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58話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)の家で真琴(まこと)の術の練習に付き合っていると急に何かに気付いて2号の幻で姿を隠してしまった。

訳も分からずにいると樹霧之介(きりのすけ)の家の扉が叩かれる。

樹霧之介(きりのすけ)が扉を開けるとそこにはハラミを連れた陽葵(ひまり)がいた。

樹霧之介(きりのすけ)陽葵(ひまり)さん?どうやってここに入れたんですか?」

妖ノ郷(あやかしのさと)には妖力が使えないと入ることはできず、人間である陽葵(ひまり)に妖力があるわけがないのだ。

陽葵(ひまり)「私、猫又(ねこまた)と契約したの。浜名瀬(はまなせ)さんがここに管狐(くだぎつね)で入っているから私もハラミに頼んだら入れたの。」

真琴(まこと)「そう言えば前に電話で話した時そんな事話したわね。」

黒根(くろね)「それで用は志乃(しの)の事かの?」

陽葵(ひまり)「そう。2日間も休むなんて何があったのかなって、いつもまこ姉に電話で聞いてもごまかされるし直接聞きに来たの。」

真琴(まこと)「言って良いか分からないから濁してるのよ。」

黒根(くろね)「そういう事か。おい、志乃(しの)出てこい。」

陽葵(ひまり)「え。浜名瀬(はまなせ)さんここにいるの?」

樹霧之介(きりのすけ)「父さんいいんですか?」

黒根(くろね)「こうした方が次から無茶する事が減るじゃろ。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんがどうしたんですか?」

黒根(くろね)「詳しい事は言えんが代償を払う事になってな。あと1,2日くらいで元に戻るだろうが今は声が出せんのじゃ。」

陽葵(ひまり)「それを見られたくなくて隠れているの?」

黒根(くろね)「そうじゃ。」

黒根(くろね)にバラされた志乃(しの)は諦めて姿を現す。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)はスマホに文字を打ち込み陽葵(ひまり)に見せる。

※今回も志乃(しの)はまだ喋れないのでしばらく志乃(しの)のセリフは何かに書いた内容になります。

志乃(しの)「こんな事ならハラミとの契約しなきゃよかった。」

陽葵(ひまり)「そんなことないよ。弱いところ見せたくないのは分かるけど理由も分からず待つだけのこっちの気持ちも考えてよ。」

志乃(しの)「どうしろと?」

陽葵(ひまり)「スマホでメッセージ送れるんだから何でも言ってよ。確かに私じゃ頼りないだろうし何もできないかもしれないけど聞くことはできるよ。」

黒根(くろね)「そうじゃ。話すだけでも楽になる事はある。話せる事だけでも話したらどうじゃ?」

志乃(しの)「話せることが無い。」

陽葵(ひまり)「何かあるでしょ。ほら、学校での事とか。」

志乃(しの)「帰り道に付き纏ってくる奴の事で困ってはいる。」

陽葵(ひまり)「それって私の事?」

志乃(しの)「自覚はあるみたいで良かったよ。」

陽葵(ひまり)「だって浜名瀬(はまなせ)さん声かけないと1人でさっさと帰るじゃん。」

志乃(しの)「別にいいだろ。」

その時扉が開いて(しずく)も入って来た。

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さん、そろそろ熱吸い取った方が良いと、、何で陽葵(ひまり)もいるの?」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん熱もあるの?」

陽葵(ひまり)志乃(しの)の顔に手を伸ばすので志乃(しの)はそれを後ろに下がって避ける。

陽葵(ひまり)「何で逃げるの。」

(しずく)「あまり動くと熱が上がるわよ。」

黒根(くろね)「そうじゃ。病人は大人しく寝ておれ。」

志乃(しの)「誰のせいでこうなっていると思っているんだ?」

黒根(くろね)「こうなる事を考えずに猫又(ねこまた)との契約を手伝った奴のせいかの。」

志乃(しの)「後で覚えてろよ。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。熱があるなら寝た方が良いよ。私も昔はよく熱出してたけどその度に辛かったもん。あの時はお父さんいなくて、お母さんも働きに出ていたから1人だったせいもあってより辛くて不安だったの。」

