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65話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

志乃(しの)は動けない樹霧之介(きりのすけ)に突進する牛鬼(ぎゅうき)の角を掴んで止めるが牛鬼(ぎゅうき)は首を上げて志乃(しの)を上に放り投げると前足で突き刺そうとする。

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん!」

志乃(しの)「おっと。」

志乃(しの)は空中で結界を張って足場にし、牛鬼(ぎゅうき)の攻撃も止めると牛鬼(ぎゅうき)が上を向いた状態になったところに動けるようになった樹霧之介(きりのすけ)が木の根で攻撃すると上手い具合にひっくり返すことができた。

樹霧之介(きりのすけ)「やりました。」

ひっくり返った牛鬼(ぎゅうき)はバタバタと足を動かして起き上がろうとしているが足は地面に着かず、起き上がれそうにない。

志乃(しの)「今のうちに霊核珠(れいかくじゅ)を壊すぞ。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

霊核珠(れいかくじゅ)牛鬼(ぎゅうき)のたるんだ皮の間に隠れている。

近くの毒袋を破かないようにするためにも場所を確認して確実に壊したい。

暴れる牛鬼(ぎゅうき)樹霧之介(きりのすけ)が木の根で動きを止め、志乃(しの)牛鬼(ぎゅうき)の上に降りて霊核珠(れいかくじゅ)を探すとすぐに見つける事ができ、志乃(しの)は短刀で破壊しようとするが命の危機を悟った牛鬼(ぎゅうき)は木の根を引きちぎり、体をゆすって志乃(しの)を落とそうとしたので志乃(しの)はバランスを崩し、霊核珠(れいかくじゅ)を壊す事に失敗して落とされないように牛鬼(ぎゅうき)に掴まる。

それでもチャンスを逃したくないので志乃(しの)呪滅符(じゅめつふ)を付けた棒手裏剣を投げて霊核珠(れいかくじゅ)に当てると牛鬼(ぎゅうき)が苦しんで毒を吐き出し始めてしまったので志乃(しの)は3号に火をつけてもらうが牛鬼(ぎゅうき)はそれでも毒を吐き続け、火も広がってしまう。

志乃(しの)は10号を出して風で毒と火が広がらないようにすると火は牛鬼(ぎゅうき)に引火して牛鬼(ぎゅうき)はゴロゴロと転がって山を転がり落ちていく。

一番下に落ちるころには火は鎮火していて牛鬼(ぎゅうき)は黒焦げになっていたが起き上る。

毒袋はさっきよりもしぼんでいてもう毒は吐けなさそうだが転がり落ちたところで気絶している陽介(ようすけ)を見つけてそっちに狙いを定めていて、それに気付いた樹霧之介(きりのすけ)は木の枝で動きを止めようとするが止まらない。

だがその時志乃(しの)大百足(おおむかで)を呼び出すと牛鬼(ぎゅうき)に巻き付き、動きを止めた。

山では木が多くて大百足(おおむかで)を呼び出せる空間が無かったが下の少し開けた場所へ降りたことで呼び出すことができたのだ。

真琴(まこと)「ねえ、試したいことがあるの。私が合図したら大百足(おおむかで)を退けてくれない?」

志乃(しの)「分かった。」

真琴(まこと)は大きめの紙を牛鬼(ぎゅうき)の上に出すとその紙に硬いと重いの文字を付ける。

志乃(しの)「なるほど。」

真琴(まこと)浜名瀬(はまなせ)さん、大百足(おおむかで)を退けて。」

志乃(しの)「それ、狙いが不安定だろ。このまま大百足(おおむかで)がいなくなれば牛鬼(ぎゅうき)は移動する。大百足(おおむかで)には頭を押さえつけてもらうから胴体を狙ってくれ。」

