5話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
次の日、登校すると案の定陽葵が教室に突撃してきた。
陽葵「浜名瀬さんいますか?」
志乃は諦めて陽葵の相手をする事にした。
志乃「昼休みに出直して来い。」
陽葵「それって。」
クラスメイトに聞かれたく無いので話が終わる前に扉を閉めて追い出す。
陽葵は昼休みまで大人しかったが、昼休みのチャイムと共に突撃してきたので人気のない階段裏まで連れて行き、1枚の紙と本を渡す。
陽葵「これは?」
志乃「1ヶ月だ。1ヶ月間、毎日紙に書いてある事を続けろ。そして本に書いてあることを覚える事。そしたら修行をつけてやる。」
陽葵「いいの?やったー。」
小声の志乃とは違い、大声で喜ぶ陽葵は目立って仕方ない。
志乃「1ヶ月間、1日も欠かさずできればの話だ。」
陽葵「わかってるけど、どうやって私がサボっていないかわかるの?」
志乃「1ヶ月後にテストをする。」
陽葵「だけどこれ、瞑想とかした事ないよ。」
志乃「わかった。放課後お前の家で教えてやる。」
陽葵「やった。今日、泊まってもいいよ。」
志乃「いや、いい。」
陽葵「浜名瀬さんの家でも良いんだよ。」
志乃「勘弁してくれ。お前にだけは住所は知られたくない。」
陽葵「酷い。だけどいいや。今日一緒に帰ろうね。」
志乃「仕方ない。」
志乃はあまり乗り気はしないが、これで1ヶ月は大人しくなるだろうと今日は我慢する事にした。
それから放課後までは平和な時間が続いた。
だが、授業が終われば慌ただしい足音と共に陽葵が突撃してくる。
陽葵「浜名瀬さ、、」
志乃は扉が開いた瞬間、陽葵を連れて下まで降りる。
陽葵「今日はよろしくお願いします。」
そうして陽葵だけルンルンで帰る。
陽葵の家に着くと早速自室へ案内される。
部屋は意外ときれいに整理されていて女の子らしい部屋だった。
陽葵「どこでする?広い場所が必要なら机動かすよ。」
そう言って部屋の中央にあるローテーブルを指さす。
志乃「そうだな。」
陽葵はテーブルを壁に立てかけて場所を作る。
陽葵「まずは何する?」
志乃「まず瞑想からするぞ基礎の基礎だ。」
陽葵「はい。」
志乃「まずはあぐらで座って。そうそう、体やわらかいんだな。」
陽葵の足は180度近く広げられている。
陽葵「陸上部だったからね。体には自信あるよ。」
志乃「ああ、体力もありそうだったからそういう系は省いている。」
陽葵「つまり私には陰陽師の素質ありと。」
志乃「今は名前だけだが元々陰陽師の家系だからな。」
陽葵「修行を終えたころには私も陰陽師。」
志乃「お前の陰陽師のイメージはどんなものなんだ?」
陽葵「陰陽師っていったら悪い妖怪を倒す正義の味方でしょ?」
志乃「そういうのもいたが私は違う。」
陽葵「じゃあ何するの?」
志乃「妖怪と人間の距離を調節すること」
陽葵「例えば?」
志乃「まずトラブルがあれば妖怪と人間どちらに非があるかを調べてそれを解決する。」
陽葵「探偵みたい。どんなトラブルがあったの?」
志乃「大体は妖怪の方が暴れている。」
陽葵「その妖怪を倒すの?」
志乃「その前に妖怪とはなんだと思う?」
陽葵「うーん。不思議な生き物?」
志乃「どうやって生まれると思う?」
陽葵「樹霧之介は両親いたよね。」
志乃「そういうのもいるな。だが大体は何らかのおもいが形になって生まれている。」
陽葵「思い?」
志乃「例えば見えない場所から変な音が聞こえるとする。」
陽葵「うん。」
志乃「そこに何かがいると思う。」
陽葵「うん。」
志乃「妖怪が生まれる。」
陽葵「え。それで生まれるの?先に妖怪がいたとかじゃなくて?」
志乃「そうゆう場合もあるがおもった人がいなければ生まれない。いつの間にかそこにいるのが妖怪だ。」
陽葵「それにそれで生まれていたらもっと数が増えているでしょ?」
志乃「その頃は増えていたが今は化学の方が強くなって生まれることは減ったな。音がすれば妖怪よりも先に風や水の音を疑うだろう?」
