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親切心
愛子は校外に出ると辺りを見回した。
前に歩いた道、景色を思い出しながら歩く。
留美を頼りにする筈だったが、不運にも行き先を聞いていなかった。
この日本特区には携帯を持ってる者もおらず、それらしき物を持ってる者も限られている。
「君、迷子?」
青年が話しかける。
愛子は予想外の出来事に困った。
愛子は狼狽える。
「えっと……それは……」
「行き先教えてくれたら連れてってあげるよ?ちゃんと地図が頭に入ってるから」
青年は神皇だと知らずに声をかけていた。
「行き先どこ?」
怯える愛子の腕を掴もうとする。
「やめてくだ……」
愛子が言いかけた時、二人の青年が割って入った。
「大丈夫か」
一人は青年をねじ伏せ、一人は逃げる為愛子の腕を掴んだ。




