67話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
演劇部の全国大会から1週間後に球技大会が開催された。
試合は順調に進み、志乃のクラスは準優勝だった。
その日の帰り道。
陽葵「今日の試合惜しかったな。」
志乃「けど、接戦だった。」
陽葵「それでも最後の1点は絶対防げてた!悔しい。」
志乃「長い試合で疲れが出ていたんだ。頑張った方じゃないか?」
陽葵「私頑張っていた?」
志乃「まあ、そうだな。」
陽葵「ならご褒美が欲しい。」
志乃「何で私が。」
陽葵「浜名瀬さんは私の師匠でしょ。」
志乃「サッカーは教えていないぞ。」
陽葵「それでも頑張ったんだから何かあってもいいでしょ。」
志乃「何を企んでいる?」
陽葵「企むなんて人聞き悪いな。夏休みにお父さんの実家に行く事になったからまた一緒に行かないかなって思っただけだよ。」
志乃「もう行かない。」
陽葵「えー。いいじゃん。行こうよ。」
志乃「行く理由がない。」
陽葵「理由なんて無くていいじゃん。」
志乃「休みの間にやりたいことがあるんだ。」
陽葵「何するの?」
志乃「何でもいいだろ。」
陽葵「私の誘いより大事なの?」
志乃「お前の誘いの優先順位は下の方だ。それに大学受験するんだろ。お前の方こそやらないといけない事があるんじゃないか?」
陽葵「う。そう言う浜名瀬さんは卒業した後どうするの。」
志乃「お前が心配することじゃない。」
陽葵「私は警官になろうと思っているんだ。」
志乃「お前が?」
陽葵「体力には自信があるし、後は法律とかの勉強が不安だけど頑張るから。」
志乃「なら私を誘っている場合じゃないだろ。」
陽葵「それはそれ、これはこれ。遊べる時には遊びたいの。」
志乃「また赤点取っても知らないぞ。」
陽葵「それは、気を付けるけど、、」
志乃「まあ、頑張れ。」
それから夏休みに入って志乃が宿題をしていると隣にまた陽葵が来たみたいで何か話をしているらしく、ボロアパートなので壁が薄いのでテンションの上がった陽葵達の声はよく聞こえる。
そこで聞き捨てならない事が聞こえてきたので志乃は隣の部屋のチャイムを鳴らす。
するとすぐに隣の部屋に住んでいる悠真が出てきた。
悠真「やあ、浜名瀬さん。いらっしゃい。」
志乃「お前らわざと私に聞こえるように話していないか?」
悠真「嫌だな。このアパートの壁が薄いだけだよ。」
陽葵「そうそう。私達から行ったら駄目だから浜名瀬さんから来てもらおうなんて考えてないよ。」
奥から陽葵も出て来る。
志乃「はあ、それで木の上から熱された鍋が降ってきた話だが。」
悠真「そうそう、それで火傷して帰ってきた子供がいたんだって。」
志乃「それは鍋下ろしだろうな。」
陽葵「なにそれ。」
志乃「私のあげた本、本当に読んだんだよな?」
陽葵「読んだよ。だけど覚えているかは別だもん。」
志乃「覚えて無ければ意味ないだろ。」
悠真「それでその鍋下ろしって何なんだ?」
志乃「夕方に杉の木から真っ赤に熱した鍋を下ろして子供を攫う妖怪だ。」
悠真「攫うのか?火傷した子供は帰って来たって聞いたけど。」
志乃「熱い鍋の上に乗せられたらすぐに逃げるだろ。」
陽葵「逃げれるの?」
志乃「帰りの遅い子供を帰らせるための妖怪だ。無理に攫ったりはしない。」
悠真「だけど怪我させるんだよね。少し乱暴じゃない?」
志乃「それ以上の怪我をする可能性がある子供の元にだけ現れる。不器用だから嫌われてるが悪い妖怪ではない。」
悠真「理由はどうあれ火傷させられたら好きにはなれないよ。」
