65話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
志乃は動けない樹霧之介に突進する牛鬼の角を掴んで止めるが牛鬼は首を上げて志乃を上に放り投げると前足で突き刺そうとする。
樹霧之介「志乃さん!」
志乃「おっと。」
志乃は空中で結界を張って足場にし、牛鬼の攻撃も止めると牛鬼が上を向いた状態になったところに動けるようになった樹霧之介が木の根で攻撃すると上手い具合にひっくり返すことができた。
樹霧之介「やりました。」
ひっくり返った牛鬼はバタバタと足を動かして起き上がろうとしているが足は地面に着かず、起き上がれそうにない。
志乃「今のうちに霊核珠を壊すぞ。」
樹霧之介「はい。」
霊核珠は牛鬼のたるんだ皮の間に隠れている。
近くの毒袋を破かないようにするためにも場所を確認して確実に壊したい。
暴れる牛鬼を樹霧之介が木の根で動きを止め、志乃が牛鬼の上に降りて霊核珠を探すとすぐに見つける事ができ、志乃は短刀で破壊しようとするが命の危機を悟った牛鬼は木の根を引きちぎり、体をゆすって志乃を落とそうとしたので志乃はバランスを崩し、霊核珠を壊す事に失敗して落とされないように牛鬼に掴まる。
それでもチャンスを逃したくないので志乃は呪滅符を付けた棒手裏剣を投げて霊核珠に当てると牛鬼が苦しんで毒を吐き出し始めてしまったので志乃は3号に火をつけてもらうが牛鬼はそれでも毒を吐き続け、火も広がってしまう。
志乃は10号を出して風で毒と火が広がらないようにすると火は牛鬼に引火して牛鬼はゴロゴロと転がって山を転がり落ちていく。
一番下に落ちるころには火は鎮火していて牛鬼は黒焦げになっていたが起き上る。
毒袋はさっきよりもしぼんでいてもう毒は吐けなさそうだが転がり落ちたところで気絶している陽介を見つけてそっちに狙いを定めていて、それに気付いた樹霧之介は木の枝で動きを止めようとするが止まらない。
だがその時志乃が大百足を呼び出すと牛鬼に巻き付き、動きを止めた。
山では木が多くて大百足を呼び出せる空間が無かったが下の少し開けた場所へ降りたことで呼び出すことができたのだ。
真琴「ねえ、試したいことがあるの。私が合図したら大百足を退けてくれない?」
志乃「分かった。」
真琴は大きめの紙を牛鬼の上に出すとその紙に硬いと重いの文字を付ける。
志乃「なるほど。」
真琴「浜名瀬さん、大百足を退けて。」
志乃「それ、狙いが不安定だろ。このまま大百足がいなくなれば牛鬼は移動する。大百足には頭を押さえつけてもらうから胴体を狙ってくれ。」
真琴「いいの?大百足にも当たるかもしれないのよ。」
志乃「その技の軌道は読み易い。大百足なら避けれる。」
真琴「信じるわよ。」
真琴は牛鬼の上にある紙をギロチンの刃のように勢いよく落とすと、それは牛鬼の胴体を真っ二つに切り裂き牛鬼は白い煙となって消えたがその時大百足の足がはみ出ていたようで2本ほど大百足の足も切り落としてしまった。
志乃「大百足の足も切り落とすか。結構威力が高いな。」
真琴「だから言ったでしょ。大丈夫なの?」
志乃「大丈夫だ。大百足。」
志乃が大百足に呼びかけると大百足はモゾモゾと動き出し、皮が剥けていく。
そして脱皮が終わると、切られた足は元に戻っていた。
大百足は志乃に近づいて精気を貰うと脱皮して薄くなっていた色が元に戻って行く。
真琴「治ったの?」
志乃「脱皮が近かったから多少の怪我はすぐ治る事は分かっていた。」
真琴「なら初めから言ってよ。」
志乃「初めての技だったから緊張感を持ってほしかった。」
真琴「緊張したわよ。そして大百足を巻き込んだ時心臓止まるかと思ったわ。」
それを聞いて大百足は真琴に擦り寄る。
志乃「大百足も気にするなと言っている。」
真琴「怪我させてごめんね。」
真琴が大百足の頭を撫でていると陽介が起き上がる。
樹霧之介「あ、あの人起きましたよ。」
志乃「樹霧之介、あいつには私が死んだことにして村まで送り届けてくれないか?」
