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55話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

志乃(しの)達は志乃(しの)が住んでいるアパートへ到着する。

陽葵(ひまり)「言って良いのか分からないけど、ボロボロな所だね。こんな所住んでいたの?」

志乃(しの)「周りにあまり人がいないから都合が良いんだ。」

陽葵(ひまり)「そっか。」

志乃(しの)はアパートの鍵を開けて陽葵(ひまり)を中に入れる。

陽葵(ひまり)「中も何も無いね。」

志乃(しの)「黙ってついて来い。」

志乃(しの)は押し入れの入り口から隠里(かくれざと)へ入って行く。

陽葵(ひまり)「あ、待ってよ。」

陽葵(ひまり)志乃(しの)の後を追い隠里(かくれざと)へ入って行く。

志乃(しの)は倉庫の近くの縁側に陽葵(ひまり)を座らせると9号を呼ぶ。

志乃(しの)「ここから動くなよ。動いたら9号が私を呼びに来るから。」

陽葵(ひまり)「良いじゃん。探索したい。」

志乃(しの)「するな。アパートの方で待つか?」

陽葵(ひまり)「分かったよ。大人しくするけどここから周りを見るくらいなら良いでしょ。」

志乃(しの)「そのくらいなら許す。私は探し物があるから大人しくしてろよ。」

陽葵(ひまり)「信用無い、、」

志乃(しの)が倉庫へ行ってしばらくすると1本の帯を持って来る。

陽葵(ひまり)「それは?」

志乃(しの)妖視帯(ようしたい)だ。これを体の何処かに着ければ霊感が無くても見えるようになる。」

陽葵(ひまり)「へー。」

志乃(しの)「ただこれは着けた妖怪の妖力を使うから少し調整しないとぼやけたり着けた妖怪の妖力を取りすぎたりするからもう少し時間は掛かる。」

陽葵(ひまり)「だけど他の人が見ても大丈夫なの?」

志乃(しの)「大体の猫又は尻尾を隠せる。人間界に興味があるならそのくらいはこいつもできるだろうが、、」

志乃(しの)が猫又の方を見るがまだ寝息を立てて寝ている。

志乃(しの)「念の為確かめるか。」

志乃(しの)は猫又の尻尾を掴むと猫又は驚いて飛び起きた。

猫又「何するんだ。尻尾は敏感なんだぞ。」

志乃(しの)「お前、尻尾を1本にするのは得意か?」

猫又「あん。そのくらい朝飯前だ。」

そう言って猫又は尻尾を1本にしたり、途中まで2本にしたりしてみせる。

志乃(しの)「なら大丈夫そうだな。」

猫又「何の話をしていたんだ?」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんが君を霊感が無い人にも見れるように呪具を探してくれてたんだよ。」

猫又「何でわざわざそんな事するんだ?」

陽葵(ひまり)「私の両親に紹介したいからだよ。多分君を飼うとなると私の両親に頼む事になるから。」

猫又「それなら仕方ないな。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)と猫又が話している間に妖視帯(ようしたい)を猫又に合うよう調整して出来上がった物を猫又に着ける。

志乃(しの)「うん。大丈夫そうだな。」

猫又「なあ、この鈴いるのか?」

志乃(しの)「それはお前と関わりを持っても妖怪との繋がりを作らないようにするための物だ。そこまで大きい物じゃ無いんだから慣れるまで我慢しろ。」

猫又「何でわざわざそんな事するんだ。」

志乃(しの)「妖怪との繋がりを作れば他の妖怪も見れるようになる。そうなると事件に巻き込まれやすくなるからそれを避けるためだ。嫌なら猫の国に帰ってもらうがどうする?」

