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59話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

志乃(しの)達は全員で遊ぶことになり何をしようか話し合っている。

ハラミ「鬼ごっこしようぜ。」

陽葵(ひまり)「なら浜名瀬(はまなせ)さんが鬼でしない?」

真琴(まこと)「私逃げ切れる自信無いんだけど。」

黒根(くろね)「なら志乃(しの)には条件を付けたらどうじゃ?」

真琴(まこと)「どんな?」

黒根(くろね)「子供の姿になるとかかの。」

志乃(しの)「それは嫌だから私はここから離れない事にしよう。」

陽葵(ひまり)「どうやって捕まえるの?」

志乃(しの)は紙の式神を1体出す。

志乃(しの)「私はこいつと感覚共有してお前らを追いかける。こいつに触られたら捕まえた事にしてくれ。」

陽葵(ひまり)「なら時間内に浜名瀬(はまなせ)さんが全員捕まえれば浜名瀬(はまなせ)さんの勝ち、1人でも逃げきれたら私達の勝ちって事でいい?」

志乃(しの)「いいんじゃないか?」

(しずく)「範囲はどうする?狭いとどちらにしろすぐ終わるわよ。」

志乃(しの)「なら一度外に出るか?」

黒根(くろね)「ここでもいいじゃろう。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)はどうする?害を与える妖怪はいなくても特殊な住処に住んでいる妖怪はいる。知らずに踏み入れたりするかもしれない。」

黒根(くろね)「なら陽葵(ひまり)はわしと行動すればいい。」

陽葵(ひまり)「え。本体から離れられないんじゃなかったの?」

黒根(くろね)「今は妖ノ郷(あやかしのさと)の中ならある程度行動できる。問題ないよ。」

志乃(しの)「ならいいか。」

(しずく)「範囲は妖ノ郷(あやかしのさと)の中って事でいい?」

樹霧之介(きりのすけ)「ですが父さんが付いている陽葵(ひまり)さんはともかく志乃(しの)さんは僕の家に来るくらいであまりここの事知りませんよね?」

志乃(しの)「昔と地形は変わっているのか?」

黒根(くろね)「変わってはおるが志乃(しの)なら平気じゃろ。」

陽葵(ひまり)「それで浜名瀬(はまなせ)さんは管狐(くだぎつね)は使うの?」

志乃(しの)「式神は声が出せないから6号で声は飛ばすがそれ以外は使わないでおこう。」

真琴(まこと)「私達は妖術を使っても良いのかしら。」

志乃(しの)「それは自由にしてくれ。ただ、自分の家に隠れたり、他の妖怪に迷惑が掛かるような事はしないでくれよ。特に陽葵(ひまり)。」

陽葵(ひまり)「何で私だけ?」

黒根(くろね)「ちゃんと見とくよ。」

志乃(しの)黒丸(くろまる)のこと無視するんじゃないぞ。」

陽葵(ひまり)「しないから。」

志乃(しの)「私は100数えるから隠れるなり逃げるなり自由にしてくれ。」

(しずく)「捕まったらここに戻ればいいのかしら?」

志乃(しの)「ああ。」

樹霧之介(きりのすけ)「ちなみにこの式神は何か術を使う事ができるんですか?」

志乃(しの)「基本私と同じことはできる。」

真琴(まこと)「え。」

志乃(しの)「だが強くはないし使うたびに式神の霊力を消費するから小さくなる。そうなると一度ここまで戻ってこないといけないから時間が掛かる。」

真琴(まこと)「制限時間はどうする?」

志乃(しの)「1時間くらいでいいんじゃないか?」

風見(かざみ)「長くないか?」

志乃(しの)「妖術使うなら抵抗するんだろ?」

風見(かざみ)「何してもいいのか?」

志乃(しの)「ああ。こちらは触る事が条件だ。それを阻止するのにどんな方法を使っても良い。倒せるなら倒してもらっても良い。そしたらまた100秒数えてから新しい式神を出す。他に何か決めておくことはないか?」