志乃「そうだな。それでも行ってみようとか思うなよ。」
陽葵「だけど子供に怪我させたんだよ。」
志乃「、、何でそんな事したのか確かめるくらいはした方がいいのか。」
陽葵「行くの?」
志乃「帰らないと危ないと思って出てきたんだと思うし、その原因が他の妖怪である可能性もあるからな。」
悠真「場所は分かる?」
志乃「どこで出たんだ?」
悠真「ただで教えるのもな。」
志乃「ならさっき町の名前は聞いたから勝手に探す。」
悠真「ああ、嘘嘘。口では説明しにくい場所だったから案内するよ。」
志乃「いらん。大体の場所だけ教えてくれ。」
悠真「遠慮しなくてもいいんだよ。」
志乃「お前が来ればお前の隣で目を輝かせている奴も付いて来そうだ。」
悠真の隣には行きたいと顔に書いてある陽葵が目を輝かせている。
志乃「陽葵、お前は勉強しろ。」
陽葵「えー。」
志乃「えーじゃない。3年は勉強するからって2年の時遊んだだろ。」
陽葵「ちぇ、分かったよ。」
志乃は悠真から妖怪が出た大体の場所を教えてもらいそこに向かう。
5号に辺りを調べてもらうと山の入り口に生えている1本の杉を見つける。
志乃はその杉の元へ行き、杉に蹴りを入れると蹴った振動でバランスを崩した何かが落ちて来たので志乃はそれをキャッチする。
それは鍋を担いだ狸でいきなり木から落とされて怒っている。
???「何すんだ!危ないだろ!」
志乃は掴んだ狸が暴れるので下におろす。
志乃「鍋下ろし。お前、子供に怪我させたんだって?」
鍋下ろし「あん?あの子供の知り合いか?」
志乃「いや、お前が何でそんな事をしたのか気になったんだ。」
鍋下ろし「だからって少し乱暴じゃないか?」
志乃「こうでもしないとお前出て来ないだろ。」
鍋下ろし「それで、俺が人間を怪我させた理由を聞いてどうするんだ?退治するのか?」
志乃「まあ、ここに来て5号が反応したから理由は大体分かっている。」
鍋下ろし「5号?もしかしてお前の側で浮いているそいつの事か?」
志乃「そうだ。この5号は探知に長けているからな。」
鍋下ろし「ならその肩に乗っている奴も何か特技があるのか?」
志乃「こいつは癒し枠だ。」
鍋下ろし「どういう意味かは知らないがお前は俺を退治しに来たわけじゃないんだな。」
志乃「そんな事しても意味は無いからな。それでこの山の野槌はいつから暴れているんだ?」
鍋下ろし「暴れ始めたのは1週間くらい前からだ。時間はいつもバラバラだけど大体は夕方から夜の間のどこかで数時間、土から出て色んなものを呑み込んでいる。」
志乃「今は土の中か。」
鍋下ろし「お前、もしかしてあの野槌を退治するつもりか?」
志乃「暴れているなら仕方ないだろ。」
鍋下ろし「知識はあるようだが止めておけ。ここにいるのはでかい個体なんだ。大きな鹿も一呑みするのにお前なんか一瞬で呑み込まれるぞ。」
志乃「ならまた寝るまで放っておくのか?」
鍋下ろし「俺の昔の知り合いに頼んだから大丈夫だ。」
志乃「そいつは強いのか?」
鍋下ろし「ああ、故郷の山が人間に襲われた時に活躍したんだ。そいつの仲間も来てくれているからすぐに退治されるはずだ。」
志乃「そいつらがここに来たのはいつだ?」
鍋下ろし「、、昨日。」
志乃「お前の知り合いだと言うのであればそいつらも妖怪のはずだがこの山の中にある妖気は野槌だけだぞ。」
鍋下ろし「あいつらでも敵わなかったんだ。お前1人で挑むなんて無謀すぎる。」
志乃「お前は知り合いを助けたくないのか?」
鍋下ろし「助けたいさ。だけど俺は戦闘向きじゃない。」
志乃「熱した鍋落とすのにか?」