猫又「分かったよ。我慢する。」

志乃(しの)「それじゃ陽葵(ひまり)の家に向かうか。」

陽葵(ひまり)「え。もう?もう少しあっちの方にある建物も見たいな。なんて。」

志乃(しの)「行くぞ。」

志乃(しの)は渋る陽葵(ひまり)を無理矢理引っ張って陽葵(ひまり)の家へと向かう。

すると陽葵(ひまり)の母親である美和(みわ)が出迎えてくれた。

美和(みわ)陽葵(ひまり)おかえり。浜名瀬(はまなせ)さんもお久しぶりです。この前は夫がまた迷惑かけてすみません。」

志乃(しの)「あの時はたまたま見つけただけだ。」

陽葵(ひまり)「ただいま。お母さん、お願いがあるんだけどいい?」

美和(みわ)「もしかしてその抱いている猫の事?」

陽葵(ひまり)「うん。この子を私の式神にしたいの飼っても良い?」

美和(みわ)「飼うは予想してたけど式神?」

猫又は陽葵(ひまり)に抱かれているため尻尾は影になって見えていなかったらしい。

猫又「人間の街には美味しい物が沢山あるんだろ?そういう物を食わせてくれたら手伝っても良いぜ。」

美和(みわ)「喋った!?これって妖怪?私、まだ見えているんですか?」

志乃(しの)「こいつの首に巻いてある帯で見えない人間にも見えるようになっている。他の妖怪は見えないだろうから安心しろ。」

陽葵(ひまり)「お世話は私がするからお願い。ここにおいてあげて。」

美和(みわ)「詳しい話は中でしましょう。浜名瀬(はまなせ)さんも中に入ってください。」

志乃(しの)「お邪魔します。」

志乃(しの)がリビングに通されるとそこには陽葵(ひまり)の父親である晴臣(はるおみ)がソファで寛いでいた。

晴臣(はるおみ)「お、浜名瀬(はまなせ)さん。いらっしゃい。」

陽葵(ひまり)「ねえ、お父さん猫又飼いたい!」

晴臣(はるおみ)「面白そうな話しだけど何の話だい?」

陽葵(ひまり)「あのね、、」

志乃(しの)「今日あった事から順に話す。お前は少し黙っていろ。」

猫又「何でそんな面倒な事するんだ?」

晴臣(はるおみ)「もしかしてその子が猫又?どこから来たんだ?何で見えるんだ?」

志乃(しの)「お前も黙っていろ。」

晴臣(はるおみ)「はい。」

それから志乃(しの)達は椅子に座り、志乃(しの)は猫の国であった事から今までの事を話した。

晴臣(はるおみ)「娘を手伝ってくれる式神が出来るんだろ。お父さんは大歓迎だよ。」

陽葵(ひまり)「だよね。」

美和(みわ)「だけど妖怪の飼い方なんて知らないわよ。」

志乃(しの)「それは普通の猫と同じだ。喋れるし、体が丈夫な分飼いやすいだろう。」

美和(みわ)「病院とかは行った方が良いのかしら。」

志乃(しの)「今の飼い方とか分からないが不調になる事はある。念のために行った方が良いかもな。」

美和(みわ)「それならそのお金も掛かるわね。」

美和(みわ)晴臣(はるおみ)の方をチラッと見る。

志乃(しの)「もしかしてまだ仕事が見つかっていないのか?」

美和(みわ)「13年も理由無く行方不明だった人間の信用が無くてね。」

晴臣(はるおみ)「理由はあるけど話せないだけじゃないか。」

美和(みわ)「話せないなら同じことでしょ。やっぱりお義兄さんから紹介された仕事を受けるべきよ。」

晴臣(はるおみ)「いや、工場の仕事はちょっと、、」

志乃(しの)「それなら居候が増えるのは厳しいな。やっぱり猫の国に返してくるか。」

晴臣(はるおみ)「それなら3ヶ月、いや1ヶ月でいいから待ってくれ。それで仕事が決まらなかったら兄さんの仕事をするから。」

