過去編2/5
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
鬼渡について半日ほど歩くと立派な屋敷が見えてきた。
鬼渡「あそこが依頼者の家だ。」
しの「家って屋敷じゃないですか!」
鬼渡「そうだ。もしかしたら初日で難しい依頼になるかもしれない。」
しの「それって、失敗したら打ち首とか?」
鬼渡「そっちの方がまだマシだな。逃げればいいし。」
しの「それは大丈夫なのか?」
鬼渡「ほら行くぞ。気を引きしめろ。」
しの「わかった。」
屋敷に着くと使用人に刀を預けた後、案内されて客間に通される。
屋敷を傷つけたく無い為らしいが刀が無くてもある程度戦えるので問題は無いと言うと少し怪訝な顔をされた。
何かが引っかかったがしばらくすると依頼者が現れ席に着く。
依頼者「よく来た。お前が噂の鬼渡か?1人だと思っていたが後ろの者は誰だ?」
鬼渡「はい。お招きいただきありがとうございます。この者は私の弟子であります。」
依頼者「そいつは役に立つのか?」
鬼渡「基礎は叩き込んであるので問題なく動けるかと。」
依頼者「ならよい。使いの者が伝えた通りこの屋敷に潜む妖怪を退治してほしいのだ。」
鬼渡「わかっております。して、その妖怪は最近現れたのでしょうか?」
依頼者「そうだ。頼むぞ。」
そう言って依頼者は立ち上がり襖の方に進み立ち止まる。
依頼者「そうそう、屋敷は自由に歩き回ってもよいが立ち入りを禁止している場所もある。この後使用人に案内をさせるためここで待て。」
鬼渡「お心遣い感謝します。」
そして依頼人は部屋から出て行った。
鬼渡「けっ、最近現れたか。」
しの「屋敷中に妖気が染み付いている。」
鬼渡「わかるか。そうだ。少なくとも1年は住んでいる。それで最近気付いたは無理があるな。」
しの「あと、師匠が言葉遣いに気を遣えることを初めて知った。」
鬼渡「流石に妖怪に会う前に依頼人に殺されるわけにはいかないからな。」
そんな話をしていると襖が開いて1人の男性が入って来た。
使用人「鬼渡様とその弟子の方ですね。主人の命により屋敷の案内に参りました。」
鬼渡「ああ、頼む。」
屋敷内を案内してもらうがとても広い。
依頼者である屋敷の主人が住んでいる主屋以外は一通り案内された。
蔵など貴重品が置いてあり鍵がかかっている場所は使用人が一緒なら入っても良いが、主屋には立ち入りが許されなかった。
鬼渡は妖怪が出たらすぐわかるように霊視符を所々に貼ると妖怪が活発になる夜まで客間で待たせてもらう事になった。
日が暮れてきた頃、霊視符に反応があり鬼渡が確認に行く。
反応はすぐに消えた上にそこまで離れていない場所なので確認するだけだと、しのには待機するように指示して行ってしまった。
鬼渡は霊視符を確認したがおかしなところは無さそうだったが胸騒ぎがして他の場所にある霊視符も確認する事にした。
すると反応した霊視符の周り以外が全て剥がされていたのだ。
妖怪が近づけば反応するので剥がしたのは人間だろう。
他におかしな事が所が無いか探していると蔵の方から物音がする。
蔵には鍵が掛かっていたが只事では無い音に誰かを呼ぶ時間は無いと考えて鍵を近くの石で壊して開ける。
そこにはしのと下半身が蜘蛛の女性が戦っていた。
しのは結界を使って上手く妖怪の攻撃を防いでいるが場所が悪く糸に絡まないよう動くのに精一杯のようだ。
しの「師匠!」
鬼渡に気づいたしのは蔵から飛び出し扉を閉めて結界符で扉を開かないようにする。
鬼渡「女郎蜘蛛か、何があった?」
しの「部屋で待っていたら子蜘蛛に襲われました。」
鬼渡「なら何で蔵にいる?」
しの「多分毒です。毒で一度死んで起きたら蔵の屋根裏にいました。」
鬼渡「え、あ、死?不死身とは知っていたが、、そっか。無理させたな。」