陽葵「確かに。」
志乃「そして妖怪の厄介ところは人間が怖いと思えばその通りになる事だ。」
陽葵「じゃあ、怖いと思わなければいいの?」
志乃「そう、それを人間に説明をする。」
陽葵「それで上手くいくの?」
志乃「成功するのは少しだけ。」
陽葵「それって。」
志乃「不安定な妖怪は人間が思ったことをどんどん吸収していろんな形になる。」
陽葵「それで?」
志乃「マイナスな思いを受け取って形を形成すれば人を襲うようになる。」
陽葵「妖怪を決めるのは人間ってこと?」
志乃「そう、だからそういう妖怪ができないように活動していた。」
陽葵「それでも成功するのは少なかったんでしょ?」
志乃「ああ、そういう時は人から距離を置くことしか方法が無かった。だから妖ノ郷ができた。」
陽葵「別の世界を創れる人がいたの?」
志乃「いや、もとからあった空間を妖怪達が住処にしたって感じだな。」
陽葵「へー、見て来たかのように言うんだね。」
志乃「いや、これは聞いた話だ。」
陽葵「妖ノ郷が無かったころはどうしてたの?」
志乃「妖ノ郷が無かったころは凶暴になる前に保護していた。」
陽葵「どうやって?」
志乃「式神として契約したり、その時拠点にしていた場所に連れて行ったり色々だったな。」
陽葵「へー。」
志乃「そして数が増えて管理できなくなってきたところで妖ノ郷を見つけた。」
陽葵「どうやって妖ノ郷を見つけたの?」
志乃「式神になってくれてた妖怪の1体が見つけて教えてくれた。」
陽葵「私にも式神できるかな?」
志乃「妖怪を式神にするのは早いな。」
陽葵「えー。」
志乃「条件を整えたり、代償を払わないといけなかったりするんだよ。こっちならいいけど。」
そう言ってポケットから人型の紙を取り出す。
陽葵「あ、見たことあるやつ。」
志乃「こっちの方が使いやすくていいだろ。」
そう言ってその紙に息を吹きかけると白い小さな人になって動き出す。
陽葵「へー紙がそのまま動くんじゃなくて小さな人になるんだ。」
志乃「使える霊力が多いと好きな形に変えることができるんだ。陽葵くらいだとそのまま動かすしかできないだろうな。」
陽葵「やってみないとわからないよ。」
志乃「その前に瞑想で自分の霊力を感知することから始めないと。」
陽葵「むーだけどそろそろいいでしょ?足が痺れてきたよ。」
志乃「まだ座っただけで瞑想はしてないぞ。」
陽葵「え?」
志乃「これから瞑想を始める。」
陽葵「ちょっと待って本当に足の感覚無くなってきてるんだけど。」
志乃「まずは深呼吸。目を閉じて内側に集中。」
陽葵「休憩!休憩しない?」
志乃「口は閉じる!」
陽葵「はい!」
1時間後。
陽葵「足が、痺れて、、。」
陽葵はそんなことを言いながらベッドに突っ伏している。
志乃「こんなんじゃ本格的な修行は難しいかもな。」
陽葵「修行もこんな感じなの?」
志乃「基礎は大事だからな。」
陽葵「これを毎日か。」
志乃「嫌なら止めても良いぞ。」
陽葵「だけど身を守らないといけないから。」
志乃「身を守るだけなら簡単だぞ。」
陽葵「え?」
志乃「妖怪が見えなくなればいい。そうすれば必要以上に関わらなくてすむ。」
陽葵「私には霊力があるんだよ。そう簡単に出来る事なの?」
志乃「妖怪との繋がりを消せばいい。記憶を消して、繋がっているものを消せば見えなくなる。」
志乃は真琴の連絡先が入った陽葵のスマホを見る。
陽葵「駄目だよ!」
そう言いながらスマホを庇うようにギュッと握る。
志乃「はぁ、そうならないように1ヶ月頑張って。」
陽葵「わかった。」
志乃「その本も内容が言えるまで暗記する事。」
陽葵「座学、、」
志乃「1ヶ月後だからね。」
陽葵「はい。」
そして志乃は家に帰る。
だが、今の志乃に記憶を消せるような力は無い。
自分の能力も早めに取り戻さないとと気を引き締めた。
翌日も朝から陽葵の突撃は続く。
陽葵「ねぇもらったメニュー、今日の分全部終わったよ。」
志乃「朝のうちに終わらせたのか?何時に起きたんだ?」
