56話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
志乃と樹霧之介は妖ノ郷へ着くと樹霧之介の家に向かう。
そこでは焔と黒根が待っていた。
黒根「おかえり。」
樹霧之介「ただいま。」
黒根「志乃、話は聞いたか?」
志乃「ああ。私は洗脳だと思うが黒丸はどう考えている?」
黒根「わしもその線は考えておるが、名を奪われた可能性は無いか?」
志乃「だがそれだとなんで代償を払うかもしれない危険を冒してまであいつらの名を奪うんだ?」
黒根「分からんが風見達がいなくなった時間を考えると洗脳はできないんじゃないか?」
志乃「先に真琴が操られている。真琴の紙で動きを封じられているかもしれない。」
黒根「そうか、それならできるのか。」
志乃「焔も女の子の妖怪を見ているのか?」
焔「俺も1人の時に会ったんだ。真琴といて、お前が犯人かって怒鳴ったら真琴に攻撃されて見失った。」
志乃「樹霧之介と同じ感じか。」
樹霧之介「他の皆は何で連れて行かれたんでしょう?」
志乃「樹霧之介も焔も女の子を責めたり怒ったりしていたから他の奴らはその逆をしたんじゃないか?」
樹霧之介「いなくなった皆は優しくしたって事ですか?」
志乃「優しくする事が洗脳の条件かもしれないな。」
樹霧之介「そう言えばアカマタの時もそんな感じの条件ありましたね。」
志乃「一度行ってみるか。」
樹霧之介「僕も行きます。」
志乃「大丈夫なのか?」
樹霧之介「仲間が危険に晒されているのに待っている事なんてできません。」
志乃「私は攻撃されたらそれが真琴達だったとしても容赦なく攻撃するぞ。」
樹霧之介「僕なら真琴達の動きを止められます。安全に捕獲できますよ。」
志乃「、、やっぱり樹霧之介はここに残れ。」
樹霧之介「何でですか!?」
黒根「樹霧之介、志乃は今から戦いに行くんじゃ。安全なんてものは無い。」
樹霧之介「だけど僕なら枝や根っこで動きを止められます。」
黒根「もしそれで一時的に動きを封じても暴れたらどうするんじゃ?」
樹霧之介「そしたら拘束を強めます。」
黒根「そしたら拘束されている方は強い力で締め付けられるじゃろ?」
樹霧之介「はい。」
黒根「そこで痛いと言われたらお前はどうする?」
樹霧之介「それは、、」
黒根「それで力を緩め、拘束が外れればこちらが攻撃される。目的の為に多少の犠牲を覚悟できなければ連れて行ってはくれんよ。」
樹霧之介「それなら僕は志乃さんの補助に回ります。」
黒根「どうするんじゃ?」
樹霧之介「志乃さんは真琴達を気絶させるつもりですよね?」
志乃「ああ。」
樹霧之介「気絶したら僕が回収して守ります。」
焔「それなら俺が運ぶ。樹霧之介は守る事に集中してくれ。」
黒根「志乃が気絶させて焔が回収して樹霧之介が守るか、いいんじゃないか?」
志乃「そうだな。」
樹霧之介「なら僕も行っていいんですね。」
志乃「ああ。頼む。」
樹霧之介「はい。」
それから志乃は樹霧之介と焔の案内で女の子と真琴が一緒にいた場所に到着したがその頃には日は沈んでいた。
志乃は5号を出して周りに誰かいないか調べてもらうと山の中を走っている茂蔵を見つけたのでそっちに向かう。
息を切らして走る茂蔵は志乃に気が付くと飛び付いてきたので志乃がそれを避けると志乃の後ろにあった木に激突して1枚の紙を落とす。
茂蔵「何で避けるんだ。」
志乃「お前、操られているか?」
志乃は霊縛符を構えて茂蔵を警戒する。
茂蔵「おいらは違う。それよりも追われているんだ。」
志乃「誰にだ?」
志乃が茂蔵が走って来た方向を向くとそこには真琴がいた。
樹霧之介「真琴!」
真琴は樹霧之介の呼びかけには応じず紙の槍を準備する。
そこに志乃が飛び出してその紙の槍を短刀で斬って止め、普通の紙で反撃しようとした真琴より早く脇腹に蹴りを入れようとしたが真琴を風の鎧が包む。
