかった。
和泉修介はパソコンを開くとカタカタと打つ。
細かい情報を見た。
近藤昌也の身辺、経歴等は事前に詳しく調べている。
〈これだ〉
ここに来る直前まで付き合っていた彼女、麻生留依。
「じゃあ、こちらは麻生留依さんを連れて来ようか」
喋りながら今度は麻生留依の情報を調べる。
彼女は近藤昌也と婚約までこぎつけていた。
麻生留依はひまわり園という施設出身だ。
そこで宇野留美も施設出身だった事を思い出す。
そう、二人は同じ施設出身だった。
宇野留美のデータを見る。
引き取られる前は姉が居た。
旧姓瀬能留美と瀬能留依、つまりは姉妹という事だ。
「無理かな?もう指示だしたから、麻生留依さんはこちらに来ますよ」
監視カメラを見る。
近藤昌也は絶望していた。
「いいじゃないですか。彼女、麻生留依さんと結婚して義妹の留美さんと三人ここで幸せに暮らせば」
すると、近藤昌也は映像越しにこちらを睨んだ。
「留依を、巻き込むな!」
電話を持ったまま、近藤昌也は叫んでいた。




