50話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
志乃は目を覚ますが意識が朦朧としていて周りの状況があまり掴めない。
体にはいくつもの管が取り付けられていて、外そうと手を動かそうとするが動かせる手が無い。
助手1「目が覚めました。」
助手2「麻酔、効きません。」
律希「サンプルは十分取った。例の部屋に移すぞ。」
助手1「はい。」
そんな声とドタバタと足音を聞いていると頭に衝撃が走り、また意識を失う。
次に志乃が起きるとそこは硬いベッドの上だった。
両手足には金属製の枷が着けられており、そこからは電気が流れているのか筋肉が硬直して動かすことができない。
服は手術衣に着替えさせられており、持ち物も全て無くなっている。
唯一首だけは動かせるので周りを確認するがそこは薄暗く、そこまで広くないコンクリートでできた部屋で志乃が寝ているベッド以外何もない無機質な部屋だった。
監視の為だろうか壁の1面の下3分の1はコンクリート壁だがその上はガラスが張られていて隣の部屋が見える。
子供の姿になれば拘束が解けるかもと試してみるが体が痺れているせいか上手くいかない。
何もできずに時間だけが過ぎていくそんな時、隣の部屋の電気が点いて誰かが入って来た。
いきなり点いた灯りが眩しくて目を細めながら見るとそこにいたのは社長の葛城 怜司だった。
怜司は志乃の部屋の灯りも点けると中に入って来て志乃に話しかける。
怜司「やあ、目が覚めたんだ。」
志乃「なん、の、用、だ?」
体に電気が流れているため肺に力が入らず、かすれた声になる。
怜司「苦しそうだね。勝手に話すから君は喋らなくてもいいよ。」
怜司は隣から椅子を持って来て志乃の隣に座り勝手に話を始める。
怜司「まずは自己紹介といこうか。私の本当の名前は明辻 怜司、明辻家の子孫だよ。」
志乃「おま、えか。」
怜司「喋らなくてもいいって言ったじゃん。本当に滑稽だよね。君も律希も。」
志乃は怜司を睨みつける。
怜司「律希はさ、幼馴染なんだ。あいつは僕と同じで妖怪が見えていた。だから私はあいつの噂を流して孤立させたんだ。」
志乃「な、、」
怜司「何でそんな事をって言いたそうだよね。最初は同じ境遇で自分よりも幸せそうなあいつが憎かった。だけど後からそれが利用できるって気付いたんだ。誰にも理解されない中、憎む相手を与えてその相手を倒せる方法をチラつかせる。私のご先祖様も同じように相手の懐に入って自分を売り込み、利用して生き残っていたから。」
志乃「どこ、で、そん、な、こと、、」
怜司「1人暮らしだった祖母が亡くなったから遺品の整理をしていたらご先祖様の日記を見つけたんだ。興味深い資料と共にね。私はこっそりその資料を持ち帰って読みこんだが使おうと思ったら私にはそれを使えるくらいの霊力が無かった。そして周りに霊力を持つ者もいなかった。それで思い出したんだ律希の事。丁度あいつの父親が不倫してたからそれを相手の女性にある事ない事話したら鬼女が出てきてくれた。落ち込んでいた奴に近付いて復讐の方法を教えたら飛び付いたよ。しかもあいつも霊力が少ないのに妖力を利用する方法を編み出した。僕の事も覚えていない馬鹿だと思っていたけどその時だけは感心したよ。」
怜司はずっと笑いながら話している。
志乃「なん、で、話し、た。」
怜司「話した理由か?君はここで一番偉いのって誰だと思った?律希だよね。私もボスとか呼んでるから。だけど違うって事を知っていてほしかったのと、あいつの前では従順な部下を演じなきゃいけないから息苦しくて話し相手が欲しかったんだ。ここには基本私と律希と律希の部下しかいないから話せる人間が誰もいないんだ。」
志乃「...。」
怜司「それでお前、あいつに何されたか知りたいか?」