だが志乃は霊力でその鎧を無効化し、そのまま蹴りを入れると真琴は飛ばされて木にぶつかり気絶する。
志乃「風見もいるのか。」
???「何で?」
志乃「誰だ。」
???「何で意地悪するの?」
声の方を見ると女の子が雫に連れられて立っていた。
樹霧之介「先に真琴を連れて行ったのはそっちじゃないですか。」
焔「そうだ。雫を返せ。」
女の子「違うよ。お友達になったんだよ。だから私と一緒にいてくれるんだ。」
樹霧之介「それは真琴が言ったんですか?」
女の子「お友達になろうって言ったのはお姉ちゃんだよ。だから似顔絵を描いてお友達の箱に入れたの。」
樹霧之介「お友達の箱?」
女の子「うん。それなのに何で狸さんは逃げたの?お友達になってくれるって言ったじゃない。」
茂蔵「こんなの友達じゃない。友達っていうのは無理矢理いう事聞かせるもんじゃないだろ。」
女の子「無理矢理?私はお願いしているだけだよ?」
志乃「そのお友達の箱っていうのは何だ?」
女の子「意地悪するお姉ちゃんには教えない。」
その時真琴が起きて志乃達の方に向かって小さめの紙の槍を複数飛ばしてくる。
焔「紅羽!」
真琴の放った槍は全て焔の出した蝶の炎に焼かれて志乃達に届くことはなかった。
女の子「綺麗。ねえ、あなたもお友達にならない?」
焔「なるか!雫を返せ!」
女の子「さっきもだけど何で怒鳴るの?怖い。」
女の子が泣き出すと雫が焔を睨み、雨を降らせる。
焔「雫!何でそいつの味方をするんだよ。何で、、」
焔は雨でできた水に顔を包まれて息ができなくなるが、それに志乃が手を入れると術は解除される。
志乃「大丈夫か?」
焔「ゲホッ。お前がそのつもりならこっちだって本気でやるぞ。」
炎を出しても雨で消されるので焔は木製の車輪を1つ出して雫に向かって攻撃するが雨の水に包まれるとスピードが落ち、止まってしまう。
それでも焔はそのまま動かそうとしてそれを止める雫と力比べになる。
その間にも真琴が攻撃してくるので志乃は真琴をねじ伏せて9号が持って来た縄で縛り、霊縛符を数枚貼り付け動きを封じた。
志乃「樹霧之介!真琴を頼む。」
樹霧之介「はい。」
樹霧之介は志乃に言われて真琴を守る体制に入る。
その時力比べをしていた雫は急に術を解き、膝をつくと力を込めた焔の車輪は雫と女の子に向かって行く。
勢いの付いた車輪は焔にも制御できていないようで、それに当たれば怪我では済まないだろう。
その時風見が出てきて風の盾で止めようとするが風見の小さな体では勢いを弱めることができず飛ばされてしまう。
志乃は雫に当たる前に結界符を持たせた9号で防ぐが威力は中々落ちず、結界が壊れそうな時に志乃は車輪を持っていた短刀で真っ二つに斬ってやっと止まった。
焔「雫!大丈夫か!?」
志乃「妖力が切れたんだ。」
志乃は女の子に近づくが雫は起き上がり戦おうとするがこれ以上妖力を使えば存在が消える可能性があるため志乃は雫の腹部を殴って気絶させる。
その間に女の子は風見と共にいなくなっていた。
志乃は雫も真琴と同じく縛って霊縛符を貼り付ける。
焔「なあ、志乃。雫、戻るんだよな?」
志乃「ああ、戻すつもりだがその前に何が原因でこうなったか調べる必要がある。」
焔「あの子供が何かしたんだろ?」
志乃「あの女の子、着物で隠れていたが片足しかなかった。多分雪坊だろう。」
焔「雪坊?女なのにか?」
志乃「続きは集まってから話そうか。」
焔「分かった。」
焔は樹霧之介と真琴を連れてきて、志乃は隠れている茂蔵を見つけて連れてきた。
志乃「それで雪坊なんだが雪に片足の足跡を付けるだけの妖怪だ。人はその子供の足跡だけを見て雪坊って名前を付けたんだ。まあ、ちゃんと男の子の雪坊もいるけどな。」
樹霧之介「そんな妖怪が何で真琴達を操るんですか?」
志乃「何かの呪具を使っている可能性がある。茂蔵はお友達の箱を見たか?」
茂蔵「見た。」
