59話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
志乃達は全員で遊ぶことになり何をしようか話し合っている。
ハラミ「鬼ごっこしようぜ。」
陽葵「なら浜名瀬さんが鬼でしない?」
真琴「私逃げ切れる自信無いんだけど。」
黒根「なら志乃には条件を付けたらどうじゃ?」
真琴「どんな?」
黒根「子供の姿になるとかかの。」
志乃「それは嫌だから私はここから離れない事にしよう。」
陽葵「どうやって捕まえるの?」
志乃は紙の式神を1体出す。
志乃「私はこいつと感覚共有してお前らを追いかける。こいつに触られたら捕まえた事にしてくれ。」
陽葵「なら時間内に浜名瀬さんが全員捕まえれば浜名瀬さんの勝ち、1人でも逃げきれたら私達の勝ちって事でいい?」
志乃「いいんじゃないか?」
雫「範囲はどうする?狭いとどちらにしろすぐ終わるわよ。」
志乃「なら一度外に出るか?」
黒根「ここでもいいじゃろう。」
志乃「陽葵はどうする?害を与える妖怪はいなくても特殊な住処に住んでいる妖怪はいる。知らずに踏み入れたりするかもしれない。」
黒根「なら陽葵はわしと行動すればいい。」
陽葵「え。本体から離れられないんじゃなかったの?」
黒根「今は妖ノ郷の中ならある程度行動できる。問題ないよ。」
志乃「ならいいか。」
雫「範囲は妖ノ郷の中って事でいい?」
樹霧之介「ですが父さんが付いている陽葵さんはともかく志乃さんは僕の家に来るくらいであまりここの事知りませんよね?」
志乃「昔と地形は変わっているのか?」
黒根「変わってはおるが志乃なら平気じゃろ。」
陽葵「それで浜名瀬さんは管狐は使うの?」
志乃「式神は声が出せないから6号で声は飛ばすがそれ以外は使わないでおこう。」
真琴「私達は妖術を使っても良いのかしら。」
志乃「それは自由にしてくれ。ただ、自分の家に隠れたり、他の妖怪に迷惑が掛かるような事はしないでくれよ。特に陽葵。」
陽葵「何で私だけ?」
黒根「ちゃんと見とくよ。」
志乃「黒丸のこと無視するんじゃないぞ。」
陽葵「しないから。」
志乃「私は100数えるから隠れるなり逃げるなり自由にしてくれ。」
雫「捕まったらここに戻ればいいのかしら?」
志乃「ああ。」
樹霧之介「ちなみにこの式神は何か術を使う事ができるんですか?」
志乃「基本私と同じことはできる。」
真琴「え。」
志乃「だが強くはないし使うたびに式神の霊力を消費するから小さくなる。そうなると一度ここまで戻ってこないといけないから時間が掛かる。」
真琴「制限時間はどうする?」
志乃「1時間くらいでいいんじゃないか?」
風見「長くないか?」
志乃「妖術使うなら抵抗するんだろ?」
風見「何してもいいのか?」
志乃「ああ。こちらは触る事が条件だ。それを阻止するのにどんな方法を使っても良い。倒せるなら倒してもらっても良い。そしたらまた100秒数えてから新しい式神を出す。他に何か決めておくことはないか?」
雫「特にないんじゃないかしら。」
志乃「なら数え始めるぞ。」
志乃はスマホでタイマーを掛けてから目を瞑って数を数え始める。
志乃が百まで数えて目を開けると目の前に人の姿の焔がいた。
志乃「逃げなくていいのか?」
焔「あのちっこい奴に触られなきゃいいんだよな。なら1時間ここで足止めしてもいいんだろ。」
志乃「式神ならもうお前以外を探しに行かせた。」
焔が志乃の指差す方を見ると離れたところでテトテトと走って行く式神が見える。
焔「何でそんな事したんだよ。正々堂々俺と戦え!」