志乃「別、に。」
怜司「お前、体を切り取られていたんだぜ。手足に、腸に肺に心臓も取り出していた。脳を取り出そうとした時に起きたから中断されたがそれでもいつの間にか全て元に戻っている。お前は本当に人間か?お前の解剖に携わった人全員お前を化け物だって言っていたぞ。」
そんな時怜司のスマホが鳴り、怜司は電話に出ていくつか相槌を打つと電話を切る。
怜司「呼ばれた。また来るよ。」
怜司は部屋を出て部屋の電気を消した事でまた薄暗い空間で1人になると志乃は昔の事を思い出す。
柚子と出会う前、山小屋でただ生きていた時間。
状況は違うがあの時と同じように動けずにただ過ぎていくだけの時間。
柚子と出会ってからは周りは賑やかでそれが心地いいと共に無くなった時の事を考えて不安になる。
心地が良いほど無くなった時の喪失感も考えてしまい距離を置いたこともあったが柚子はいつの間にか近くにいてくれた。
そんな懐かしい事を思い出していると外から声が聞こえてくる。
???「おい。この部屋使って無かっただろ。何を新しく仕入れたんだ?」
律希「今の研究対象です。あまり勝手な事はしないでください。」
???「今度は何を研究しているんだ?面白そうじゃないか少し見せろ。」
電気が点いて今度は3人の人間が入って来た。
3人の内2人は怜司と律希だが1人は見た事が無い人間だ。
顔も格好も厳ついその人間は窓越しに志乃を値踏みするような目で見てくる。
???「人間の姿をした妖怪は見てきたがこいつは何ていう奴だ?」
怜司「こいつは人間ですよ。」
???「人間?何で今更そんな研究をする。」
律希「霊力を持った人間です。霊力を取り出せればこれまでの呪具も今とは比べ物にならない物になりますし新しい呪具も作れます。」
怜司「それに人魚の肉を食べて不死だそうです。」
律希「何で余計な事言うんだ。」
???「不死?本当か?」
怜司「はい。頭を撃ち抜かれて生き返ったところを見ています。」
???「面白いじゃないか。こいつを譲ってくれないか?」
律希「恭一さんの頼みでもそれは駄目です。」
あの厳つい人は恭一というらしい。
恭一「不死なら色々と使い道がある。その人魚の肉とやらがあればもっといいんだが、それは無いのか?」
怜司「こいつがそれをいつ何処で食べたのかも分かっていません。」
恭一「なら何故こいつが人魚を食べた事を知っている?」
怜司「こいつが自分で言ったんです。」
恭一「なら人魚の場所も知っているんじゃないのか?」
そう言いながら志乃のいる部屋に入って来る。
律希「動けないように電流を流しています。触らないようにしてください。」
恭一「そうまでしないと拘束できないのか?臆病だな。」
律希「こいつを侮ったら痛い目見ますよ。」
恭一「それでこいつの名前は何だ?」
律希「仲間の妖怪からは志乃と呼ばれていました。」
恭一「ほう。妖怪と連んでいるのか。」
恭一は志乃に近づき質問を始める。
恭一「おい、志乃とやら。お前はいつ何処で人魚を食べたんだ?」
志乃「そ、れを、聞、いて、どう、する。」
恭一「何だ?おい、律希。拘束具のせいで喋りにくそうだ。このままだと聞きたい事も聞けん。緩める事はできないのか?」
律希「無理です。」
恭一「こんな女1人に何でそんな警戒する。」
律希「恭一さんはこいつを捕まえるまでの苦労を知らないから言えるんです。」
恭一「何があったんだ。」
律希「こいつに何人倒されたと思っているんですか。犬も手を当てただけで消し去るし、縄どころか黒絡縄まで素手で引きちぎるんですよ。」
恭一「それ、本当に人間か?」
律希「霊力を使いますし、目目連の瞳も反応しなかったので一応人間のはずです。」
目目連の瞳はあの妖怪に近づけると反応するビー玉のような呪具の事だ。
恭一「お前も信じてないみたいだな。まあ、そういう事ならこのまま続けるか。」