樹霧之介「死んだことにするんですか?」
志乃「ああ。その方がこんな事二度とはしないだろう。」
樹霧之介「、、分かりました。」
志乃は隠れて樹霧之介と真琴は陽介に近づく。
陽介「あの化け物は?」
樹霧之介「倒しました。」
陽介「もしかして君達が?」
樹霧之介「そうです。えっと、名前なんでしたっけ?」
陽介「陽介だ。」
樹霧之介「陽介さんですね。まずはあなたを村に送り届けます。」
陽介「いいのか?」
樹霧之介「はい。」
陽介「なあ、あの人。浜名瀬さんはどうだったんだ?」
樹霧之介「探しましたが遺体は見つかりませんでした。」
陽介「そう、なのか。」
樹霧之介「何でこんな事をしたんですか?あなたのせいで人1人の命が無くなったんですよ。遺体も無いから弔う事だってできない。」
陽介「...。」
真琴「立ち入り禁止の看板も立っていたのに。何でこんな場所に来たの?」
陽介「それは、その、映像を撮りたくて、、」
樹霧之介「それは何の映像ですか?人の命よりも大事なものなんですか?」
陽介「それは、、」
樹霧之介「もしかして自己満足の為に危険を知って行ったんですか?それで他人を巻き込んだんですか?」
陽介「もう止めてくれ。俺だってこんな事になるなんて知らなかったんだ。」
樹霧之介「止めません。自分の罪と向き合ってください。」
陽介「ごめんなさい。」
樹霧之介「それは誰に対しての謝罪ですか?死んだ人間は戻ってこないんですよ。」
陽介「俺はどうすれば、、」
樹霧之介「知りません。自分で考えてください。」
樹霧之介達が村の近くまで来ると村の中は慌ただしくしている。
陽介が近くの人に聞いたところ何度も響き渡る叫び声を聞いて数人が山へ見に行き牛鬼の姿を見たみたいだ。
牛鬼を見た人達はすぐに戻ったので陽介の姿を見た人はいなかったが山の方から来た陽介を不審に思い立ち入り禁止の場所に入っていないか聞いてくる。
この村は年寄りが多く、伝承を信じている人ばかりだったので凄い形相で詰め寄られた陽介は何も話せずに集会場へ連れて行かれた。
伝承は信じてはいるが霊感は無いので直接牛鬼に会って見えている人以外は樹霧之介と真琴が見えず、この場には見える人はいないようで2人は置いて行かれ、2人は陽介を見送った後に山へ戻るとそこでは志乃と共に焔達も待っていた。
志乃「お疲れ。慣れないことさせて悪かったな。」
樹霧之介「本当です。嘘でも志乃さんが死んだなんて言いたくありませんでした。」
志乃「それでも最後までありがとな。」
樹霧之介「はい。」
真琴「それであの脱皮殻どこ行ったの?」
志乃「消えたよ。」
真琴「あれ、消える物なの?」
志乃「脱皮殻に含まれた妖力が無くなったからな。残したければそういう処理もできるがここにあっても持ち帰れないから消えるのを待ったんだ。」
真琴「へー。」
樹霧之介「それで雫達の方はどうだったんですか?」
雫「あっちの攻撃は大振りで当たらなかったんだけどこっちの攻撃もあの大きな体には攻撃が通らなくて、どうしようかってなっていたら急に海に潜って行ったのよ。」
志乃「牛鬼がいなくなったから濡女も帰ったみたいだな。」
焔「あれ、放っておいていいのか?」
志乃「濡女は牛鬼がいなければあの姿で脅かすだけだ。」
雫「なら今回濡女が出てきたのは牛鬼が出てきたから?」
志乃「だと思う。濡女は海辺を歩いている人に石に変わる赤子を渡して動けなくなったところを牛鬼に食べさせているからな。多分ここに牛鬼が封印される前からの協力者で今回獲物を探していたら樹霧之介達を見つけたってところだろう。」
真琴「人の善意を利用するって結構悪質よね。」
志乃「どちらにしろ牛鬼がいなければ出てくることはないだろ。私はやることあるからそろそろ戻る。」
樹霧之介「何するんですか?」
志乃「陽葵に住んでいる所を教えたら煩くなったんだ。良い所が無いか不動産に行こうと思ている。」
焔「志乃、引っ越すのか?ならこっちに来ないか?」
志乃「まだ高校も1年あるし、どうなるか分からないからな。もうしばらくは人間の中で暮らすよ。」
