61話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
犬神の事件からたまに志乃のアパートの部屋の隣の部屋に陽葵が来るようになった。
志乃の秘密が隣に住んでいる悠真にバレたことから話しやすくなったようだ。
大学生活についての話しがほとんどだがたまに妖怪についてやハラミも連れてきて話す事もある。
冬休みに入ってまた陽葵が隣の部屋にやって来て悠真と話をしている。
しばらくすると部屋から出てきて志乃の部屋のチャイムが鳴り、志乃が渋々出てみると陽葵と悠真が扉の前に立っていた。
志乃「何だ?」
陽葵「明日、悠真先輩の部屋でクリスマスパーティーする事になったの。浜名瀬さんも来て。」
志乃「断る。」
陽葵「隣でするんだから来てくれてもいいじゃん。」
志乃「ならしばらくは隠里にでも避難しておくか。」
陽葵「避難ってなにさ。」
悠真「明日は陽介も来るんだ。良かったら会ってくれないか?」
志乃「その他には誰か来るのか?」
悠真「今のところはいない。準備は全てこちらでするけどプレゼント交換はするからそれだけ用意してほしい。」
志乃「いや、行かないぞ。」
陽葵「来年になったら私達3年生じゃん。遊べるのは今年しかないんだから少しくらいいいでしょ。」
志乃「、、分かったよ。」
陽葵「やったー。」
悠真「そう言えば浜名瀬さんは高校を卒業したらどうするんだ?高校には今の知識を学ぶために入ったとは聞いたけど大学でも何か学ぶのか?」
志乃「まだ考えてはいない。」
陽葵「それなら私と一緒の大学行こうよ。」
志乃「お前が大学に入学できるのか?」
陽葵「それってどういう事?私だって勉強頑張ればそのくらいできるよ。」
志乃「まあ、頑張れ。」
陽葵「見ていてよ。私だってできるっていうところ見せてやるんだから。」
志乃「はいはい。」
陽葵「それで今から明日のプレゼント買おうと思っているんだけど浜名瀬さんも来る?」
志乃「作ろうと思っていたが買った方が良いならそうする。」
陽葵「浜名瀬さんの手作り欲しいけど浜名瀬さんと買い物にも行きたい。」
悠真「プレゼント交換はランダムだよ。」
陽葵「それでも貰える可能性はあるよ。」
志乃「私は作る事にする。買い物はお前らだけで行ってくれ。」
そう言って志乃は扉と鍵を閉めた。
陽葵「あ。えっと、一緒にプレゼント買いに行きますか?」
悠真「僕は明日、ケーキとかも取に行きたいからその時に買うよ。」
陽葵「そうなんですね。」
その日、陽葵は父親にショッピングモールに連れて行ってもらい買い物をした。
次の日、お昼過ぎに悠真の部屋に集まってクリスマスパーティーが始まる。
特に飾りは無く、テーブルにはジュースや軽食やお菓子が並んでいるだけだった。
悠真「メリークリスマス!」
全員集まるとサンタ姿の悠真が掛け声をかける。
陽介「クリスマス要素お前のサンタしかないじゃないか。」
悠真「後でケーキもあるから。」
志乃「それで何するんだ?」
悠真「まずは初対面の人もいるから自己紹介からしようか。」
陽介「なら俺から。俺は野中 陽介。清澄大学に通っている。悠真と同じ映像サークルで活動中の1年だ。」
悠真「皆分かっているかもしれないけど僕は三枝 悠真。同じく清澄大学の1年です。」
陽介「次は誰がする?」
陽葵「なら私から私は桜庭 陽葵。翠嶺高校の2年生です。部活は帰宅部です。」
志乃「私は浜名瀬 志乃。以下同文だ。」
陽葵「省略しないでよ。」
