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5話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。


次の日、登校すると案の定陽葵(ひまり)が教室に突撃してきた。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんいますか?」

志乃(しの)は諦めて陽葵(ひまり)の相手をする事にした。

志乃(しの)「昼休みに出直して来い。」

陽葵(ひまり)「それって。」

クラスメイトに聞かれたく無いので話が終わる前に扉を閉めて追い出す。

陽葵(ひまり)は昼休みまで大人しかったが、昼休みのチャイムと共に突撃してきたので人気のない階段裏まで連れて行き、1枚の紙と本を渡す。

陽葵(ひまり)「これは?」

志乃(しの)「1ヶ月だ。1ヶ月間、毎日紙に書いてある事を続けろ。そして本に書いてあることを覚える事。そしたら修行をつけてやる。」

陽葵(ひまり)「いいの?やったー。」

小声の志乃(しの)とは違い、大声で喜ぶ陽葵(ひまり)は目立って仕方ない。

志乃(しの)「1ヶ月間、1日も欠かさずできればの話だ。」

陽葵(ひまり)「わかってるけど、どうやって私がサボっていないかわかるの?」

志乃(しの)「1ヶ月後にテストをする。」

陽葵(ひまり)「だけどこれ、瞑想とかした事ないよ。」

志乃(しの)「わかった。放課後お前の家で教えてやる。」

陽葵(ひまり)「やった。今日、泊まってもいいよ。」

志乃(しの)「いや、いい。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんの家でも良いんだよ。」

志乃(しの)「勘弁してくれ。お前にだけは住所は知られたくない。」

陽葵(ひまり)「酷い。だけどいいや。今日一緒に帰ろうね。」

志乃(しの)「仕方ない。」

志乃(しの)はあまり乗り気はしないが、これで1ヶ月は大人しくなるだろうと今日は我慢する事にした。

それから放課後までは平和な時間が続いた。

だが、授業が終われば慌ただしい足音と共に陽葵(ひまり)が突撃してくる。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さ、、」

