様子見
「あ、高塚先輩」
「真鍋か」
校内、二人は偶然会う。
透は丁度下りようとした所で、逆に将生は屋上に向かう為に階段を上って来たのだ。
二人はついでなので話しをする事にした。
二階の廊下の窓から外を眺める。
下では丁度愛子と留美と渉が歩いていた。
「めっちゃ愛想笑いしてるな…」
将生は呆れる。
本当の愛子を知ってるだけに、可哀想に思える。
「彼女は、自分自身と他人が関わるのを良しとしてないんだよな」
透は数日前の会話を思い出す。
「巻き込みたくない、彼女はそう思ってる」
「何それ」
だが、将生は一時期の行動に合点がいった。
抜け出した後、愛子は将生を見かけても無視したのだ。
「我々は結婚相手候補だそうだ。そういえば、理事長が生徒会に入れるか迷った名前が真壁だったな。真壁、生徒会発足前に愛子様と何かあった?」
透が問うと、将生は考える。
「あるにはあるけど、大した事じゃない」
そう、将生にとって大した事ではないのだ。
ただ遊びに行っただけ、それだけなのだ。
「内容は知らないが、それが大した事だったんじゃないか?」
「?」
「一度候補から外れたって事は、愛子様が気づいてそうした。だけどこの間君が愛子様を助けた事で守護騎士のメンバーに入ってしまった。中川渉も理事長の思惑に巻き込まれた、そう愛子様は考えているんだろう」
「留美!」
突然校内に響き渡る程の大声で愛子は叫ぶ。
その声に二人もビックリして見た。
その後、留美は離れる。
そして、留美を待つ事も無く愛子は渉とソーラー車に乗りこんだ。
「宇野、置いて行かれたな」
「気になるか?」
「はい。高塚先輩、行きましょう」
そして、二人は階段を降りた。




