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56話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)妖ノ郷(あやかしのさと)へ着くと樹霧之介(きりのすけ)の家に向かう。

そこでは(ほむら)黒根(くろね)が待っていた。

黒根(くろね)「おかえり。」

樹霧之介(きりのすけ)「ただいま。」

黒根(くろね)志乃(しの)、話は聞いたか?」

志乃(しの)「ああ。私は洗脳だと思うが黒丸(くろまる)はどう考えている?」

黒根(くろね)「わしもその線は考えておるが、名を奪われた可能性は無いか?」

志乃(しの)「だがそれだとなんで代償を払うかもしれない危険を冒してまであいつらの名を奪うんだ?」

黒根(くろね)「分からんが風見(かざみ)達がいなくなった時間を考えると洗脳はできないんじゃないか?」

志乃(しの)「先に真琴(まこと)が操られている。真琴(まこと)の紙で動きを封じられているかもしれない。」

黒根(くろね)「そうか、それならできるのか。」

志乃(しの)(ほむら)も女の子の妖怪を見ているのか?」

(ほむら)「俺も1人の時に会ったんだ。真琴(まこと)といて、お前が犯人かって怒鳴ったら真琴(まこと)に攻撃されて見失った。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)と同じ感じか。」

樹霧之介(きりのすけ)「他の皆は何で連れて行かれたんでしょう?」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)も女の子を責めたり怒ったりしていたから他の奴らはその逆をしたんじゃないか?」

樹霧之介(きりのすけ)「いなくなった皆は優しくしたって事ですか?」

志乃(しの)「優しくする事が洗脳の条件かもしれないな。」

樹霧之介(きりのすけ)「そう言えばアカマタの時もそんな感じの条件ありましたね。」

志乃(しの)「一度行ってみるか。」

樹霧之介(きりのすけ)「僕も行きます。」

志乃(しの)「大丈夫なのか?」

樹霧之介(きりのすけ)「仲間が危険に晒されているのに待っている事なんてできません。」

志乃(しの)「私は攻撃されたらそれが真琴(まこと)達だったとしても容赦なく攻撃するぞ。」

樹霧之介(きりのすけ)「僕なら真琴(まこと)達の動きを止められます。安全に捕獲できますよ。」

志乃(しの)「、、やっぱり樹霧之介(きりのすけ)はここに残れ。」

樹霧之介(きりのすけ)「何でですか!?」

黒根(くろね)樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)は今から戦いに行くんじゃ。安全なんてものは無い。」

樹霧之介(きりのすけ)「だけど僕なら枝や根っこで動きを止められます。」

黒根(くろね)「もしそれで一時的に動きを封じても暴れたらどうするんじゃ?」

樹霧之介(きりのすけ)「そしたら拘束を強めます。」

黒根(くろね)「そしたら拘束されている方は強い力で締め付けられるじゃろ?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

黒根(くろね)「そこで痛いと言われたらお前はどうする?」

樹霧之介(きりのすけ)「それは、、」

黒根(くろね)「それで力を緩め、拘束が外れればこちらが攻撃される。目的の為に多少の犠牲を覚悟できなければ連れて行ってはくれんよ。」

樹霧之介(きりのすけ)「それなら僕は志乃(しの)さんの補助に回ります。」

黒根(くろね)「どうするんじゃ?」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんは真琴(まこと)達を気絶させるつもりですよね?」

志乃(しの)「ああ。」

樹霧之介(きりのすけ)「気絶したら僕が回収して守ります。」

(ほむら)「それなら俺が運ぶ。樹霧之介(きりのすけ)は守る事に集中してくれ。」

黒根(くろね)志乃(しの)が気絶させて(ほむら)が回収して樹霧之介(きりのすけ)が守るか、いいんじゃないか?」

志乃(しの)「そうだな。」

樹霧之介(きりのすけ)「なら僕も行っていいんですね。」

志乃(しの)「ああ。頼む。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

それから志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)の案内で女の子と真琴(まこと)が一緒にいた場所に到着したがその頃には日は沈んでいた。