志乃(しの)は扉が開いた瞬間、陽葵(ひまり)を連れて下まで降りる。

陽葵(ひまり)「今日はよろしくお願いします。」

そうして陽葵(ひまり)だけルンルンで帰る。

陽葵(ひまり)の家に着くと早速自室へ案内される。

部屋は意外ときれいに整理されていて女の子らしい部屋だった。

陽葵(ひまり)「どこでする?広い場所が必要なら机動かすよ。」

そう言って部屋の中央にあるローテーブルを指さす。

志乃(しの)「そうだな。」

陽葵(ひまり)はテーブルを壁に立てかけて場所を作る。

陽葵(ひまり)「まずは何する?」

志乃(しの)「まず瞑想からするぞ基礎の基礎だ。」

陽葵(ひまり)「はい。」

志乃(しの)「まずはあぐらで座って。そうそう、体やわらかいんだな。」

陽葵(ひまり)の足は180度近く広げられている。

陽葵(ひまり)「陸上部だったからね。体には自信あるよ。」

志乃(しの)「ああ、体力もありそうだったからそういう系は省いている。」

陽葵(ひまり)「つまり私には陰陽師の素質ありと。」

志乃(しの)「今は名前だけだが元々陰陽師の家系だからな。」

陽葵(ひまり)「修行を終えたころには私も陰陽師。」

志乃(しの)「お前の陰陽師のイメージはどんなものなんだ?」

陽葵(ひまり)「陰陽師っていったら悪い妖怪を倒す正義の味方でしょ?」

志乃(しの)「そういうのもいたが私は違う。」

陽葵(ひまり)「じゃあ何するの?」

志乃(しの)「妖怪と人間の距離を調節すること」

陽葵(ひまり)「例えば?」

志乃(しの)「まずトラブルがあれば妖怪と人間どちらに非があるかを調べてそれを解決する。」

陽葵(ひまり)「探偵みたい。どんなトラブルがあったの?」

志乃(しの)「大体は妖怪の方が暴れている。」

陽葵(ひまり)「その妖怪を倒すの?」

志乃(しの)「その前に妖怪とはなんだと思う?」

陽葵(ひまり)「うーん。不思議な生き物?」

志乃(しの)「どうやって生まれると思う?」

陽葵(ひまり)「樹霧之介は両親いたよね。」

志乃(しの)「そういうのもいるな。だが大体は何らかのおもいが形になって生まれている。」

陽葵(ひまり)「思い?」

志乃(しの)「例えば見えない場所から変な音が聞こえるとする。」

陽葵(ひまり)「うん。」

志乃(しの)「そこに何かがいると()()。」

陽葵(ひまり)「うん。」

志乃(しの)「妖怪が生まれる。」

陽葵(ひまり)「え。それで生まれるの?先に妖怪がいたとかじゃなくて?」

志乃(しの)「そうゆう場合もあるがおもった人がいなければ生まれない。いつの間にかそこにいるのが妖怪だ。」

陽葵(ひまり)「それにそれで生まれていたらもっと数が増えているでしょ?」

志乃(しの)「その頃は増えていたが今は化学の方が強くなって生まれることは減ったな。音がすれば妖怪よりも先に風や水の音を疑うだろう?」

陽葵(ひまり)「確かに。」

志乃(しの)「そして妖怪の厄介ところは人間が怖いと思えばその通りになる事だ。」

陽葵(ひまり)「じゃあ、怖いと思わなければいいの?」

志乃(しの)「そう、それを人間に説明をする。」

陽葵(ひまり)「それで上手くいくの?」

志乃(しの)「成功するのは少しだけ。」

陽葵(ひまり)「それって。」

志乃(しの)「不安定な妖怪は人間が思ったことをどんどん吸収していろんな形になる。」

陽葵(ひまり)「それで?」

志乃(しの)「マイナスな思いを受け取って形を形成すれば人を襲うようになる。」

陽葵(ひまり)「妖怪を決めるのは人間ってこと?」

志乃(しの)「そう、だからそういう妖怪ができないように活動していた。」

陽葵(ひまり)「それでも成功するのは少なかったんでしょ?」

志乃(しの)「ああ、そういう時は人から距離を置くことしか方法が無かった。だから妖ノ郷(あやかしのさと)ができた。」

陽葵(ひまり)「別の世界を創れる人がいたの?」

志乃(しの)「いや、もとからあった空間を妖怪達が住処にしたって感じだな。」

陽葵(ひまり)「へー、見て来たかのように言うんだね。」

志乃(しの)「いや、これは聞いた話だ。」

陽葵(ひまり)妖ノ郷(あやかしのさと)が無かったころはどうしてたの?」

志乃(しの)妖ノ郷(あやかしのさと)が無かったころは凶暴になる前に保護していた。」

陽葵(ひまり)「どうやって?」

志乃(しの)「式神として契約したり、その時拠点にしていた場所に連れて行ったり色々だったな。」

陽葵(ひまり)「へー。」

志乃(しの)「そして数が増えて管理できなくなってきたところで妖ノ郷(あやかしのさと)を見つけた。」

陽葵(ひまり)「どうやって妖ノ郷(あやかしのさと)を見つけたの?」

志乃(しの)「式神になってくれてた妖怪の1体が見つけて教えてくれた。」

陽葵(ひまり)「私にも式神できるかな?」

志乃(しの)「妖怪を式神にするのは早いな。」

陽葵(ひまり)「えー。」

志乃(しの)「条件を整えたり、代償を払わないといけなかったりするんだよ。こっちならいいけど。」

そう言ってポケットから人型の紙を取り出す。