陽葵「だからさ、昨日見せてくれた式神の紙が欲しいな〜、なんて。」
志乃「調子に乗るな。」
陽葵「えー、頑張ったのに。」
志乃「1ヶ月の約束を守れないなら修行は無しだ。」
陽葵「じゃあ、この後何すれば良いの?」
志乃「本を暗記しろ。必要な事が書いてあるから。」
陽葵「なら浜名瀬さんが教えてよ。1人で本読むなんてできないよ。」
志乃「無理なら記憶消した方が良いみたいだな。」
陽葵「ごめんなさい。やります、やらせてください。」
志乃「こんな事している時間はあるのか?」
陽葵「え?」
時計は授業もう授業が始まる1分前を指している。
陽葵は急いで教室へ戻って行った。
そして昼休み、ゆっくりご飯を食べていつものベンチへ行こうと移動していると陽葵を見かける。
突撃が無かったのでまじめに本でも呼んでいるのかと思っていたが誰かに絡まれているようだった。
関係ないとは思いつつ、音を操れる6号を出して陽葵の会話を離れたベンチで座っている志乃に飛ばして聞かせる。
???「元陸上部なんだから協力してもいいだろって。」
陽葵「私は私のやりたいことがあるんです。」
???「それが何か聞いているんだ。」
陽葵「プライバシーの侵害ですよ。」
???「猪女が難しい言葉を知っているんだな。」
陽葵「何ですか?いじめなら先生に言いますよ。」
???「部活を1ヶ月で辞める不真面目ちゃんの事なんて誰も信じないって。」
陽葵「それは理由があって、部長も大丈夫って言ってくれました。」
???「部長は優しいんだよ。だけど次の大会で記録残さないと陸上部が馬鹿にされるんだ。」
陽葵「それで?私に助けてほしいと?人に頼む態度じゃないですよね?」
???「運動しかできないお前に活躍の場を提供するって言ってんだよ。」
陽葵「いりません。私は私のやりたいことに時間を使いたいんです。」
???「じゃあ、最近あの、誰だっけ?女子野球部で活躍した1年。」
陽葵「浜名瀬さんも無理ですよ。そんな時間ありません。」
???「そんなのわからないじゃないか。最近仲いいんだろう?一言言ってくれればいいから。」
陽葵「こんなことに浜名瀬さんを巻き込まないでください。それにあの人は部活動はしないって言っているんです。」
???「部活入ってないなら少しくらい手伝ってくれてもいいんじゃないか?聞いてくれてもいいだろ?」
陽葵「自分で言ってください!」
???「部長も誘いに行ったが門前払いだったんだ。俺が行っても無駄だろうが、仲のいいお前から言ってくれれば話くらいは聞いてくれるだろ?」
陽葵「とにかく、私から言うことはできません。」
そう言って陽葵はその場から離れて行った。
???「おい、待てよ話は終わってないぞ!」
時間を見れば授業がもう始まる時間だ。
志乃も自分の教室へと戻って行く。
放課後、下駄箱のところで陽葵と会う。
陽葵「浜名瀬さん偶然ですね。」
志乃「そうだな。」
陽葵「もしかして迎えに行かなかったから拗ねてます?」
志乃「いいや。静かな時を満喫していた。」
陽葵「お昼休みもちょっと頼まれごとされてて行けなかったんですが寂しかったですか?」
志乃「明日も頼まれごとをされてくれないか?」
陽葵「酷い。来るなってことですか?」
志乃「そう言っている。」
陽葵は昼にあったことを話そうとはしない。
ある程度の気遣いというものができるようだ。
???「やあ、陽葵ちゃんじゃないか偶然だね。」
昼に陽葵に絡んでいた男子が声をかけてくる。
志乃「彼氏か?趣味悪いな。」
志乃は盗み聞きをしたことを悟られないよう初見のふりをする。
陽葵「違うよ。陸上部にいた時の風間 蓮っていう先輩、しつこいんだよ。これも待ち伏せしてたんだと思う。」
蓮「やあ、お友達も一緒じゃないか。ちょうどいい、少し話さないか?」
陽葵「白々しい。」
あの陽葵を怒らせられるとはある意味すごい才能だ。
蓮「君、例の1年だろ?陸上に興味ない?」
志乃「礼儀の無い部員のいる部活には行きたくないね。」
蓮「ははは、俺は2年生だ。1年に礼儀を尽くして何になる。」
