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漫画部
「皆、次に買うのどうする?」
漫画部の部室、4人の漫画部の部員達に部長は問う。
漫画部、といっても同好会のようなものだ。
部費も出ないので、自分達で出すしかない。
新刊は高いので、町の中に唯一ある大手古本屋で買う。
「今月は宇野と俺が行くんだよな」
副部長が呟く。
副部長の南里光は一年二組。
大抵静かに本を読むが、留美は部員の中では彼と一番仲が良い。
部費は一人五百円、5人なので二千五百円で、ひと月で十冊前後だ。
「いつも通り、行く人が決めるしか無いか。二人共、頼んだよ」
部長は言うと、再び漫画を読みだした。
漫画の好みはそれぞれだ。
留美は色々な種類を読むが、光は少女漫画中心だった。
「宇野、王子と恋する私無いかな?」
王子と恋する私は、光が今一番ハマってる作品だ。
「自分で買ったら?」
「テストギリ半分内入らなかったんだよ。短期バイト探さなきゃなぁ…真壁に紹介して貰おうかな…」
光は独り言の様に呟いた。
「好きにしたら?」
留美は呆れ半分で言った。
古本屋へは、留美の次の休みの日に行く事になった。