志乃(しの)は5号を出して周りに誰かいないか調べてもらうと山の中を走っている茂蔵(もぞう)を見つけたのでそっちに向かう。

息を切らして走る茂蔵(もぞう)志乃(しの)に気が付くと飛び付いてきたので志乃(しの)がそれを避けると志乃(しの)の後ろにあった木に激突して1枚の紙を落とす。

茂蔵(もぞう)「何で避けるんだ。」

志乃(しの)「お前、操られているか?」

志乃(しの)霊縛符(れいばくふ)を構えて茂蔵(もぞう)を警戒する。

茂蔵(もぞう)「おいらは違う。それよりも追われているんだ。」

志乃(しの)「誰にだ?」

志乃(しの)茂蔵(もぞう)が走って来た方向を向くとそこには真琴(まこと)がいた。

樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)!」

真琴(まこと)樹霧之介(きりのすけ)の呼びかけには応じず紙の槍を準備する。

そこに志乃(しの)が飛び出してその紙の槍を短刀で斬って止め、普通の紙で反撃しようとした真琴(まこと)より早く脇腹に蹴りを入れようとしたが真琴(まこと)を風の鎧が包む。

だが志乃(しの)は霊力でその鎧を無効化し、そのまま蹴りを入れると真琴(まこと)は飛ばされて木にぶつかり気絶する。

志乃(しの)風見(かざみ)もいるのか。」

???「何で?」

志乃(しの)「誰だ。」

???「何で意地悪するの?」

声の方を見ると女の子が(しずく)に連れられて立っていた。

樹霧之介(きりのすけ)「先に真琴(まこと)を連れて行ったのはそっちじゃないですか。」

(ほむら)「そうだ。(しずく)を返せ。」

女の子「違うよ。お友達になったんだよ。だから私と一緒にいてくれるんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「それは真琴(まこと)が言ったんですか?」

女の子「お友達になろうって言ったのはお姉ちゃんだよ。だから似顔絵を描いてお友達の箱に入れたの。」

樹霧之介(きりのすけ)「お友達の箱?」

女の子「うん。それなのに何で狸さんは逃げたの?お友達になってくれるって言ったじゃない。」

茂蔵(もぞう)「こんなの友達じゃない。友達っていうのは無理矢理いう事聞かせるもんじゃないだろ。」

女の子「無理矢理?私はお願いしているだけだよ?」

志乃(しの)「そのお友達の箱っていうのは何だ?」

女の子「意地悪するお姉ちゃんには教えない。」

その時真琴(まこと)が起きて志乃(しの)達の方に向かって小さめの紙の槍を複数飛ばしてくる。

(ほむら)紅羽(くれは)!」

真琴(まこと)の放った槍は全て(ほむら)の出した蝶の炎に焼かれて志乃(しの)達に届くことはなかった。

女の子「綺麗。ねえ、あなたもお友達にならない?」

(ほむら)「なるか!(しずく)を返せ!」

女の子「さっきもだけど何で怒鳴るの?怖い。」

女の子が泣き出すと(しずく)(ほむら)を睨み、雨を降らせる。

(ほむら)(しずく)!何でそいつの味方をするんだよ。何で、、」

(ほむら)は雨でできた水に顔を包まれて息ができなくなるが、それに志乃(しの)が手を入れると術は解除される。

志乃(しの)「大丈夫か?」

(ほむら)「ゲホッ。お前がそのつもりならこっちだって本気でやるぞ。」

炎を出しても雨で消されるので(ほむら)は木製の車輪を1つ出して(しずく)に向かって攻撃するが雨の水に包まれるとスピードが落ち、止まってしまう。

それでも(ほむら)はそのまま動かそうとしてそれを止める(しずく)と力比べになる。

その間にも真琴(まこと)が攻撃してくるので志乃(しの)真琴(まこと)をねじ伏せて9号が持って来た縄で縛り、霊縛符(れいばくふ)を数枚貼り付け動きを封じた。

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)を頼む。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)に言われて真琴(まこと)を守る体制に入る。