(しずく)「特にないんじゃないかしら。」

志乃(しの)「なら数え始めるぞ。」

志乃(しの)はスマホでタイマーを掛けてから目を瞑って数を数え始める。

志乃(しの)が百まで数えて目を開けると目の前に人の姿の(ほむら)がいた。

志乃(しの)「逃げなくていいのか?」

(ほむら)「あのちっこい奴に触られなきゃいいんだよな。なら1時間ここで足止めしてもいいんだろ。」

志乃(しの)「式神ならもうお前以外を探しに行かせた。」

(ほむら)志乃(しの)の指差す方を見ると離れたところでテトテトと走って行く式神が見える。

(ほむら)「何でそんな事したんだよ。正々堂々俺と戦え!」

志乃(しの)「私はここから離れないとは言ったがここにいる奴に攻撃しないとは言っていないぞ。」

(ほむら)「そう来なくちゃ。」

志乃(しの)は周りに攻撃が当たらないように結界を張ってその中で(ほむら)の相手をする。

(ほむら)「熱くしないから炎使っていいだろ。」

志乃(しの)「別に本気で攻撃していい。当たらないから。」

(ほむら)「言ったな。後悔するなよ。紅羽(くれは)。」

(ほむら)は結界内に炎の蝶を飛ばす。

触れたら爆発する炎の蝶だが志乃(しの)が触ると無効化されて消えていく。

(ほむら)火翔(かしょう)。」

素早い炎が志乃(しの)に飛んで行くが志乃(しの)はそれを避けて(ほむら)と距離を縮めて後ろに回り、組み付こうとすると(ほむら)は猫の姿に変わり志乃(しの)の手をすり抜けシンプルな火の玉を飛ばしてくる。

志乃(しの)の周りに炎の蝶も集まって一度に消せそうにないなかったので結界で飛んできた火の玉を結界で受けるとその隙に(ほむら)志乃(しの)の足元から炎の柱を準備する。