焔「そうか、、」
雫「前にも断られたのに諦めないのね。」
焔「俺は志乃が来るまで言うつもりだぜ。」
雫「しつこいと嫌われるわよ。」
焔「志乃は俺の事嫌わないよな?」
志乃「そうだな。」
それから黒根への報告は樹霧之介達に任せて志乃は一度不動産に寄ってからアパートへ帰り、階段を上るとその音を聞いて悠真が部屋から出てきた。
悠真「浜名瀬さん。ブレスレット見つかった?」
志乃「ああ、陽介が持っていた。」
悠真「あいつが?」
志乃「新しい映像が欲しかったらしい。お灸を据えるためにも私は死んだことにしてあるから。」
悠真「え。あいつがまた妖怪の映像を撮りたいと言っていた事は知っているけど何で浜名瀬さんが死んだ事に?」
志乃「詳しい事は本人から聞いてくれ。私は疲れたから休む。」
そう言って志乃はアパートの部屋へ入って行った。
海に行ったことにより頭の中の声が大きくなったのでそれを抑えるために儀式を行わなければならないのだ。
だがそれも時間稼ぎにしかならないので最終的にはその声の主と戦う事になるだろう。
そうなった時、覚の言った事のようになるのだろうか。
志乃は儀式を終えて引き出しにしまってあるほんのり赤く染まった散無華の種を見る。
次の日の昼過ぎに志乃のアパートのチャイムが鳴る。
志乃が大人の姿で出るとそこには悠真と陽介がいた。
陽介「ひ、本当にいた。幽霊じゃないんだよな?」
志乃「何だもう戻ったのか。」
陽介「あの時、腹を貫かれていたのに何で生きているんだ。」
志乃「お前には幻覚を見せたんだ。」
陽介「だけどあの子供にもお前が死んだと聞かされたぞ。」
志乃「樹霧之介にはそう言うように頼んだんだ。お前が反省するようにな。」
悠真「そうだ。僕のブレスレットどうしてくれるんだ?」
志乃「それよりも私達がいなければあの村が全滅していた事の方が大事だ。」
陽介「俺の軽率な行動で迷惑をかけたのは謝る。」
志乃「謝れる対象がいて良かったな。」
陽介「あそこの伝承は村の人達に嫌と言うほど聞かされた。旅の僧が来なければ村は全滅していたって。俺は正直軽く見ていたんだ。今まで何も無かったのなら今回も大きな事は起こらないだろうって。」
志乃「こういう事をするのは何も知らない馬鹿か後の事を考えられない馬鹿だ。今回の事で馬鹿じゃなくなっている事を願うよ。」
陽介「すまなかった。」
悠真「それで僕のブレスレットは?」
陽介「う、浜名瀬さん。その、ブレスレットはもう一つ作れませんか?」
志乃「前にも言ったが材料がもう無いんだ。同じ形の物は作れるがそれは何の機能も持たない。」
悠真「僕は別に危ない所には行かないからそれでいい。」
志乃「だが何故私がこいつの尻拭いを3回もしなくてはいけないんだ?」
陽介「う。」
志乃「それはお前が何とかしろ。」
陽介「待ってくれ。」
その言葉を無視して志乃は扉と鍵を閉める。
しばらく扉の前がうるさかったので、志乃は押し入れから隠里の屋敷へ避難する。
それからしばらくは静かな日が続いていたので志乃は自分のしたい事を進められていた。
春休みもあと数日で終わるという頃の昼過ぎ、志乃が気分転換に公園でも行こうと歩いていると陽葵と鉢合わせしてしまう。
陽葵「浜名瀬さん、奇遇だね。」
志乃「本当にな。」
陽葵「ねえねえ、今暇?暇そうだよね。」
志乃「公園に散歩しに行くんだ。暇じゃ無い。」
陽葵「時間はあるんだよね。今から付き合ってよ。」
志乃「勝手に決めるな。自分の時間は自分で決める。」
陽葵「伯父さんが来ているから前に言っていた季節限定の苺大福、今から買いに行くところだったんだ。一緒に行こう。そして食べよう。家でお母さんがお茶淹れてくれるからさ。」
陽葵は志乃の手を掴んで引っ張る。
志乃「お使いに私を巻き込むな。」
陽葵「いいじゃん。甘い物好きでしょ。私の好きな物も食べて欲しいの。」
志乃「、、今回だけだからな。」
陽葵「うん。」
志乃は陽葵と苺大福を買って陽葵の家に行く。
陽葵「ただいま。」