志乃「どんな見た目だった?」
茂蔵「黒漆塗りの手箱だった。最初に名前を聞かれて答えてさ。友達になってって言われて、説得しようと思って付いて行ったら似顔絵を描きだして、その時は普通の女の子だなって思ったんだ。」
志乃「名前?」
志乃はさっき茂蔵が落とした紙を拾って見てみるとそこにはクレヨンで描かれた子供の落書きのような茂蔵の顔と汚いひらがなの文字でもぞうと書かれていた。
志乃「この紙を箱に入れようとしたのか?」
茂蔵「そうだ。これであなたもお友達って言われた時に嫌な予感がしてその紙を咥えて隠れて、暗くなったから逃げようとしたら見つかって追われたんだ。」
志乃「黒塗りの手箱と名前入りの紙か。厄介な事になったかも知れないな。」
茂蔵「厄介な事?」
志乃「多分だがその手箱は名留の匣、真琴達は洗脳じゃない。名前を取られている。」
樹霧之介「だけど代償が伴うんですよね?」
志乃「代償は名を取る時には発生しない。名を返す時と間違えた時に起きるんだ。」
樹霧之介「ならその女の子は真琴達を返すつもりはないという事ですか?」
志乃「名を返す時の代償はそこまで重くは無い。名を奪っていた時間と同じ時間、喋られなくなって熱を出すくらいだからな。」
樹霧之介「それでも1年間奪っていたら1年間寝込む事になる事もあるんですよね?」
志乃「そうだな。体が思うように動かせない上にそれを伝えることができない。名前を奪われた人の気持ちを奪われた時間分考えろって事なんだろうな。」
樹霧之介「それでもしも名前を間違えたらどうなるんですか?」
志乃「最悪常闇に吸い込まれる。」
茂蔵「そこに吸い込まれたらどうなるんだ?」
志乃「そこは真っ暗な空間で時間すらも呑み込む。上も下も自分がどこにいるかも分からず、時間は流れないが意識はあるためしまいには精神がおかしくなる。」
樹霧之介「そんな危険な物を使ってまで何で真琴達を操っているんでしょう?」
志乃「あの様子だともしかしたら代償の事を知らないのかもしれないな。」
茂蔵「確かに最初はただ友達が欲しいって感じであまり嫌な感じはしなかったんだ。」
樹霧之介「それでもあの子がした事は許される事ではありません。」
志乃「そうだな。悪意はなくても悪い事をしたのであれば罰は受けないといけない。私は茂蔵とその小屋まで行くが樹霧之介と焔はここに残って真琴と雫を頼む。」
樹霧之介「2人だけで大丈夫ですか?」
志乃「この2人を放っておく事もできない。私が気絶させたら守ってくれるんだろ?」
樹霧之介「分かりました。真琴と雫が正気に戻ったら僕達も向かいます。無茶だけはしないでください。」
志乃「分かってる。行くぞ茂蔵。茂蔵?」
志乃は茂蔵の名前を呼ぶが茂蔵は答えずどこか一点を見つめて走り出してしまった。
志乃「茂蔵の名前が取られた。風見がまだあっちにいるから私達の名前も取られるかもしれない。」
焔「大丈夫なのか?」
志乃「雪坊は似顔絵も描かないといけないと思っているだろうからその分時間は掛かると思う。」
樹霧之介「それでも時間はありませんよね。」
志乃「ああ。樹霧之介と焔は互いにおかしなところが無いか観察していてくれ。」
志乃が走って茂蔵を追って行くと明かりの点いた木造の小屋が見えてくる。
その小屋に志乃が入ると雪坊は1枚の紙を手箱に入れて蓋を閉めるところだった。
誰の紙か分からないがそれを志乃は止めようとするが蓋は閉められ、その瞬間雪坊の後の壁に常闇が現れて雪坊を吸い込もうとする。
近くにいた風見と茂蔵も吸い込まれそうになっており、志乃は急いで結界符を貼った棒手裏剣を投げて壁に刺し、常闇の前に結界を張ると物は通らなくはなったが吸引力はそのままで部屋のものを片っ端から吸い込み、結界に引っかかる。
そして手箱も吸い込まれて中の紙が箱からばら撒かれた事により名前を取られていた風見と茂蔵は正気に戻ったが茂蔵と風見は志乃の結界に張り付いている状態になっていた。