その時力比べをしていた(しずく)は急に術を解き、膝をつくと力を込めた(ほむら)の車輪は(しずく)と女の子に向かって行く。

勢いの付いた車輪は(ほむら)にも制御できていないようで、それに当たれば怪我では済まないだろう。

その時風見(かざみ)が出てきて風の盾で止めようとするが風見(かざみ)の小さな体では勢いを弱めることができず飛ばされてしまう。

志乃(しの)(しずく)に当たる前に結界符(けっかいふ)を持たせた9号で防ぐが威力は中々落ちず、結界が壊れそうな時に志乃(しの)は車輪を持っていた短刀で真っ二つに斬ってやっと止まった。

(ほむら)(しずく)!大丈夫か!?」

志乃(しの)「妖力が切れたんだ。」

志乃(しの)は女の子に近づくが(しずく)は起き上がり戦おうとするがこれ以上妖力を使えば存在が消える可能性があるため志乃(しの)(しずく)の腹部を殴って気絶させる。

その間に女の子は風見(かざみ)と共にいなくなっていた。

志乃(しの)(しずく)真琴(まこと)と同じく縛って霊縛符(れいばくふ)を貼り付ける。

(ほむら)「なあ、志乃(しの)(しずく)、戻るんだよな?」

志乃(しの)「ああ、戻すつもりだがその前に何が原因でこうなったか調べる必要がある。」

(ほむら)「あの子供が何かしたんだろ?」

志乃(しの)「あの女の子、着物で隠れていたが片足しかなかった。多分雪坊(ゆきんぼ)だろう。」

(ほむら)雪坊(ゆきんぼ)?女なのにか?」

志乃(しの)「続きは集まってから話そうか。」

(ほむら)「分かった。」

(ほむら)樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)を連れてきて、志乃(しの)は隠れている茂蔵(もぞう)を見つけて連れてきた。

志乃(しの)「それで雪坊(ゆきんぼ)なんだが雪に片足の足跡を付けるだけの妖怪だ。人はその子供の足跡だけを見て雪坊(ゆきんぼ)って名前を付けたんだ。まあ、ちゃんと男の子の雪坊(ゆきんぼ)もいるけどな。」

樹霧之介(きりのすけ)「そんな妖怪が何で真琴(まこと)達を操るんですか?」

志乃(しの)「何かの呪具を使っている可能性がある。茂蔵(もぞう)はお友達の箱を見たか?」

茂蔵(もぞう)「見た。」

志乃(しの)「どんな見た目だった?」

茂蔵(もぞう)「黒漆塗りの手箱だった。最初に名前を聞かれて答えてさ。友達になってって言われて、説得しようと思って付いて行ったら似顔絵を描きだして、その時は普通の女の子だなって思ったんだ。」

志乃(しの)「名前?」

志乃(しの)はさっき茂蔵(もぞう)が落とした紙を拾って見てみるとそこにはクレヨンで描かれた子供の落書きのような茂蔵(もぞう)の顔と汚いひらがなの文字でもぞうと書かれていた。

志乃(しの)「この紙を箱に入れようとしたのか?」

茂蔵(もぞう)「そうだ。これであなたもお友達って言われた時に嫌な予感がしてその紙を咥えて隠れて、暗くなったから逃げようとしたら見つかって追われたんだ。」

志乃(しの)「黒塗りの手箱と名前入りの紙か。厄介な事になったかも知れないな。」

茂蔵(もぞう)「厄介な事?」

志乃(しの)「多分だがその手箱は名留(などめ)(はこ)真琴(まこと)達は洗脳じゃない。名前を取られている。」

樹霧之介(きりのすけ)「だけど代償が伴うんですよね?」

志乃(しの)「代償は名を取る時には発生しない。名を返す時と間違えた時に起きるんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「ならその女の子は真琴(まこと)達を返すつもりはないという事ですか?」