美和(みわ)「1ヶ月で働いてくれるのならその間は私が何とかするわ。」

陽葵(ひまり)「それなら。」

美和(みわ)「いいわよ。」

陽葵(ひまり)「やったー。」

美和(みわ)「いつまで家でグダグダやっているのか悩んでいたから丁度良かったわ。」

晴臣(はるおみ)「ウェッ。」

志乃(しの)「それじゃ式神の契約をするか。」

陽葵(ひまり)「何すればいいの?」

志乃(しの)「丁度名前が無いと言っていたからな。名前を付けろ。」

陽葵(ひまり)「それだけ?」

志乃(しの)「この時に契約内容も決める。今回は陽葵(ひまり)が猫又のお世話をする事、猫又はその恩恵に値する命令を聞く事にするか。」

猫又「俺こいつの命令聞かないといけないのか?」

志乃(しの)「ご飯を食べさせてくれるのであればそれに報いる行いはしなくてはいけない。それ以上の命令には逆らうことはできるから嫌なら無視すればいい。」

猫又「その基準はどうするんだ?」

志乃(しの)「基準はお前が決めろ。ただしここで暮すための規則は守れよ。」

猫又「分かった。」

陽葵(ひまり)「だけどそれだと言う事を聞かない事があるって事?」

猫又「俺はそんなに恩知らずじゃない。」

志乃(しの)「お前が一生懸命世話すれば聞いてくれるだろ。」

陽葵(ひまり)「分かったよ。」

志乃(しの)「名前は考えたか?」

陽葵(ひまり)「候補は考えてるよ。さっき焼肉食べたじゃん。その時にハラミが一番気に入っていたみたいだったんだよね。」

猫又「ハラミ!俺それ好き!」

志乃(しの)「あ。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんどうしたの?」

志乃(しの)魂銘ノ儀(こんめいのぎ)を準備していたんだがそれは術者が決めた名前を妖怪が受け入れる事で契約が完了する儀式なんだ。」

陽葵(ひまり)「それで?」

志乃(しの)「今ので契約が完了したみたいだ。」

陽葵(ひまり)「それじゃあ、猫又の名前はハラミになったの?」

ハラミ「俺はハラミなのか?もう変えれないのか?」

志乃(しの)「一度受け入れた名前は契約を破棄するまで続く。やり直すか?」

陽葵(ひまり)「私は最初から名前ハラミにしようと思っていたから特に問題ないよ。」

ハラミ「これからハラミって呼ばれるんだよな。好物で呼ばれるのは別に悪くない。」

志乃(しの)「お前らが良いならいいが、念のため契約の解除方法教えておくぞ。」

陽葵(ひまり)「うん。それで浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「何だ?」

陽葵(ひまり)「口寄せの術って私にもできる?」

志乃(しの)「いきなりなんだ?お前は霊媒師にでもなりたいのか?」

陽葵(ひまり)「え、ほら遠くにいても契約している妖怪をその場に呼び寄せる術だよ。浜名瀬(はまなせ)さんも大百足(おおむかで)とか呼び出しているじゃん。」

志乃(しの)大百足(おおむかで)が地面から現れるのはあいつの能力だ。そんな術があるならわざわざ管狐(くだぎつね)の竹筒は用意していない。」

陽葵(ひまり)「そうなの?なら口寄せの術って無いの?」

志乃(しの)「口寄せは自身の体に霊を憑依させる術だ。式神との繋がりが強くなれば遠くにいてもいる場所やしている事が分かるようになるがそういう能力が無い限り瞬間的に術者の前に現れることは無い。」