志乃(しの)「分かったよ。私は寝るからお前は帰れ。」

陽葵(ひまり)「えー。私も浜名瀬(はまなせ)さんの看病する。」

志乃(しの)「お前がいたら休めないんだ。帰れ。」

陽葵(ひまり)「なら明日休みだからまた来るね。」

志乃(しの)「来るな。」

陽葵(ひまり)「お見舞い持って来るから。」

志乃(しの)「いらないから来るな。」

陽葵(ひまり)はそれらを無視して樹霧之介(きりのすけ)の家から出て行った。

(しずく)「騒がしかったわね。」

志乃(しの)「明日も騒がしくなりそうだ。」

(しずく)「まあ、いいわ。浜名瀬(はまなせ)さん、座って手を出して。」

(しずく)志乃(しの)の熱を吸い取ると帰って行き、志乃(しの)は布団に入る。

樹霧之介(きりのすけ)「それにしても陽葵(ひまり)さん。猫又(ねこまた)と契約していたんですね。」

真琴(まこと)「そうね。浜名瀬(はまなせ)さん反対していたんじゃないの?」

志乃(しの)「妖怪がどういうものか分かってきていたからな。たまたま猫の国に行った時に付いてきたから契約したんだ。」

黒根(くろね)「ハチベエは元気だったか?」

志乃(しの)「相変わらずだった。また鬼ごっこさせられたよ。」

黒根(くろね)「ああ。あれか。」

志乃(しの)黒丸(くろまる)の所には猫団子できていたよな。」

黒根(くろね)「お主は結界の足場で猫達の届かない所に逃げていたじゃろ。」

志乃(しの)「攻撃禁止なのに手を出そうとした奴よりかはいいんじゃないか?」

黒根(くろね)「あいつらわしを爪とぎにしようとしたんじゃぞ。仕方なかろう。」

真琴(まこと)「猫に攻撃したの?」

黒根(くろね)「木の根を使い引き剥がしだけじゃ。それより志乃(しの)は何でそんなところに行ったんじゃ。」

志乃(しの)「花火を見ないかと同級生に呼ばれたんだ。深渚(ふかなぎ)巫女(みこ)が海を荒らす妖怪を封印したのがその時期だったからその祭りだろうな。」

黒根(くろね)「そうか。」

樹霧之介(きりのすけ)「そんな巫女がいたんですね。」

黒根(くろね)「その巫女がハチベエじゃがな。」

真琴(まこと)「え。巫女って雄の猫だったの?」

黒根(くろね)「ハチベエは雌じゃ。」

どこかでやった事のあるやり取りをしているうちに夜になり、志乃(しの)は寝て樹霧之介(きりのすけ)達は妖ノ郷(あやかしのさと)の出入り口を設置できる場所を朝まで探して眠りについた。

昨日までは昼過ぎまでは静かだったのに今日は朝から騒がしい声が聞こえる。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん、来たよ。」

志乃(しの)「帰れ。」

志乃(しの)はまだ声が出せずスマホに打ち込んだ文字を枕元まで走って来た陽葵(ひまり)に見せる。

陽葵(ひまり)「まだ声出せないの?やっぱりまだ安静にしなきゃだめだよ。」

志乃(しの)「なら安静にさせろ。」

陽葵(ひまり)樹霧之介(きりのすけ)とまこ姉は?」

志乃(しの)「いつも昼過ぎに起きてくる。」

陽葵(ひまり)「え?だけど朝にも活動していた事あったよね。」

志乃(しの)「何もなければこの時間寝ているんだ。裏で樹霧之介(きりのすけ)黒丸(くろまる)が寝ているんだから静かにしてやれ。」

陽葵(ひまり)「色々持ってきたから出すね。」

志乃(しの)「喋れないからって無視するな!」

陽葵(ひまり)「大丈夫。静かにするから。それでスポーツドリンクでしょ、ゼリーでしょ。それに甘酒。私が熱を出した時遠いところからおばあちゃんが来てくれて作ってくれた甘酒がすごくおいしかったの。だから昨日おばあちゃんに電話して作り方教えてもらったんだよ。」