しの「いえ、慣れているので大丈夫です。それよりもここの屋根裏に子蜘蛛と人の骸骨がありました。」
鬼渡「なるほど餌場という事か。」
状況を伝えていると女郎蜘蛛が扉を破って出てきた。
大きな音が鳴り、屋敷の人達も集まってくる。
女郎蜘蛛「あーもう。何で生きてるのよ。ちゃんと仕留めたはずなのに!」
女郎蜘蛛は怒り心頭で出てくる。
女郎蜘蛛「しかも何で増えてるの?新鮮なのは良いけど活きが良いのは面倒なのよね。」
そう言って子蜘蛛を放ってくる。
しの「こいつらに噛まれないように気をつけてください。」
鬼渡「ああ、こいつらが毒を使うんだろ。」
そう言って鬼渡は結界符を地面の4箇所に貼り自分を囲むように四角い結界を張る。
だが子蜘蛛達は集まってきた屋敷の一般人の方へ向かう。
走っても間に合わないので隠し持っていた結界符を貼った棒手裏剣を投げて柱の4箇所に当てて結界を張ると子蜘蛛は阻まれた。
すぐに呪滅符で攻撃すると子蜘蛛は地面に落ちる。
屋敷の人達はそれに驚き子蜘蛛を散らすように逃げて行く。
鬼渡「おい。お前は大丈夫なのか?」
鬼渡は攻撃する際、子蜘蛛の中に手を入れたしのの心配をする。
しの「はい。一度受けた毒は効きにくくなるので。」
鬼渡「わかった。だが無理はするな。」
しの「はい。」
そして女郎蜘蛛に向き直り違いの隙を探る。
すると依頼人である屋敷の主人が出てきた。
主人「何をしている。」
しのはてっきり自分達に言っているものだと思ったが先に女郎蜘蛛が口を開く。
女郎蜘蛛「何よこんな強いの連れてくるなんて聞いてないわ。」
主人「何だ。弟子を1人にさせたのに仕留めれんだか。」
女郎蜘蛛「知らないわよ。仕留めたと思ったら生き返ったもの。」
鬼渡「やはり、仕組んだのはそちらか。」
主人「はは、気づいておったか。まぁ、妖怪の味方をするお主だ。妖怪に喰われるのは本望ではないのか?」
鬼渡「残念ながらそんな自己犠牲はできないタチなんで。」
女郎蜘蛛「何話しているの?邪魔者排除したら約束守ってくれるっていったじゃない。」
主人「ああ、こいつらも邪魔者だ。こいつらを排除したら約束を守ってやる。やれ!」
主人は女郎蜘蛛へ命令すると何処かに行ってしまった。
女郎蜘蛛「わかった忘れないで。」
女郎蜘蛛は蜘蛛の糸を地面にばら撒く。
粘着質の糸なので触れば身動きが取れなくなるだろう。
女郎蜘蛛に近づく事が難しくなったがしのは棒手裏剣に呪滅符と霊縛符を貼り投げると体に2本と足に1本刺さる。
霊縛符で動きを止められ手裏剣を取ろうとすると呪滅符で攻撃されて抜く事ができない。
続けて地面に棒手裏剣を刺して糸を避ける為の足場を作りその上を走って女郎蜘蛛に近づくと呪滅符を直接貼り攻撃する。
直接呪滅符を媒介に霊力を流し込むと女郎蜘蛛は苦しみその場に倒れた。
女郎蜘蛛は最後の力でしのの足を掴み絞り出すような声で何かを喋っている。
女郎蜘蛛「子供、返して。」
そう聞き取れた。
しの「子供?さっきの子蜘蛛の事?」
攻撃に使っていた子蜘蛛をそんなに思っていたのかと思っていると鬼渡が説明をする。
鬼渡「やはり、女郎蜘蛛にしては弱いと思っていたんだ。」
しの「どう言う事?」
鬼渡「こいつは子供を作っていたんだ。」
しの「だけど妖怪が生まれる理由は、、」
鬼渡「ああ、大体は人間のおもいから生まれるが、妖怪のおもいからも生まれる事がある。そしてそんな場合は大体自身の妖力を大きく使い元の妖怪は弱くなる。」
しの「じゃあこの女郎蜘蛛の子供はどこに?」
鬼渡「それは入れなかった場所に行けばわかるだろ。」
そう言って主人が逃げたであろう主屋の方へ行く。
女郎蜘蛛は力尽き煙となって消えてしまい、その妖力で作られていたであろう子蜘蛛や糸も消える。
しのと鬼渡が主人の自室であろう部屋に入ると主人が驚いたように2人の方に向く。
主人「お、お前らあいつを倒したのか?」
鬼渡「そうだな。それよりもあんたの後ろにある箱を見せて欲しいのだが?」