美和「あら、早かったのね。今日は寄り道しなかったの?あら、浜名瀬さん。」
志乃「こんにちは。」
美和「早かったのは浜名瀬さんと会ったからなのね。」
陽葵「うん、お母さん。浜名瀬さんの分のお茶もお願い。私達2階で食べるね。」
美和「分かったわ。だけど浜名瀬さん、少し顔出してから行かない?お義兄さん、あなたに感謝しているから。」
志乃「私に?何故?」
美和「浜名瀬さんがハラミを連れて来てくれたから晴臣さん、仕事を決めてくれたのよ。」
志乃「流れで決まった事だ。私は関係無い。」
美和「他にも色々としてくれてるじゃない。」
志乃「まあ、顔を出すだけなら、、」
晴臣「おーい。お客さんかい?」
美和「浜名瀬さんが来てくれたの。」
晴臣「お、今日は何の用だい?」
志乃「陽葵にたまたま会っただけだ。」
陽葵「これから一緒に苺大福食べるの。」
晴臣「そうか。ゆっくりして行いけよ。」
陽葵「ほら、早く行こ。」
志乃「お邪魔します。」
志乃は2階に行く前に陽葵の伯父さんがいるリビングに顔を出す。
陽葵伯父「やあ、浜名瀬さん。久しぶりだね。」
志乃「久しぶり。あれから変わった事はあったか?」
陽葵伯父「おかげで特に無いよ。あんな大量の呪具の処理大変だっただろう。」
志乃「少しずつ進めているから大丈夫だ。」
陽葵伯父「そうか。愚弟の仕事探しが進んだのも浜名瀬さんが手伝ってくれたと聞いたよ。ありがとうね。」
志乃「それに関しては本当にたまたまだったんだ。」
陽葵伯父「それでもありがとう。もしまた何かあったら頼むよ。」
志乃「そんな事が無い事を願う。」
陽葵伯父「はは、そうだよね。」
陽葵「ねえ、もういいでしょ。」
陽葵伯父「陽葵ちゃんとも久しぶりなんだから少し話してもいいだろ。」
陽葵「私は浜名瀬さんと2人で話したいんだけど。」
陽葵伯父「おじさんたまにしか来れないんだからいいじゃないか。」
陽葵「、、まあ。」
陽葵伯父「ありがとう。陽葵ちゃんは優しいね。」
それから志乃と陽葵もリビングで苺大福を食べながら話をしているといつの間にか時間が経っていた。
陽葵伯父「もうこんな時間か。伯父さんそろそろ帰らないと着くのが夜中になっちゃうな。」
志乃「なら私も帰るか。」
陽葵「浜名瀬さんはまだいいでしょ。2階行って話そうよ。」
志乃「そう言えば写本はどこまで進んだんだ?」
陽葵「一応全部終わったよ。」
志乃「そうか、ならテストしてもいいな。」
陽葵「え。」
志乃「春休み終われば受験でする暇ないかもしれないからな。」
陽葵「確かにそうだけど。」
志乃「それに正しい知識が付いているなら新しい札を教えてもいいと思っている。」
陽葵「え、いいの?」
志乃「お前の霊力も多くなってきた。そろそろいいだろ。」
陽葵「やったー。」
志乃「ただし、今回不合格だったらしばらくは無いからな。」
陽葵「分かった。頑張るからテストは明日にしてくれない?」
志乃「駄目だ。敵は待ってくれないぞ。」
陽葵「えー。」
志乃は陽葵と2階に行っていくつか質問したが半分以上答える事は出来なかった。
志乃「これは、ちょっと、、」
陽葵「大天狗が使う団扇の葉は何の植物か答えよ。とかそんなの覚えてないよ。」
志乃「妖怪の使う道具も覚えた方が良いぞ。」
陽葵「うえー。」
志乃「仕方ない。こいつを渡しておくから次受けたくなったらこれに霊力を注げ。」
志乃は4枚の札を取り出し陽葵に渡す。
陽葵「これは?」
志乃「完璧だと思ったらどこでもいいから4隅にこいつを貼って霊力を流せば試験会場に繋がる。」
陽葵は早速壁に貼って霊力を流し込もうとする。
志乃「ちなみに今のお前の霊力量では繋がらないからな。」
陽葵「えー。」
志乃「今回答えられなかった罰だ。もう少し霊力を溜めてから受けるんだな。」
陽葵「あとどれくらい?」
志乃「今の倍。」
陽葵「そんなの何年後になるの?」
志乃「最近慣れてきているのか増えるのが早くなっているから大丈夫だ。」
陽葵「本当に?」
志乃「サボらなければの話だがな。」
陽葵「分かったよ。」
志乃「じゃあ、私はもう帰る。」