志乃(しの)「余計な事はしてないだろうな?」

陽葵(ひまり)「大丈夫。今回は絶対成功させたかったからおばあちゃんに教えてもらった事以外の事はしていないよ。炊飯器を使うレシピで調理はほぼ炊飯器がしてくれたんだから。」

そう言って陽葵(ひまり)志乃(しの)に水筒に入った甘酒を差し出し、志乃(しの)はそれを受け取る。

志乃(しの)「味見はしたのか?」

陽葵(ひまり)「急いでここに来たからしてない。だけどおばあちゃんが言った通りに作ったから大丈夫だよ。」

志乃(しの)は恐る恐る水筒の蓋を開けて匂いを嗅ぐと酸っぱい匂いがして水筒の蓋に注いでみると泡が立ち、明らかに腐っている事が分かる。

志乃(しの)「お前は私に止めでも刺しに来たのか?」

志乃(しの)はこれが異常だということを分かってほしくて陽葵(ひまり)に注いだ甘酒を渡す。

陽葵(ひまり)「え?確かに何か違うような臭いはするけど大丈夫でしょ?」

陽葵(ひまり)は匂いを嗅いで1口飲んでみる。

陽葵(ひまり)「酸っぱ、にっが。何これ。」

志乃(しの)「雑菌が入ったんだろう。手洗いを怠ったり、古い麴を使っていないか?」

陽葵(ひまり)「えっと、甘酒作ろうと思ったのは棚を見てたら麹を見つけたからなの。お母さんもいつ買ったか覚えてなかったんだけど封も開いてなかったし、綺麗に見えたから使いました。」

志乃(しの)「賞味期限は?」

陽葵(ひまり)「見ていません。」

志乃(しの)「もったいないがこれは飲めない。捨てろ。」

陽葵(ひまり)「はい。」

ハラミ「だから変な匂いがするって言っただろ。」

陽葵(ひまり)「だって、おばあちゃんの言った通りに作ったから大丈夫だと思ったの。」

志乃(しの)「お前の祖母もまさかそんな麴を使うとは思っていなかったんだろ。」

ハラミ「こいつの両親もハラハラしながら見ててさ。これでスポーツドリンクを買うようにお金を渡してたぜ。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)の親はお前が料理するのを何故止めない。」