主人「は、あれがいなくなったならこれはもう要らん。好きにしろ。」
そう渡された木箱は釘でしっかりと封がされており、道具が無くては開けられそうになかった。
主人「依頼はこの家の妖怪を倒す事。報酬はやるからさっさと帰れ。」
鬼渡「わかった。」
しの「え?だけど。」
色々と言いたそうなしのの手を鬼渡は掴みさっさと部屋を出て行く。
しの「何で?あいつは妖怪を使って殺人を犯していたのに。」
鬼渡「女郎蜘蛛がいなくなった今証拠は何も無い。」
しの「蔵の骸骨は消えて無いはずでしょ?」
鬼渡「蔵に忍び込んでのたれ死んだなんて今のご時世珍しくは無い。」
しの「、、それでも悪いのは人間だった。」
鬼渡「そうだ。」
しの「妖怪ばかり退治されて何で人間には何も無いの?」
鬼渡「天罰は降るさ。」
しの「いつ?」
鬼渡「今回はすぐだと思う。」
しの「?」
鬼渡「聞きたいことは帰ってから話してやる。」
そして怯えた使用人から預けていた刀と今回の報酬を貰い帰路に着く。
帰ってすぐに箱を開けるがそこには小さな女郎蜘蛛のミイラが入っていて触ると崩れ、灰になって風で何処かへ行ってしまった。
箱の中には爪で引っ掻いた跡が無数に付いていて長い間苦しんでいた事がわかる。
鬼渡「やはり遅かったか。」
しの「わかってたの?」
鬼渡「結構前からあの屋敷の周りで神隠しの噂があったんだ。」
しの「何で行かなかったの?」
鬼渡「証拠が無かったから下手に首を突っ込む事ができなかった。」
しの「なら何で依頼を受けたの?」
鬼渡「今回は報酬があり、屋敷に入る事ができるからな。」
しの「でも、その時ならまだ子供だけでも助けられた、、」
鬼渡「俺は普通の人間で、生命維持する為の行動をしなくてはいけないんだ!」
しのの話の途中で鬼渡が叫び、それに驚いたしのは黙ってしまう。
鬼渡「すまない。今回の件だって、お前が不死でなければ俺はお前を殺していた。それだけ危険な事だったんだ。」
しの「殺したのは妖怪で師匠は関係ないんじゃ、、」
鬼渡「それでも近くの霊視符を見に行くと言っておきながら他の物までそのまま見に行ってしまった。」
しの「でも、」
鬼渡「それに女郎蜘蛛との戦闘では結界の中で眺めているだけだった。」
しの「それは、そう。」
鬼渡「俺はお前の師匠として駄目な奴だ。」
しの「それでも知らない事を教えてくれました。修行をつけてくれなければ私は戦えませんでした。師匠は師匠として私を育ててくれたじゃないですか。」
鬼渡「だがこれから教えれる事は無いだろう。」
しの「まだ、、そうだ天罰が降るって言っていたじゃないですか。」
鬼渡「ああ、それは直にわかる。しばらく待て。」
しの「そう言われても、、」
しのはもやもやしながらも数日経つと使者が来た。
あの屋敷の使用人だ。
使用人「鬼渡様はいらっしゃいますか?」
鬼渡「何だ?」
使用人「我が主人が病に伏せってしまいました。」
鬼渡「何だ?俺は医者じゃない。」
使用人「ですが主人は鬼渡様とそのお弟子様を呼ぶようにと。」
鬼渡「弟子も?何故?」
使用人「主人は病にかかる前に蜘蛛に噛まれて、蜘蛛の毒だと仰っているのです。」
鬼渡「ならなお、薬師でも呼べば良い。」
使用人「どの医者もお手上げで、そちらのお弟子様には毒が効かなかった事を思い出したのです。」
鬼渡「ああ。」
使用人「やはり、何か解毒薬でも持っていらっしゃるのでは?」
鬼渡「違うぞ。あいつが少し特別なだけだ。」
使用人「と、言いますと?」
鬼渡「あいつは幼少期から親に少しずつ毒を飲まされていて毒に対して強い体になっているんだ。実験として使われていたあいつが可哀想で引き取ったんだ。」
使用人「左様でございますか。それでは解毒薬は無いと。」
鬼渡「ああ、遠いとこ悪いが俺達にできる事は無い。」
使用人「分かりました。」
使用人は帰って行った。