志乃「私はここから離れないとは言ったがここにいる奴に攻撃しないとは言っていないぞ。」
焔「そう来なくちゃ。」
志乃は周りに攻撃が当たらないように結界を張ってその中で焔の相手をする。
焔「熱くしないから炎使っていいだろ。」
志乃「別に本気で攻撃していい。当たらないから。」
焔「言ったな。後悔するなよ。紅羽。」
焔は結界内に炎の蝶を飛ばす。
触れたら爆発する炎の蝶だが志乃が触ると無効化されて消えていく。
焔「火翔。」
素早い炎が志乃に飛んで行くが志乃はそれを避けて焔と距離を縮めて後ろに回り、組み付こうとすると焔は猫の姿に変わり志乃の手をすり抜けシンプルな火の玉を飛ばしてくる。
志乃の周りに炎の蝶も集まって一度に消せそうにないなかったので結界で飛んできた火の玉を結界で受けるとその隙に焔は志乃の足元から炎の柱を準備する。
志乃は足元に妖力が集まっていることは分かっていたので発動前に呪滅符を使って無効化する。
焔「発動しない。」
そう慌てる焔を志乃は捕まえて懐から何かを取り出す。
それからしばらくしてお地蔵様に変化していた茂蔵を見つけた式神が茂蔵の上に乗って戻って来た。
茂蔵「何しているんだ?」
そこには志乃の膝の上で気持ちよさそうにブラッシングしてもらっている焔がいて、戻って来た式神が焔に触る。
志乃「茂蔵もするか?」
茂蔵「いいのか?」
焔「まだ!」
志乃「焔はもういいだろ。」
焔「もう少しいいだろ。」
志乃「次は雫を探しに行くか。茂蔵、もう少し待ってくれ。」
茂蔵「早くしてくれよ。」
雫は少し離れたところに結界を張っていて式神を入れないようにしていたが、式神が結界にしばらく触れると中に入る事ができる。
志乃「結構安定してきたな。」
雫「どうやって入って行きたの?」
志乃「これ教えたのは私だからな。書き換えることくらいできる。」
雫「そんな事もできるの?」
志乃「逃げるなら少し待つがどうする?」
雫「いいわ、これ以上は逃げれそうにないもの。」
志乃「そうか。」
式神は雫に触って雫が樹霧之介の家へ行くと茂蔵が志乃の膝の上でブラッシングされていてその横で焔が拗ねている。
焔「なあ、もう一回いいだろ。」
志乃「お前は十分にしただろ。」
雫「何してるの?」
志乃「毛をとかしているんだ。」
雫「それは分かるけどどうしてこうなったの?」
志乃「初めは興奮している焔を宥めるためにしていたんだがついでに茂蔵にもしているって感じだな。」
雫「焔が何かしたのね。」
志乃「逃げずに向かってきたから相手しただけだ。」
雫「迷惑かけたわね。」
志乃「焔なりの作戦だったんだ。遊びの内だよ。」
焔「俺は本気だった。」
雫「浜名瀬さんに迷惑かけないで。」
焔「だけど楽しかったんだ。またしたい。」
志乃「もっと強くなったらな。」
焔「おう、待ってろよ。」
雫「調子に乗るんだから甘やかさないで。」
一方、式神は風見を見つけて追いかけていた。
風見は式神の動きを見ながら予想していて中々近づけなかったので石の陰から奇襲するがそれは風の盾で防がれてしまった。
風の盾も無効化はできるがそれでは面白くないので隙を探して風見に触れる。
風見「やられた。」
志乃「だけど今までで一番粘ったぞ。」
風見「それは喜んでいいのか?」
志乃「それじゃ次行くか。」
風見「誰のとこ行くんだ?」
志乃「近くで真琴の妖気を感じたからそっちに行く。」
風見「あれでも本気で隠れているんだ。何も言わないでやってくれ。」
志乃「分かってる。」
風見も樹霧之介の家に行き、式神は近くの岩が剝き出しになった崖に向かうと一部不自然な色に変わっているところがあった。