ハラミ「俺も聞いたんだけどさ。結婚して夫を殺さないようにしたいから今経験を積ませたいんだって。」

志乃(しの)「私はいいのか?」

ハラミ「代わりに謝っておいてって言われたぞ。」

陽葵(ひまり)「皆して私の何が駄目なの?」

志乃(しの)「その理由はお前の手の中にあるだろ。」

陽葵(ひまり)「次は上手くいくから。」

志乃(しの)「その次はいつやって来るんだ?」

陽葵(ひまり)「次は次だよ。」

陽葵(ひまり)の声が徐々に大きくなっていてそれを聞いた眠そうな樹霧之介(きりのすけ)が扉を開けて入って来た。

樹霧之介(きりのすけ)陽葵(ひまり)さん。来ていたんですね。出迎えも無しにすみません。」

陽葵(ひまり)「ごめん。起こしちゃった?」

樹霧之介(きりのすけ)「それはいいです。志乃(しの)さんのお見舞いですか?」

志乃(しの)「いや、暗殺だ。」

樹霧之介(きりのすけ)「どういうことですか?」

陽葵(ひまり)「違うもん。少し失敗しただけだもん。」

樹霧之介(きりのすけ)「失敗?」

不思議そうにしている樹霧之介(きりのすけ)陽葵(ひまり)は持っていた水筒の蓋を渡し、樹霧之介(きりのすけ)は中に入っている液体の匂いを嗅ぐと何かを察する。

陽葵(ひまり)「確かに飲めないけど暗殺は言い過ぎだと思わない?」

樹霧之介(きりのすけ)「だけど、志乃(しの)さんが冗談言うのって陽葵(ひまり)さんの前だけですよね。」

陽葵(ひまり)「そうなの?」

志乃(しの)「お前の調子に合わせているだけだ。用事が終わったんだから周りにも迷惑だからさっさと帰れ。」

陽葵(ひまり)「分かったよ。また来るから。」

志乃(しの)「もう来るな。」

陽葵(ひまり)が少し嬉しそうに帰って行くと沈黙の時間が流れる。

志乃(しの)「うるさくして悪かった。朝に戻ってあまり寝てないだろ。」

樹霧之介(きりのすけ)「気付いていたんですか?」

志乃(しの)「寝てても周りに反応してしまうんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「なら志乃(しの)さんが寝た時は僕も寝た方が良いですか?」

志乃(しの)「癖みたいなものだ。そんな気を遣わなくていい。私のせいでお前らのやる事を邪魔する方が嫌だからな。」

樹霧之介(きりのすけ)「それなら今日もまた少し行きますが気にしないでくださいね。」

志乃(しの)「別に昼から行ってもいいんだぞ。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんの看病するって言いましたから。」

志乃(しの)「寝てるだけで良いんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「それでも何かしたいんです。」

志乃(しの)「分かった。だけどそれで体調崩されたら嫌だから今はお前も寝ろ。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。おやすみなさい。」

志乃(しの)「おやすみ。」

それから昼過ぎにまた昨日と同じように過ごして朝、起きると熱も下がり声が出るようになっていた。

志乃(しの)陽葵(ひまり)が突撃して来る事を警戒していたが朝に来ることはなく、布団を片付けたりして過ごしていると真琴(まこと)が来る少し前のお昼頃に勢いよく扉が開く。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん、来たよ。」

志乃(しの)「静かにしろ。」

陽葵(ひまり)「声戻ったんだ。」

志乃(しの)黒丸(くろまる)も1,2日くらいで治ると言っていただろ。」

陽葵(ひまり)の声で樹霧之介(きりのすけ)黒根(くろね)も部屋に入って来る。

樹霧之介(きりのすけ)陽葵(ひまり)さんいらっしゃい。」

陽葵(ひまり)「お邪魔してます。」

志乃(しの)「昨日もだが不法侵入だろ、少しは考えて行動しろ。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん声が戻ったんですね。良かったです。」