志乃「同じことを言っても面白くないだろ。」
陽葵「自己紹介に面白さなんていらないよ。」
陽介「う。」
陽葵「どうしたの?」
悠真「気にしないでくれ。大学の自己紹介でやらかしただけだ。」
陽葵「あ、ああ。」
陽介「それで浜名瀬さんだっけ?犬神を祓ってくれてありがとう。」
志乃「次は無いと思っておけ。」
陽介「気を付けるけどそんな事言わないでよ。」
志乃「今回は何とかなったが次は助けれないかもしれないんだ。」
陽葵「浜名瀬さんが助けれないなんてあるの?」
志乃「即死させる妖怪だっているんだ。私だって流石に死んだ人間を生き返らせる方法は知らない。それに私がいつでも助けに行けるわけでもないんだ。」
陽介「分かったよ。」
陽葵「浜名瀬さんが助けに来れない時ってあるの?」
志乃「あるかもしれないだろ。」
悠真「まあまあ、今日はクリスマスパーティーに来たんだろ。ケーキ取って来るから食べながら楽しい話を話そう。」
悠真は冷蔵庫からケーキを持って来て切り分け席に着く。
悠真「それでみんなこの後プレゼント交換するけどどんな物持って来た?」
陽葵「私は一応誰に渡ってもいいような物を考えたんだけど大学生の人が欲しがる物って分からないからよく使いそうな物にした。」
悠真「僕もそんな感じだから仲間がいて良かったよ。」
陽介「俺は浜名瀬さんが持って来た物が気になるな。」
志乃「中身を言ってもいいのか?」
悠真「それは開けてからのお楽しみって事でヒントとかない?」
志乃「、、身につけるもの、か?」
陽介「アクセサリーとかかな。」
志乃「お前らは何持って来たんだ?」
悠真「僕は食器だよ。」
陽介「ならどうせ湯吞だろ。俺も誕生日に貰った。」
悠真「それとは違う湯呑だから。そういうお前はさぞセンスの良いものを持って来たんだろ。」
陽介「俺は無難に食べ物だ。」
悠真「それでよく人のプレゼント馬鹿にできたな。」
陽介「馬鹿にはしてないだろ。」
志乃「それで陽葵は何持って来たんだ?」
陽葵「私はまあ、見れば分かるよ。」
それからしばらく話をしながらケーキや軽食を食べてプレゼント交換になった。
陽介「普通に交換するのも面白くないからゲームしようぜ。」
陽葵「どうするの?」
陽介「1人1つお題を用意してそのお題をクリアした人がそのお題を用意した人のプレゼントを貰えるっていうのはどうだ?」
悠真「それだと複数貰える人が出ないか?」
陽介「だから最初に誰のプレゼントが欲しいか投票して1番多かった人の課題をするんだ。そこで課題をクリアした人は次の課題をクリアしてもプレゼントは無しって事で。」
陽葵「それって欲しくないプレゼントでも強制参加なの?」
陽介「そうしないと面白くないだろ。もし、要らないものでも最後に交換タイムを設けるから全部本気でやってほしい。」
陽葵「分かった。」
陽介「他の人もそれでいい?」
悠真「4つゲームできるって事だから僕はいいよ。」
志乃「課題っていうのは何を出してもいいのか?」
陽介「そこまで時間がかからなくてこの部屋の中でできるものなら。」
志乃「分かった。」
陽介「ならそれぞれ欲しいと思ったプレゼントを用意した人を指差して。」
それで陽葵と悠真は志乃、志乃は悠真、陽介は陽葵を指差した。
悠真「それぞれどうしてその人を指差したか聞いても良い?」
陽葵「そうだよ。何で浜名瀬さんは私じゃないの?」
志乃「お前のは少し怖いんだよ。確実に湯呑って分かっている方が良い。」
陽葵「ちゃんとお父さんと選んだんだよ。」