その一部を捲るとそれは紙でできていて中に真琴が隠れていた。
真琴「やっぱり見つかるよね。だけど見つけにくかったでしょ。」
志乃「...。」
真琴「何か言ってよ。」
志乃は何も言わずに式神で真琴に触れてどこかに行ってしまった。
真琴は樹霧之介の家に戻ると意外と多くの仲間が捕まっている事を知り少しホッとする。
真琴「他にも結構捕まっていたのね。私もそこそこ上手く隠れられていたって事かしら。」
志乃「...。」
真琴「隠れられていたよね?」
それから洞窟に隠れている陽葵、木の上にいるハラミを捕まえて最後は樹霧之介だけになった。
黒根「やっぱり樹霧之介が残ったか。」
陽葵「樹霧之介って隠れるの得意なの?」
志乃「元々木霊は木の中に溶け込むのが上手いんだ。範囲が分かれば良いんだがここは森も結構多いからな。」
黒根「木を隠すなら森の中。樹霧之介は上手く隠れたのう。」
志乃「これ鬼ごっこなんだけどな。」
黒根「負け惜しみはいかんぞ。時間はどのくらい残っておる?」
志乃「後15分くらいだ。」
黒根「まだ残っておるな。」
志乃「仕方ない。虱潰しに探すか。しばらく集中するから邪魔するなよ。」
黒根「そういや、本体を邪魔するなという決まりは無かったのう。」
それを聞いて志乃は結界を張ってその中で式神に集中する。
黒根「そんな邪道な事はせんて。」
その後は何も動きはなく10分が経った頃、樹霧之介の家の近くの森を探していると高い木の上の方で樹霧之介の妖気を感じる。
志乃「見つけた。」
真琴「え。」
黒根「なあ、わしらの声はあっちに聞こえておるか?」
志乃「聞こえるようにはできる。」
黒根「最後の1人じゃできるようにしてくれんか?」
志乃「仕方ないな。6号頼む。」
一方、樹霧之介は志乃の「見つけた」という声で式神を見つける。
樹霧之介「本気で隠れたんですが流石志乃さんです。」
黒根「樹霧之介、後は樹霧之介だけじゃ。あと5分間逃げてくれんか?」
樹霧之介「だけど志乃さんの式神もうこっちに来ているんですよ。」
黒根「なら木を登っとるんじゃろう?」
樹霧之介「えっと、結界を足場に来ています。」
黒根「足止めは得意じゃろう。お前に向かっておるんじゃ、通る場所は限られておる。」
樹霧之介「分かりました。やれるだけやります。」
樹霧之介は自分のいる木の枝を伸ばして式神が触れたとたんその枝が式神の足に絡みつき、動きを止めると樹霧之介は地面に降りて罠を仕掛けながら逃げる。
式神を操っている志乃は他の枝に触ると触った場所に枝が絡みつくので、冷静に式神に絡みついた枝を取って下に降りるが罠が張り巡らされている。
妖気を探れば罠の場所は分かるが避けて通れば時間がかかるだろう。
志乃は式神に身体強化を掛けて罠が発動する前に駆け抜ける事にした。
さっきよりも速いスピードで近づいている式神に樹霧之介が気付くと慌てて走って逃げるが距離は縮められ、もう少しというところで樹霧之介は自分で罠を発動し、木の根で式神を絡み取る事に成功する。
志乃「しまった。」
黒根「樹霧之介が上手くやったようじゃの。」
罠に掛かった式神は動かなくても徐々に拘束が強くなっていくので志乃は筋力を追加で強化して拘束してくる木の根を押しのけようとする。
真琴「樹霧之介の様子が見れないのが残念ね。」
黒根「志乃、2号でその様子写せんか?」
志乃「今は無理。」
黒根「樹霧之介が善戦しておるようじゃの。」
陽葵「樹霧之介頑張って後2分だよ。」
樹霧之介は時間いっぱい式神の動きを止めようと木の根を強くするが志乃も式神の力を強めて抵抗する。