陽葵(ひまり)「あ、見たことあるやつ。」

志乃(しの)「こっちの方が使いやすくていいだろ。」

そう言ってその紙に息を吹きかけると白い小さな人になって動き出す。

陽葵(ひまり)「へー紙がそのまま動くんじゃなくて小さな人になるんだ。」

志乃(しの)「使える霊力が多いと好きな形に変えることができるんだ。陽葵(ひまり)くらいだとそのまま動かすしかできないだろうな。」

陽葵(ひまり)「やってみないとわからないよ。」

志乃(しの)「その前に瞑想で自分の霊力を感知することから始めないと。」

陽葵(ひまり)「むーだけどそろそろいいでしょ?足が痺れてきたよ。」

志乃(しの)「まだ座っただけで瞑想はしてないぞ。」

陽葵(ひまり)「え?」

志乃(しの)「これから瞑想を始める。」

陽葵(ひまり)「ちょっと待って本当に足の感覚無くなってきてるんだけど。」

志乃(しの)「まずは深呼吸。目を閉じて内側に集中。」

陽葵(ひまり)「休憩!休憩しない?」

志乃(しの)「口は閉じる!」

陽葵(ひまり)「はい!」

1時間後。

陽葵(ひまり)「足が、痺れて、、。」

陽葵(ひまり)はそんなことを言いながらベッドに突っ伏している。

志乃(しの)「こんなんじゃ本格的な修行は難しいかもな。」

陽葵(ひまり)「修行もこんな感じなの?」

志乃(しの)「基礎は大事だからな。」

陽葵(ひまり)「これを毎日か。」

志乃(しの)「嫌なら止めても良いぞ。」

陽葵(ひまり)「だけど身を守らないといけないから。」

志乃(しの)「身を守るだけなら簡単だぞ。」

陽葵(ひまり)「え?」

志乃(しの)「妖怪が見えなくなればいい。そうすれば必要以上に関わらなくてすむ。」

陽葵(ひまり)「私には霊力があるんだよ。そう簡単に出来る事なの?」

志乃(しの)「妖怪との繋がりを消せばいい。記憶を消して、繋がっているものを消せば見えなくなる。」

志乃(しの)は真琴の連絡先が入った陽葵(ひまり)のスマホを見る。

陽葵(ひまり)「駄目だよ!」

そう言いながらスマホを庇うようにギュッと握る。

志乃(しの)「はぁ、そうならないように1ヶ月頑張って。」

陽葵(ひまり)「わかった。」

志乃(しの)「その本も内容が言えるまで暗記する事。」

陽葵(ひまり)「座学、、」

志乃(しの)「1ヶ月後だからね。」

陽葵(ひまり)「はい。」

そして志乃(しの)は家に帰る。

だが、今の志乃(しの)に記憶を消せるような力は無い。

自分の能力も早めに取り戻さないとと気を引き締めた。

翌日も朝から陽葵(ひまり)の突撃は続く。

陽葵(ひまり)「ねぇもらったメニュー、今日の分全部終わったよ。」

志乃(しの)「朝のうちに終わらせたのか?何時に起きたんだ?」

陽葵(ひまり)「だからさ、昨日見せてくれた式神の紙が欲しいな〜、なんて。」

志乃(しの)「調子に乗るな。」

陽葵(ひまり)「えー、頑張ったのに。」

志乃(しの)「1ヶ月の約束を守れないなら修行は無しだ。」

陽葵(ひまり)「じゃあ、この後何すれば良いの?」

志乃(しの)「本を暗記しろ。必要な事が書いてあるから。」

陽葵(ひまり)「なら浜名瀬(はまなせ)さんが教えてよ。1人で本読むなんてできないよ。」

志乃(しの)「無理なら記憶消した方が良いみたいだな。」

陽葵(ひまり)「ごめんなさい。やります、やらせてください。」

志乃(しの)「こんな事している時間はあるのか?」

陽葵(ひまり)「え?」

時計は授業もう授業が始まる1分前を指している。

陽葵(ひまり)は急いで教室へ戻って行った。

そして昼休み、ゆっくりご飯を食べていつものベンチへ行こうと移動していると陽葵(ひまり)を見かける。

突撃が無かったのでまじめに本でも呼んでいるのかと思っていたが誰かに絡まれているようだった。

関係ないとは思いつつ、音を操れる6号を出して陽葵(ひまり)の会話を離れたベンチで座っている志乃(しの)に飛ばして聞かせる。

???「元陸上部なんだから協力してもいいだろって。」

陽葵(ひまり)「私は私のやりたいことがあるんです。」

???「それが何か聞いているんだ。」

陽葵(ひまり)「プライバシーの侵害ですよ。」

???「猪女(いのししおんな)が難しい言葉を知っているんだな。」

陽葵(ひまり)「何ですか?いじめなら先生に言いますよ。」

???「部活を1ヶ月で辞める不真面目ちゃんの事なんて誰も信じないって。」

陽葵(ひまり)「それは理由があって、部長も大丈夫って言ってくれました。」

???「部長は優しいんだよ。だけど次の大会で記録残さないと陸上部が馬鹿にされるんだ。」

陽葵(ひまり)「それで?私に助けてほしいと?人に頼む態度じゃないですよね?」

???「運動しかできないお前に活躍の場を提供するって言ってんだよ。」

陽葵(ひまり)「いりません。私は私のやりたいことに時間を使いたいんです。」

???「じゃあ、最近あの、誰だっけ?女子野球部で活躍した1年。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんも無理ですよ。そんな時間ありません。」