志乃「余計に怖い。それでお前は何で私のが欲しいんだ?」
陽葵「そりゃ。浜名瀬さんの手作りでしょ?欲しいよ。」
悠真「僕も何を作ったか気になるな。それにしても陽介が陽葵ちゃんだったのは意外だったな。てっきりお前も浜名瀬さんだと思っていた。」
陽介「確かに気になるけど身に着ける物だと自分のファッションに合わない事があるから陽葵ちゃんを選んだんだ。」
悠真「そうか。でも一番票が多い浜名瀬さんの課題からやって行こうか。」
志乃「課題か、あのトランプを借りても良いか?」
悠真「いいよ。何するんだ?」
志乃はマークごとに分けるとその2つを持つ。
志乃「ここに1〜Kまでの数字が2枚ずつある。私がこの中から適当な数字を選ぶからそれを当ててくれ。最初に3回当てた奴が勝ちだ。」
陽介「それはマークも当てないといけないのか?」
志乃「数字だけで良い。」
陽葵「ヒントは出るの?」
志乃「ヒントは無い。だが一度出したトランプはもう出さない。」
悠真「つまり出したトランプを覚えて当てろって事か。」
志乃「そうだ。最初は当てずっぽうになるが最後の方は覚えていないと不利になる。」
陽葵「出した数字は見れないの?」
志乃「答え合わせ以外は見れないと思ってくれ。」
陽葵「えー。私不利じゃない?」
志乃「受験頑張るんだろ。このくらいやれ。」
陽葵「分かったよ。」
志乃「それじゃ、始めるぞ。」
志乃は1枚のトランプを裏返しに出す。
志乃「これの数字は?」
陽葵「6。」
悠真「5。」
陽介「12。」
志乃がトランプを返すとそれはダイヤの7だった。
陽葵「あー惜しい。」
志乃「次いくぞ。」
陽葵「9。」
悠真「3。」
陽介「8。」
今回はハートの9で陽葵が当たる。
陽葵「やった。」
志乃「まだだぞ。次だ。」
それから次は陽葵が4、悠真が6、陽介が1を選択し、志乃のトランプはダイヤの7で正解者無し。
その次も正解者無しで1点リードしている陽葵が余裕そうな顔をしていたが次は陽介が正解して次すぐに悠真が1点取って全員が同点になると陽葵が焦りだす。
それからもう1回正解者が無かったが悠真が1点取ってその後に陽介も1点を取った。
陽葵「待って。もう数字覚えてないよ。」
志乃「それはお前が悪い。次いくぞ。」
陽葵「えー。」
それから悠真が1点取って3点取った悠真が志乃からプレゼントを貰う。
陽葵「ずーるーいー。」
悠真「実力だ。」
陽介「それで何が入っているんだ?」
悠真「最後に全員で開けないか?」
陽葵「1人ずつプレゼントの説明があった方が良いし、今開けようよ。」
悠真「それなら開けようかな。」
悠真が巾着袋から中身を取り出すと中には木製の勾玉が1つと木製の丸玉を麻の紐で輪にしたブレスレットが入っていた。
悠真「これは?」
志乃「朽護の玉だ。着けていれば何かあれば一度だけ身代わりとなってくれる。それが割れたらその場所には近づかないようにしろ。」
陽葵「何それ私もほしいんだけど。」
志乃「特殊な材料がいるんだ。本当は首から下げる物だが材料が無くて腕輪になった。それでも他の術も込めたから一度だけなら守ってくれる。」
悠真「ありがとう。ずっと着けておくよ。」
志乃「それが割れたらすぐにその場から逃げろよ。面白がって突っ込んでも私は助けないからな。」
悠真「わざわざそんなことしないよ。」
志乃「割れないことが一番なんだ。」
悠真「危ないところにも近づかないって。」
志乃「分かっているならいい。」