樹霧之介がもっと力を強めようとした時、式神がいきなり縮んで木の根をすり抜け樹霧之介に飛びつこうとしたその瞬間、スマホのアラームが鳴った。
樹霧之介「今のって時間切れの音ですか?僕も式神に触られたんですがこれってどっちが勝ったんでしょう?」
志乃「触ったのは時間が切れてからだ。私の負けだよ。」
その言葉に志乃以外の樹霧之介の家にいた全員が歓声を上げて喜ぶ。
黒根「お主が負けるなんて久しぶりじゃのう。」
志乃「5号がいれば勝っていた。」
黒根「そんなの勝負にならんじゃろ。」
そこに小さくなった式神を頭に乗せた樹霧之介が戻って来た。
焔「やったな!」
風見「樹霧之介やったじゃないか。」
樹霧之介「結局触られてしまいました。」
真琴「時間いっぱい粘ったんだから勝ちだよ。」
陽葵「そうだよ、浜名瀬さんを負かせたんだよ。凄いよ。」
茂蔵「おいらなんて化けてたのに一直線にこっち来たんだぞ。」
黒根「樹霧之介、よくやったな。」
樹霧之介「はい。それで志乃さん。」
志乃「何だ?」
樹霧之介「何で急に式神は縮んだんですか?」
志乃「最初に霊力が少なくなればその分縮むと言っただろ。お前の隙を狙ってわざと霊力を放出して大きさを変えたんだがその前に時間が来てしまった。」
樹霧之介「そうだったんですね。」
志乃「中々隙を見せなかったお前の粘り勝ちだ。」
樹霧之介「はい。」
志乃「だが動きが止められた時に止めを刺されていたら完全に間に合わなかった。」
樹霧之介「それは、、」
志乃「場合によっては確実な勝利を取らなくてはいけないこともある。」
樹霧之介「そうですよね。」
志乃「だが今回はお前の戦い方で勝利できたんだ。敗者が口を出す事じゃないな。」
黒根「そうじゃ。水を差すでない。」
志乃は樹霧之介の頭に乗っている式神を回収して紙に戻し、懐にしまおうとする。
樹霧之介「その式神、貰ってもいいですか?」
志乃「いいが使えないのにどうするんだ?」
樹霧之介「今日の事思い出として忘れないようにしたいんです。」
志乃「そうか。」
志乃が樹霧之介に式神を渡すと樹霧之介は嬉しそうに眺めている。
陽葵「ねえ、私には何かないの?」
ハラミ「俺、食べ物が良い。」
志乃「そうなると全員に何か渡さないといけなくなるだろ。」
陽葵「なら今度は別の遊びしよう。それで活躍したら何か欲しい。」
志乃「もう勘弁してくれ。」
真琴「そうね。忘れてたけど浜名瀬さん今朝まで寝込んでたんだから。」
陽葵「なら来週も遊びたい!」
志乃「こいつらだって予定はあるんだ。邪魔はするな。」
陽葵「えー。」
志乃「ここに来るのは呼ばれた時だけにしろ。ハラミももうここに陽葵を入れるな。」
ハラミ「何でだ?ここは妖怪は多いが襲っては来ないだろ?」
志乃「外から来る妖怪もいる。敵意が無いとはいえ妖怪しかいない場所に人間がいる事で揉め事になったりもする。」
黒根「それで昔はよく揉め事起こしておったからの。」
陽葵「そうなの?」
志乃「人の話を聞かない奴も多いんだ。だから決して1人では来るなよ。」
陽葵「ハラミもいるもん。」
志乃「ハラミはここの事をよく知らないだろ。入るのは今ここにいる誰かが付いている時だけだ。」
陽葵「もー。分かったよ。」
それから全員解散してそれぞれの家に帰った。
志乃が久しぶりにアパートへ帰ると誰もいなかった隣の部屋に表札が掛かっており、志乃がいない間に誰かが引っ越してきていたようだ。
その時は疲れていてさっさと休みたかったので特に何も思わなかったが次の日に学校へ行くために外に出て階段を降りようとした時、隣の部屋のドアが開いて20歳くらいの男性が出てきた。