???「そんなのわからないじゃないか。最近仲いいんだろう?一言言ってくれればいいから。」

陽葵(ひまり)「こんなことに浜名瀬(はまなせ)さんを巻き込まないでください。それにあの人は部活動はしないって言っているんです。」

???「部活入ってないなら少しくらい手伝ってくれてもいいんじゃないか?聞いてくれてもいいだろ?」

陽葵(ひまり)「自分で言ってください!」

???「部長も誘いに行ったが門前払いだったんだ。俺が行っても無駄だろうが、仲のいいお前から言ってくれれば話くらいは聞いてくれるだろ?」

陽葵(ひまり)「とにかく、私から言うことはできません。」

そう言って陽葵(ひまり)はその場から離れて行った。

???「おい、待てよ話は終わってないぞ!」

時間を見れば授業がもう始まる時間だ。

志乃(しの)も自分の教室へと戻って行く。

放課後、下駄箱のところで陽葵(ひまり)と会う。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん偶然ですね。」

志乃(しの)「そうだな。」

陽葵(ひまり)「もしかして迎えに行かなかったから拗ねてます?」

志乃(しの)「いいや。静かな時を満喫していた。」

陽葵(ひまり)「お昼休みもちょっと頼まれごとされてて行けなかったんですが寂しかったですか?」

志乃(しの)「明日も頼まれごとをされてくれないか?」

陽葵(ひまり)「酷い。来るなってことですか?」

志乃(しの)「そう言っている。」

陽葵(ひまり)は昼にあったことを話そうとはしない。

ある程度の気遣いというものができるようだ。

???「やあ、陽葵(ひまり)ちゃんじゃないか偶然だね。」

昼に陽葵(ひまり)に絡んでいた男子が声をかけてくる。

志乃(しの)「彼氏か?趣味悪いな。」

志乃(しの)は盗み聞きをしたことを悟られないよう初見のふりをする。

陽葵(ひまり)「違うよ。陸上部にいた時の風間(かざま) (れん)っていう先輩、しつこいんだよ。これも待ち伏せしてたんだと思う。」

(れん)「やあ、お友達も一緒じゃないか。ちょうどいい、少し話さないか?」

陽葵(ひまり)「白々しい。」

あの陽葵(ひまり)を怒らせられるとはある意味すごい才能だ。

(れん)「君、例の1年だろ?陸上に興味ない?」

志乃(しの)「礼儀の無い部員のいる部活には行きたくないね。」

(れん)「ははは、俺は2年生だ。1年に礼儀を尽くして何になる。」

志乃(しの)「1年でも無礼な先輩の話は聞きたくない。それじゃ。」

そう言って志乃(しの)陽葵(ひまり)の腕をつかんで帰ろうとする。

(れん)「待てよ。逃げるのか?」

志乃(しの)「あんた、陸上部なんだよな。」

志乃(しの)は足を止めて振り向く。

(れん)「お、やるか?」

志乃(しの)「いや、逃げる。」

(れん)「臆病者が。」

志乃(しの)「足に自信があるなら捕まえてみればいいじゃないか。それとも自信は無かったか?」

(れん)「あ?後悔するなよ。」

志乃(しの)は走り出し、それを(れん)が追う。

志乃(しの)「範囲は学校内のみで私が捕まるか、お前がギブアップするまででどうだ。」

(れん)が伸ばす手を避けて余裕そうに言う。

(れん)「良いだろう。捕まえれば俺が卒業するまでお前奴隷な。」

志乃(しの)「わかった。だがお前が負ければ私と陽葵(ひまり)へ接触しないでもらおうか。」

そう言って連との距離を取る。

(れん)「は。できると思うな。」

志乃(しの)「了承しないということはこの勝負に自信が無いのか?」

(れん)「あ?俺が負ければそうしてやるよ。」

志乃(しの)「契約成立だ。」

(れん)「生意気な。」

そして本格的に鬼ごっこが始まった。

志乃(しの)(れん)との距離を保ちながら逃げるが次第に(れん)のスピードが落ちる。

志乃(しの)「もうばてたのか?」

(れん)「うるさい!俺は短距離が得意なんだ!」

志乃(しの)「それにしては遅いんだな。」

(れん)「違う!長引きそうだったから体力を温存するために遅く走ったんだ。」