志乃(しの)「名を返す時の代償はそこまで重くは無い。名を奪っていた時間と同じ時間、喋られなくなって熱を出すくらいだからな。」

樹霧之介(きりのすけ)「それでも1年間奪っていたら1年間寝込む事になる事もあるんですよね?」

志乃(しの)「そうだな。体が思うように動かせない上にそれを伝えることができない。名前を奪われた人の気持ちを奪われた時間分考えろって事なんだろうな。」

樹霧之介(きりのすけ)「それでもしも名前を間違えたらどうなるんですか?」

志乃(しの)「最悪常闇(とこやみ)に吸い込まれる。」

茂蔵(もぞう)「そこに吸い込まれたらどうなるんだ?」

志乃(しの)「そこは真っ暗な空間で時間すらも呑み込む。上も下も自分がどこにいるかも分からず、時間は流れないが意識はあるためしまいには精神がおかしくなる。」

樹霧之介(きりのすけ)「そんな危険な物を使ってまで何で真琴(まこと)達を操っているんでしょう?」

志乃(しの)「あの様子だともしかしたら代償の事を知らないのかもしれないな。」

茂蔵(もぞう)「確かに最初はただ友達が欲しいって感じであまり嫌な感じはしなかったんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「それでもあの子がした事は許される事ではありません。」

志乃(しの)「そうだな。悪意はなくても悪い事をしたのであれば罰は受けないといけない。私は茂蔵(もぞう)とその小屋まで行くが樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)はここに残って真琴(まこと)(しずく)を頼む。」

樹霧之介(きりのすけ)「2人だけで大丈夫ですか?」

志乃(しの)「この2人を放っておく事もできない。私が気絶させたら守ってくれるんだろ?」

樹霧之介(きりのすけ)「分かりました。真琴(まこと)(しずく)が正気に戻ったら僕達も向かいます。無茶だけはしないでください。」

志乃(しの)「分かってる。行くぞ茂蔵(もぞう)茂蔵(もぞう)?」

志乃(しの)茂蔵(もぞう)の名前を呼ぶが茂蔵(もぞう)は答えずどこか一点を見つめて走り出してしまった。

志乃(しの)茂蔵(もぞう)の名前が取られた。風見(かざみ)がまだあっちにいるから私達の名前も取られるかもしれない。」

(ほむら)「大丈夫なのか?」

志乃(しの)雪坊(ゆきんぼ)は似顔絵も描かないといけないと思っているだろうからその分時間は掛かると思う。」

樹霧之介(きりのすけ)「それでも時間はありませんよね。」

志乃(しの)「ああ。樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)は互いにおかしなところが無いか観察していてくれ。」

志乃(しの)が走って茂蔵(もぞう)を追って行くと明かりの点いた木造の小屋が見えてくる。

その小屋に志乃(しの)が入ると雪坊(ゆきんぼ)は1枚の紙を手箱に入れて蓋を閉めるところだった。

誰の紙か分からないがそれを志乃(しの)は止めようとするが蓋は閉められ、その瞬間雪坊(ゆきんぼ)の後の壁に常闇(とこやみ)が現れて雪坊(ゆきんぼ)を吸い込もうとする。

近くにいた風見(かざみ)茂蔵(もぞう)も吸い込まれそうになっており、志乃(しの)は急いで結界符(けっかいふ)を貼った棒手裏剣を投げて壁に刺し、常闇(とこやみ)の前に結界を張ると物は通らなくはなったが吸引力はそのままで部屋のものを片っ端から吸い込み、結界に引っかかる。

そして手箱も吸い込まれて中の紙が箱からばら撒かれた事により名前を取られていた風見(かざみ)茂蔵(もぞう)は正気に戻ったが茂蔵(もぞう)風見(かざみ)志乃(しの)の結界に張り付いている状態になっていた。

茂蔵(もぞう)「何だこれ!?どうなってるんだ?」

風見(かざみ)「吸い込まれてるのか?」

志乃(しの)「そのままもう少し耐えていろ。」

時間が経てば経つほど常闇(とこやみ)の吸引力は強くなり、それは代償の対象を吸い込むまで続くが志乃(しの)常闇(とこやみ)に近づいて何枚かお札を貼ると吸引力が弱まっていく。