志乃「1年でも無礼な先輩の話は聞きたくない。それじゃ。」
そう言って志乃は陽葵の腕をつかんで帰ろうとする。
蓮「待てよ。逃げるのか?」
志乃「あんた、陸上部なんだよな。」
志乃は足を止めて振り向く。
蓮「お、やるか?」
志乃「いや、逃げる。」
蓮「臆病者が。」
志乃「足に自信があるなら捕まえてみればいいじゃないか。それとも自信は無かったか?」
蓮「あ?後悔するなよ。」
志乃は走り出し、それを蓮が追う。
志乃「範囲は学校内のみで私が捕まるか、お前がギブアップするまででどうだ。」
蓮が伸ばす手を避けて余裕そうに言う。
蓮「良いだろう。捕まえれば俺が卒業するまでお前奴隷な。」
志乃「わかった。だがお前が負ければ私と陽葵へ接触しないでもらおうか。」
そう言って連との距離を取る。
蓮「は。できると思うな。」
志乃「了承しないということはこの勝負に自信が無いのか?」
蓮「あ?俺が負ければそうしてやるよ。」
志乃「契約成立だ。」
蓮「生意気な。」
そして本格的に鬼ごっこが始まった。
志乃は蓮との距離を保ちながら逃げるが次第に蓮のスピードが落ちる。
志乃「もうばてたのか?」
蓮「うるさい!俺は短距離が得意なんだ!」
志乃「それにしては遅いんだな。」
蓮「違う!長引きそうだったから体力を温存するために遅く走ったんだ。」
志乃「言い訳ばかりだな。」
蓮「ど、どちらにしろ俺が負けを認めなければ俺の負けは無い。」
志乃「お前は負けを認めるか、私を捕まえないと帰れないぞ?」
蓮「そんなルールは無いだろ。」
志乃「聞いてなかったのか?範囲は学校内のみで私が捕まるか、お前がギブアップするまでだ。勝負が終わらないなら範囲である学校内の外には出られない。」
蓮「そんなの休戦だ休戦。」
志乃「私は認めない。」
蓮「はあ?」
志乃「勝負の休戦は両者が認めあってこそだ。途中で外に出るならお前の負けになる。」
蓮「そんなの聞いていない。」
志乃「初めに言ったルールの範囲内だと思うが?」
蓮「こんなの無効だ。」
志乃「逃げるのか。」
蓮「それなら俺はもう動かない。俺が負けを認めるか学校から出なければ負けは無いからな。お前が外に出れば俺の勝ちだ。」
志乃「そうだな。だが先に言っておくと私は一人暮らしで門限は無い。ここから動かないのであれば見回りの先生が来るだろう。」
蓮「脅しか?」
志乃「いいや。事実だ。」
蓮「くそが。ならやってやるよ。」
志乃「そうか。」
蓮は近づいていた志乃に手を伸ばすが軽くかわされる。
そこからまた追いかけっこが始まった。
変わらず志乃は蓮との距離を保ちながら逃げる。
蓮「おちょくってんのか!?」
志乃「お前が遅いだけだ。ちゃんと練習しているのか?」
蓮「うるさい。」
蓮は息を切らしながら追いかける。
部活動も終わる時間。
志乃「根性だけはあるな。」
蓮「...。」
しゃべる元気はもうないようだ。
春奈「あれ?浜名瀬?こんな時間まで居るなんて珍しいな。」
志乃「久しぶりだな。」
春奈「結局優勝祝い来なかったな。いいけど。」
志乃「何か用か?」
春奈「いや、何してるのかなと思っただけだ。」
志乃「喧嘩を売られたから買っただけだ。」
春奈「相変わらずだな。その後ろにいる奴か?」
志乃「ああ、私が逃げてあいつが捕まえる。」
春奈「もう動け無さそうだ。相変わらず容赦ないんだな。」
蓮はすでに息を切らして座り込んでいる。
志乃「まあ、まだ勝負はついてないけどな。」
春奈「どう見てもあいつの負けだろ。どんなルールだよ。」
志乃「どちらかが学校から出るかあいつが私を捕まえるか、あいつが負けを認めるかだな。」
春奈「それで、あ、おい!」
蓮は志乃の背後から手を伸ばしている。
だがそれも志乃は避ける。
志乃「勝負再開だ。じゃあな。」
春奈「あ、ああ。」
2人は春奈の横を抜け、走って行った。
何回目だろうか校舎を1周して校門のところにまた戻ってくる。
陽葵「もう止めなよ先輩。追いつけるわけないよ。」
校門のところで待っている陽葵の声が聞こえる。
蓮「うるさい。」