陽介「そんな物なら俺もほしかったな。後で交換しない?」
悠真「これは僕が貰ったものだからしない。」
志乃「次は誰がするんだ?」
陽介「残った人でせーので指差そうか。せーの。」
それで志乃は悠真、陽葵は陽介、陽介は陽葵で決まらなかったのでじゃんけんで決めると陽葵になったので陽葵はクイズを出すことにしたようだ。
それで正解した志乃が陽葵のプレゼントを貰う事になって中に入っていたのは百鬼夜行が書かれたタオルだった。
陽葵「タオルなら使うから邪魔にはならないかなって思って。柄は皆妖怪好きならこれで良いかなって思ったの。」
志乃「悪くないんじゃないか?」
陽葵「本当?良かった。」
陽介「だけど飼っている猫の名前とか仲良くないと分からない問題は卑怯じゃないか?」
悠真「お前が決めたルールだろ。」
陽介「皆が平等に楽しめるを入れるべきだった。」
陽葵「まあまあ、次いこうよ。」
陽介「だけど俺が貰うプレゼントは湯呑に決まっているんだ。やる気も出ないよ。」
志乃「全部本気でやるって言ったのはお前だ。」
陽介「分かったよ。それでどちらが先にお題出す?」
悠真「順番はどちらでもいいよ。」
陽介「なら俺からする。俺もトランプを使う。ブラックジャックだ。」
陽葵「ブラックジャック?」
悠真「簡単に言えばトランプを捲って21の数字を作る遊びだね。」
陽介「俺がディーラーするし1回目はお試しでやってみよう。」
陽葵「お願いします。」
それからお菓子の中にあった個包装のチョコをチップ代わりに5ラウンドやって一番多かった人が勝ちというルールでやると志乃が一番だった。
悠真「本当に初めて?」
志乃「運が良かっただけだ。」
陽介「何かしたのか?」
志乃「そんなことして勝っても嬉しくない。」
陽介「まあどちらにしろこれは陽葵ちゃんにあげる事になるけどね。」
陽介は陽葵にプレゼントを手渡す。
陽葵「ありがとう。だけど浜名瀬さんのが良かった。」
陽介「そんな事言わないで。勉強の合間にでも食べて。」
陽葵がプレゼントの包装を開くと駄菓子の詰め合わせが入っていた。
陽葵「うん。そうする。」
悠真「じゃあ、最後は僕かな。僕が思い浮かべている物をはいかいいえで答えられる質問で当ててください。質問は順番に、分かったら手を挙げて答えてね。」
陽介「順番はどうする?」
悠真「じゃんけんで決めようか。」
じゃんけんをすると志乃、陽葵、陽介の順になったので質問を開始する。
志乃「それは手に持てますか?」
悠真「はい。」
陽葵「なら生き物じゃないですよね。」
悠真「はい。」
陽介「金属でできている?」
悠真「大部分ははい。」
志乃「大きさは片手に収まる?」
悠真「はい。」
陽葵「壊れやすいですか?」
悠真「あー。部分的にはい、かな?」
陽介「それは悠真は持っているか?」
悠真「持ってないけど、少し欲しいと思っている。」
陽介「へー。」
悠真「あ、今のは無し。忘れて。」
陽介「だけどそれで分かった。」
悠真「だよね。前に言った事あったから。」
陽葵「えーそんなのずるいよ。」
陽介「同じような事しただろ。答えは懐中時計だな。」
悠真「正解。今度するならヒントに気を付けないとな。」
陽介は悠真にプレゼントを貰い中を見ると湯呑で、それには可愛い犬の絵が描かれていた。
陽介「だけどもらえるのは湯呑か、しかも何か可愛い。」
悠真「女の子も来るから可愛い方が良いかなと思ったんだけど結局は陽介に渡ったか。」