志乃(しの)は足元に妖力が集まっていることは分かっていたので発動前に呪滅符(じゅめつふ)を使って無効化する。

(ほむら)「発動しない。」

そう慌てる(ほむら)志乃(しの)は捕まえて懐から何かを取り出す。

それからしばらくしてお地蔵様に変化していた茂蔵(もぞう)を見つけた式神が茂蔵(もぞう)の上に乗って戻って来た。

茂蔵(もぞう)「何しているんだ?」

そこには志乃(しの)の膝の上で気持ちよさそうにブラッシングしてもらっている(ほむら)がいて、戻って来た式神が(ほむら)に触る。

志乃(しの)茂蔵(もぞう)もするか?」

茂蔵(もぞう)「いいのか?」

(ほむら)「まだ!」

志乃(しの)(ほむら)はもういいだろ。」

(ほむら)「もう少しいいだろ。」

志乃(しの)「次は(しずく)を探しに行くか。茂蔵(もぞう)、もう少し待ってくれ。」

茂蔵(もぞう)「早くしてくれよ。」

(しずく)は少し離れたところに結界を張っていて式神を入れないようにしていたが、式神が結界にしばらく触れると中に入る事ができる。

志乃(しの)「結構安定してきたな。」

(しずく)「どうやって入って行きたの?」

志乃(しの)「これ教えたのは私だからな。書き換えることくらいできる。」

(しずく)「そんな事もできるの?」

志乃(しの)「逃げるなら少し待つがどうする?」

(しずく)「いいわ、これ以上は逃げれそうにないもの。」

志乃(しの)「そうか。」

式神は(しずく)に触って(しずく)樹霧之介(きりのすけ)の家へ行くと茂蔵(もぞう)志乃(しの)の膝の上でブラッシングされていてその横で(ほむら)が拗ねている。

(ほむら)「なあ、もう一回いいだろ。」

志乃(しの)「お前は十分にしただろ。」

(しずく)「何してるの?」

志乃(しの)「毛をとかしているんだ。」

(しずく)「それは分かるけどどうしてこうなったの?」

志乃(しの)「初めは興奮している(ほむら)を宥めるためにしていたんだがついでに茂蔵(もぞう)にもしているって感じだな。」

(しずく)(ほむら)が何かしたのね。」

志乃(しの)「逃げずに向かってきたから相手しただけだ。」

(しずく)「迷惑かけたわね。」

志乃(しの)(ほむら)なりの作戦だったんだ。遊びの内だよ。」

(ほむら)「俺は本気だった。」

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さんに迷惑かけないで。」

(ほむら)「だけど楽しかったんだ。またしたい。」

志乃(しの)「もっと強くなったらな。」

(ほむら)「おう、待ってろよ。」

(しずく)「調子に乗るんだから甘やかさないで。」

一方、式神は風見(かざみ)を見つけて追いかけていた。

風見(かざみ)は式神の動きを見ながら予想していて中々近づけなかったので石の陰から奇襲するがそれは風の盾で防がれてしまった。

風の盾も無効化はできるがそれでは面白くないので隙を探して風見(かざみ)に触れる。

風見(かざみ)「やられた。」

志乃(しの)「だけど今までで一番粘ったぞ。」

風見(かざみ)「それは喜んでいいのか?」

志乃(しの)「それじゃ次行くか。」

風見(かざみ)「誰のとこ行くんだ?」

志乃(しの)「近くで真琴(まこと)の妖気を感じたからそっちに行く。」

風見(かざみ)「あれでも本気で隠れているんだ。何も言わないでやってくれ。」

志乃(しの)「分かってる。」

風見(かざみ)樹霧之介(きりのすけ)の家に行き、式神は近くの岩が剝き出しになった崖に向かうと一部不自然な色に変わっているところがあった。

その一部を捲るとそれは紙でできていて中に真琴(まこと)が隠れていた。

真琴(まこと)「やっぱり見つかるよね。だけど見つけにくかったでしょ。」

志乃(しの)「...。」

真琴(まこと)「何か言ってよ。」

志乃(しの)は何も言わずに式神で真琴(まこと)に触れてどこかに行ってしまった。

真琴(まこと)樹霧之介(きりのすけ)の家に戻ると意外と多くの仲間が捕まっている事を知り少しホッとする。

真琴(まこと)「他にも結構捕まっていたのね。私もそこそこ上手く隠れられていたって事かしら。」

志乃(しの)「...。」

真琴(まこと)「隠れられていたよね?」

それから洞窟に隠れている陽葵(ひまり)、木の上にいるハラミを捕まえて最後は樹霧之介(きりのすけ)だけになった。

黒根(くろね)「やっぱり樹霧之介(きりのすけ)が残ったか。」

陽葵(ひまり)樹霧之介(きりのすけ)って隠れるの得意なの?」

志乃(しの)「元々木霊(こだま)は木の中に溶け込むのが上手いんだ。範囲が分かれば良いんだがここは森も結構多いからな。」

黒根(くろね)「木を隠すなら森の中。樹霧之介(きりのすけ)は上手く隠れたのう。」

志乃(しの)「これ鬼ごっこなんだけどな。」

黒根(くろね)「負け惜しみはいかんぞ。時間はどのくらい残っておる?」

志乃(しの)「後15分くらいだ。」

黒根(くろね)「まだ残っておるな。」