真琴(まこと)「いいの?大百足(おおむかで)にも当たるかもしれないのよ。」

志乃(しの)「その技の軌道は読み易い。大百足(おおむかで)なら避けれる。」

真琴(まこと)「信じるわよ。」

真琴(まこと)牛鬼(ぎゅうき)の上にある紙をギロチンの刃のように勢いよく落とすと、それは牛鬼(ぎゅうき)の胴体を真っ二つに切り裂き牛鬼(ぎゅうき)は白い煙となって消えたがその時大百足(おおむかで)の足がはみ出ていたようで2本ほど大百足(おおむかで)の足も切り落としてしまった。

志乃(しの)大百足(おおむかで)の足も切り落とすか。結構威力が高いな。」

真琴(まこと)「だから言ったでしょ。大丈夫なの?」

志乃(しの)「大丈夫だ。大百足(おおむかで)。」

志乃(しの)大百足(おおむかで)に呼びかけると大百足(おおむかで)はモゾモゾと動き出し、皮が剥けていく。

そして脱皮が終わると、切られた足は元に戻っていた。

大百足(おおむかで)志乃(しの)に近づいて精気を貰うと脱皮して薄くなっていた色が元に戻って行く。

真琴(まこと)「治ったの?」

志乃(しの)「脱皮が近かったから多少の怪我はすぐ治る事は分かっていた。」

真琴(まこと)「なら初めから言ってよ。」

志乃(しの)「初めての技だったから緊張感を持ってほしかった。」

真琴(まこと)「緊張したわよ。そして大百足(おおむかで)を巻き込んだ時心臓止まるかと思ったわ。」

それを聞いて大百足(おおむかで)真琴(まこと)に擦り寄る。

志乃(しの)大百足(おおむかで)も気にするなと言っている。」

真琴(まこと)「怪我させてごめんね。」

真琴(まこと)大百足(おおむかで)の頭を撫でていると陽介(ようすけ)が起き上がる。

樹霧之介(きりのすけ)「あ、あの人起きましたよ。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)、あいつには私が死んだことにして村まで送り届けてくれないか?」

樹霧之介(きりのすけ)「死んだことにするんですか?」

志乃(しの)「ああ。その方がこんな事二度とはしないだろう。」

樹霧之介(きりのすけ)「、、分かりました。」

志乃(しの)は隠れて樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)陽介(ようすけ)に近づく。

陽介(ようすけ)「あの化け物は?」

樹霧之介(きりのすけ)「倒しました。」

陽介(ようすけ)「もしかして君達が?」

樹霧之介(きりのすけ)「そうです。えっと、名前なんでしたっけ?」

陽介(ようすけ)陽介(ようすけ)だ。」

樹霧之介(きりのすけ)陽介(ようすけ)さんですね。まずはあなたを村に送り届けます。」

陽介(ようすけ)「いいのか?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

陽介(ようすけ)「なあ、あの人。浜名瀬(はまなせ)さんはどうだったんだ?」

樹霧之介(きりのすけ)「探しましたが遺体は見つかりませんでした。」

陽介(ようすけ)「そう、なのか。」

樹霧之介(きりのすけ)「何でこんな事をしたんですか?あなたのせいで人1人の命が無くなったんですよ。遺体も無いから弔う事だってできない。」

陽介(ようすけ)「...。」

真琴(まこと)「立ち入り禁止の看板も立っていたのに。何でこんな場所に来たの?」

陽介(ようすけ)「それは、その、映像を撮りたくて、、」

樹霧之介(きりのすけ)「それは何の映像ですか?人の命よりも大事なものなんですか?」

陽介(ようすけ)「それは、、」

樹霧之介(きりのすけ)「もしかして自己満足の為に危険を知って行ったんですか?それで他人を巻き込んだんですか?」

陽介(ようすけ)「もう止めてくれ。俺だってこんな事になるなんて知らなかったんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「止めません。自分の罪と向き合ってください。」