志乃(しの)「熱も引いている。心配かけたな。」

樹霧之介(きりのすけ)「いえ、回復して良かったです。」

そこに真琴(まこと)(しずく)が来る。

(しずく)志乃(しの)に熱が無い事を確かめると帰って行き、志乃(しの)真琴(まこと)と新しい術の練習を始める。

陽葵(ひまり)「何するの?」

志乃(しの)「お前はいつまで居るつもりだ?」

真琴(まこと)「いいじゃない。今、浜名瀬(はまなせ)さんに言霊を参考に私の新しい術を練習していたの。」

陽葵(ひまり)「言霊?」

志乃(しの)「言霊は言葉で相手の真名を縛り簡単な命令を聞かせる術だ。」

陽葵(ひまり)「何それ使ってみたい。」

志乃(しの)「教えないぞ。相手の方が上だったり名前を間違えれば返ってくる事もある危ない術だ。」

陽葵(ひまり)「なら見せてよ。」

樹霧之介(きりのすけ)「ですが霊力使うんですよね?」

志乃(しの)「相手が抵抗しなければそこまで消費は無い。それに名の無い無機物なら簡単に使える。」

陽葵(ひまり)「無機物にも使えるの?」

陽葵(ひまり)はキラキラした目で志乃(しの)を見て、これは何かしないと満足しないなと思い実演することにした。

志乃(しの)はビー玉を取り出して陽葵(ひまり)に転がしてもらい、志乃(しの)が「止まれ」と一言言うとビー玉はピタリと止まった。

陽葵(ひまり)「、、なんか地味だね。」

志乃(しの)「どんなのを想像していたんだ。」

陽葵(ひまり)「ハラミの念力みたいに自由に操れるのかなと。」

志乃(しの)「短い言葉で伝えられる事でないと使えないぞ。」

陽葵(ひまり)「なら浮けとかは?」

志乃(しの)「命令した物体が浮ける物ならできるだろうな。」

陽葵(ひまり)「他にはないの?」

志乃(しの)「他って同じような事しかできないぞ。」

陽葵(ひまり)「なら私に使えないの?」

志乃(しの)「いいが後悔するなよ。」

陽葵(ひまり)「大丈夫。ほらやって。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)の名、我が名に伏し、言に従え。」

陽葵(ひまり)「何か変わった?」

志乃(しの)「黙れ。」

陽葵(ひまり)「ん!?」

志乃(しの)がそう言うと陽葵(ひまり)は口が開かなくなり唸っている。

志乃(しの)「動くな。」

次は陽葵(ひまり)は指一本動かせなくなった。

志乃(しの)「もういいだろ。解くぞ。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)の頭に手を置き「解」と唱えると陽葵(ひまり)は動けるようになって口も開くようになった。

陽葵(ひまり)「びっくりした。」

志乃(しの)「地味だが真名さえ分かれば強力な技だ。」

陽葵(ひまり)「何で浜名瀬(はまなせ)さんは使わないの?」

志乃(しの)「真名が分からない事が多いのと名前が知られている奴は大体強い奴ばかりだから使うこと自体が少ないんだ。直接攻撃した方が早いし確実だから好んで使う奴もあまりいない。」