志乃(しの)「仕方ない。虱潰しに探すか。しばらく集中するから邪魔するなよ。」

黒根(くろね)「そういや、本体を邪魔するなという決まりは無かったのう。」

それを聞いて志乃(しの)は結界を張ってその中で式神に集中する。

黒根(くろね)「そんな邪道な事はせんて。」

その後は何も動きはなく10分が経った頃、樹霧之介(きりのすけ)の家の近くの森を探していると高い木の上の方で樹霧之介(きりのすけ)の妖気を感じる。

志乃(しの)「見つけた。」

真琴(まこと)「え。」

黒根(くろね)「なあ、わしらの声はあっちに聞こえておるか?」

志乃(しの)「聞こえるようにはできる。」

黒根(くろね)「最後の1人じゃできるようにしてくれんか?」

志乃(しの)「仕方ないな。6号頼む。」

一方、樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)の「見つけた」という声で式神を見つける。

樹霧之介(きりのすけ)「本気で隠れたんですが流石志乃(しの)さんです。」

黒根(くろね)樹霧之介(きりのすけ)、後は樹霧之介(きりのすけ)だけじゃ。あと5分間逃げてくれんか?」

樹霧之介(きりのすけ)「だけど志乃(しの)さんの式神もうこっちに来ているんですよ。」

黒根(くろね)「なら木を登っとるんじゃろう?」

樹霧之介(きりのすけ)「えっと、結界を足場に来ています。」

黒根(くろね)「足止めは得意じゃろう。お前に向かっておるんじゃ、通る場所は限られておる。」

樹霧之介(きりのすけ)「分かりました。やれるだけやります。」

樹霧之介(きりのすけ)は自分のいる木の枝を伸ばして式神が触れたとたんその枝が式神の足に絡みつき、動きを止めると樹霧之介(きりのすけ)は地面に降りて罠を仕掛けながら逃げる。

式神を操っている志乃(しの)は他の枝に触ると触った場所に枝が絡みつくので、冷静に式神に絡みついた枝を取って下に降りるが罠が張り巡らされている。

妖気を探れば罠の場所は分かるが避けて通れば時間がかかるだろう。

志乃(しの)は式神に身体強化を掛けて罠が発動する前に駆け抜ける事にした。

さっきよりも速いスピードで近づいている式神に樹霧之介(きりのすけ)が気付くと慌てて走って逃げるが距離は縮められ、もう少しというところで樹霧之介(きりのすけ)は自分で罠を発動し、木の根で式神を絡み取る事に成功する。

志乃(しの)「しまった。」

黒根(くろね)樹霧之介(きりのすけ)が上手くやったようじゃの。」

罠に掛かった式神は動かなくても徐々に拘束が強くなっていくので志乃(しの)は筋力を追加で強化して拘束してくる木の根を押しのけようとする。

真琴(まこと)樹霧之介(きりのすけ)の様子が見れないのが残念ね。」

黒根(くろね)志乃(しの)、2号でその様子写せんか?」

志乃(しの)「今は無理。」

黒根(くろね)樹霧之介(きりのすけ)が善戦しておるようじゃの。」

陽葵(ひまり)樹霧之介(きりのすけ)頑張って後2分だよ。」

樹霧之介(きりのすけ)は時間いっぱい式神の動きを止めようと木の根を強くするが志乃(しの)も式神の力を強めて抵抗する。

樹霧之介(きりのすけ)がもっと力を強めようとした時、式神がいきなり縮んで木の根をすり抜け樹霧之介(きりのすけ)に飛びつこうとしたその瞬間、スマホのアラームが鳴った。

樹霧之介(きりのすけ)「今のって時間切れの音ですか?僕も式神に触られたんですがこれってどっちが勝ったんでしょう?」

志乃(しの)「触ったのは時間が切れてからだ。私の負けだよ。」

その言葉に志乃(しの)以外の樹霧之介(きりのすけ)の家にいた全員が歓声を上げて喜ぶ。

黒根(くろね)「お主が負けるなんて久しぶりじゃのう。」

志乃(しの)「5号がいれば勝っていた。」

黒根(くろね)「そんなの勝負にならんじゃろ。」

そこに小さくなった式神を頭に乗せた樹霧之介(きりのすけ)が戻って来た。

(ほむら)「やったな!」

風見(かざみ)樹霧之介(きりのすけ)やったじゃないか。」

樹霧之介(きりのすけ)「結局触られてしまいました。」

真琴(まこと)「時間いっぱい粘ったんだから勝ちだよ。」

陽葵(ひまり)「そうだよ、浜名瀬(はまなせ)さんを負かせたんだよ。凄いよ。」

茂蔵(もぞう)「おいらなんて化けてたのに一直線にこっち来たんだぞ。」

黒根(くろね)樹霧之介(きりのすけ)、よくやったな。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。それで志乃(しの)さん。」

志乃(しの)「何だ?」

樹霧之介(きりのすけ)「何で急に式神は縮んだんですか?」

志乃(しの)「最初に霊力が少なくなればその分縮むと言っただろ。お前の隙を狙ってわざと霊力を放出して大きさを変えたんだがその前に時間が来てしまった。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうだったんですね。」