陽葵(ひまり)「ならハラミと一緒にいたい時はどうするの?」

志乃(しの)妖視帯(ようしたい)を外せば普通の人には見えなくなるし、普通の猫になりきってもらえればペットが入れない場所以外は一緒にいれるだろ。」

陽葵(ひまり)「常に一緒にいないといけないのか。」

志乃(しの)「別に家においていてもいいだろ。」

陽葵(ひまり)「だけど用がある時にいなかったら意味ないじゃん。」

志乃(しの)「用のある事なんてあまり無いと思うぞ。それに何してもらうつもりだ?」

陽葵(ひまり)「うーん、何だろう?」

晴臣(はるおみ)「ならハラミは何ができるんだい?」

ハラミ「何ができるかなんていきなり言われてもな。」

陽葵(ひまり)「ねえ、浜名瀬(はまなせ)さん。猫又の能力って何があるの?」

志乃(しの)「猫又の能力は変化、幻覚、念力、天気の予想、鬼火を出す、死者の魂を操る、呪いや祟りが使えるとかある。後は特殊な能力で言えば夢に入り込んだり時間を操る奴にもあった事があるな。」

陽葵(ひまり)「へー。色々あるんだね。」

志乃(しの)「個性の強い妖怪だからな。能力にも個性が出るんだ。」

ハラミ「その中なら念力と鬼火なら使える。」

陽葵(ひまり)「見せて見せて。」

晴臣(はるおみ)「お父さんも見たい。」

そう言われてハラミは自分の目の前に小さな鬼火を出す。

晴臣(はるおみ)「凄い。何もないところから炎が出たぞ。」

美和(みわ)「ちょっと、家の中で火は止めて。」

晴臣(はるおみ)「だけどこれ熱くないよ。」

晴臣(はるおみ)は興味津々でハラミの出した鬼火に手を近づけている。

ハラミ「あ。だけどこんな事もできるぞ。」

ハラミは机にあったコップを念力で持ち上げる。

晴臣(はるおみ)「凄い。もっと重い物も持ち上げれるかい?」

ハラミ「え、あ。ごめん。俺猫又になったばかりで力が弱いんだ。」

陽葵(ひまり)「そうだったの?」

ハラミ「戦力にならないかもしれないけどできる事はするから契約を解除しないでくれ。もっと美味しい物を食べたいんだ。」

陽葵(ひまり)「え。私は戦わないよ。それにせっかく初の式神なのにそんな事で契約解除するわけないじゃん。」

ハラミ「そうなのか?あの鱓を退治したって聞いたから俺はてっきりそういうことしているものかと思ってた。」

陽葵(ひまり)「それは浜名瀬(はまなせ)さんがしてくれたんだよ。ハラミって戦いたいの?」

ハラミ「いや、できるだけのんびりと暮らしたい。」

志乃(しの)「なら何でついてきたんだ?」

ハラミ「あの時はお肉が食べられると思って、それ以外は何も考えてなかった。」

志乃(しの)「考え無しなところは陽葵(ひまり)と同じだな。気が合うんじゃないか?」

陽葵(ひまり)「それってどういう意味?」

ハラミ「そうだ。俺はちゃんと考えて行動する時もあるぞ。」

陽葵(ひまり)「私だってちゃんと考える時は考えてるよ。」

ハラミ「本当か?最初見た時から鈍臭そうな奴だと思っていたんだ。」

陽葵(ひまり)「否定はできないけど主人にそんなこと言う?」

ハラミ「主人っぽい事してから言え。あの肉だってこいつの奢りだろ。」

志乃(しの)「仲は良さそうだな。」

陽葵(ひまり)「どこが!?」

ハラミ「どこがだ!?」

陽葵(ひまり)とハラミの息はぴったりだ。

それから志乃(しの)は契約の解除法を教えて立ち上がる。

志乃(しの)「用は終わったから私は帰る。」

陽葵(ひまり)「もう少しゆっくりして行っても良いんだよ。」

晴臣(はるおみ)「そうだ。君にもう少し聞きたいこともある。」

志乃(しの)「それは何だ?」

晴臣(はるおみ)「今陽葵(ひまり)と君が書いた妖怪の本を読んでいてそのときに陽葵(ひまり)にチラッと聞いたんだけど、呪具や薬を書いた本もあるんだろう?」

志乃(しの)「読んでもお前では材料を揃える事もできない。そんな事考えるより先に仕事を探せ。」

晴臣(はるおみ)「う。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)、お前もハラミの世話をするなら道具は必要だろ。買い物に行かなくて良いのか?」