律希達の方を見ていた恭一は志乃に向き直り、質問を続ける。
恭一「人魚の場所を聞く理由だったな。人間の中には不老不死を望む奴はいくらでもいる。そういう奴に高値で売りつけるんだ。」
志乃「ど、ちらに、しろ、七、百、年、以上、前、の事、だ。それ、から、見た、事、は、無い。」
恭一「700年前だと。嘘じゃ無いだろうな。」
志乃「別に、信、じ、なくて、も、いい。」
恭一「なら他に方法は無いのか?例えばお前の血を輸血するとか。」
志乃「知ら、ない。」
恭一「なら試すまでだ。おい、血は取れるのか?」
律希「あ、はい。大丈夫です。」
恭一「なら後でこいつの血を送れ。今回はそれだけで許してやる。」
律希「分かりました。」
それから恭一はいきなり懐から拳銃を取り出すと、志乃に向けて頭と体に数発撃ち込んだ。
律希「ちょっと何してるんですか。」
恭一「不死ならこんなので死なないだろ。」
律希「拘束具が壊れたらどうするんです?」
恭一「当たらないように撃っただろう。」
律希「この電流も普通の人が耐えられる電圧では無いんですよ。」
恭一「そんなの見た目では分からない。俺は自分の目で見ないと信じない。」
律希「それは知っていますが。」
2人が言い争っていると志乃の傷は徐々に塞がっている。
恭一「ほう、不死ってのは本当みたいだな。律希と出会ってから面白いことが多い。」
律希が志乃を拘束している器機の点検をしていると志乃が起きて恭一の方を睨む。
恭一「何だその顔は。死なないからって調子乗っているのか?」
律希「もう良いでしょう。」
恭一「こいつ臓器は回復するのか?」
律希「はい。昨日抜き取りましたがご覧の通りです。」
恭一「そうか。ならこの生意気な目をくり抜け。」
律希「は、はい。」
恭一「後はそうだな。心臓とかどうだ?」
律希「心臓ですか?」
恭一「そうだ。こいつの血液と眼球と心臓、新鮮なまま今日中に送れ。でないともう支援は無しだ。」
律希「わ、分かりました。すぐに取り掛かります。」
恭一「待っているぞ。」
恭一は部屋を出て行き、律希と怜司はそれを見送りに行った。
しばらくして手術道具を持った2人が戻ると、志乃の首に注射針を刺して血を取り始める。
律希「なんでこの部屋を使っている事がバレたんだ?」
怜司「あの人たまに感が鋭い事ありますよね。」
律希「それでもお前が余計な事言わなければこんな事にはならなかったんだ。」
怜司「すみません。後でバレたら余計面倒な事になると思ったんです。」
律希「まあ、今回は体の一部を送るだけで許されそうで良かったよ。さっさと終わらせてこっちの研究を進めよう。」
麻酔が効かないので律希と怜司はゴム手袋を付けて電気が通らないようにしてから作業に取り掛かる。
志乃は怜司に顔を押さえられて律希に眼球をくり抜かれる。
両目がくり抜かれて保存液に浸されると次に律希は志乃の胸を切り開いて固定し、心臓を取り出して保存装置に入れる。
血液も十分な量が取れていたので、血液パックを鞄に入れて眼球と心臓と共にどこかへ持って行った。
それから時間が経ち、心臓を取られてから意識が無かった志乃が起きると部屋の外から激怒した律希の声が聞こえる。
律希「本部の工場が烏天狗に潰されたってどういうことだ。」
怜司「そのままの意味です。仲間を助けに来たのでしょう。」
律希「結界はどうなっていたんだ。あれが機能していれば人間はともかく妖怪は力が出せないはずだぞ。」
怜司「いつの間にか解除されていました。タイミング的にあの女がしたものかと。」
律希「、、まあいい、ここが無事ならまた新しく建てればいいんだ。」
怜司「呪具の在庫なんですがあそこが壊されたせいで足りなくなっています。」
律希「今は他の拠点で作成し補填しろ。新しい呪具ができればすぐにそんなの取り戻せる。」