志乃(しの)「中々隙を見せなかったお前の粘り勝ちだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

志乃(しの)「だが動きが止められた時に止めを刺されていたら完全に間に合わなかった。」

樹霧之介(きりのすけ)「それは、、」

志乃(しの)「場合によっては確実な勝利を取らなくてはいけないこともある。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうですよね。」

志乃(しの)「だが今回はお前の戦い方で勝利できたんだ。敗者が口を出す事じゃないな。」

黒根(くろね)「そうじゃ。水を差すでない。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)の頭に乗っている式神を回収して紙に戻し、懐にしまおうとする。

樹霧之介(きりのすけ)「その式神、貰ってもいいですか?」

志乃(しの)「いいが使えないのにどうするんだ?」

樹霧之介(きりのすけ)「今日の事思い出として忘れないようにしたいんです。」

志乃(しの)「そうか。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)に式神を渡すと樹霧之介(きりのすけ)は嬉しそうに眺めている。

陽葵(ひまり)「ねえ、私には何かないの?」

ハラミ「俺、食べ物が良い。」

志乃(しの)「そうなると全員に何か渡さないといけなくなるだろ。」

陽葵(ひまり)「なら今度は別の遊びしよう。それで活躍したら何か欲しい。」

志乃(しの)「もう勘弁してくれ。」

真琴(まこと)「そうね。忘れてたけど浜名瀬(はまなせ)さん今朝まで寝込んでたんだから。」

陽葵(ひまり)「なら来週も遊びたい!」

志乃(しの)「こいつらだって予定はあるんだ。邪魔はするな。」

陽葵(ひまり)「えー。」

志乃(しの)「ここに来るのは呼ばれた時だけにしろ。ハラミももうここに陽葵(ひまり)を入れるな。」

ハラミ「何でだ?ここは妖怪は多いが襲っては来ないだろ?」

志乃(しの)「外から来る妖怪もいる。敵意が無いとはいえ妖怪しかいない場所に人間がいる事で揉め事になったりもする。」

黒根(くろね)「それで昔はよく揉め事起こしておったからの。」

陽葵(ひまり)「そうなの?」

志乃(しの)「人の話を聞かない奴も多いんだ。だから決して1人では来るなよ。」

陽葵(ひまり)「ハラミもいるもん。」

志乃(しの)「ハラミはここの事をよく知らないだろ。入るのは今ここにいる誰かが付いている時だけだ。」

陽葵(ひまり)「もー。分かったよ。」

それから全員解散してそれぞれの家に帰った。

志乃(しの)が久しぶりにアパートへ帰ると誰もいなかった隣の部屋に表札が掛かっており、志乃(しの)がいない間に誰かが引っ越してきていたようだ。

その時は疲れていてさっさと休みたかったので特に何も思わなかったが次の日に学校へ行くために外に出て階段を降りようとした時、隣の部屋のドアが開いて20歳くらいの男性が出てきた。