陽介(ようすけ)「ごめんなさい。」

樹霧之介(きりのすけ)「それは誰に対しての謝罪ですか?死んだ人間は戻ってこないんですよ。」

陽介(ようすけ)「俺はどうすれば、、」

樹霧之介(きりのすけ)「知りません。自分で考えてください。」

樹霧之介(きりのすけ)達が村の近くまで来ると村の中は慌ただしくしている。

陽介(ようすけ)が近くの人に聞いたところ何度も響き渡る叫び声を聞いて数人が山へ見に行き牛鬼(ぎゅうき)の姿を見たみたいだ。

牛鬼(ぎゅうき)を見た人達はすぐに戻ったので陽介(ようすけ)の姿を見た人はいなかったが山の方から来た陽介(ようすけ)を不審に思い立ち入り禁止の場所に入っていないか聞いてくる。

この村は年寄りが多く、伝承を信じている人ばかりだったので凄い形相で詰め寄られた陽介(ようすけ)は何も話せずに集会場へ連れて行かれた。

伝承は信じてはいるが霊感は無いので直接牛鬼(ぎゅうき)に会って見えている人以外は樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)が見えず、この場には見える人はいないようで2人は置いて行かれ、2人は陽介(ようすけ)を見送った後に山へ戻るとそこでは志乃(しの)と共に(ほむら)達も待っていた。

志乃(しの)「お疲れ。慣れないことさせて悪かったな。」

樹霧之介(きりのすけ)「本当です。嘘でも志乃(しの)さんが死んだなんて言いたくありませんでした。」

志乃(しの)「それでも最後までありがとな。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

真琴(まこと)「それであの脱皮殻どこ行ったの?」

志乃(しの)「消えたよ。」

真琴(まこと)「あれ、消える物なの?」

志乃(しの)「脱皮殻に含まれた妖力が無くなったからな。残したければそういう処理もできるがここにあっても持ち帰れないから消えるのを待ったんだ。」

真琴(まこと)「へー。」

樹霧之介(きりのすけ)「それで(しずく)達の方はどうだったんですか?」

(しずく)「あっちの攻撃は大振りで当たらなかったんだけどこっちの攻撃もあの大きな体には攻撃が通らなくて、どうしようかってなっていたら急に海に潜って行ったのよ。」

志乃(しの)牛鬼(ぎゅうき)がいなくなったから濡女(ぬれおんな)も帰ったみたいだな。」

(ほむら)「あれ、放っておいていいのか?」

志乃(しの)濡女(ぬれおんな)牛鬼(ぎゅうき)がいなければあの姿で脅かすだけだ。」

(しずく)「なら今回濡女(ぬれおんな)が出てきたのは牛鬼(ぎゅうき)が出てきたから?」

志乃(しの)「だと思う。濡女(ぬれおんな)は海辺を歩いている人に石に変わる赤子を渡して動けなくなったところを牛鬼(ぎゅうき)に食べさせているからな。多分ここに牛鬼(ぎゅうき)が封印される前からの協力者で今回獲物を探していたら樹霧之介(きりのすけ)達を見つけたってところだろう。」

真琴(まこと)「人の善意を利用するって結構悪質よね。」

志乃(しの)「どちらにしろ牛鬼(ぎゅうき)がいなければ出てくることはないだろ。私はやることあるからそろそろ戻る。」

樹霧之介(きりのすけ)「何するんですか?」

志乃(しの)陽葵(ひまり)に住んでいる所を教えたら煩くなったんだ。良い所が無いか不動産に行こうと思ている。」

(ほむら)志乃(しの)、引っ越すのか?ならこっち(妖ノ郷)に来ないか?」

志乃(しの)「まだ高校も1年あるし、どうなるか分からないからな。もうしばらくは人間の中で暮らすよ。」

(ほむら)「そうか、、」

(しずく)「前にも断られたのに諦めないのね。」

(ほむら)「俺は志乃(しの)が来るまで言うつもりだぜ。」

(しずく)「しつこいと嫌われるわよ。」

(ほむら)志乃(しの)は俺の事嫌わないよな?」

志乃(しの)「そうだな。」

それから黒根(くろね)への報告は樹霧之介(きりのすけ)達に任せて志乃(しの)は一度不動産に寄ってからアパートへ帰り、階段を上るとその音を聞いて悠真(ゆうま)が部屋から出てきた。