鍋下ろし「あいつにこんなので攻撃が通るか!俺はこれ以上被害を出さないために人間をこの山に入れないようにするので精一杯なんだ。」
志乃「そうか。それでも私は入りたいんだけど。」
鍋下ろし「それなら俺を倒してか、ら、、」
その言葉を聞く前に志乃は9号から短刀を受け取り短刀の先と殺気を鍋下ろしに向ける。
鍋下ろし「あ、いや、何でもないです。」
志乃「それじゃ私は行くぞ。」
鍋下ろし「待ってくれ。俺も行く。」
志乃「何するつもりだ?」
鍋下ろし「もしお前が危険になっても囮ぐらいはできる。」
志乃「いらん。」
鍋下ろし「それでもあんな奴がいる場所に入る奴を見過ごすことはできない。お前、力は強そうだがそれだけで勝てる奴じゃないんだぞ。それに今の時間は土の中にいるんだ。どうするつもりだ?」
志乃「見ていれば分かる。お前は音をたてるなよ。」
志乃は5号に案内された場所に行くとそこは野槌に荒らされて木も草も土ごと呑み込まれて更地になっていた。
そこで志乃は大百足を呼び出して地面に潜ってもらうとしばらくして土の中から大百足の牙に掴まれた毛の生えた芋虫に口を付けたような大きな妖怪が出てきた。
この野槌は他の野槌よりも明らかに大きく、口は鹿どころか大きめの木も一呑みにできそうなくらいだった。
口はでかく太いが長さはそこまで無く、外に出た2匹は絡まり合いながら暴れていたがしばらくすると大百足が有利になり、野槌に巻き付いて締め上げる。
志乃「大百足ありがとう。もういい。」
志乃にそう言われて大百足は帰って行った。
大百足が離れると野槌はしばらく硬直していたが何も無いと分かると吸い込みを始めて周りの物を呑みこもうとしたので志乃が霊縛符を複数枚張り付けて動きを止めると吸い込みも止める。
志乃「お前の知り合いはここに来ていたんだよな。」
鍋下ろし「ああ、だけど今いないって事は呑み込まれたんだと思う。」
志乃「なら一度中を見てみるか。」
鍋下ろし「おい、もしかしてこいつの中に入るとか言わないよな?」
志乃「こいつの体内では別空間に繋がっていてそこに様々な物を詰め込んでいるんだ。そして眠っている間はそこに詰め込んだものを栄養に変えるから長い間寝ていられるんだ。」
鍋下ろし「あいつら、まだ生きているのかな。」
志乃「分からないが1号にこいつの体内に繋げてもらおう。」
鍋下ろし「それ食われるのと同じじゃないか?」
志乃「出入り口は固定するからすぐ出られる。お前の知り合い以外にこの山に入った奴はいるか?」
鍋下ろし「ずっと入り口を見張っていたがいなかったぞ。」
志乃「分かった。」
志乃は1号を出すと野槌の腹辺りにその空間の出入り口を作ってもらいそれを霊門符で固定する。
志乃がその空間に入ると妖気を感じたので行ってみると暗い空間の中に不自然に雲が出て雨が降っている。
志乃がその雨の中に入るとそれは雫の結界で、中には樹霧之介達がいた。
樹霧之介「志乃さん。」
雫「急に誰かが入って来たからびっくりしたわよ。」
志乃「体調悪い奴はいるか?」
真琴「風見の調子が悪いの。」
志乃が真琴に抱かれた風見の方に行くと風見は熱を出してぐったりとしているがよく見てみれば樹霧之介や焔も顔色が悪い。
志乃は4号に瓶に入った丸薬を持って来てもらう。
志乃「症状が出てなくても全員これ呑んでおいてくれ。」
真琴「これ、鎮熱丹?」
志乃「ああ、粉状の方が早く効くが私は持ち運びの為に丸薬にしている。」
雫「今回は何でこれなの?」
志乃「野槌に気づかれると熱病に掛かるんだ。だから熱を取る鎮熱丹を呑ませれば大丈夫だ。」
雫「なるほど、それなら妖怪の知識もいりそうね。」