男性「あ、おはようございます。」

志乃(しの)「おはようございます。」

志乃(しの)は挨拶されたので挨拶を返すとそのまま階段を降りていった。

だがその時に5号が反応していてほんの少しだけ妖気がその男性に漂っている事に気づいた。

少し気にはなったが悪さができるような量ではなかったので学校へ向かう。

志乃(しの)はしばらく休んでいたが急に寒くなった事もあって他にも体調を崩して休んでいた生徒がいたので特に注目されることはなかった。

学校では特に変わった事もなく、志乃(しの)は放課後になって陽葵(ひまり)と帰る。

陽葵(ひまり)「ねえ、浜名瀬(はまなせ)さん。次いつ妖ノ郷(あやかしのさと)に行く?」

志乃(しの)「しばらくは行かない。」

陽葵(ひまり)「えー、行こうよ。」

志乃(しの)「何しに?」

陽葵(ひまり)「遊びに。」

志乃(しの)「駄目だって言ってるだろ。」

陽葵(ひまり)「ハラミも行きたいよね。」

ハラミ「別に。」

陽葵(ひまり)「この前美味しいって言ってたおやつあるよ。」

ハラミ「たまには良いんじゃないか?」

志乃(しの)「すっかり餌付けされているな。少し太ったんじゃないか?」

陽葵(ひまり)「ならハラミの運動の為にも行こうよ。」

志乃(しの)「それは主であるお前の仕事だ。」

陽葵(ひまり)「何すればいいの?」

志乃(しの)「猫じゃらしとかあるし、猫の国みたいに鬼ごっこしてもいいだろ。」

陽葵(ひまり)「2人じゃつまらないよ。」

志乃(しの)「運動だって言ってるだろ。そう言えばお前ランニングしていたよな。その時ハラミはどうしているんだ?」

陽葵(ひまり)「家で寝てる。」

志乃(しの)「一緒に走れ。」

ハラミ「えー。その時間眠いんだよ。」

志乃(しの)「どちらかが合わせろ。」

男性「や、やあ。偶然だね。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)と話していると後ろから声を掛けられる。

陽葵(ひまり)「誰?」

男性「僕、三枝(さえぐさ) 悠真(ゆうま)っていうんだけど、そっちの浜名瀬(はまなせ)さんであってるかな?隣に引っ越したんだ。朝に挨拶したよね。」

陽葵(ひまり)「え?あのボロアパートに?」

志乃(しの)「そう言えばいたな。」

悠真(ゆうま)「君達ここらに詳しい?今探している場所があるんだけど。」

志乃(しの)「知らない人には付いて行かないので。」

悠真(ゆうま)「いや、君のお隣さんなんだけど。」

陽葵(ひまり)「いいじゃん。聞くだけ聞こうよ。」

悠真(ゆうま)「ありがとう。僕は大学で友人とホラー映画を撮っていて、その映画に実際の心霊映像を使いたいんだ。この辺に心霊現象が起こるって噂の場所があるって聞いたんだけど君達何か知らない?」

陽葵(ひまり)「そんなところあるの?」

悠真(ゆうま)「何でも古家が立ち並んでいる場所で人が消えるらしいんだ。」

陽葵(ひまり)「へー。」

悠真(ゆうま)「見た人も遠目だったから人影しか見てないけど塀と塀の狭い間に入ったらスッと消えたらしいよ。」

志乃(しの)「ただの見間違いだろ。」

悠真(ゆうま)「いいや、僕はきっと冥界の入り口なんじゃないかと思っている。消えた人は幽霊で成仏するためにその通路を通って冥界へ行っているんだよ。」

陽葵(ひまり)「私も見てみたい。」

志乃(しの)「そうか、頑張れ。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。そんな場所あるなら私達も探してみようよ。」

悠真(ゆうま)「なら一緒に行くかい?」

志乃(しの)「またお前は。知らない人間に付いて行かないと約束しただろ。」

陽葵(ひまり)「だけど浜名瀬(はまなせ)さんのお隣さんなんだよね。」

志乃(しの)「住んでいる場所が近いだけで他人だ。嘘を言ってお前みたいな奴を攫う人だったらどうする。」

悠真(ゆうま)「ならこの映像を見てよ。」

悠真(ゆうま)はスマホを取り出すと1つの映像を見せる。

そこには暗い中、石でできた荒れた階段を登っていくと朱が剥げて灰色の木が剥き出しになった鳥居があり、それをくぐって雑草が伸び放題の境内に足を踏み入れ少し歩くと社殿が写るがそこは古くなって一部が崩れ落ち、風で飛ばされた土や落ち葉で中にも雑草が生えている。

撮影者が拝殿を映していると何かに気が付き本殿の端の方をズームしてそこには白い人の形をした靄が映っているが顔の部分が少し人とは違い鼻先が細いようにも感じる。

その靄が本殿の後ろに隠れると撮影者も本殿の裏に走って行くがそこにはもう何もなく、一瞬映像が白く薄れたようにも感じたが撮影者は気付かずに神社の他の部分を写して映像は終わった。