志乃(しの)「言い訳ばかりだな。」

(れん)「ど、どちらにしろ俺が負けを認めなければ俺の負けは無い。」

志乃(しの)「お前は負けを認めるか、私を捕まえないと帰れないぞ?」

(れん)「そんなルールは無いだろ。」

志乃(しの)「聞いてなかったのか?範囲は学校内のみで私が捕まるか、お前がギブアップするまでだ。勝負が終わらないなら範囲である学校内の外には出られない。」

(れん)「そんなの休戦だ休戦。」

志乃(しの)「私は認めない。」

(れん)「はあ?」

志乃(しの)「勝負の休戦は両者が認めあってこそだ。途中で外に出るならお前の負けになる。」

(れん)「そんなの聞いていない。」

志乃(しの)「初めに言ったルールの範囲内だと思うが?」

(れん)「こんなの無効だ。」

志乃(しの)「逃げるのか。」

(れん)「それなら俺はもう動かない。俺が負けを認めるか学校から出なければ負けは無いからな。お前が外に出れば俺の勝ちだ。」

志乃(しの)「そうだな。だが先に言っておくと私は一人暮らしで門限は無い。ここから動かないのであれば見回りの先生が来るだろう。」

(れん)「脅しか?」

志乃(しの)「いいや。事実だ。」

(れん)「くそが。ならやってやるよ。」

志乃(しの)「そうか。」

(れん)は近づいていた志乃(しの)に手を伸ばすが軽くかわされる。

そこからまた追いかけっこが始まった。

変わらず志乃(しの)(れん)との距離を保ちながら逃げる。

(れん)「おちょくってんのか!?」

志乃(しの)「お前が遅いだけだ。ちゃんと練習しているのか?」

(れん)「うるさい。」

(れん)は息を切らしながら追いかける。

部活動も終わる時間。

志乃(しの)「根性だけはあるな。」

(れん)「...。」

しゃべる元気はもうないようだ。

春奈(はるな)「あれ?浜名瀬(はまなせ)?こんな時間まで居るなんて珍しいな。」

志乃(しの)「久しぶりだな。」

春奈(はるな)「結局優勝祝い来なかったな。いいけど。」

志乃(しの)「何か用か?」

春奈(はるな)「いや、何してるのかなと思っただけだ。」

志乃(しの)「喧嘩を売られたから買っただけだ。」

春奈(はるな)「相変わらずだな。その後ろにいる奴か?」

志乃(しの)「ああ、私が逃げてあいつが捕まえる。」

春奈(はるな)「もう動け無さそうだ。相変わらず容赦ないんだな。」

(れん)はすでに息を切らして座り込んでいる。

志乃(しの)「まあ、まだ勝負はついてないけどな。」

春奈(はるな)「どう見てもあいつの負けだろ。どんなルールだよ。」

志乃(しの)「どちらかが学校から出るかあいつが私を捕まえるか、あいつが負けを認めるかだな。」

春奈(はるな)「それで、あ、おい!」

(れん)志乃(しの)の背後から手を伸ばしている。

だがそれも志乃(しの)は避ける。

志乃(しの)「勝負再開だ。じゃあな。」

春奈(はるな)「あ、ああ。」

2人は春奈(はるな)の横を抜け、走って行った。

何回目だろうか校舎を1周して校門のところにまた戻ってくる。

陽葵(ひまり)「もう止めなよ先輩。追いつけるわけないよ。」

校門のところで待っている陽葵(ひまり)の声が聞こえる。

(れん)「うるさい。」

声を絞り出すが、余裕が無いことは確かだ。

志乃(しの)「最初の条件を変えるのであれば捕まっても良いぞ。」

陽葵(ひまり)「え。」

(れん)「情けはいらない。」

志乃(しの)「いや、根性だけは人よりあるなと思っただけだ。評価はしている。」

(れん)「は、根負けか?」

志乃(しの)「いや、条件変えないのであればこのまま続ける。」

(れん)「どう変えるってんだ?」

志乃(しの)「一日だけお前に付き合ってやる。」

(れん)「は、上から目線だな。」

志乃(しの)「学年しか威張れない奴に下げる頭は無いんでね。」

(れん)「な。」

春奈(はるな)「お、いたな。」

声の方を向くと春奈(はるな)とその後ろにもう一人誰かがいてその2人が近づいてくる。

志乃(しの)はその後ろの人に見覚えがある。

春奈(はるな)の後ろにいた人は(れん)を認識すると速足で近づいて平手打ちをする。