志乃「2人共ちゃんと勉強しているんだな。」
真琴「私達が治療できれば助けられる命もあるかもしれないからね。」
志乃「そうだな。それじゃ雫には後で毒や病気にする妖怪をまとめた本を作って渡すか。」
雫「助かるわ。」
樹霧之介「それにしても志乃さんは何故ここに来たんですか?」
志乃「鍋下ろしが子供に怪我させたと聞いて来たんだ。」
茂蔵「あいつに会ったのか?」
樹霧之介「父さんに聞いて来たわけじゃないんですね。」
志乃「お前らがここに来ている事はここに入るまで知らなかった。それで何で全員呑み込まれているんだ?」
風見「それはワイのせいなんだ。」
真琴「違うわよ。確かに最初に倒れたのは風見だけどそれは仕方なかった事でしょ。」
雫「そうよ。何もないのにいきなり倒れたじゃない。」
志乃「こいつは目も鼻も無いから音を頼りに動いている。風見が妖気を探す時の音は響きやすいからそれで気づかれたのかもな。」
樹霧之介「それに吞み込まれた時は地面からいきなり出てきました。」
風見「だけどワイがちゃんと気づいていればこんな事にはならなかった。」
志乃「反省は後だ。とにかくここを出るぞ。野槌を退治してこの空間が消えると中のものは全て吐き出されるがここにある土に埋まる危険があるからな。」
樹霧之介「はい。」
雫「他に呑まれている人はいないの?」
志乃「鍋下ろしは山に入った人はいないと言っていた。念のために5号に探してもらったがいなかったよ。」
焔「なら早く行こうぜ。」
それから開いておいた場所から全員出ると鍋下ろしが待っていた。
鍋下ろし「お前ら。無事でよかった。」
茂蔵「心配かけたな。」
狸の挨拶だろうか茂蔵と鍋下ろしの2匹はぴょんぴょんと踊っている。
志乃「全員離れていろ。」
志乃は開けておいた出入り口を閉じて野槌の頭だと思われる場所に短刀を刺すと、野槌は白い煙となって消えた。
それと同時に土や木がその場に溢れて土砂崩れが起きたので志乃は結界を足場にして上に逃げて高台に避難していた樹霧之介達と合流する。
鍋下ろし「あいつこんなにも呑み込んでやがったのか。」
志乃「それにしても今回の野槌は大きかったな。」
樹霧之介「普通の大きさとは違うんですか?」
志乃「ああ。大体は子ウサギやリスを食べるくらい小さい。それでもたまに鹿を一呑みにする奴もいるが今回はそれよりも大きかったな。鍋下ろしは前からこの辺に住んでいるのか?」
鍋下ろし「ここら辺に住んで長いがこいつの事は初めて知ったぜ。」
志乃「そうか。それで樹霧之介達は妖ノ郷に戻るのか?」
樹霧之介「はい。父さんも心配しているでしょうし、これから戻るつもりです。」
志乃「私は少し気になる事があるから後でそっちに行く。」
樹霧之介「それなら手伝う事はありませんか?」
志乃「、、そうだな。なら風見を少し借りても良いか?」
風見「ワイ?」
樹霧之介「風見、体調は大丈夫ですか?」
風見「ああ、薬を呑んでから調子が良いんだ。ワイが役に立てるなら喜んで手伝うぞ。」
鍋下ろし「なあ、さっきから聞いてたがもしかしてお前ら知り合いか?」
茂蔵「ああ、こいつには何回も助けてもらっている。」
鍋下ろし「なら俺のした事はお節介だったのか。」
茂蔵「お前、何したんだ?」
鍋下ろし「こいつが山に入ろうとしたから鍋落とそうとしたら逆に落とされて、それでも行かせないようにしていたら剣向けられて、あれ?」
志乃「俺を倒してから行けとか言っていたからな。」
鍋下ろし「本当に倒そうとしないでくれよ。」
志乃「少し脅しただけだろ。」
茂蔵「こいつに喧嘩は売らない方が良いぞ。」