陽葵(ひまり)「今から?」

美和(みわ)「今日はもう遅いし、明日は祝日だからゆっくり買い物しましょう。」

陽葵(ひまり)「やった。」

美和(みわ)浜名瀬(はまなせ)さんも来ませんか?今日は陽葵(ひまり)が何か奢ってもらったようで、この前のお礼もできていませんし。」

志乃(しの)「いい。前のは偶然だったし、今日のはこいつへのご褒美だ。」

陽葵(ひまり)「えー。浜名瀬(はまなせ)さん甘いの好きなんでしょ?カフェとか一緒に行きたいよ。」

晴臣(はるおみ)「それでこの前は樹霧之介(きりのすけ)って妖怪にカップケーキ貰っていたのかい?」

陽葵(ひまり)「え、何それ聞いてない。」

志乃(しの)「修学旅行でお土産を持って行った時のお礼だったんだ。特にお前に言う事でも無いだろ。」

陽葵(ひまり)「言ってよ。まこ姉達にお土産渡せるなら私も何か買って行ったのに。」

志乃(しの)「それなら真琴(まこと)にスマホで連絡すれば良かっただろ。」

陽葵(ひまり)「そうじゃん。忘れてた。」

ハラミ「ほらドジじゃねえか。」

陽葵(ひまり)「ちょっとド忘れしただけでしょ。」

ハラミ「それをドジと言うんだ。」

陽葵(ひまり)「こんなの誰にでもあるもん。」

志乃(しの)「喧嘩もほどほどにしろよ。」

そう言って志乃(しの)は玄関の方へ歩き出す。

陽葵(ひまり)「あ。また来てよね。」

志乃(しの)「用があればな。」

陽葵(ひまり)「用が無くても遊びに来ても良いんだよ。」

晴臣(はるおみ)「そうだよ。いつでも歓迎するよ。」

美和(みわ)「そうね。また泊まりに来ても良いのよ。」

晴臣(はるおみ)「そんな事があったのか?」

陽葵(ひまり)「あ、あの時は私が危ない妖怪を呼んじゃったから、、」

晴臣(はるおみ)「降霊術ができたのか?」

志乃(しの)「もう一度やったらその時は助けないぞ。」

陽葵(ひまり)「えー。」

志乃(しの)「まだ教育が足りないようだな。」

陽葵(ひまり)「大人しくします。」

志乃(しの)「またやったら本当に再教育するからな。」

陽葵(ひまり)「しないって!」

志乃(しの)「本当か?」

陽葵(ひまり)「信用無い!」

それから2日後の登校日。

その日の休み時間に校門の方で人だかりができていた。

その中心にはハラミがいて、ハラミは陽葵(ひまり)の近くで待機する事にしたようだ。

ハラミは上手く普通の猫に成り切っていて、学生からご飯やおやつを貰って喜んでいる。

志乃(しの)はそれを窓から眺めていると澄花(すみか)に話しかけられる。

澄花(すみか)「ねえ、浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「何だ?」

澄花(すみか)浜名瀬(はまなせ)さんも陽葵(ひまり)と同じ師匠に習っていたんだよね。」

志乃(しの)「ああ。」

澄花(すみか)「なら師匠の事について何か知ってるんじゃない?」

志乃(しの)「あの人は自分の事を知られるのを嫌う。」

澄花(すみか)「それでも知っていることはあるんでしょう?」

志乃(しの)「人の嫌がる事はするな。」

澄花(すみか)「そうかも知れないけどあの人の事は小さい事でも知りたいの。」

志乃(しの)「好きなら余計に我慢した方が良いんじゃないか?」

澄花(すみか)「なら浜名瀬(はまなせ)さんの事なら良いでしょ。何で弟子入りしたの?」