最後に志乃(しの)雪坊(ゆきんぼ)の髪を1本抜いて常闇(とこやみ)に吸い込ませると常闇(とこやみ)は閉じて無くなり、常闇(とこやみ)が吸い込んでいたせいで結界に張り付いていたもの達は床へと落ちる。

茂蔵(もぞう)「おい。その腕大丈夫なのか?」

志乃(しの)常闇(とこやみ)を封印するのに霊力を使い過ぎただけだ。明後日には元に戻る。」

志乃(しの)が霊力を使い過ぎて封印仕切れなくなった呪いが志乃(しの)の左腕から左胸にかけて灰にしてしまい、志乃(しの)はそれを結界符(けっかいふ)を使って結界で覆っている。

結界は服の中なので周りからは左腕が無くなっているように見えている。

辺りには紙やクレヨン等がばら撒かれていて志乃(しの)は片手で拾い集め、それを見ていた茂蔵(もぞう)風見(かざみ)は拾うのを手伝う。

全て集めると似顔絵が描かれているのは真琴(まこと)風見(かざみ)(しずく)茂蔵(もぞう)志乃(しの)だった。

操られたのは真琴(まこと)風見(かざみ)(しずく)茂蔵(もぞう)の4名で名前を間違えた事により現れる常闇(とこやみ)が現れた原因は志乃(しの)の似顔絵を入れた時だと分かる。

だがその似顔絵に書かれた名前は綺麗とは言えない文字だがちゃんとひらがなでしのと書かれていた。

志乃(しの)は似顔絵を丸めて竹筒に入れ、雪坊(ゆきんぼ)の様子を見に行くと雪坊(ゆきんぼ)は名前を戻した代償で熱が出て苦しそうにしている。

それを見て志乃(しの)名留(などめ)(はこ)を探していると樹霧之介(きりのすけ)達が合流する。

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん。真琴(まこと)(しずく)、正気に戻りましたよ、ってその腕どうしたんですか?」

志乃(しの)常闇(とこやみ)を封印するのに霊力を使い過ぎたんだ。明後日には戻れると思うから心配はするな。」

樹霧之介(きりのすけ)「心配、しますよ。」

志乃(しの)「説教は後で聞く。悪いがまだ終わっていないんだ。」

真琴(まこと)「そうです。浜名瀬(はまなせ)さん、あの子どうなりました?」

志乃(しの)「そこだ。今は名前を返した代償で熱を出している。」

真琴(まこと)「私、この子に操られて、樹霧之介(きりのすけ)浜名瀬(はまなせ)さん達を攻撃したの覚えている。だけどこの子はこの小屋で1人で寂しかっただけなの。お願い看病だけでもさせてくれない?」

(しずく)「私も(ほむら)にした事覚えてる。だけど1人でいる寂しさは分かるから私も看病したい。」

志乃(しの)「私は止めるつもりはない。」

樹霧之介(きりのすけ)「この子がした事は許せませんが苦しんでいる妖怪を放っておくような事はできません。真琴(まこと)達が良いのであれば止めません。」

(ほむら)「勝手にしろ。」

志乃(しの)「ただ、こいつは雪坊(ゆきんぼ)だ。雪の妖怪は熱に弱い。このままだと明日には溶けるぞ。」

真琴(まこと)「嘘でしょ?何とかできないの?」

志乃(しの)「それで今、、あ、あった。」

(しずく)「それは?」

志乃(しの)名留(などめ)(はこ)の蓋、隙間に入って見つからなかったのか。」

志乃(しの)名留(などめ)(はこ)の蓋を箪笥の隙間から取り出し、先に見つけていた本体と合わせる。

真琴(まこと)「それで何するの?」

志乃(しの)「、、後で分かる。お前らは雪坊(ゆきんぼ)の方を見ていてくれ。」

真琴(まこと)「分かったわ。」

樹霧之介(きりのすけ)「だけど霊力無いんですよね。大丈夫なんですか?」

志乃(しの)「札の霊力を使うから大丈夫だ。」

志乃(しの)名留(などめ)(はこ)に何かを書くと結界符(けっかいふ)を裏を表にして貼り、最後に名留(などめ)(はこ)を叩き割った。

それからしばらくすると雪坊(ゆきんぼ)は熱が引いて起き上がれるようになる。

真琴(まこと)「良かった。浜名瀬(はまなせ)さんありがとう。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん。何したんですか?」