鍋下ろし「それは最初に聞きたかった。」
それから鍋下ろしは杉の木に戻り、樹霧之介達は志乃と風見を残して妖ノ郷へ戻って行った。
風見「なあ、ワイは何をすればいいんだ?」
志乃「この野槌から出てきた土の中に変な感じはしないか?」
風見「変?そう言えば妖気とも違う嫌な感じがするな。」
志乃「場所は分かるか?」
風見「うんと、、こっちだ。」
風見は少し歩くと1ヵ所を指差す。
志乃「少し掘ってみるか。」
風見「手伝う。」
志乃と風見は手で土を掘ると土は1度野槌に呑み込まれた事により掘り返されてやわらかくなっていたので簡単に土の中にある物を掘り出すことができた。
それは胡桃くらいの大きさの赤黒い真珠のような玉で見た目は綺麗だが禍々しい雰囲気がある。
風見「何やこれ。」
志乃「呪いだな。」
風見「呪い?」
志乃「正確には呪いの媒介の玉だ。詳しくは調べないと分からないが妖怪を強化するものって感じか?」
風見「それ使ったらワイも強くなれるんか?」
志乃「これは呪いだ。何か代償もあるかもしれないからそれは止めておいた方がいい。それに他にも気になる事がある。」
風見「気になる事って?」
志乃「野槌は坂の上から転がって攻撃してくるはずなんだがずっと土に潜っていた。周りの物を呑み込む時しか出てきてなかったみたいだし、それが副作用なのか別の理由なのか。」
風見「難しい事は任せるぜ。」
志乃「私達も妖ノ郷へ行こうか。」
風見「ああ。」
志乃と風見が妖ノ郷にある樹霧之介の家へ行くと樹霧之介達が先に黒根に報告をしていたようだった。
黒根「おお、志乃。今回も世話になったようじゃの。」
志乃「陽葵達が子供が怪我をしたという噂をしていたから確かめに行っただけだったんだけどな。まさかあんなにでかいのが出て来るとは思わなかった。」
黒根「お主もそう思うくらいの大きさだったか。巨大化した理由は分かったのか?」
志乃「ああ、それなら風見と一緒に見つけた。」
志乃は手に持っていた玉を全員に見せる。
樹霧之介「これは何ですか?」
志乃「呪いの媒介だ。」
黒根「呪いじゃと。しかも媒介があるとすれば人為的なものか?」
志乃「自然に出来たようなものでもないし、作った奴はいるだろうが詳しい事は調べないと何とも言えないな。」
黒根「それで手伝えることはあるか?」
志乃「今のところないな。」
黒根「そうか。じゃが何かあれば連絡をするんじゃぞ。」
志乃「ああ。それで少し気なったんだがやっぱりいつも出動する時は全員で行くのか?」
黒根「どんな妖怪か分からんからどんな危険があっても対応できるように全員で行っとる。」
志乃「それだと今回みたいに全員が行動不能になった時はどうするんだ?せめて黒丸との連絡手段は持っておいた方が良くないか?」
黒根「そうしたいがわしは人のお金を持っておらんからスマホは持てんのじゃ。」
真琴「それにあの中は圏外だったわよ。」
志乃「それで私にも連絡が来なかったのか。」
樹霧之介「父さん達は昔どんな連絡手段を取っていたんですか?」
志乃「どうしてもって時は管狐に頼んでいたな。」
黒根「こいつらは竹筒の出入り口があればどこにでも行けたからの。」
志乃「一度出入口が多すぎて迷った事があったから3つになったけどな。」
黒根「本拠地と屋敷とお主が持つ竹筒じゃな。」
志乃「竹筒1つここに置くか?」
黒根「じゃが今は喋れないじゃろ。6号だってお主がいなければ遠い場所へ音を届けられん。」
志乃「でも真琴とか薬作ってるし4号はその手伝いが出来ると思う。竹筒は置いて行っても良いと思う。」
真琴「それなら私の所に置く?」