陽介「なあ、最初悠真のプレゼントが良いって言ってただろ。そのタオルと交換しないか?」
陽介が志乃に話しかけるが間に陽葵が入る。
陽葵「駄目だよ。そのタオルは浜名瀬さんにあげたんだから。」
志乃「それ決めるの私だろ。」
陽葵「それでも交換したら駄目!」
陽介「大丈夫。ちょっと聞いただけだから。」
陽葵が必死に止めるので陽介は諦めたようだ。
悠真「プレゼント交換も終わった事だしそろそろお開きにしようか。」
陽介「そうだな。」
志乃「後片付け手伝おうか?」
悠真「良いのか?」
陽葵「なら私も。」
志乃「お前は帰るか大人しく座ってろ。」
陽葵「えー。」
悠真「いいじゃないか。何でそんなに、、」
志乃「怪我をしたくないなら止めておけ。」
悠真「あ。はい。」
それから片づけを終わらせてそれぞれ帰路に着いた。
そして大晦日になると今年も百鬼夜行が始まる。
沢山の妖気が町に集まって来ると、志乃のアパートのチャイムが鳴る。
無視するがしつこいのでドアを開けると陽葵がいた。
陽葵「浜名瀬さん。今年も行くんだよね?」
志乃「呼んだ時以外は来るなと言っただろ。」
陽葵「大晦日だけ許してよ。」
志乃「他の日に来たら本当に引っ越すからな。」
陽葵「だけど初売りとかも行きたいな。受験が始まれば行けないだろうから。」
志乃「、、分かった。今回だけだぞ。」
陽葵「やったー。なら2日にまた来るね。」
志乃「それ以外は来るなよ。」
陽葵「うん。浜名瀬さんの方には来ないよ。」
志乃は隣に来る事を宣言している陽葵に対してため息をついて9号に押入れから化生の面を2枚持って来てもらい1枚を陽葵に渡す。
陽葵「さあ、行こう。」
悠真「どこに行くの?」
あれだけ騒がしくしていれば流石に聞こえていたようで志乃が戸締りしていると悠真が隣から出てきた。
志乃「お前を連れて行く気は無い。」
悠真「こんな時間に女性2人で危なくない?」
陽葵「浜名瀬さんがいるから大丈夫だよ。」
悠真「だよね。せめてどこ行くかだけ教えて、気になって今夜は眠れなくなるよ。」
志乃「百鬼夜行だ。見えないお前には関係ない。寝ろ。」
悠真「そんなのがこの町で行われているのか。」
陽葵「うん。去年も行ったけど凄く面白かった。」
悠真「僕も行きたいって言いたいけど、こういう事に突っ込まないって言ったから。想像だけして寝るよ。」
志乃「お前、陽葵と違って物分かりが良いんだな。」
陽葵「ちょっと。」
悠真「これ以上あなたに嫌われたくないからね。」
志乃「そうか。」
志乃と陽葵は化生の面を被って妖ノ郷へ向かう。
妖ノ郷へ入ると樹霧之介と真琴を見つける。
陽葵「まこ姉。樹霧之介。」
真琴「今年も来たのね。」
陽葵「うん。」
志乃「他の奴らは後で来るのか?」
真琴「それが雫と焔と風見は来るんだけど茂蔵は熱出しちゃって寝ているの。」
陽葵「妖怪でも病気になるの?」
真琴「ええ。特に普通の生き物から妖怪になったものはなりやすいの。」
樹霧之介「最近は寒い場所にもよく行ってましたから。」
志乃「そうか。少し様子を見てきても良いか?」
樹霧之介「はい。お願いします。」
真琴「場所分かる?案内しようか?」
志乃「頼めるか?」
真琴「ええ。」
樹霧之介「なら僕は陽葵さんとここで待っていますね。」
陽葵「私も行きたい。」
志乃「病人の所に大勢で押しかけるつもりか?」
樹霧之介「それに茂蔵は洞穴に住んでいますからあまり人が入れないんです。」
陽葵「それなら仕方ないか。」
志乃は真琴に案内されて茂蔵の住処に到着する。