志乃(しの)は口をパクパクさせると辺りを見渡してクレヨンと紙を拾い何かを書くと樹霧之介(きりのすけ)達に見せる。

そこには「代償の対象を自分に書き換えた。」と書いてあった。

樹霧之介(きりのすけ)「何してるんですか!」

真琴(まこと)「そうよ。言ってくれれば私が対象になったのに。」

志乃(しの)はまた何かを書くと樹霧之介(きりのすけ)達に見せる。

そこには「自分以外の対象を指定するには霊力を多く使う。まだ代償を受けても軽い自分に移すのが最善だった。」と書いてあった。

樹霧之介(きりのすけ)「そうかもしれませんが、、熱っ。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)の手に触れると、まるでお湯が入った急須に触った時みたいに熱かった。

樹霧之介(きりのすけ)「無茶しないでって約束したじゃないですか。」

志乃(しの)はまた何か書き始める。

※ここから志乃(しの)のセリフは志乃(しの)が喋れるようになるまで何かに書いた内容になります。

志乃(しの)「他に方法が無かった。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうですけど、志乃(しの)さん1人が犠牲になる事は無いんですよ。」

志乃(しの)「ごめん。」

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さん、熱があるのよね。冷やしましょう。」

志乃(しの)(しずく)は妖力切らしてなかったか?」

(しずく)「正気に戻った時(ほむら)に分けて貰ったから大丈夫よ。手を出して。」

志乃(しの)(しずく)に手を差し出すと、(しずく)は自分の手を重ねてそこから志乃(しの)の熱を水に吸い取らせていく。

(しずく)「どう?人間にするのは初めてなんだけど辛くない?」

志乃(しの)はその問いに頷く。

(しずく)「喋れないって結構不便よね。」

風見(かざみ)「なあ、代償って何だ?」

樹霧之介(きりのすけ)「そう言えば風見(かざみ)だけあの時いませんでしたね。」

雪坊(ゆきんぼ)「私も知りたい。私は何をしたの?あの箱はお友達を作るものじゃなかったの?」

樹霧之介(きりのすけ)「違いますよ。」

真琴(まこと)樹霧之介(きりのすけ)、この子は寂しかっただけなの。」

樹霧之介(きりのすけ)「分かっています。ですが知らないままっていうのは駄目です。ちゃんと自分のしたことを分かったうえで反省してもらいます。」

真琴(まこと)「そうね。」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)から聞いた内容をまだ聞いてなかったもの達に話す。