志乃「そうだな。しばらく薬作るときは4号呼び出してもいいから。」
真琴「それだと浜名瀬さん困らない?」
志乃「4号には薬の管理をしてもらっているが私も分かるし、持って来てもらうだけなら他の管狐でもいい。まあ、同じような見た目の物ばかりで少し指示が大変になるくらいだ。」
真琴「それなら頼らせてもらうわね。」
志乃「ああ。それと初めは素材も足りないだろうから4号に私の屋敷にある材料を持って来てもらえばいい。」
真琴「いいの?」
志乃「自分で素材を集められるようになるまで必要な分は使ってもらって構わない。」
真琴「ありがとう助かるわ。傷薬とか常備しておきたい薬もあるから。」
焔「なあ、志乃。炎使う管狐と一緒に修行しても良いか?」
志乃「3号か。良いぞ。」
雫「ちょっとその管狐は浜名瀬さんの戦闘を手伝ってくれているのよ。」
志乃「私の命令が優先されるから心配しなくてもいい。最近は3号も暇している事が多いから一緒に運動してくれるならこちらとしてもありがたい。」
雫「そうなの?」
焔「なら早速一緒に行っても良いか?」
志乃「だけどお前、野槌の中で具合悪そうにしてなかったか?」
焔「薬飲んだから平気だ。」
志乃「竹筒は屋敷に戻れば予備があるから今持っているこれを置いて行こう。ただし、今日は休めよ。」
焔「ちぇ。」
雫「ちぇじゃないでしょ。報告終わったら帰るわよ。」
焔「はーい。」
雫「だけど私も今日みたいなことがあって対処したいから相手の空間に干渉できるような術学びたいわ。」
志乃「私が教えれるのは霊力や札での術だからな。妖力を使いたいのであれば1号が適任だろ。」
雫「教えて貰えるの?」
志乃「見て学ぶという感じにはなるだろうな。」
雫「いいわよ。結界で大分妖力の使い方は分かって来たから。」
志乃「そうか。」
風見「なあ、ワイも風使える管狐いたやろ。」
志乃「10号か。」
風見「ワイ、探知もだけど風ももう少し扱えるようになりたい。」
志乃「風護石を使っているがそれ以外も使いたいのか?」
風見「使えないのか?」
志乃「いや、出来ると思う。だが慣れてない術は妖力の消費が激しいから気を付けろよ。」
風見「そうなんだよ。ワイ、妖力そこまで無いんだよな。」
志乃「10号と一緒に感覚掴むのはいいがやり過ぎるなよ。」
風見「おう。」
樹霧之介「それぞれ管狐達に用事があるなら竹筒はここに置いておきましょうか?」
真琴「そうね。皆が集まるここに置いておいた方が良いわね。」
志乃「ならこの竹筒は樹霧之介に預けるか。」
樹霧之介「はい。」
樹霧之介は志乃から竹筒を受け取り、部屋の隅に置く。
黒根「良いのか?志乃。」
志乃「別にこいつらの成長に役立つならいいだろ。それに今は昔より妖怪も減って出番が少なくなっている。少し運動させた方が良い。」
黒根「そうか。」
志乃「そうだ、樹霧之介。もしよかったら出てない管狐達も運動させてくれないか?」
樹霧之介「はい。」
茂蔵「おいらもやるぞ。」
黒根「こいつが管狐の世話を一部とはいえ任せるとはな。」
志乃「何か言ったか?」
黒根「いや、何でもない。」
雫「だけど私、どれがどの管狐か分からないわよ。」
志乃「分からなければ名前を呼べば返事はするぞ。」
真琴「それと、どの管狐がどんな特技を持っているのか把握してないのよ。」
志乃「ならメモも残していくか。」
真琴「助かるわ。」
それから志乃が管狐の特技を書いたメモを残して解散となった。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