しの「師匠はこれも分かってたのか?」
鬼渡「ああ、大体の妖怪は死んだら煙となって消えるが箱の中のあいつは違った。」
しの「そういえば灰となって風に飛ばされて行ったな。」
鬼渡「あれは閉じ込められた女郎蜘蛛の怨念だ。」
しの「つまりあれは呪いだった?」
鬼渡「そうだ。」
しの「それは依頼として正しかったのか?」
鬼渡「依頼人が依頼内容を妖怪を倒す事だと言い、報酬が渡された。その時点で依頼は終わって、その後の事は含まれてはいなかった。」
しの「それでも呪いを撒いてしまった。」
鬼渡「閉じ込めておけば良かったと思うか?」
しの「だけど呪いだと分かっていれば対処はできた。」
鬼渡「お前はあの人間を助けたかったのか?」
しの「、、自業自得だとは思っている。」
鬼渡「なら何故悩む?」
しの「少しもやもやしているだけだ。」
そう言ってしのは自室に戻って行った。
今ならノラが言っていた変わり者という言葉がわかる気がする。
もやもやと考え事をしながら眠りについた。
次の日。
しの「師匠、私はここを出ようと思う。」
鬼渡「いきなりどうした?」
しの「ここに来た理由はもう達成した。」
鬼渡「そうだな。」
しの「これからは柚子と広い世界を見て回ろうと思う。」
鬼渡「そうか、お前が決めたのなら良いだろう。」
しの「意外とあっさりなんだな。」
鬼渡「引き留めた方が良かったか?」
しの「全然。」
鬼渡「そうだろ。どうせこんな所に依頼なんてあまり来ない。実践を積むならあっちの方が良い。」
しの「はい。」
鬼渡「まぁ、困ったらいつでも来い。」
しの「はい!ありがとうございました!」
鬼渡「もう行くのか?」
しの「決めた時に準備は終わらせました。」
鬼渡「そうか。思い立ったが吉日とも言うからな。だが出発は明日にしないか?」
しの「何で?」
鬼渡「まぁ、良いから。」
しの「まぁ、師匠が言うなら。」
そして1日過ごしてから用意した荷物を持って外に出ると柚子達が迎えてくれた。
柚子「鬼渡から聞いたよ。免許皆伝だって?」
しの「いつ?」
鬼渡「昨日のうちにな。」
そう言って人型の紙をヒラヒラさせている。
あれは式神として使う紙で、飛ばして柚子へ知らせてくれたのだろう。
しの「迎えに来なくても私から行ったのに。」
柚子「いやいや、仲間を迎えに行く事なんて当たり前だよ。」
しの「そういえばノラとシロは?」
いたのは柚子だけで2匹の狐はいない。
柚子「そうそう、他にも仲間ができたの。2人にはそっちについてもらっているの。」
しの「他の仲間?」
柚子「うん。あっちで紹介するね。」
しの「わかった。」
しのは話が終わると鬼渡の方に向き直る。
しの「今まで本当にありがとうございました。」
そう深々と頭を下げてそそくさと行ってしまった。
鬼渡は2人を見送ると少し寂しそうに屋敷へと戻る。
今はしのと柚子が出会った山小屋近くを拠点にしているので、2人はその山へと今までにあった出来事を話しながら向かっていた。
その途中突然木々が襲いかかって来たので、しのは柚子を庇いながらそれを避けて刀を構える。
襲い来る木の根や枝を刀で斬りながら木々を操る妖力を手繰り、本体が何処にいるのかを突き止める。
本体の方へ棒手裏剣を投げるが木の枝に防がれ、その直後に黒い色をした根っこが襲って来たのでまた刀で斬ろうとしたが硬くて斬れない。
咄嗟に受け流して難を逃れるが、他にも黒い根が襲いかかって来る。
避ける事はできるがそうすれば柚子に当たりそうなので受け流す準備をしていると柚子が前に出る。
危ないと思い手を伸ばすがその瞬間攻撃が全て止まる。
柚子「黒根!出て来なさい!」
聞いた事ない名前だが新しい仲間だろうか。
木の上から男性が不貞腐れながら降りてきた。
柚子「何でこんな事したの?」
黒根「訓練受けてたなら俺と同じ戦闘役だろ?だから腕を試した。」