悠真(ゆうま)浜名瀬(はまなせ)さん。ブレスレット見つかった?」

志乃(しの)「ああ、陽介(ようすけ)が持っていた。」

悠真(ゆうま)「あいつが?」

志乃(しの)「新しい映像が欲しかったらしい。お灸を据えるためにも私は死んだことにしてあるから。」

悠真(ゆうま)「え。あいつがまた妖怪の映像を撮りたいと言っていた事は知っているけど何で浜名瀬(はまなせ)さんが死んだ事に?」

志乃(しの)「詳しい事は本人から聞いてくれ。私は疲れたから休む。」

そう言って志乃(しの)はアパートの部屋へ入って行った。

海に行ったことにより頭の中の声が大きくなったのでそれを抑えるために儀式を行わなければならないのだ。

だがそれも時間稼ぎにしかならないので最終的にはその声の主と戦う事になるだろう。

そうなった時、(さとり)の言った事のようになるのだろうか。

志乃(しの)は儀式を終えて引き出しにしまってあるほんのり赤く染まった散無華(さんむか)(たね)を見る。

次の日の昼過ぎに志乃(しの)のアパートのチャイムが鳴る。

志乃(しの)が大人の姿で出るとそこには悠真(ゆうま)陽介(ようすけ)がいた。

陽介(ようすけ)「ひ、本当にいた。幽霊じゃないんだよな?」

志乃(しの)「何だもう戻ったのか。」

陽介(ようすけ)「あの時、腹を貫かれていたのに何で生きているんだ。」

志乃(しの)「お前には幻覚を見せたんだ。」

陽介(ようすけ)「だけどあの子供にもお前が死んだと聞かされたぞ。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)にはそう言うように頼んだんだ。お前が反省するようにな。」

悠真(ゆうま)「そうだ。僕のブレスレットどうしてくれるんだ?」

志乃(しの)「それよりも私達がいなければあの村が全滅していた事の方が大事だ。」

陽介(ようすけ)「俺の軽率な行動で迷惑をかけたのは謝る。」

志乃(しの)「謝れる対象がいて良かったな。」

陽介(ようすけ)「あそこの伝承は村の人達に嫌と言うほど聞かされた。旅の僧が来なければ村は全滅していたって。俺は正直軽く見ていたんだ。今まで何も無かったのなら今回も大きな事は起こらないだろうって。」

志乃(しの)「こういう事をするのは何も知らない馬鹿か後の事を考えられない馬鹿だ。今回の事で馬鹿じゃなくなっている事を願うよ。」

陽介(ようすけ)「すまなかった。」

悠真(ゆうま)「それで僕のブレスレットは?」

陽介(ようすけ)「う、浜名瀬(はまなせ)さん。その、ブレスレットはもう一つ作れませんか?」

志乃(しの)「前にも言ったが材料がもう無いんだ。同じ形の物は作れるがそれは何の機能も持たない。」

悠真(ゆうま)「僕は別に危ない所には行かないからそれでいい。」

志乃(しの)「だが何故私がこいつの尻拭いを3回もしなくてはいけないんだ?」

陽介(ようすけ)「う。」

志乃(しの)「それはお前が何とかしろ。」

陽介(ようすけ)「待ってくれ。」

その言葉を無視して志乃(しの)は扉と鍵を閉める。

しばらく扉の前がうるさかったので、志乃(しの)は押し入れから隠里(かくれざと)の屋敷へ避難する。

それからしばらくは静かな日が続いていたので志乃(しの)は自分のしたい事を進められていた。

春休みもあと数日で終わるという頃の昼過ぎ、志乃(しの)が気分転換に公園でも行こうと歩いていると陽葵(ひまり)と鉢合わせしてしまう。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん、奇遇だね。」

志乃(しの)「本当にな。」

陽葵(ひまり)「ねえねえ、今暇?暇そうだよね。」

志乃(しの)「公園に散歩しに行くんだ。暇じゃ無い。」

陽葵(ひまり)「時間はあるんだよね。今から付き合ってよ。」

志乃(しの)「勝手に決めるな。自分の時間は自分で決める。」

陽葵(ひまり)「伯父さんが来ているから前に言っていた季節限定の苺大福、今から買いに行くところだったんだ。一緒に行こう。そして食べよう。家でお母さんがお茶淹れてくれるからさ。」