真琴(まこと)「ねえ、私にもできる?」

志乃(しの)「何でだ?」

真琴(まこと)「ほら、今練習している術に役立てないかなって思って。」

志乃(しの)「まあいいか。真琴(まこと)の名、我が名に伏し、言に従え。」

真琴(まこと)「さっきとは別の命令できる?」

志乃(しの)「できるが何で少し楽しそうなんだ?」

真琴(まこと)「いいから。」

志乃(しの)「なら。立て。後ろを向け。」

座っていた真琴(まこと)は立ち上がり後ろの壁の方を向く。

真琴(まこと)「体が勝手に動くの少し怖いわね。」

志乃(しの)「もう止めておくか?」

真琴(まこと)「霊力が無いならもういいけど。」

志乃(しの)「いや、抵抗されてないから霊力には余裕がある。」

真琴(まこと)「ならもう少し続けてくれる?」

志乃(しの)「分かったが次は何するか。」

陽葵(ひまり)「回れ、とか?」

志乃(しの)「、、歩け。」

志乃(しの)は少し考えて命令を出すと真琴(まこと)は歩きだし壁にぶつかるがその場で歩き続ける。

陽葵(ひまり)「ゲームで見る光景だ。」

志乃(しの)「ゲーム?私は命令されたら逆らえない事を知ってほしくてこれにしたんだが。」

真琴(まこと)「前に進めないのに歩き続けなきゃいけないのね。」

陽葵(ひまり)「ねえ、これがもし前へ進めだったらどうなるの?」

志乃(しの)「その時は壁を壊して進む。怪我しようと体が動くならその命令に従い続ける。」

陽葵(ひまり)「何それゾンビみたいで怖い。」

志乃(しの)「だが相手より力の差があることが条件だ。誰にでも使えるものではない。」

真琴(まこと)「それは良いんだけどそろそろ解いてもらっても良い?」

志乃(しの)「もういいのか?」

真琴(まこと)「ええ。」

志乃(しの)真琴(まこと)の術も解き、真琴(まこと)はまたちゃぶ台を前にして座る。

志乃(しの)「知りたいことは知れたか?」

真琴(まこと)「ええ。何となくだけど。」

陽葵(ひまり)「まこ姉は何を練習しているの?」

真琴(まこと)「紙に文字を書いて強化してるの。」

陽葵(ひまり)「文字で?」

真琴(まこと)「そうよ。浜名瀬(はまなせ)さんに手伝ってもらって少しできるようになったから見ている?」

陽葵(ひまり)「うん。」

真琴(まこと)は紙を1枚出し、そこに「硬い」と妖力を注ぎながら書くとするとペラペラだった紙は鉄板のように硬くなった。

陽葵(ひまり)「凄い。」

真琴(まこと)「これが一番妖力使わなくて簡単なんだけど問題があるのよね。」

陽葵(ひまり)「何が問題なの?盾とかに良さそうなのに。」

真琴(まこと)「私も浜名瀬(はまなせ)さんから指摘されるまで分からなかったんだけど戦闘に使えないの。」

志乃(しの)「体調も戻ったから実演した方が早いか?」

真琴(まこと)「そうね。」

志乃(しの)「なら外に行くか。」

真琴(まこと)「あんまり本気出さないでね。」

志乃(しの)「しばらく寝てたから体を動かしたいんだ。」

真琴(まこと)「答えになってないわよ。」

それでも真琴(まこと)は外に行ってさっきの硬くした紙を構えて志乃(しの)の攻撃を待ち構える。

最初に志乃(しの)が紙を蹴り飛ばすと紙は衝撃を吸収せずに真琴(まこと)の方にも衝撃が伝わる。

柔軟性が無くなった分衝撃はより伝わっているようだ。

次に志乃(しの)は短刀を9号に持って来てもらうとそれで紙を切り裂く。

志乃(しの)「衝撃を吸収するなら硬くしない方が良いし、斬りにくくはなったが切れないわけじゃない。それに紙だから炎で燃える。利点と言ったら水に濡れても破れないことくらいか?」