怜司「かしこまりました。」
それから無音になり、しばらくすると志乃がいる部屋の電気が点いて怜司が中に入って来る。
怜司「なあ、聞いたか?さっきの律希の声。」
志乃は黙って怜司の方を見る。
怜司「おや、まだ寝ていると思ってた。それにしても麻酔無しで眼球くり抜いてるんだからもう少し泣き叫んでもいいんじゃないのか?本当に気持ち悪い。」
志乃「恭、一、とか、いう、奴、に、私の、事、教え、たの、お前、だろ。」
怜司「そうだよ。私は律希より恭一さんを信頼しているんだ。恭一さんも私を信じて連絡は私の方にしてくれている。」
志乃「はっ。」
怜司「今私の事を笑ったのか?」
志乃「別、に。」
怜司「化け物が私の事を見下しているのか?」
志乃「...。」
怜司「動けないお前はただのモルモットだ。搾取されるしかないお前が私を怒らせると後悔することになるぞ。」
志乃「それ、は、怖い、な。」
怜司「馬鹿にしやがって。」
怜司は怒って部屋を出て行き、電話で何かを話している。
怒りは人の思考を鈍らせてくれる。
それが吉と出るか凶と出るかは分からないが今の志乃にできるのはそれくらいだった。
しばらくして今度は律希が入って来くると志乃の竹筒を持って窓越しに話しかける。
律希「治ってるんだ。やっぱり早いね。」
志乃「何、しに、来た。」
律希「君の持ち物を調べたんだけどこれだけ妖力でできているよね。何で?」
志乃「教、える、と?」
律希「なら僕の仮説なんだけど、これ君の式神なんじゃないの?正確には式神を呼ぶ道具ってところかな?」
志乃「分かっ、て、いて、何で、持って、来た?」
律希「だって君、本部で出してなかったじゃないか。結界のせいで呼べなかったんだろ。ならここでも呼べないよ。」
志乃「...。」
律希「図星かい?それでこれ使ってどんな妖怪を呼ぶんだ?霊力で妖怪を使役するってどんな感じ?」
その時扉が開いて怜司が中に入って来る。
怜司「ボス。」
律希「何だいいところなのに。」
怜司「恭一さんがこいつの臓器を定期的に提供するようにだそうです。」
律希「なんで。」
怜司「嫌なら身柄を引き渡せとの事です。」
律希「分かったがこいつの回復もある。指示通りにいかない時もある事を伝えてくれ。」
怜司「心臓が数時間で復活したんです。別に大丈夫でしょう。」
律希「それを恭一さんに伝えたのか?」
怜司「はい。」
律希「前から思っていたが少し勝手すぎやしないか?」
怜司「そうでしょうか?」
律希「ここのボスは僕だぞ。」
怜司「ですが約束を守らなくては支援を受けられなくなります。そうなると本部がなくなった今、ここも潰れるのは時間の問題でしょう。」
律希「クソッ。」
怜司「これで信頼を得れれば本部を立て直すのも早くなりますよ。」
律希「分かった。次はいつどの部位を送ればいい?」
怜司「明日は眼球と血液だけで良いそうです。」
律希「明日?」
怜司「はい。昼までに届けるようにと。」
律希「期間が短くないか?」
怜司「そんなことはありません。」
律希「分かった。用意すると伝えてくれ。」
怜司「はい。」
それだけ伝えると怜司は部屋を出て行った。
律希「気分が悪い。続きはまた今度話そうか。」
そう言って律希も部屋を出て行き部屋はまた薄暗くなった。
次の日だろう、また律希と怜司が部屋に入って来て志乃の血と眼球を持って行く。
前が見えず、真っ暗な中こんな事がいつまで続くのか不安になりつつもこのまま怜司を煽って移動となればチャンスはあるはずなので希望は捨てずにそれを待とうと思っていると覚えのある妖気を感じた。
部屋の扉が開き、その妖気の主がゆっくりとこちらに近づいて来ている。
志乃「きり、の、すけ?」
樹霧之介「志乃さん。」
志乃「たか、ねも、いる、のか?」
篁音「ええ。目が見えないのによく分かりますね。」