そこは茂蔵なら余裕のある大きさだが人の大人だとギリギリの大きさの洞穴なので志乃は外から話しかける。
志乃「茂蔵、大丈夫か?」
茂蔵「浜名瀬か、体はだるいが寝ていれば大丈夫だぞ。」
志乃「少し診てもいいか?」
茂蔵「うーん。そうだな今そっちに行くから少し診てもらっても良いか?」
志乃「いや、そのままでいい。」
茂蔵「ここ狭いぞ。」
志乃「大丈夫だ。」
志乃が子供の姿になって入って行くと一番奥で茂蔵が寝ていた。
茂蔵「その姿、あまりなりたくないんじゃなかったのか?」
志乃「そうだがこういう時は便利だ。少し体に触っても良いか?」
茂蔵「あ、ああ。」
志乃は4号を出して茂蔵の体を調べる。
志乃「ん?風邪蚊が憑いているな。」
茂蔵「風邪は引くものだろ。」
志乃「いや風邪じゃなくて風邪蚊。小さい虫型の妖怪だ。」
茂蔵「これ妖怪のせいなのか?」
志乃「毛の中に隠れて見難いが取り憑いたら相手の体力を奪う奴だ。取り憑かれた奴は風邪と似た症状を発症するが満足するとすぐに離れるから気付かれる事が少ないんだ。」
茂蔵「そんな奴がいるのか?」
志乃「ああ。祓えば少しは楽になるだろう。」
志乃は茂蔵に憑いた風邪蚊を取り除き、潰すと小さい白い煙になって消えた。
茂蔵「何か楽になった。」
志乃「だが無くなった体力はすぐには戻らない。栄養付けて寝ていろ。」
茂蔵「分かった。」
志乃「何か食べる物はあるか?」
茂蔵「風見が持って来てくれた木の実がある。」
志乃「そうかだけど一応これも置いて行くか。」
志乃は4号に巾着袋に入った胡桃大の塊を持って来てもらう。
茂蔵「これは?」
志乃「兵糧丸だ。水でふやかして食べれば栄養は十分にある。」
茂蔵「ありがとう、、」
志乃「こんなものしか持ち合わせが無くてすまないな。」
茂蔵「いや、十分だ。それにあんたのおかげで楽になった。」
志乃「まあ、大人しく寝ていろよ。」
茂蔵「ああ。ありがとう。今晩は楽しんで来いよ。」
志乃「ありがとう。」
志乃は洞穴から出て真琴と合流する。
真琴「妖怪の仕業だったのね。」
志乃「ああ。祓ったから明日には元気になるだろう。」
真琴「流石ね。私達は全然分からなかったもの。」
志乃「茂蔵の場合は毛に隠れて余計に見難かったのもあるだろうな。なあ、真琴。」
真琴「何?」
志乃「薬について学んでみないか?」
真琴「私が?何で?」
志乃「薬は紙に包んで保存することが多い。それに私がずっと付いているわけにはいかないから自分で本を読んで学んでもらう事になる。読む事は得意だろ。」
真琴「そうね。だけど浄化って意味だったら雫の方が適任じゃない?」
志乃「そうだな、治療は雫の方が向いているかもしれない。だから薬は真琴が作って処方を雫に任せても良い。」
真琴「そうなると雫にも知識を付けてもらわないといけないわね。」
志乃「知識があるものが多い分にはいいだろ。雫にも聞いて今度真琴用と雫用に本を書いて来るよ。」
真琴「そんな事も出来るの?」
志乃「屋敷に私が書いた薬の本があるんだが、まとまってなくて読みずらいんだ。」
真琴「私はそれでもいいわよ。」
志乃「そうか。なら今度その本を持って来るよ。」
真琴「ええ。お願いね。」
それから去年と同じように妖怪達と街を練り歩いて陽葵は途中で志乃が送り、志乃は百鬼夜行が終わると朝まで黒根達と話をして帰った。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