陽葵(ひまり)志乃(しの)の手を掴んで引っ張る。

志乃(しの)「お使いに私を巻き込むな。」

陽葵(ひまり)「いいじゃん。甘い物好きでしょ。私の好きな物も食べて欲しいの。」

志乃(しの)「、、今回だけだからな。」

陽葵(ひまり)「うん。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)と苺大福を買って陽葵(ひまり)の家に行く。

陽葵(ひまり)「ただいま。」

美和(みわ)「あら、早かったのね。今日は寄り道しなかったの?あら、浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「こんにちは。」

美和(みわ)「早かったのは浜名瀬(はまなせ)さんと会ったからなのね。」

陽葵(ひまり)「うん、お母さん。浜名瀬(はまなせ)さんの分のお茶もお願い。私達2階で食べるね。」

美和(みわ)「分かったわ。だけど浜名瀬(はまなせ)さん、少し顔出してから行かない?お義兄さん、あなたに感謝しているから。」

志乃(しの)「私に?何故?」

美和(みわ)浜名瀬(はまなせ)さんがハラミを連れて来てくれたから晴臣(はるおみ)さん、仕事を決めてくれたのよ。」

志乃(しの)「流れで決まった事だ。私は関係無い。」

美和(みわ)「他にも色々としてくれてるじゃない。」

志乃(しの)「まあ、顔を出すだけなら、、」

晴臣(はるおみ)「おーい。お客さんかい?」

美和(みわ)浜名瀬(はまなせ)さんが来てくれたの。」

晴臣(はるおみ)「お、今日は何の用だい?」

志乃(しの)陽葵(ひまり)にたまたま会っただけだ。」

陽葵(ひまり)「これから一緒に苺大福食べるの。」

晴臣(はるおみ)「そうか。ゆっくりして行いけよ。」

陽葵(ひまり)「ほら、早く行こ。」

志乃(しの)「お邪魔します。」

志乃(しの)は2階に行く前に陽葵(ひまり)の伯父さんがいるリビングに顔を出す。

陽葵(ひまり)伯父「やあ、浜名瀬(はまなせ)さん。久しぶりだね。」

志乃(しの)「久しぶり。あれから変わった事はあったか?」

陽葵(ひまり)伯父「おかげで特に無いよ。あんな大量の呪具の処理大変だっただろう。」

志乃(しの)「少しずつ進めているから大丈夫だ。」

陽葵(ひまり)伯父「そうか。愚弟の仕事探しが進んだのも浜名瀬(はまなせ)さんが手伝ってくれたと聞いたよ。ありがとうね。」

志乃(しの)「それに関しては本当にたまたまだったんだ。」

陽葵(ひまり)伯父「それでもありがとう。もしまた何かあったら頼むよ。」

志乃(しの)「そんな事が無い事を願う。」

陽葵(ひまり)伯父「はは、そうだよね。」

陽葵(ひまり)「ねえ、もういいでしょ。」

陽葵(ひまり)伯父「陽葵(ひまり)ちゃんとも久しぶりなんだから少し話してもいいだろ。」

陽葵(ひまり)「私は浜名瀬(はまなせ)さんと2人で話したいんだけど。」

陽葵(ひまり)伯父「おじさんたまにしか来れないんだからいいじゃないか。」

陽葵(ひまり)「、、まあ。」

陽葵(ひまり)伯父「ありがとう。陽葵(ひまり)ちゃんは優しいね。」

それから志乃(しの)陽葵(ひまり)もリビングで苺大福を食べながら話をしているといつの間にか時間が経っていた。

陽葵(ひまり)伯父「もうこんな時間か。伯父さんそろそろ帰らないと着くのが夜中になっちゃうな。」

志乃(しの)「なら私も帰るか。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんはまだいいでしょ。2階行って話そうよ。」