陽葵(ひまり)「なら切れないとか衝撃吸収とかは書けないの?」

真琴(まこと)「曖昧だったり複雑な物だと妖力を消費して1回使ったらそれ以外使えなくなるのよ。」

陽葵(ひまり)「なら2つは書けないの?例えば硬いと動かないだったらさっきの蹴りも止めれるんじゃないの?」

真琴(まこと)「いいわね。それ。やってみましょう。」

真琴(まこと)は硬いと書いた紙を浮かせたまま固定と書く。

真琴(まこと)浜名瀬(はまなせ)さんもう一度お願い。」

志乃(しの)「分かった。」

志乃(しの)がその紙に蹴りを入れるが今度は紙は動かず真琴(まこと)まで衝撃がいかない。

真琴(まこと)「やった。成功じゃない?」

志乃(しの)「妖力消費の少ない物の組み合わせか、他にも色々できそうだな。」

真琴(まこと)陽葵(ひまり)ありがとう。これでさきに進めそうだわ。」

陽葵(ひまり)「まこ姉の役に立ったのなら良かった。」

志乃(しの)「だが一度固定したら動かせないんだろ。もっと他に書けるものはないか?」

真琴(まこと)「それが問題なのよね。妖力の消費が少ないと言っても使い捨てにしてたら妖力が無くなるわ。」

志乃(しの)「いや、そうだ。真琴(まこと)お前文字浮かせられただろ。」

真琴(まこと)「そうか。固定の文字を動かす間浮かせて無効化すればいいのね。」

志乃(しの)「私は素手だけで攻撃するから止めてみてくれないか?」

真琴(まこと)「お、お手柔らかにお願いします。」

真琴(まこと)は最初文字を付けるタイミングがズレたり文字を浮かせれずに紙の移動が間に合わなかったりしていたが徐々に志乃(しの)の動きに付いて行けるようになった。

志乃(しの)「いいじゃないか。もう少し本気出してもいいか?」

真琴(まこと)「勘弁してそろそろ私の妖力が尽きるわ。」

志乃(しの)「仕方ない。」

真琴(まこと)「本当に昨日まで熱出して寝込んでた人なの?」

模擬戦に気づいてその場にいなかった他の仲間達も集まって来た。

(しずく)「病み上がりなのにそんなに動いてもいいの?」

(ほむら)「楽しそうな事してるじゃん。混ぜてくれよ。」

ハラミ「ヒッ!」

陽葵(ひまり)「ハラミどうしたの?」

志乃(しの)「猫は縄張り意識が強いからな。格上の縄張りに入ったとでも思ったか?」

陽葵(ひまり)「縄張り?だけど猫の国は色々な猫がいたでしょ?」

志乃(しの)「だからハチベエみたいに管理する奴がいるんだ。」

(ほむら)「お、猫又(ねこまた)じゃん。そいつ陽葵(ひまり)の式神なのか?」

陽葵(ひまり)「そうだよ。」

(ほむら)「なら仲良くしようぜ。」

(ほむら)は笑顔で近づくがハラミは怖がっている。

(しずく)「怖がらせないの。」

(ほむら)「何だよ。勝手に怖がっているだけだろ。何で俺が叱られなきゃいけないんだ。」

風見(かざみ)「お前はもう大丈夫なのか?」

志乃(しの)「見ての通りだ。」

茂蔵(もぞう)「良かったな。」

志乃(しの)「ああ。」

茂蔵(もぞう)「それで常闇(とこやみ)を使っているっていう屋敷ってどんな所なんだ?」

志乃(しの)茂蔵(もぞう)は呼んだことなかったか。」

真琴(まこと)「それなら私も行った事ないわね。」

志乃(しの)「機会があったらな。」

真琴(まこと)「用事がないと行ったら駄目?」

志乃(しの)「誰かを呼ぶような場所ではないからな。」

風見(かざみ)「いや、結構立派な場所だろ。色んな施設もあった。」

志乃(しの)「ほとんどが陰陽師に関わる場所だ。お前達が行ってもつまらないだろ。それに危ない物も置いてある。」

茂蔵(もぞう)「危ないもの?」

志乃(しの)常闇(とこやみ)の封印とか。」

風見(かざみ)「それは危ないな。」

志乃(しの)「この前の物より大きいからあれの封印が無くなれば今の私じゃ片腕ではすまない。」

真琴(まこと)「それなら行くの止めとこうかな。」

(ほむら)「なあ、志乃(しの)!お前はどっちが好きだ?」

いつの間にか猫の姿になっている(ほむら)志乃(しの)に質問をする。

志乃(しの)「何の話だ。」

(しずく)(ほむら)浜名瀬(はまなせ)さんを困らせるのは止めなさい。」

(ほむら)「だけど、このままじゃ勝負がつかない。」

ハラミ「そうだ。俺の方が可愛いだろ。」

志乃(しの)「愛嬌があるのはハラミだと思うが、、」

ハラミ「そうだろ。」

志乃(しの)(ほむら)にも可愛いところはあるぞ。」

(ほむら)志乃(しの)ならそう言ってくれると思ったぜ。」

志乃(しの)「仲良くなったのはいいが何でそんな話しになったんだ?」

(ほむら)「俺が優しくしたら調子に乗りやがって、俺よりも人から好かれるとか言い出したんだ。」

ハラミ「それくらいしか勝てそうなものなかったんだ。」

(ほむら)「可愛いのも俺だ。」

志乃(しの)「くだらない。」

(しずく)「ほらやっぱり浜名瀬(はまなせ)さんも同じこと言うって言ったじゃない。」

(ほむら)「俺らにとっては大事な事だ。」

志乃(しの)「もういいだろ。私は帰る。」

(ほむら)「元気になったのなら俺とも遊んでくれてもいいだろ。」

志乃(しの)「仕方ないな。」

陽葵(ひまり)「なら全員でできる遊びしない?」

(ほむら)「何するんだ?」

陽葵(ひまり)「どうしようか?」

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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