風見(かざみ)「それで常闇(とこやみ)が出てきたんだな。」

雪坊(ゆきんぼ)「だけどあのお姉ちゃんの名前は志乃(しの)なんでしょ?私ちゃんと書いたよ。」

真琴(まこと)「最後に書いていたのは浜名瀬(はまなせ)さんなのね。」

茂蔵(もぞう)「だけどお前の文字汚いから別の文字だと思われたんじゃないか?」

雪坊(ゆきんぼ)「私、今は練習中だけど書けてたもん。真琴(まこと)のお姉ちゃんも(しずく)のお姉ちゃんも書けたもん。」

真琴(まこと)「確かに浜名瀬(はまなせ)さんの名前は二文字で難しいものじゃないのに何で間違えたのかな?その紙って今どこにあるの?」

茂蔵(もぞう)「それなら浜名瀬(はまなせ)が回収してたぜ。」

真琴(まこと)「そうなの?」

真琴(まこと)志乃(しの)の方を向くが志乃(しの)はまだ(しずく)に熱を取ってもらっていて答えられそうにない。

(ほむら)「それでこいつどうするんだ?」

雪坊(ゆきんぼ)「ごめんなさい。だけどもう1人は嫌。置いてかないで。」

雪坊(ゆきんぼ)は泣いて真琴(まこと)に訴えかける。

真琴(まこと)「私がこれからも面倒を見てもいいけど私は寒いところにずっといられないのよ。」

(ほむら)「それだとまた何かするかもしれないだろ。」

真琴(まこと)「何が悪いか分からなかっただけよ。教えてあげればもうこんな事はしないわ。」

その時紙を持った志乃(しの)真琴(まこと)の肩を叩く。

志乃(しの)「保護者がいればもうしないだろう。雪爺(ゆきじじい)のところに預けるのはどうだ?」

真琴(まこと)雪爺(ゆきじじい)って誰?」

志乃(しの)「昔柚子(ゆず)が世話をしたことのある妖怪だ。他にも雪ん子達や雪女もいるから寂しくはないだろう。」

樹霧之介(きりのすけ)「母さんが?」

真琴(まこと)樹霧之介(きりのすけ)のお母さんと繋がりがあるなら安心ね。」

志乃(しの)「なら今から行くか。」

真琴(まこと)「今から?浜名瀬(はまなせ)さんは大丈夫なの?」

志乃(しの)(しずく)のおかげで楽になった。そのくらい平気だ。」

(しずく)「だけど無理は禁物よ。」

(ほむら)「なあ、それ人魚の効果で治せないのか?」

志乃(しの)「代償はした事に対する罰だから人魚の効果は効きにくい。」

(しずく)「身から出た錆って事なのね。浜名瀬(はまなせ)さんの場合は違うけど。」

雪坊(ゆきんぼ)「私のせいでごめんなさい。」

志乃(しの)は首を横に振る。

志乃(しの)妖ノ郷(あやかしのさと)から行ける出口があるはずだから一度行こうか。」

(しずく)「だけどこんなに大勢がいきなり行ってもいいの?」

志乃(しの)「そうだな。何人かは妖ノ郷(あやかしのさと)で待っていてもらおう。」

真琴(まこと)「私は行くわよ。この子の事話さないと。」

志乃(しの)「前行った時に樹霧之介(きりのすけ)の事を話してあるから樹霧之介(きりのすけ)も来てくれないか?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

(しずく)「私も行こうかしら。浜名瀬(はまなせ)さんがまた熱出したら私が対処するわ。」

(ほむら)(しずく)が行くなら俺も行く。」

(しずく)「あなたはお留守番。今から行く所は雪の妖怪がいるところなのよ。炎を使うあなたが行ったら迷惑が掛かるでしょ。」

志乃(しの)「それにあそこはここよりも寒い。いいのか?」

(ほむら)「それなら待ってる。」

茂蔵(もぞう)「おいらも寒いのは嫌だな。」

風見(かざみ)「ワイも、何もできそうにないから待ってる。」

結局行くのは志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)(しずく)の4名となった。

志乃(しの)達は妖ノ郷(あやかしのさと)に戻ると5号に雪爺(ゆきじじい)の妖気を辿ってもらい、出口を見つけて雪爺(ゆきじじい)の所に向かうと雪爺(ゆきじじい)達がいる洞窟の周りには薄く雪が積もっており、雪坊(ゆきんぼ)は足跡を付けて喜んでいる。

洞窟の入り口は中の冷気を出さないように氷で塞がれていて入る事は出来なさそうだ。

真琴(まこと)「入り口はどこにあるの?」

志乃(しの)はスマホのメモ機能を使って文字を表示する。

志乃(しの)「氷で塞がれているから樹霧之介(きりのすけ)が声を掛けてくれないか?」

樹霧之介(きりのすけ)「分かりました。」

樹霧之介(きりのすけ)は氷の壁に向かって声を掛ける。

樹霧之介(きりのすけ)「すみません。雪爺(ゆきじじい)さんはいらっしゃいますか?」

それが聞こえたのかしばらくすると氷の壁の一部が溶けて雪爺(ゆきじじい)が出てくる。

雪爺(ゆきじじい)「こんな時間に誰じゃ?おお、志乃(しの)ではないか。」

樹霧之介(きりのすけ)「あの、初めまして僕樹霧之介(きりのすけ)といいます。」

雪爺(ゆきじじい)「お主が柚子(ゆず)の子供か。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい、母がお世話になりました。」