志乃(しの)「そう言えば写本はどこまで進んだんだ?」

陽葵(ひまり)「一応全部終わったよ。」

志乃(しの)「そうか、ならテストしてもいいな。」

陽葵(ひまり)「え。」

志乃(しの)「春休み終われば受験でする暇ないかもしれないからな。」

陽葵(ひまり)「確かにそうだけど。」

志乃(しの)「それに正しい知識が付いているなら新しい(ふだ)を教えてもいいと思っている。」

陽葵(ひまり)「え、いいの?」

志乃(しの)「お前の霊力も多くなってきた。そろそろいいだろ。」

陽葵(ひまり)「やったー。」

志乃(しの)「ただし、今回不合格だったらしばらくは無いからな。」

陽葵(ひまり)「分かった。頑張るからテストは明日にしてくれない?」

志乃(しの)「駄目だ。敵は待ってくれないぞ。」

陽葵(ひまり)「えー。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)と2階に行っていくつか質問したが半分以上答える事は出来なかった。

志乃(しの)「これは、ちょっと、、」

陽葵(ひまり)「大天狗が使う団扇の葉は何の植物か答えよ。とかそんなの覚えてないよ。」

志乃(しの)「妖怪の使う道具も覚えた方が良いぞ。」

陽葵(ひまり)「うえー。」

志乃(しの)「仕方ない。こいつを渡しておくから次受けたくなったらこれに霊力を注げ。」

志乃(しの)は4枚の札を取り出し陽葵(ひまり)に渡す。

陽葵(ひまり)「これは?」

志乃(しの)「完璧だと思ったらどこでもいいから4隅にこいつを貼って霊力を流せば試験会場に繋がる。」

陽葵(ひまり)は早速壁に貼って霊力を流し込もうとする。

志乃(しの)「ちなみに今のお前の霊力量では繋がらないからな。」

陽葵(ひまり)「えー。」

志乃(しの)「今回答えられなかった罰だ。もう少し霊力を溜めてから受けるんだな。」

陽葵(ひまり)「あとどれくらい?」

志乃(しの)「今の倍。」

陽葵(ひまり)「そんなの何年後になるの?」

志乃(しの)「最近慣れてきているのか増えるのが早くなっているから大丈夫だ。」

陽葵(ひまり)「本当に?」

志乃(しの)「サボらなければの話だがな。」

陽葵(ひまり)「分かったよ。」

志乃(しの)「じゃあ、私はもう帰る。」

陽葵(ひまり)「夕飯食べていかない?」

志乃(しの)「断る。」

晴臣(はるおみ)「なら次は僕が受けてもいいかな?」

いきなり陽葵(ひまり)の部屋の扉が開いて晴臣(はるおみ)が入ってくる。

陽葵(ひまり)「いつからいたの?」

晴臣(はるおみ)「兄さんを見送ってからすぐに来て聞き耳立ててた。」

陽葵(ひまり)「キモ。」

晴臣(はるおみ)「お父さんでもそれは傷つくよ。」

陽葵(ひまり)「いや、娘の部屋の前で聞き耳たててる父親とか普通に無理。」

晴臣(はるおみ)「面白そうだったんだもん。少しくらい許してよ。」

志乃(しの)「それで受けるのなら問題出すがどうするんだ?」

晴臣(はるおみ)浜名瀬(はまなせ)さんは優しいね。」

志乃(しの)「3問目くらいからそこにいるのは分かっていたからな。」

陽葵(ひまり)「結構初めの方じゃん。分かってたのなら教えてよ。」

志乃(しの)「別に邪魔する様な事はしてなかったし、聞かれても問題ないからな。」

陽葵(ひまり)「それでも聞かれているのは嫌だよ。」

志乃(しの)「中断しても良かったのか?」

陽葵(ひまり)「それは嫌だけど。もう、お父さん邪魔してるじゃん。」

晴臣(はるおみ)「ごめん。だけど一緒に勉強したんだから気になるだろ。」

志乃(しの)「それでやるのか?」

晴臣(はるおみ)「やるやる。陽葵(ひまり)、説教は後で聞くから。」

陽葵(ひまり)「もー。私より点数低かったら明日苺大福買って来てもらうからね。」