樹霧之介「やっぱりさっきの人が持っていた眼球って、志乃さんのなんですね。」
志乃「そう、か、嫌、な、物、見せて、しまっ、たな。」
篁音「ここに来る前にもっと酷い物見ていますので大丈夫ですよ。」
樹霧之介「そうです。志乃さん、ここでどんな扱いされてたんですか。」
更に樹霧之介が近づいて来る気配がする。
志乃「触、るな。」
樹霧之介「でも、、」
篁音「その拘束具、電気が流れているんですか?」
志乃「そう、だ。どこか、に、電、源が、ある、はず、だから、それ、を、切っ、て、、」
篁音「それはあそこのコンセントでしょうか?」
篁音が指差した方に業務用のコンセントがあり、樹霧之介がそれを抜くと志乃の拘束具の電流は止まるが手足の筋肉はまだ硬直していて動けそうにない。
志乃「ありがとう。少し楽になった。」
樹霧之介「もう触っても良いですか?」
志乃「いいけど。拘束具はまだ取るな。」
樹霧之介「どうしてですか?」
志乃「まだ動けないんだ。動けるようになるまではこのままがいい。」
篁音「そうですね。どのくらいかかるか分からない以上誰かが戻って来る可能性がありますから。」
志乃「ああ。それでお前達は結界が張ってあるのにどうやって入ってこれたんだ?」
篁音「霊力でできた結界では無理ですが、妖力でできた結界ですから自分の妖力である程度抵抗することはできます。」
志乃「それでも長くは持たないだろ。」
篁音「そうですね。それであなたはどのくらいかかりそうですか?」
志乃「そこそこの間硬直してたからな。もう少しかかる。それにできれば目も回復させたい。」
樹霧之介「何で同じ人間にこんな酷い事できるんですか。」
志乃「妖怪にも色々いるように人間にも色々いるんだ。」
その時外から足音が聞こえる。
志乃「隠れろ。」
その言葉に篁音と樹霧之介は天狗の隠れ蓑で部屋の隅に隠れると同時に部屋の電気が点き怜司が入って来る。
怜司「おい。」
志乃「...。」
怜司「寝ているのか?起きろよ化け物。」
その言葉に樹霧之介が飛び出しそうになるがそれを篁音が抑える。
怜司「はあ、まあいいや。私を怒らせたお前を恭一さんの元に送りたいと思っている。恭一さんはお前に色々試したくてうずうずしているらしいぞ。体を半分にしたらどっちから再生するかとか、どこまでバラしても復活できるかとか、お前の子供は不死なのかとか、恭一さんのアイディアは尽きない。お前がそれに耐えられるか見れない事だけが残念だが近々そうなる事を伝えとくぜ。」
怜司は志乃の周りをゆっくり回りながら話していると何かに気付いてしまう。
怜司「おい、何でコンセントが抜けているんだ?」
怜司が志乃の方を向くと同時に志乃は拘束具を引きちぎって怜司の首を絞めて気絶させる。
樹霧之介「志乃さん動けるように、、」
志乃は怜司の首を絞めた後、地面に倒れこんでしまった。
志乃「霊力で無理矢理体を動かしただけだ。まだ回復はしていない。」
篁音「目もまだ見えて無さそうですがこの状態で誰かが来たら確実に戦闘になりますよ。」
志乃「分かっている。だからもう動く。」
樹霧之介「大丈夫ですか?」
志乃「やらないといけないだろ。」
そう言いながらふらふらと立ち上がり、志乃は扉の方に歩くが所々躓いたうえにドアノブに手を掛けようとするが目が見えていないせいでドアノブに触る事ができていない。
樹霧之介「やっぱり無理ですよ。」
志乃「相手が無機物だからだ。生き物なら大丈夫だから。」
篁音「私達はもう少し余裕があります。隠れ蓑で身を隠して回復を待ちましょう。」
志乃「、、悪い。」
篁音「はい。この借りは後で返してもらいますからね。」
志乃「分かった。」
樹霧之介「その手枷と足枷も取りましょう。」
樹霧之介は志乃の手足にまだ付いている枷を取ろうとするが固くて外れない。
