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召喚されたおおまか聖女は、ハッピー・エンドを希求する  作者: ココアの丘
第3章 予言の街

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45/50

45 これこそ、ハッピーエンド!

 といったわけで、断罪の集会の際にはもう、タマラさんの件は話がついていたのでした。


 ルーサーとの会談の後、ジークたちは無事に街に戻ってきて、アルマンと盗まれたお金(ついでに、アルマンの護衛たちも)を政庁に届けることができた。

 ただ、アルマンと護衛役の冒険者、何人かを引き連れての移動になったために戻ってくるのが遅れて、到着は今日の集会ぎりぎりになってしまっていた。そのため、トライデンには細かい話はできていなかったんだ。

 それでも「領主と話はついてるよ」って説明は、何度もしてたんだけどなあ。トライデンの耳には入ってなかったみたい。それだけ、タマラさんのことが心配だったのかもね。

 ちなみに、アルマンが断罪の集会に現れなかったのは、あの時はまだ昏倒したままだったから。まあ、あの集会はルークの復権を民衆に印象づけるための儀式みたいなものだから、それまで表舞台にいた大司教たちがいればよくて、裏で動いていたアルマンまで引っ張り出す必要はなかったんだろう。

 っていうか、アルマンだけじゃなく、冒険者も含めた全員が眠り込んでいたっけ。ハイライン、いったい何をしたんだろう。強力な眠り薬でも使ったのかな。今まで、彼の戦う姿って、見たことがないんだよね。隠密の戦闘って、もしかして欧米風解釈のニンジャそのものだったりして? ちょっと気になります。



 そういえば、ジークたちとハイラインは一応、初対面だった(ハイラインは、一方的に知っていたにしても)んだけど、特に問題はなかったようだ。ただ、戻ってきたジークから、「あんな妙な男と、どこで知り合ったんだ?」と聞かれてしまった。私は、「ハイラインに聞いといてや」と答えておきました。

 オトコノコがどうのというエピソードを話すのも、なんだか面倒くさかったので。っていうか、オトコノコという概念についてこの世界の男性に説明するなんて、私は嫌だぞ。


 ◇


 集会の翌日、私たちはマイカウンド北門の前にいた。

 ちょっと早い出発かな、とも思ったけれど、領主代行との関わりができてしまったからね。長く滞在すると、ジークの身分とかがばれる危険性もある。

 それにもしかしたら、この街はこれからが大変なのかもしれない。今度の事件は、街の上層部とか騎士団とだけじゃなく、街全体が関係者だったんだ。その立て直しは、街全体で行わなければならないだろう。よそ者は邪魔などせずにとっとと退散して、それを見守ってあげるしかない。


 私とジーク、エイブラムは、門番のチェックを待つ人たちの列に並んでいた。そこから少し離れたところで、トライデンはタマラさんと、別れの挨拶をしていた。彼女を釈放するという約束を、ルーサー代行は早くも果たしてくれていたんだ。

 彼女は十万ゴールドの罰金刑になったけど、これも問題はなかった。いろんなものの値段で比較してみると、1ゴールドはだいたい元の世界の百円くらい。なので、罰金は一千万円相当という、けっこうな金額だった。もしも払えなければ収監されてしまうんだけど、実は、私たちがもらうはずの礼金と、相殺にしてもらっていたんだ。

 魔物退治の礼金としては、結構大きな金額だけどね。ルーサーにしても、取れるかどうかわからない罰金よりも、払わなければならない礼金を節約できる方がありがたいんだろう。


 タマラの後ろには、彼女に似て人のよさそうなおじさんが立っていた。タマラのご主人だ。ちなみに、なぜこの人がこれまで登場しなかったかというと、予言の日は振る舞い酒をもらった知り合いの兵士にたかって、一緒に飲んでいたからだとか。まったく、男ってやつは。

 おじさんはニコニコ顔で二人の様子を眺めていたけど、ふと私たちの方を見ると、大きく目を見開いた。


「あれ? あんた、もしかしてエリックか?」

「え? ぼくですか?」と、エイブラムは自分の顔を指さす。

「ああ、あんただ。以前、この街に来たことがあっただろ? ほら、ジミーのやつらとパーティーを組んで……」


 そんなことを言われたエイブラムは、首をかしげるばかりだった。

 くわしく話を聞いてみると、どうやら二年くらい前に、エイブラムにそっくりの「エリック」という冒険者が、この街に流れてきたんだそうだ。その男は魔術師で、土地の若者たちとしばらくパーティーを組んで活動していたけど、一年ほど前に「もっと北の街へ行く」と言って、ふらっといなくなってしまったとのこと。


「うーん。それって、あんたのお兄さんと違うかなあ。ほら、エイリクとエリックって、よく似とるし」

「そうですね。もしかしたら、兄が偽名を使って、冒険者をしていたのかもしれませんね……」


 エイブラムは、少しうれしそうにうなずいた。だとすると、エイリクは少なくとも一年前までは無事でいたことになる。そして、ここからさらに北へ行く、と言い残したんだから、もしかしたらこの先の街で、会うことができるかも知れない。


 私は、青く晴れた空を見上げた。タマラは無事だったし、エイリクの手がかりもつかめたみたい。これぞまさしく──。


「これで、ハッピーエンドや!」




「マリー、本当にありがとう。タマラおばさんが無事に帰ってこれたのは、マリーたちのおかげだ。その上、罰金までチャラにしてくれて。本当に感謝してた。ありがとうありがとう。うん、これこそが、ハッピーエンドってやつだよな!」

「今度はツッコまんのかーい!」




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