声を絞り出すが、余裕が無いことは確かだ。
志乃「最初の条件を変えるのであれば捕まっても良いぞ。」
陽葵「え。」
蓮「情けはいらない。」
志乃「いや、根性だけは人よりあるなと思っただけだ。評価はしている。」
蓮「は、根負けか?」
志乃「いや、条件変えないのであればこのまま続ける。」
蓮「どう変えるってんだ?」
志乃「一日だけお前に付き合ってやる。」
蓮「は、上から目線だな。」
志乃「学年しか威張れない奴に下げる頭は無いんでね。」
蓮「な。」
春奈「お、いたな。」
声の方を向くと春奈とその後ろにもう一人誰かがいてその2人が近づいてくる。
志乃はその後ろの人に見覚えがある。
春奈の後ろにいた人は蓮を認識すると速足で近づいて平手打ちをする。
???「何でこんな恥ずかしいことしているの!だからお兄ちゃん何て嫌いなの!」
志乃と陽葵はいきなりの展開に驚いている。
春奈「あいつの名前は風間 咲希、この風間 蓮の妹だ。」
この咲希は試合で手首をくじいていたレフトの人だった。
咲希「この人は恩人なんだよ。何でこんなことしてるの?」
蓮「違うんだこれは。」
咲希「何が?こんな醜態さらして恥ずかしい。」
蓮の時間が止まったようにフリーズしている。
春奈「ところでどちらが勝ったんだ?」
志乃「まだ決まっていない。」
陽葵「浜名瀬さんは卒業するまで奴隷から1日付き合うに変えたら負けるとか言っているのに頑固なんです。」
春奈「1日付き合ってもらえるのか、それなら私が勝負したいな。勝てる気しないけど。」
咲希「ほら、早く負けを認めなさい。勝てるわけないんだから。」
蓮「うるさい。うるさい。勝手に野球の方に行きやがって!今度の大会で陸上部が活躍すれば陸上部に入ってくれると思ったんだ。」
咲希「それは友達に人数が足りないからって頼まれて。それにお兄ちゃんじゃ記録出せないでしょ。部活さぼって体力無いんだから。」
志乃「そうなのか?」
志乃は陽葵に聞く。
陽葵「自分の練習に集中していて見てなかったけど、そう言えばあいつの練習している所見た事ないかも。」
志乃「それでよく人に不真面目とか言えたな。」
陽葵「何か言った?」
志乃「いいや、何でも。」
志乃は盗み聞きがバレそうになったので慌てて誤魔化す。
咲希「浜名瀬さん、桜庭さん、うちの愚兄がご迷惑をおかけしました。確か学校の外に出れば負けでしたよね。」
そう言って連を校門の外に引きずって行き、外の道路を踏ませる。
咲希「これでお兄ちゃんの負けだよ。もう変なことしないでよね。」
蓮「余計なことをするな。」
陽葵「いい気味だよ。」
志乃「ふむ。」
2人が荷物を取りに校舎に戻るところを見送る。
春奈「そうだ。さっき気になったんだがその足、大丈夫か?」
春奈が指さすところは焔を蹴って火傷した場所だった。
走っているうちに靴下が下がり隠していた火傷の痕が見えている。
志乃「ああ、ちょっとお湯をこぼしたんだ。」
そう言って靴下を上げて隠す。
春奈「そうか。意外とドジなところもあるんだな。安心した。」
そう言って春奈も荷物を取りに校舎に戻って行った。
志乃と陽葵は校門に荷物を置いていたのでそのまま帰路に着く。
陽葵「不老不死でもケガするんだね。本当にお湯こぼしただけ?」
志乃「あまり深入りすることじゃない。」
陽葵「やっぱり妖怪関係なんだ。」
志乃「首を突っ込むなと言っている。」
陽葵「それでも友達がケガするの見ているだけなのは嫌だよ。」
志乃「誰が友達だ。」
陽葵「違うの?私はそう思っていたのに。」
志乃「一方的に付きまとって友達ではないだろう。それに私は他の人とは違い怪我の治りが早いんだ。心配されることは無い。」
陽葵「治っても怪我すれば痛いじゃん!浜名瀬さんのバカ!」
そう言って陽葵は走り去って行った。
途中で転んでいたが自分の怪我は良いんだろかとは思いつつもさっき言ってしまった言葉を思い出し、無視して自分の家へと帰る。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