???「何でこんな恥ずかしいことしているの!だからお兄ちゃん何て嫌いなの!」

志乃(しの)陽葵(ひまり)はいきなりの展開に驚いている。

春奈(はるな)「あいつの名前は風間(かざま) 咲希(さき)、この風間(かざま) (れん)の妹だ。」

この咲希(さき)は試合で手首をくじいていたレフトの人だった。

咲希(さき)「この人は恩人なんだよ。何でこんなことしてるの?」

(れん)「違うんだこれは。」

咲希(さき)「何が?こんな醜態さらして恥ずかしい。」

(れん)の時間が止まったようにフリーズしている。

春奈(はるな)「ところでどちらが勝ったんだ?」

志乃(しの)「まだ決まっていない。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんは卒業するまで奴隷から1日付き合うに変えたら負けるとか言っているのに頑固なんです。」

春奈(はるな)「1日付き合ってもらえるのか、それなら私が勝負したいな。勝てる気しないけど。」

咲希(さき)「ほら、早く負けを認めなさい。勝てるわけないんだから。」

(れん)「うるさい。うるさい。勝手に野球の方に行きやがって!今度の大会で陸上部が活躍すれば陸上部に入ってくれると思ったんだ。」

咲希(さき)「それは友達に人数が足りないからって頼まれて。それにお兄ちゃんじゃ記録出せないでしょ。部活さぼって体力無いんだから。」

志乃(しの)「そうなのか?」

志乃(しの)陽葵(ひまり)に聞く。

陽葵(ひまり)「自分の練習に集中していて見てなかったけど、そう言えばあいつの練習している所見た事ないかも。」

志乃(しの)「それでよく人に不真面目とか言えたな。」

陽葵(ひまり)「何か言った?」

志乃(しの)「いいや、何でも。」

志乃(しの)は盗み聞きがバレそうになったので慌てて誤魔化す。

咲希(さき)浜名瀬(はまなせ)さん、桜庭(さくらば)さん、うちの愚兄(ぐけい)がご迷惑をおかけしました。確か学校の外に出れば負けでしたよね。」

そう言って連を校門の外に引きずって行き、外の道路を踏ませる。

咲希(さき)「これでお兄ちゃんの負けだよ。もう変なことしないでよね。」

(れん)「余計なことをするな。」

陽葵(ひまり)「いい気味だよ。」

志乃(しの)「ふむ。」

2人が荷物を取りに校舎に戻るところを見送る。

春奈(はるな)「そうだ。さっき気になったんだがその足、大丈夫か?」

春奈(はるな)が指さすところは焔を蹴って火傷した場所だった。

走っているうちに靴下が下がり隠していた火傷の痕が見えている。

志乃(しの)「ああ、ちょっとお湯をこぼしたんだ。」

そう言って靴下を上げて隠す。

春奈(はるな)「そうか。意外とドジなところもあるんだな。安心した。」

そう言って春奈(はるな)も荷物を取りに校舎に戻って行った。

志乃(しの)陽葵(ひまり)は校門に荷物を置いていたのでそのまま帰路に着く。

陽葵(ひまり)「不老不死でもケガするんだね。本当にお湯こぼしただけ?」

志乃(しの)「あまり深入りすることじゃない。」

陽葵(ひまり)「やっぱり妖怪関係なんだ。」

志乃(しの)「首を突っ込むなと言っている。」

陽葵(ひまり)「それでも友達がケガするの見ているだけなのは嫌だよ。」

志乃(しの)「誰が友達だ。」

陽葵(ひまり)「違うの?私はそう思っていたのに。」

志乃(しの)「一方的に付きまとって友達ではないだろう。それに私は他の人とは違い怪我の治りが早いんだ。心配されることは無い。」

陽葵(ひまり)「治っても怪我すれば痛いじゃん!浜名瀬(はまなせ)さんのバカ!」

そう言って陽葵(ひまり)は走り去って行った。

途中で転んでいたが自分の怪我は良いんだろかとは思いつつもさっき言ってしまった言葉を思い出し、無視して自分の家へと帰る。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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