茂蔵「何だこれ!?どうなってるんだ?」
風見「吸い込まれてるのか?」
志乃「そのままもう少し耐えていろ。」
時間が経てば経つほど常闇の吸引力は強くなり、それは代償の対象を吸い込むまで続くが志乃が常闇に近づいて何枚かお札を貼ると吸引力が弱まっていく。
最後に志乃は雪坊の髪を1本抜いて常闇に吸い込ませると常闇は閉じて無くなり、常闇が吸い込んでいたせいで結界に張り付いていたもの達は床へと落ちる。
茂蔵「おい。その腕大丈夫なのか?」
志乃「常闇を封印するのに霊力を使い過ぎただけだ。明後日には元に戻る。」
志乃が霊力を使い過ぎて封印仕切れなくなった呪いが志乃の左腕から左胸にかけて灰にしてしまい、志乃はそれを結界符を使って結界で覆っている。
結界は服の中なので周りからは左腕が無くなっているように見えている。
辺りには紙やクレヨン等がばら撒かれていて志乃は片手で拾い集め、それを見ていた茂蔵と風見は拾うのを手伝う。
全て集めると似顔絵が描かれているのは真琴、風見、雫、茂蔵、志乃だった。
操られたのは真琴と風見と雫と茂蔵の4名で名前を間違えた事により現れる常闇が現れた原因は志乃の似顔絵を入れた時だと分かる。
だがその似顔絵に書かれた名前は綺麗とは言えない文字だがちゃんとひらがなでしのと書かれていた。
志乃は似顔絵を丸めて竹筒に入れ、雪坊の様子を見に行くと雪坊は名前を戻した代償で熱が出て苦しそうにしている。
それを見て志乃が名留の匣を探していると樹霧之介達が合流する。
樹霧之介「志乃さん。真琴と雫、正気に戻りましたよ、ってその腕どうしたんですか?」
志乃「常闇を封印するのに霊力を使い過ぎたんだ。明後日には戻れると思うから心配はするな。」
樹霧之介「心配、しますよ。」
志乃「説教は後で聞く。悪いがまだ終わっていないんだ。」
真琴「そうです。浜名瀬さん、あの子どうなりました?」
志乃「そこだ。今は名前を返した代償で熱を出している。」
真琴「私、この子に操られて、樹霧之介や浜名瀬さん達を攻撃したの覚えている。だけどこの子はこの小屋で1人で寂しかっただけなの。お願い看病だけでもさせてくれない?」
雫「私も焔にした事覚えてる。だけど1人でいる寂しさは分かるから私も看病したい。」
志乃「私は止めるつもりはない。」
樹霧之介「この子がした事は許せませんが苦しんでいる妖怪を放っておくような事はできません。真琴達が良いのであれば止めません。」
焔「勝手にしろ。」
志乃「ただ、こいつは雪坊だ。雪の妖怪は熱に弱い。このままだと明日には溶けるぞ。」
真琴「嘘でしょ?何とかできないの?」
志乃「それで今、、あ、あった。」
雫「それは?」
志乃「名留の匣の蓋、隙間に入って見つからなかったのか。」
志乃は名留の匣の蓋を箪笥の隙間から取り出し、先に見つけていた本体と合わせる。
真琴「それで何するの?」
志乃「、、後で分かる。お前らは雪坊の方を見ていてくれ。」
真琴「分かったわ。」
樹霧之介「だけど霊力無いんですよね。大丈夫なんですか?」
志乃「札の霊力を使うから大丈夫だ。」
志乃は名留の匣に何かを書くと結界符を裏を表にして貼り、最後に名留の匣を叩き割った。
それからしばらくすると雪坊は熱が引いて起き上がれるようになる。
真琴「良かった。浜名瀬さんありがとう。」
樹霧之介「志乃さん。何したんですか?」
志乃は口をパクパクさせると辺りを見渡してクレヨンと紙を拾い何かを書くと樹霧之介達に見せる。
そこには「代償の対象を自分に書き換えた。」と書いてあった。
樹霧之介「何してるんですか!」
真琴「そうよ。言ってくれれば私が対象になったのに。」
志乃はまた何かを書くと樹霧之介達に見せる。
そこには「自分以外の対象を指定するには霊力を多く使う。まだ代償を受けても軽い自分に移すのが最善だった。」と書いてあった。
樹霧之介「そうかもしれませんが、、熱っ。」