晴臣(はるおみ)「いいよ。」

それから志乃(しの)陽葵(ひまり)に出した問題とは違う問題を同じ数だけ出すと晴臣(はるおみ)は3分の2ほど正解する。

陽葵(ひまり)「お父さんの方が問題簡単だったんじゃないの?」

志乃(しの)「ならお前は何問分かったんだ?」

陽葵(ひまり)「う。」

晴臣(はるおみ)「覚えるにはコツがいるんだよ。」

陽葵(ひまり)「それって何?受験にも使える?」

晴臣(はるおみ)「もちろん。教えようか?」

陽葵(ひまり)「うーん、、うん。」

晴臣(はるおみ)「何で悩むんだ?」

志乃(しの)「じゃ、私は帰る。」

陽葵(ひまり)「あ、送るよ。」

志乃(しの)「必要ない。」

陽葵(ひまり)「せめて玄関まではいいでしょ。」

志乃(しの)「分かった。」

それから志乃(しの)は階段を降りて玄関で靴を履く。

陽葵(ひまり)「またね。」

志乃(しの)「ああ。」

志乃(しの)が振り返ると陽葵(ひまり)の後ろに晴臣(はるおみ)もいて一緒に手を振っている。

志乃(しの)「なあ。」

陽葵(ひまり)「何?」

志乃(しの)陽葵(ひまり)にとって父親ってどんな存在だ?」

陽葵(ひまり)「え。急にそんな事言われても分からないよ。」

志乃(しの)「そうか。」

陽葵(ひまり)「急にどうしたの?」

志乃(しの)「いや、少し気になっただけだ。」

陽葵(ひまり)「もしかして前に両親がいないって話してたことと関係ある?」

晴臣(はるおみ)「え。浜名瀬(はまなせ)さん親がいなかったのかい?なら僕が親になってあげようか?」

志乃(しの)「それは断固断る。」

晴臣(はるおみ)「そこまで拒否しなくてもいいじゃん。」

志乃(しの)「少し気になっただけだ。深い意味はない。」

晴臣(はるおみ)「だけど寂しくなったらいつでも来ていいからね。」

志乃(しの)「私には管狐(くだぎつね)達や大百足(おおむかで)もいる。」

陽葵(ひまり)「まこ姉達もいるもんね。」

志乃(しの)「そういう事だ。心配される事は無い。」

晴臣(はるおみ)「そっか。それでもまた来てね。」

志乃(しの)「機会があれば。」

そう言って志乃(しの)はアパートへ帰って行った。

それから春休みが終わってクラスが発表になったが今年は特に変わらず志乃(しの)がいる教室には陽葵(ひまり)澄花(すみか)達の3人組、凛華(りんか)もいる。

最初のホームルームで進路を調査する為にアンケートと面接が行われた。

それから志乃(しの)が帰る準備をしてたら陽葵(ひまり)に話しかけられる。

陽葵(ひまり)「ねえ、今日のアンケートなんて書いた?」

志乃(しの)「何も書いてない。」

陽葵(ひまり)「何で?なりたい職業とかないの?」

志乃(しの)「無い。」

陽葵(ひまり)「早めに決めないと、時間は待ってくれないんだよ。」

志乃(しの)「知ってる。」

陽葵(ひまり)「あ、うん。」

志乃(しの)「それに私はもう陰陽師という職には就いている。」

陽葵(ひまり)「だけど今の時代それじゃお金稼げないでしょ。」

志乃(しの)「金のためにしているわけじゃないからな。」

陽葵(ひまり)「ここで暮していくにはお金は必要だよ。」

志乃(しの)「だけど何かに縛られるのはな。」

陽葵(ひまり)「確かに自由に休みとれなくなるかもしれないけど、大学くらいは行こうよ。」

志乃(しの)「考えておく。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。そればっかり。」

志乃(しの)「そうしか言えないからな。」

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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