柚子「もし怪我したらどうするつもりだったの?」
黒根「不死身で怪我もすぐ治るんだろ?」
柚子「それでも痛みはあるの!仲間なのに何で気を遣えないの?」
黒根「知るかよ。」
しの「私1人なら良いが今回は非戦闘員の柚子もいてそっちを怪我させる危険性もあった。もう少し考えて行動できないのか?」
黒根「お前みたいな奴が柚子と仲良く話しているのが悪い。」
しの「仲間と話して何が悪い。突然攻撃する方が悪いだろ。」
黒根「あ?不死身とかで他の人間と違っていてもお前は人間で俺は木霊なんだ。種族が違うんだよ。」
しの「種族の問題ではないだろ。」
黒根「ならどんな問題だ?俺はお前みたいな優男より俺の方が柚子に相応しいって言ってるんだ。」
しの「仲間として相性は多少あるがそこまで言う事か?」
柚子「後、しのは女性だから。」
黒根「え?じゃあ何でそんな格好してんだ?」
しの「師匠から舐められないよう男装するよう言われているんだ。それに仲間になるのに性別は関係無いだろう?」
黒根「あ、まぁ人間は見た目で判断するからな。」
しの「それで何でそこまでムキになっているんだ?仕事をするのに相方でも決めるのか?」
柚子「どちらかと言えば主な戦闘はしのと黒根にしてもらうからその2人で行動する事が多くなると思うけど、黒根が言いたいのは多分そう言うことではないんでしょ?」
柚子は黒根を睨みながら言うので黒根は萎縮し大人しくなった。
しの「まぁ、腕を試したんだろう。どうだったんだ?」
黒根「悪くは無かった。」
しの「そうか。」
柚子「優しいね。もう少し怒っても良いと思うけど。」
しの「まぁ、反省していそうだし、仲間とこれ以上争っても意味無いと思うから。」
柚子「それもそうか。」
しの「これからよろしく。黒丸。」
黒根「くろま、、なんだその呼び方は!」
しの「黒根なんて呼びにくい呼び方何か嫌だった。」
黒根「だからってそんな犬みたいな呼び名は止めろ!」
柚子「いいじゃない。黒丸、可愛いよ。」
黒根「柚子、笑うな。」
しの「黒丸、黒丸~。」
黒根「お前、止めろ。さっきのこと根に持ってるだろ!」
そうやって3人で山を登るとノラとシロが待っている。
あの山小屋は建て替えて立派になっていた。
ノラ「何だ?黒根、そんな顔して人間に負けたのか?」
しの「勝敗は付けてないし、もしかして黒丸を唆したのはノラなのか?」
ノラ「黒丸?なんだその犬みたいな名前は。」
黒根「その呼び名、定着させる気か?」
しの「もうお前は今日から黒丸だ。」
柚子「黒根、諦めなさい。」
黒根「ぐぬぬ。」
柚子「それとノラ、黒根を唆した件詳しい話をしてもらいましょうか?」
ノラ「あ、それは。」
シロ「確か人間は弱いから足手纏いになりかねないとか言ってたの。」
ノラ「あ、シロの裏切り者!」
ノラが柚子に説教されている間にしのは荷物を整理する。
それぞれが終わった頃に互いの情報交換するため会議が開かれた。
主に修行が終わり出来る事の増えたしのと新しく入った黒根の紹介と今後についてだった。
最初の戦闘である程度はわかっていたので2人の紹介は簡単に終わり、柚子達が行っている事について詳しいことを聞いた。
同じ木霊でも柚子は黒根のように木々を動かして攻撃するよりかは木々の周りにいる動物達から情報を集め、困っている妖怪がいないかを聞いているそう。
今までは戦闘を必要とする案件については関わって来なかったが、しのと黒根が入ったことによりそういう案件は2人が担当することになった。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
自分のペースで書きたくて予約掲載を使い週1投稿にしていたのですが、現時点で25話まで溜まってしまいました。
なので次回から火曜と金曜の週2投稿にします。
自分の調子によりまた週1投稿になるかもしれませんがよろしくお願いします。