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千年の内の800年目のある日
男はまたかと呟いた。
以前ほど期待はしていなかったが、やはり落胆してしまう。
そもそも期待をしなければ落胆もしないのだ。それは分かっている。
しかし男は毎回「今度は」と希望を胸に抱かないわけにはいかなかった。
最初から諦めることは許されていない。諦めるという選択肢さえない。
自分が投げ出せば、あの日犠牲になった何万という命が無駄になってしまうのだ。
しかしそのことについて男が直接出来ることはこれと言って何も無かった。出来るのは少しの助言と、あえて言うのであれば見守ることだけ。
だからこそ歯がゆい。
男はそんな感情を振り払い、ふうとため息をついてから目を閉じ精神を集中させる。
ー次は三十年後。