篁音「それは私がします。樹霧之介さんは外を警戒してください。」
樹霧之介「はい。」
篁音「力入れますが大丈夫ですか?」
志乃「今は痛みを感じていない。」
篁音「なら思いっきりやっても良さそうですね。」
篁音が枷の留め具を外して志乃の手首から枷を外す時、電気の熱で皮膚が溶けて枷に貼り付いていたため皮膚ごと外すことになる。
篁音「こうなっても拘束を止めないなんて、、」
志乃「目玉をくり抜く奴らだぞ。」
篁音「そうですが同じ人を拉致監禁したものとして少し思うところがありまして。」
志乃「思わなくていい。」
同じように他の手足の枷を取って監視室の隅へ移動するとそこでいつでも隠れ蓑に隠れられるように準備して志乃の回復を待つ。
樹霧之介「志乃さん、その手と足、、」
志乃「長い間付けてたせいで治りは遅いが大丈夫だ。」
樹霧之介「何でこんな酷い事平気でできるんですか。」
志乃「お前は分からなくていい。」
樹霧之介「あの倉庫だって妖怪の一部が瓶に入って沢山並べられていました。そしてその中に、、」
篁音「その中にあなたの一部もありましたが大丈夫ですか?」
志乃「その時のやつはもう回復している。」
篁音「いえ、不死身であるあなたの一部が保存されているんです。何かに影響したりはしませんか?」
志乃「私が不死なのは人魚の呪いのせいだ。呪いの本体である私から離れれば呪いは影響しない。普通の人の物と変わりないよ。」
篁音「人魚って呪いだったんですね。」
志乃「知らなかったのか?」
篁音「ええ。やっぱりもう一度あなたを監禁して今度は本格的にその不老不死について調べるしかないのでしょうか。」
志乃「止めてくれ。」
篁音「ですがあなたは私に借りがありますよね。」
志乃「私が知っている事は話すから。」
篁音「あなたいつも説明不足なところあるんですよね。」
志乃「う。できるだけ詳しく話すから。」
そんな事を話していると外から律希の声が聞こえてきた。
律希「怜司の奴、電話にも出ないなんてどこにいるんだ?」
志乃達は急いで天狗の隠れ蓑を被ろうとするが一枚しかなくはみ出してしまう。
篁音「やっぱりこうなりましたか。私が気を引きますので皆さんは休んでいてください。」
志乃「必要ない。」
志乃が子供の姿に変わり無事全員天狗の隠れ蓑に収まると律希が中に入って来る。
律希「これはいったい。」
律希は志乃がいない部屋で気絶した怜司を見て慌ててどこかに電話を掛けると、志乃達には気付かず部屋を出て行った。
篁音「志乃さんこれは?」
志乃「野々香から聞いてないのか?」
篁音「聞いてはいますが同時に管狐が不調と聞いてたのでそのせいだと思っていました。」
志乃「人魚が自身を本体とした呪いと気付いてから多少効果を変える事ができるようになったんだ。」
篁音「なるほど不老不死の不老の効果を変えたんですね。」
志乃「話しが早くて助かる。」
篁音「他にも変えれる事があるんでしょうか?」
志乃「その話は後でもいいか?」
篁音「ええ。楽しみが増えました。」
樹霧之介「だけど志乃さん、それ使えば逃げれませんでした?」
志乃「拘束中は痺れていたせいなのか使えなかったんだ。」
樹霧之介「そうだったんですね。」
志乃「それよりも警戒されたこの状況をどうするかだな。」
篁音「志乃さんは今どんな感じです?」
志乃「目はぼやけているが何とか見える。体もまだ鈍いが霊力で補助すればいけるだろ。」
篁音「なら行きますか。」
樹霧之介「はい。脱出しましょう。」
志乃「捕まっている妖怪はいなかったか?」
篁音「ここには素材にしてから持って来ているようでした。」
志乃「そうか。なら外に出るか。」
篁音「はい。」
志乃達はこの施設からの脱出を目指す事になった。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