悠真(ゆうま)「少しだけだったけど凄いでしょ。これを撮った友人は犬の頭をした人を見たって言っていてね。映っている靄も頭が少し犬の形にも見えるでしょ。友人は今もこの神社に行ってもっとはっきりとした映像を撮るって言っているんだ。僕も負けないように心霊映像を撮りたいんだよ。」

志乃(しの)「それで2回目は撮れたか?」

悠真(ゆうま)「これ以外は撮れてないみたいだ。」

志乃(しの)「だろうな。」

悠真(ゆうま)「何か知っているのか?」

志乃(しの)「それはもうお前の友人の中にいる。一度お祓いに行った方が良い。」

悠真(ゆうま)「変な事言うね。友人は今でもピンピンしてるよ。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんの言う事は聞いた方が良いよ。」

悠真(ゆうま)「はは。少し怖がらせ過ぎちゃったかな。」

志乃(しの)「こういう奴は一度経験しないと分からない。放っておこう。」

悠真(ゆうま)「それで消える人が出る通路については知らない?」

志乃(しの)「知らない。」

陽葵(ひまり)「え。だけど古家の並んでいる場所はあるよね。」

悠真(ゆうま)「それはどこ?」

志乃(しの)「いいから行くぞ。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)の腕を引いて悠真(ゆうま)から距離を取る。

陽葵(ひまり)「もしかして浜名瀬(はまなせ)さんその場所に心当たりあるの?」

志乃(しの)「その古家の並んでいる場所にあるものを考えろ。」

陽葵(ひまり)「あるもの?、、あ。妖ノ郷(あやかしのさと)の入り口。じゃあ消える人影の正体って、、」

志乃(しの)「私は気をつけていたはずなんだが、お前、何も考えずに入っただろ。」

陽葵(ひまり)「だってあそこ、いつも人いないじゃん。」

志乃(しの)「この後行ってしばらくはそいつが見ているかもと言っておいた方が良いな。」

陽葵(ひまり)「私も、、」

志乃(しの)「お前は帰れ。」

陽葵(ひまり)「ですよね。」

志乃(しの)妖ノ郷(あやかしのさと)にある樹霧之介(きりのすけ)の家に行くが中にも裏にも樹霧之介(きりのすけ)はいなかった。

黒根(くろね)も留守にしているようなので妖ノ郷(あやかしのさと)の中にはいるだろうが急ぎの用でもないので後で言えばいいかと思い志乃(しの)はアパートへ帰る。

志乃(しの)が階段を上るとその音で真っ青な顔をした悠真(ゆうま)が部屋から出てきた。

悠真(ゆうま)「今友人に電話したら原因不明の病気で入院したって。君、何か知っているんだろ?教えてくれ。」

志乃(しの)「だからお祓いに行けと言っただろ。」

悠真(ゆうま)「あいつの両親も神社に行っていた事は知っていたからお坊さん呼んだけど効果なかったみたいなんだ。」

2人が外廊下で話していると陽葵(ひまり)がカンカンと音を立てながら階段を上がって来た。

陽葵(ひまり)「あ、浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「呼んだ時以外来るなと言っただろ。」

陽葵(ひまり)「ち、違うもん。今回はこのお兄さんに用事があって来たから約束は破ってないよ。」

志乃(しの)「なら私は部屋に戻らせてもらう。」

陽葵(ひまり)「だけど浜名瀬(はまなせ)さんにも聞きたい事があるの。ねえ、あの映像に写っていたのって犬神(いぬがみ)でしょ?」

志乃(しの)「調べてきたのか。」

悠真(ゆうま)犬神(いぬがみ)?神様を怒らせたからお祓いも利かないのか?」

志乃(しの)犬神(いぬがみ)は神とは付くが呪術の一種だ。」

陽葵(ひまり)「へー。」

志乃(しの)「調べてきたんじゃないのか?」

陽葵(ひまり)「あ、えっと。すぐに言いに来たくて名前だけ。」

志乃(しの)「何のためのにあの本を渡したと思っている。」

悠真(ゆうま)「それで、どうすればあいつは助かるんだ?」

志乃(しの)「少し落ち着いて話すか。」

悠真(ゆうま)「それなら家に来なよ。少し散らかっているけど。」

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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