志乃(しの)「色々あったんだ。」

澄花(すみか)「そ、それじゃ浜名瀬(はまなせ)さんも式神いるの?今朝、陽葵(ひまり)が猫又を式神にしたって報告してきたよ。」

志乃(しの)「いるが見せる気は無いし見えないだろ。」

澄花(すみか)「だけど陽葵(ひまり)の猫又は見れたよ。」

志乃(しの)「呪具を使っているんだ。私の式神には着けていない。」

澄花(すみか)「そうなんだ。」

志乃(しの)「他にはあるか?」

澄花(すみか)「あ、えーと。師匠の事は言いたくないんだよね?」

志乃(しの)「ああ。」

澄花(すみか)「それじゃ、えっと、、」

志乃(しの)「無いなら向こうに行ってくれ。」

澄花(すみか)「うん。ごめん。」

それから特に何もなく放課後、志乃(しの)陽葵(ひまり)とハラミは途中まで一緒に帰っている。

志乃(しの)「調子に乗り過ぎじゃないか?」

陽葵(ひまり)「そうだよね。愛嬌ふりまいて色々と貰ってたもんね。」

ハラミ「あれは俺の実力だ。」

志乃(しの)「それもだがお前もだ。」

陽葵(ひまり)「私も?」

志乃(しの)澄花(すみか)達にハラミを見せたんだろ。」

陽葵(ひまり)「あの3人はもう妖怪見てるからいいじゃん。」

志乃(しの)妖視帯(ようしたい)を着けたのは陽葵(ひまり)の両親も世話する可能性があったからだ。周りを巻き込むようなら家以外は外すことにするか?」

ハラミ「嫌だ。俺は妖力が少ないからあまり人前に姿を現せないんだ。今日は久しぶりに人に可愛いって言われて撫でられて、ご飯いっぱい貰えたんだぞ。」

志乃(しの)「、、なら今週見てどうするか決めるか。」

ハラミ「分かった。おい陽葵(ひまり)、余計な事はするなよ。」

陽葵(ひまり)「それはこっちのセリフだよ。」

それから陽葵(ひまり)とハラミは喧嘩はするが特に問題を起こす事はなく、妖視帯(ようしたい)の事は保留となった。

それからは特に何もなく本格的に寒くなってきた頃、志乃(しの)がアパートに帰ると扉の前に樹霧之介(きりのすけ)が待っていた。

志乃(しの)「こんな寒い中、何しているんだ?」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん。真琴(まこと)達が帰って来ないんです。」

樹霧之介(きりのすけ)は寒そうに震えながら泣きそうな顔で志乃(しの)を見る。

志乃(しの)「とにかく屋敷の方へ行こう。あそこならここより温かいから。」

志乃(しの)は急いで樹霧之介(きりのすけ)を連れて押入れの入り口を通って隠里(かくれざと)の屋敷に入って、志乃(しの)は温かいお茶を入れて樹霧之介(きりのすけ)に差し出す。

樹霧之介(きりのすけ)「ありがとうございます。」

志乃(しの)「それで何があったんだ?」

樹霧之介(きりのすけ)「それが、、」

樹霧之介(きりのすけ)の話しでは黒根(くろね)が少しだけだが回復したことにより、妖ノ郷(あやかしのさと)の出入り口を樹霧之介(きりのすけ)の助けを借りながらならだが作る事ができるようになったので明辻あけつじ家の事件もあり、より多くの場所の妖怪を助けるためにも出入口を増やそうとなっていた。

その為出入口を作る場所を下見していると山の奥深くで真琴(まこと)が木造の小屋とそこに住んでいる女の子の妖怪を見つけたらしくしばらくは通って女の子の相手をしていたらしいがいきなり帰って来なくなったんだという。