男性「あ、おはようございます。」
志乃「おはようございます。」
志乃は挨拶されたので挨拶を返すとそのまま階段を降りていった。
だがその時に5号が反応していてほんの少しだけ妖気がその男性に漂っている事に気づいた。
少し気にはなったが悪さができるような量ではなかったので学校へ向かう。
志乃はしばらく休んでいたが急に寒くなった事もあって他にも体調を崩して休んでいた生徒がいたので特に注目されることはなかった。
学校では特に変わった事もなく、志乃は放課後になって陽葵と帰る。
陽葵「ねえ、浜名瀬さん。次いつ妖ノ郷に行く?」
志乃「しばらくは行かない。」
陽葵「えー、行こうよ。」
志乃「何しに?」
陽葵「遊びに。」
志乃「駄目だって言ってるだろ。」
陽葵「ハラミも行きたいよね。」
ハラミ「別に。」
陽葵「この前美味しいって言ってたおやつあるよ。」
ハラミ「たまには良いんじゃないか?」
志乃「すっかり餌付けされているな。少し太ったんじゃないか?」
陽葵「ならハラミの運動の為にも行こうよ。」
志乃「それは主であるお前の仕事だ。」
陽葵「何すればいいの?」
志乃「猫じゃらしとかあるし、猫の国みたいに鬼ごっこしてもいいだろ。」
陽葵「2人じゃつまらないよ。」
志乃「運動だって言ってるだろ。そう言えばお前ランニングしていたよな。その時ハラミはどうしているんだ?」
陽葵「家で寝てる。」
志乃「一緒に走れ。」
ハラミ「えー。その時間眠いんだよ。」
志乃「どちらかが合わせろ。」
男性「や、やあ。偶然だね。」
志乃が陽葵と話していると後ろから声を掛けられる。
陽葵「誰?」
男性「僕、三枝 悠真っていうんだけど、そっちの浜名瀬さんであってるかな?隣に引っ越したんだ。朝に挨拶したよね。」
陽葵「え?あのボロアパートに?」
志乃「そう言えばいたな。」
悠真「君達ここらに詳しい?今探している場所があるんだけど。」
志乃「知らない人には付いて行かないので。」
悠真「いや、君のお隣さんなんだけど。」
陽葵「いいじゃん。聞くだけ聞こうよ。」
悠真「ありがとう。僕は大学で友人とホラー映画を撮っていて、その映画に実際の心霊映像を使いたいんだ。この辺に心霊現象が起こるって噂の場所があるって聞いたんだけど君達何か知らない?」
陽葵「そんなところあるの?」
悠真「何でも古家が立ち並んでいる場所で人が消えるらしいんだ。」
陽葵「へー。」
悠真「見た人も遠目だったから人影しか見てないけど塀と塀の狭い間に入ったらスッと消えたらしいよ。」
志乃「ただの見間違いだろ。」
悠真「いいや、僕はきっと冥界の入り口なんじゃないかと思っている。消えた人は幽霊で成仏するためにその通路を通って冥界へ行っているんだよ。」
陽葵「私も見てみたい。」
志乃「そうか、頑張れ。」
陽葵「浜名瀬さん。そんな場所あるなら私達も探してみようよ。」
悠真「なら一緒に行くかい?」
志乃「またお前は。知らない人間に付いて行かないと約束しただろ。」
陽葵「だけど浜名瀬さんのお隣さんなんだよね。」
志乃「住んでいる場所が近いだけで他人だ。嘘を言ってお前みたいな奴を攫う人だったらどうする。」
悠真「ならこの映像を見てよ。」
悠真はスマホを取り出すと1つの映像を見せる。
そこには暗い中、石でできた荒れた階段を登っていくと朱が剥げて灰色の木が剥き出しになった鳥居があり、それをくぐって雑草が伸び放題の境内に足を踏み入れ少し歩くと社殿が写るがそこは古くなって一部が崩れ落ち、風で飛ばされた土や落ち葉で中にも雑草が生えている。