雪爺(ゆきじじい)「世話になったのはこちらの方じゃ。そちらのお嬢さん方も初めてじゃのう。」

真琴(まこと)「初めまして。私は真琴(まこと)といいます。」

(しずく)(しずく)です。」

雪爺(ゆきじじい)「わしは雪爺(ゆきじじい)と呼ばれとる。それで今回は何の用じゃ?」

真琴(まこと)「あの今回はこの子について相談があって来ました。」

雪坊(ゆきんぼ)雪爺(ゆきじじい)が出てきてから真琴(まこと)の後ろに隠れていた。

真琴(まこと)の後ろにいる雪坊(ゆきんぼ)は紹介されてチラッと出てきたがまた隠れてしまう。

雪爺(ゆきじじい)雪坊(ゆきんぼ)か。この子がどうしたんじゃ?」

樹霧之介(きりのすけ)「流石同じ雪の妖怪なだけあってすぐに分かるんですね。」

雪爺(ゆきじじい)「いや、これだけ足跡がついておるんじゃ予想はできる。」

雪爺(ゆきじじい)は雪に付いた小さな片足だけの足跡を指差す。

樹霧之介(きりのすけ)「あ。」

真琴(まこと)「それでこの子をここで預かってもらうことはできますか?」

雪爺(ゆきじじい)「ふむ。それは構わんが理由を聞いても良いかの?」

真琴(まこと)はこれまでにあった事を話して再度ここに置いてほしい事を頼み込む。

雪爺(ゆきじじい)「なるほど、山奥の小屋で1人で暮して教えてくれるものもおらんだか、今まで辛かったな。」

真琴(まこと)「なら、、」

雪爺(ゆきじじい)「じゃがその子がここに馴染めるかは別の問題じゃ。一度皆と会わせてからでもいいかのう。」

真琴(まこと)「お願いします。」

雪爺(ゆきじじい)「それで志乃(しの)は今代償を受けておるんじゃろ。休まなくてもいいのか?」

樹霧之介(きりのすけ)「そうです休んでください。後は僕達だけでも大丈夫です。」

(しずく)「私が連れて帰るわ。2人は雪坊(ゆきんぼ)の事お願いね。」

志乃(しの)「分かった。私は帰る。それで茂蔵(もぞう)に明日私の声で学校に休むという連絡を入れてくれるように言っておいてくれないか?」

樹霧之介(きりのすけ)「もしかしてあのアパートで1人で寝るつもりですか?」

志乃(しの)「寝ていれば治る。」

(しずく)「それでも熱は冷やした方が良いわ。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうです。僕の家で寝ていてください。これが終わったらすぐに戻ります。」

志乃(しの)「大丈夫だ。」

樹霧之介(きりのすけ)「、、もしかして父さんに知られたくないんですか?」

そう言われると志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)から目線を逸らす。

樹霧之介(きりのすけ)「どちらにしろ父さんには報告します。」

志乃(しの)「隣でグチグチ言われたら休めない。」

樹霧之介(きりのすけ)「それでも体調が悪い時は近くに誰かがいた方がいいです。」

志乃(しの)「私には管狐(くだぎつね)達がいる。」

樹霧之介(きりのすけ)「やっぱり僕達は頼りないですか?」

志乃(しの)「違う。」

樹霧之介(きりのすけ)「なら僕に看病させてください。」

真琴(まこと)「私もする。今回は私のせいで起きた事だから償いをさせて。」

(しずく)「こういう時は頼った方が良いわよ。」

志乃(しの)「分かった。樹霧之介(きりのすけ)の家で寝ている。」

志乃(しの)(しずく)樹霧之介(きりのすけ)の家へ向かい、樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)雪坊(ゆきんぼ)と洞窟に入って行った。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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