真琴(まこと)から女の子の話は聞いていたが場所は知らず、全員で探しに行くと樹霧之介(きりのすけ)が1人の時にその女の子と真琴(まこと)が一緒にいるところに出くわしたので真琴(まこと)を返すように言ったら女の子が怒ると真琴(まこと)樹霧之介(きりのすけ)に対して攻撃してきたんだそう。

その攻撃を防ぐといつの間にか2人は消えていて探したが見つからず、集合の時間になったので集合場所に戻ると(しずく)風見(かざみ)茂蔵(もぞう)も帰って来なかったという事だった。

志乃(しの)妖ノ郷(あやかしのさと)の出入口を増やすことは聞いていたが、山の中に住んでいて他の妖怪を操れる女の子か、、」

樹霧之介(きりのすけ)「父さんも心当たりはあるけど皆が帰ってこない理由が分からないそうです。」

志乃(しの)「私もそんな感じだ。女の子の姿をした別の妖怪って可能性もあるからな。樹霧之介(きりのすけ)はその妖怪と会って何か思ったことは無いか?」

樹霧之介(きりのすけ)「その時は距離もあったのでよく分かりませんでした。」

志乃(しの)「一回行ってみるしかないか。」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)と一緒に妖ノ郷(あやかしのさと)で待っている方が良いかもな。」

樹霧之介(きりのすけ)「大丈夫です。」

志乃(しの)「そんな顔しているのにか?」

樹霧之介(きりのすけ)「これは、、」

樹霧之介(きりのすけ)は今にも泣き出しそうな顔をしてそれを指摘された事により志乃(しの)とは別の方を向いて手で隠す。

志乃(しの)「仲間が敵になったからか?」

樹霧之介(きりのすけ)「、、そうです。まさか真琴(まこと)にあんな顔で攻撃されるなんて思っていませんでした。あれは、、敵を見る目でした。初めて会った時ですらあそこまで敵意を向けてきた事なんてないのに、、」

志乃(しの)「それでも敵対するのであれば私も攻撃しなくてはいけないかもしれない。」

樹霧之介(きりのすけ)「分かっています。」

ずっと俯いている樹霧之介(きりのすけ)を見て志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)に問いかける。

志乃(しの)「後ろ髪が(ほむら)に憑いた時はそこまでじゃなかったのにどうしたんだ?」

樹霧之介(きりのすけ)「あの時は、完全に何かに操られている感じだったから特に何も思わなかったんです。今回は自分の意思で攻撃してきた感じがしたんです。」

志乃(しの)「なら洗脳でもされたのか?」

樹霧之介(きりのすけ)「どうすれば良いんでしょうか?」

志乃(しの)「それなら1発殴れば大体は解ける。」

樹霧之介(きりのすけ)「殴るんですか?」

志乃(しの)「それ以外でも衝撃を与えればいい。」

樹霧之介(きりのすけ)「なら1人でも正気に戻せたら相手の妖怪が分かるかもしれませんね。」

志乃(しの)「そうだな。でも念のため(ほむら)黒丸(くろまる)にも話を聞きたい。一度妖ノ郷(あやかしのさと)に行くが動けるか?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい、大丈夫です。行きましょう。」

志乃(しの)「その前に少し待ってくれ。」

志乃(しの)は屋敷の奥から1つの蓑を取って来て樹霧之介(きりのすけ)に手渡す。

志乃(しの)「これを羽織っていけ。」

樹霧之介(きりのすけ)「これは?」

志乃(しの)霜返(しもがえ)しの(いね)で編んだ蓑だから温かいだろう。」

樹霧之介(きりのすけ)「ありがとうございます。あの、志乃(しの)さんは大丈夫ですか?」

志乃(しの)「このくらいなら平気だ。行くぞ。」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)黒根(くろね)の話を聞きに妖ノ郷(あやかしのさと)へ向かった。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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