撮影者が拝殿を映していると何かに気が付き本殿の端の方をズームしてそこには白い人の形をした靄が映っているが顔の部分が少し人とは違い鼻先が細いようにも感じる。
その靄が本殿の後ろに隠れると撮影者も本殿の裏に走って行くがそこにはもう何もなく、一瞬映像が白く薄れたようにも感じたが撮影者は気付かずに神社の他の部分を写して映像は終わった。
悠真「少しだけだったけど凄いでしょ。これを撮った友人は犬の頭をした人を見たって言っていてね。映っている靄も頭が少し犬の形にも見えるでしょ。友人は今もこの神社に行ってもっとはっきりとした映像を撮るって言っているんだ。僕も負けないように心霊映像を撮りたいんだよ。」
志乃「それで2回目は撮れたか?」
悠真「これ以外は撮れてないみたいだ。」
志乃「だろうな。」
悠真「何か知っているのか?」
志乃「それはもうお前の友人の中にいる。一度お祓いに行った方が良い。」
悠真「変な事言うね。友人は今でもピンピンしてるよ。」
陽葵「浜名瀬さんの言う事は聞いた方が良いよ。」
悠真「はは。少し怖がらせ過ぎちゃったかな。」
志乃「こういう奴は一度経験しないと分からない。放っておこう。」
悠真「それで消える人が出る通路については知らない?」
志乃「知らない。」
陽葵「え。だけど古家の並んでいる場所はあるよね。」
悠真「それはどこ?」
志乃「いいから行くぞ。」
志乃は陽葵の腕を引いて悠真から距離を取る。
陽葵「もしかして浜名瀬さんその場所に心当たりあるの?」
志乃「その古家の並んでいる場所にあるものを考えろ。」
陽葵「あるもの?、、あ。妖ノ郷の入り口。じゃあ消える人影の正体って、、」
志乃「私は気をつけていたはずなんだが、お前、何も考えずに入っただろ。」
陽葵「だってあそこ、いつも人いないじゃん。」
志乃「この後行ってしばらくはそいつが見ているかもと言っておいた方が良いな。」
陽葵「私も、、」
志乃「お前は帰れ。」
陽葵「ですよね。」
志乃は妖ノ郷にある樹霧之介の家に行くが中にも裏にも樹霧之介はいなかった。
黒根も留守にしているようなので妖ノ郷の中にはいるだろうが急ぎの用でもないので後で言えばいいかと思い志乃はアパートへ帰る。
志乃が階段を上るとその音で真っ青な顔をした悠真が部屋から出てきた。
悠真「今友人に電話したら原因不明の病気で入院したって。君、何か知っているんだろ?教えてくれ。」
志乃「だからお祓いに行けと言っただろ。」
悠真「あいつの両親も神社に行っていた事は知っていたからお坊さん呼んだけど効果なかったみたいなんだ。」
2人が外廊下で話していると陽葵がカンカンと音を立てながら階段を上がって来た。
陽葵「あ、浜名瀬さん。」
志乃「呼んだ時以外来るなと言っただろ。」
陽葵「ち、違うもん。今回はこのお兄さんに用事があって来たから約束は破ってないよ。」
志乃「なら私は部屋に戻らせてもらう。」
陽葵「だけど浜名瀬さんにも聞きたい事があるの。ねえ、あの映像に写っていたのって犬神でしょ?」
志乃「調べてきたのか。」
悠真「犬神?神様を怒らせたからお祓いも利かないのか?」
志乃「犬神は神とは付くが呪術の一種だ。」
陽葵「へー。」
志乃「調べてきたんじゃないのか?」
陽葵「あ、えっと。すぐに言いに来たくて名前だけ。」
志乃「何のためのにあの本を渡したと思っている。」
悠真「それで、どうすればあいつは助かるんだ?」
志乃「少し落ち着いて話すか。」
悠真「それなら家に来なよ。少し散らかっているけど。」
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