樹霧之介が志乃の手に触れると、まるでお湯が入った急須に触った時みたいに熱かった。
樹霧之介「無茶しないでって約束したじゃないですか。」
志乃はまた何か書き始める。
※ここから志乃のセリフは志乃が喋れるようになるまで何かに書いた内容になります。
志乃「他に方法が無かった。」
樹霧之介「そうですけど、志乃さん1人が犠牲になる事は無いんですよ。」
志乃「ごめん。」
雫「浜名瀬さん、熱があるのよね。冷やしましょう。」
志乃「雫は妖力切らしてなかったか?」
雫「正気に戻った時焔に分けて貰ったから大丈夫よ。手を出して。」
志乃が雫に手を差し出すと、雫は自分の手を重ねてそこから志乃の熱を水に吸い取らせていく。
雫「どう?人間にするのは初めてなんだけど辛くない?」
志乃はその問いに頷く。
雫「喋れないって結構不便よね。」
風見「なあ、代償って何だ?」
樹霧之介「そう言えば風見だけあの時いませんでしたね。」
雪坊「私も知りたい。私は何をしたの?あの箱はお友達を作るものじゃなかったの?」
樹霧之介「違いますよ。」
真琴「樹霧之介、この子は寂しかっただけなの。」
樹霧之介「分かっています。ですが知らないままっていうのは駄目です。ちゃんと自分のしたことを分かったうえで反省してもらいます。」
真琴「そうね。」
樹霧之介は志乃から聞いた内容をまだ聞いてなかったもの達に話す。
風見「それで常闇が出てきたんだな。」
雪坊「だけどあのお姉ちゃんの名前は志乃なんでしょ?私ちゃんと書いたよ。」
真琴「最後に書いていたのは浜名瀬さんなのね。」
茂蔵「だけどお前の文字汚いから別の文字だと思われたんじゃないか?」
雪坊「私、今は練習中だけど書けてたもん。真琴のお姉ちゃんも雫のお姉ちゃんも書けたもん。」
真琴「確かに浜名瀬さんの名前は二文字で難しいものじゃないのに何で間違えたのかな?その紙って今どこにあるの?」
茂蔵「それなら浜名瀬が回収してたぜ。」
真琴「そうなの?」
真琴が志乃の方を向くが志乃はまだ雫に熱を取ってもらっていて答えられそうにない。
焔「それでこいつどうするんだ?」
雪坊「ごめんなさい。だけどもう1人は嫌。置いてかないで。」
雪坊は泣いて真琴に訴えかける。
真琴「私がこれからも面倒を見てもいいけど私は寒いところにずっといられないのよ。」
焔「それだとまた何かするかもしれないだろ。」
真琴「何が悪いか分からなかっただけよ。教えてあげればもうこんな事はしないわ。」
その時紙を持った志乃が真琴の肩を叩く。
志乃「保護者がいればもうしないだろう。雪爺のところに預けるのはどうだ?」
真琴「雪爺って誰?」
志乃「昔柚子が世話をしたことのある妖怪だ。他にも雪ん子達や雪女もいるから寂しくはないだろう。」
樹霧之介「母さんが?」
真琴「樹霧之介のお母さんと繋がりがあるなら安心ね。」
志乃「なら今から行くか。」
真琴「今から?浜名瀬さんは大丈夫なの?」
志乃「雫のおかげで楽になった。そのくらい平気だ。」
雫「だけど無理は禁物よ。」
焔「なあ、それ人魚の効果で治せないのか?」
志乃「代償はした事に対する罰だから人魚の効果は効きにくい。」
雫「身から出た錆って事なのね。浜名瀬さんの場合は違うけど。」
雪坊「私のせいでごめんなさい。」
志乃は首を横に振る。
志乃「妖ノ郷から行ける出口があるはずだから一度行こうか。」
雫「だけどこんなに大勢がいきなり行ってもいいの?」
志乃「そうだな。何人かは妖ノ郷で待っていてもらおう。」
真琴「私は行くわよ。この子の事話さないと。」
志乃「前行った時に樹霧之介の事を話してあるから樹霧之介も来てくれないか?」
樹霧之介「はい。」
雫「私も行こうかしら。浜名瀬さんがまた熱出したら私が対処するわ。」
焔「雫が行くなら俺も行く。」
雫「あなたはお留守番。今から行く所は雪の妖怪がいるところなのよ。炎を使うあなたが行ったら迷惑が掛かるでしょ。」