陽葵「夕飯食べていかない?」
志乃「断る。」
晴臣「なら次は僕が受けてもいいかな?」
いきなり陽葵の部屋の扉が開いて晴臣が入ってくる。
陽葵「いつからいたの?」
晴臣「兄さんを見送ってからすぐに来て聞き耳立ててた。」
陽葵「キモ。」
晴臣「お父さんでもそれは傷つくよ。」
陽葵「いや、娘の部屋の前で聞き耳たててる父親とか普通に無理。」
晴臣「面白そうだったんだもん。少しくらい許してよ。」
志乃「それで受けるのなら問題出すがどうするんだ?」
晴臣「浜名瀬さんは優しいね。」
志乃「3問目くらいからそこにいるのは分かっていたからな。」
陽葵「結構初めの方じゃん。分かってたのなら教えてよ。」
志乃「別に邪魔する様な事はしてなかったし、聞かれても問題ないからな。」
陽葵「それでも聞かれているのは嫌だよ。」
志乃「中断しても良かったのか?」
陽葵「それは嫌だけど。もう、お父さん邪魔してるじゃん。」
晴臣「ごめん。だけど一緒に勉強したんだから気になるだろ。」
志乃「それでやるのか?」
晴臣「やるやる。陽葵、説教は後で聞くから。」
陽葵「もー。私より点数低かったら明日苺大福買って来てもらうからね。」
晴臣「いいよ。」
それから志乃が陽葵に出した問題とは違う問題を同じ数だけ出すと晴臣は3分の2ほど正解する。
陽葵「お父さんの方が問題簡単だったんじゃないの?」
志乃「ならお前は何問分かったんだ?」
陽葵「う。」
晴臣「覚えるにはコツがいるんだよ。」
陽葵「それって何?受験にも使える?」
晴臣「もちろん。教えようか?」
陽葵「うーん、、うん。」
晴臣「何で悩むんだ?」
志乃「じゃ、私は帰る。」
陽葵「あ、送るよ。」
志乃「必要ない。」
陽葵「せめて玄関まではいいでしょ。」
志乃「分かった。」
それから志乃は階段を降りて玄関で靴を履く。
陽葵「またね。」
志乃「ああ。」
志乃が振り返ると陽葵の後ろに晴臣もいて一緒に手を振っている。
志乃「なあ。」
陽葵「何?」
志乃「陽葵にとって父親ってどんな存在だ?」
陽葵「え。急にそんな事言われても分からないよ。」
志乃「そうか。」
陽葵「急にどうしたの?」
志乃「いや、少し気になっただけだ。」
陽葵「もしかして前に両親がいないって話してたことと関係ある?」
晴臣「え。浜名瀬さん親がいなかったのかい?なら僕が親になってあげようか?」
志乃「それは断固断る。」
晴臣「そこまで拒否しなくてもいいじゃん。」
志乃「少し気になっただけだ。深い意味はない。」
晴臣「だけど寂しくなったらいつでも来ていいからね。」
志乃「私には管狐達や大百足もいる。」
陽葵「まこ姉達もいるもんね。」
志乃「そういう事だ。心配される事は無い。」
晴臣「そっか。それでもまた来てね。」
志乃「機会があれば。」
そう言って志乃はアパートへ帰って行った。
それから春休みが終わってクラスが発表になったが今年は特に変わらず志乃がいる教室には陽葵や澄花達の3人組、凛華もいる。
最初のホームルームで進路を調査する為にアンケートと面接が行われた。
それから志乃が帰る準備をしてたら陽葵に話しかけられる。
陽葵「ねえ、今日のアンケートなんて書いた?」
志乃「何も書いてない。」
陽葵「何で?なりたい職業とかないの?」
志乃「無い。」
陽葵「早めに決めないと、時間は待ってくれないんだよ。」
志乃「知ってる。」
陽葵「あ、うん。」
志乃「それに私はもう陰陽師という職には就いている。」
陽葵「だけど今の時代それじゃお金稼げないでしょ。」
志乃「金のためにしているわけじゃないからな。」
陽葵「ここで暮していくにはお金は必要だよ。」
志乃「だけど何かに縛られるのはな。」
陽葵「確かに自由に休みとれなくなるかもしれないけど、大学くらいは行こうよ。」
志乃「考えておく。」
陽葵「浜名瀬さん。そればっかり。」
志乃「そうしか言えないからな。」
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




