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岩井克人「未来世代への責任」まとめ(テスト対策)

作者:

・経済学者・経済学=「悪魔」の一員=「倫理」の否定

                   ↓

 「倫理」とは、「利己心の悪」に打ち勝ち、「他者に対して責任ある行動をとること」     ↑

     「自分の安全と利得だけを意図」


◆経済学の父アダム・スミス

「個人」の「自分の安全と利得だけ」の「意図」が、「見えざる手」により、「自分の意図しなかった<公共の>目的を促進することになる」    「見えざる手」=「資本主義を律する市場経済」

=「資本主義社会においては、自己利益の追求こそが社会全体の利益を増進する」


◆「自分の安全と利得だけを意図」すること

一般の常識… × =「倫理」に反する

経済学  … 〇 =「見えざる手」=「市場経済」により、「<公共の>目的を促進」・「社会全体の利益を増進」


◆環境問題

「私的所有制」

一般の常識… × =「諸悪の根源」・「環境破壊」は、「私的所有性の下での個人や企業の自己利益の追求によって引き起こされる」

経済学  … 〇 =「環境問題を解決するために導入された制度」


・「元祖」環境問題

 「誰のものでもない草原で自由に家畜を放牧」→「牧草は次第に枯渇し」「わずかに残された牧草を求めて争い合う事態が到来」


・「元祖」環境問題に対する経済学者の主張

 「自然のままの草原が誰の所有でもない共有地であるがゆえの悲劇である」・「共有地の悲劇」


(例)土地の私的所有による効果

 「草原」の「分割」・「牧場として所有」→「自分の家畜」の管理、牧草の有料化・合理的管理

  →「共有地の悲劇」からの解放

よって、「私的所有性の下での自己利益の追求こそが環境破壊を防止する」


・1997年地球温暖化防止に関する京都議定書は、この経済学の論理を取り入れた

 …「先進諸国に温暖化ガスの排出枠を権利として割り当て、その過不足を売買することを条件付きで許した」

 「大気という自然環境に一種の所有権を設定することによって、それが共有地である限り進行していく温暖化という悲劇を解決しようとしている」


・しかしこの考え方では環境問題は解決しない

 なぜなら人類は、「経済学者の論理が作動しえない共有地」=「未来世代の環境」を抱えているから。


◆地球温暖化の深刻さ

×「各国間の利害が対立しているから」

〇「未来と現在の二つの世代の間の利害が対立しているから」

  =「未来世代を取り巻く自然環境が現在世代によって一方的に破壊され 

   てしまうから」


◆「根源的な問題」

…「未来世代とはまだこの世に存在していない人間」であり、「未来世代が現在世代と取引することは論理的に不可能」

→「唯一可能な方策」…現役世代が未来世代の権利を代行すること

              ↑

        「私的財産制(を肯定する考え方)によっては解決不可能」(よって)

「自己利益の追求を抑え、無力な他者(=未来世代)の利益の実現に責任を持って行動すること」=「倫理的な存在となること」、が要請されている。


□あとがき

環境問題に関する「見えざる手」理論の限界については、次のような指摘がある。

1、外部性(externality)の無視

 「見えざる手」は、個人の利己的な行動が社会全体の利益につながるとする理論だが、環境問題では個人や企業の行動が第三者に悪影響を与える(大気汚染、水質汚濁)ことが多く、これを「外部性」と呼ぶ。これまでの市場経済ではこの外部性を価格に反映しないため、環境破壊が放置される傾向がある。

2、未来への視点の欠如

 市場経済は目前の短期的な利益を重視する傾向があり、未来世代の利益や持続可能性が考慮されにくい。森林伐採や化石燃料の過剰使用は、現在の利益を優先する一方で、将来の環境負荷を増大させる。

3、公共財の扱いが困難

 環境(空気、水、気候など)は「公共財」とされ、誰もが利用できるが誰も所有していないという性質を持つため、市場では適切に管理されず、過剰利用や劣化が起こりやすい(=「悲劇的な共有地」問題)。


 これらから、SDGs(持続可能な開発目標)などの、「見えざる手」では対応できない地球規模の課題に対する新しい枠組みが登場した。環境問題のような複雑な課題には、規制や税制、国際協力などの公的介入が不可欠となる。

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