志乃「それにあそこはここよりも寒い。いいのか?」
焔「それなら待ってる。」
茂蔵「おいらも寒いのは嫌だな。」
風見「ワイも、何もできそうにないから待ってる。」
結局行くのは志乃、樹霧之介、真琴、雫の4名となった。
志乃達は妖ノ郷に戻ると5号に雪爺の妖気を辿ってもらい、出口を見つけて雪爺の所に向かうと雪爺達がいる洞窟の周りには薄く雪が積もっており、雪坊は足跡を付けて喜んでいる。
洞窟の入り口は中の冷気を出さないように氷で塞がれていて入る事は出来なさそうだ。
真琴「入り口はどこにあるの?」
志乃はスマホのメモ機能を使って文字を表示する。
志乃「氷で塞がれているから樹霧之介が声を掛けてくれないか?」
樹霧之介「分かりました。」
樹霧之介は氷の壁に向かって声を掛ける。
樹霧之介「すみません。雪爺さんはいらっしゃいますか?」
それが聞こえたのかしばらくすると氷の壁の一部が溶けて雪爺が出てくる。
雪爺「こんな時間に誰じゃ?おお、志乃ではないか。」
樹霧之介「あの、初めまして僕樹霧之介といいます。」
雪爺「お主が柚子の子供か。」
樹霧之介「はい、母がお世話になりました。」
雪爺「世話になったのはこちらの方じゃ。そちらのお嬢さん方も初めてじゃのう。」
真琴「初めまして。私は真琴といいます。」
雫「雫です。」
雪爺「わしは雪爺と呼ばれとる。それで今回は何の用じゃ?」
真琴「あの今回はこの子について相談があって来ました。」
雪坊は雪爺が出てきてから真琴の後ろに隠れていた。
真琴の後ろにいる雪坊は紹介されてチラッと出てきたがまた隠れてしまう。
雪爺「雪坊か。この子がどうしたんじゃ?」
樹霧之介「流石同じ雪の妖怪なだけあってすぐに分かるんですね。」
雪爺「いや、これだけ足跡がついておるんじゃ予想はできる。」
雪爺は雪に付いた小さな片足だけの足跡を指差す。
樹霧之介「あ。」
真琴「それでこの子をここで預かってもらうことはできますか?」
雪爺「ふむ。それは構わんが理由を聞いても良いかの?」
真琴はこれまでにあった事を話して再度ここに置いてほしい事を頼み込む。
雪爺「なるほど、山奥の小屋で1人で暮して教えてくれるものもおらんだか、今まで辛かったな。」
真琴「なら、、」
雪爺「じゃがその子がここに馴染めるかは別の問題じゃ。一度皆と会わせてからでもいいかのう。」
真琴「お願いします。」
雪爺「それで志乃は今代償を受けておるんじゃろ。休まなくてもいいのか?」
樹霧之介「そうです休んでください。後は僕達だけでも大丈夫です。」
雫「私が連れて帰るわ。2人は雪坊の事お願いね。」
志乃「分かった。私は帰る。それで茂蔵に明日私の声で学校に休むという連絡を入れてくれるように言っておいてくれないか?」
樹霧之介「もしかしてあのアパートで1人で寝るつもりですか?」
志乃「寝ていれば治る。」
雫「それでも熱は冷やした方が良いわ。」
樹霧之介「そうです。僕の家で寝ていてください。これが終わったらすぐに戻ります。」
志乃「大丈夫だ。」
樹霧之介「、、もしかして父さんに知られたくないんですか?」
そう言われると志乃は樹霧之介から目線を逸らす。
樹霧之介「どちらにしろ父さんには報告します。」
志乃「隣でグチグチ言われたら休めない。」
樹霧之介「それでも体調が悪い時は近くに誰かがいた方がいいです。」
志乃「私には管狐達がいる。」
樹霧之介「やっぱり僕達は頼りないですか?」
志乃「違う。」
樹霧之介「なら僕に看病させてください。」
真琴「私もする。今回は私のせいで起きた事だから償いをさせて。」
雫「こういう時は頼った方が良いわよ。」
志乃「分かった。樹霧之介の家で寝ている。」
志乃は雫と樹霧之介の家へ向かい、樹霧之介と真琴は雪坊と洞窟に入って行った。
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