46話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
修学旅行も終わり文化祭の準備が本格的に始まった。
文化祭では学年ごとにする事は決まっており、1年生は教室内でできる催し物、2年生は屋台、3年生は舞台か小売りになっていて2年生である志乃のクラスはフライドポテトを売る事になった。
そんなある日休み時間に野々香が突撃してきた。
野々香「志乃、志乃。」
志乃「何だ。付き纏わないという約束だぞ。」
野々香「久しぶりなんだから付き纏っては無いでしょ。」
志乃「何か用なのか?」
野々香「また舞台に立たない?」
志乃「断る。」
野々香「考えてくれてもいいじゃん。」
志乃「何で誘ったんだ?」
野々香「去年は私が乱入したじゃん。だから今年もあったら良いなって。」
志乃「乱入しろと?」
野々香「うん。」
志乃「断る。」
野々香「だよね。」
志乃「分かっているなら何しに来たんだ。」
野々香「してくれたら嬉しかったんだけど本題入るね。」
志乃「何だ?」
野々香「ねえ、明辻って聞いたことある?」
志乃「その家なら潰れたはずだ。」
野々香「そう言うってことは志乃は手出してないの?」
志乃「噂を聞いて念の為調べには行ったがその時にはもう無かった。」
野々香「潰れた理由は知ってる?」
志乃「大きく異形な妖怪がそいつの屋敷を潰したこと以外は知らない。」
野々香「調べなかったの?」
志乃「調べるも何も調べられる物は無かったし、助けないといけない妖怪もいなかったからな。それでその家がどうしたんだ?」
野々香「明辻家は財産を失ってから技術を売って細々と生活していたみたい。」
志乃「みたいっていうのは?」
野々香「この前仲間が襲われて母上が襲ってきた人間の拠点を1つ潰したの。」
志乃「そうか。」
野々香「で、その拠点からこれが見つかったの。」
野々香はA4サイズの封筒を志乃に渡し、志乃はその中の資料に目を通す。
それは明辻家が行っていたであろう実験の結果や開発した術の資料だった。
志乃「これ、、」
野々香「見た事あるものない?」
野々香の持って来た資料には明辻家の家紋と様々な妖怪を利用した術が書かれていて、その中には斎守家が使っていた妖力を吸い取る結界や木霊を無理矢理生かして力を搾り取る術の事も書かれていた。
野々香「母上が言うには斎守家は明辻家から技術を買って使っていたんじゃないかって。推測だけど。」
志乃「それでこれが今でも使われているのか?」
野々香「それが使われているかは分からないけど母上が見つけたのはコピーされた物だったから元の資料はまだ誰かの手元にあるのは確実だよ。」
志乃「お前がこれを私に見せに来た理由は?」
野々香「この術を使う人間がいるかもしれないっていう警告。」
志乃「そうか。」
野々香「それにこっちの方があれより優先度高いでしょ。」
志乃「そうだな。」
野々香「もしかして志乃も手詰まってる?」
志乃「もって事はそっちもあまり進んでないようだな。」
野々香「まあ、母上がずっと調べても出てこないからね。一度出来損ないが出てきたからってこれ以上どう進めればいいんだって話しだよ。」
志乃「そうか。」
志乃は資料を封筒に戻して野々香に渡そうとする。
野々香「それは志乃が持っていてよ。」
志乃「良いのか?」
野々香「母上が見つけた資料のコピーだし、志乃なら使う事はないから。」
志乃「そういう信用はあるんだな。」
野々香「その代わり烏天狗が何人か行方不明なんだ。何か分かったら教えて。」
志乃「そういう事か、分かった。」
野々香「あと、、」
志乃「何だ?」
野々香「文化祭の舞台、見に来てよ。」
志乃「時間が合えばな。」
野々香「2日間の内1日くらい時間合うでしょ。」
志乃「まだ分からないぞ。」
野々香「乱入しなくてもいいから来てよ。来なきゃヤダ。ヤダヤダヤダ。」
志乃「分かったから駄々をこねるな。」
それからその日の帰り道、陽葵が志乃に質問する。
陽葵「浜名瀬さん、今日野々香と何話してたの?その封筒は?」
志乃「見るか?」
陽葵「いいの?」
志乃は黙って野々香から貰った封筒を陽葵に渡し、陽葵は封筒の中から紙を取り出して中を見る。
陽葵「ヒッ!」
志乃「一応大事なものだ。落とすなよ。」
陽葵は中を見て驚き、すぐに出した紙を封筒に戻して志乃に返す。
陽葵「なにこれ。」
志乃「そういう実験をしていた家の資料だ。お前が見たのは大蝦蟇の解剖図だな。人型の妖怪の物じゃなくて良かったな。」
陽葵「何でそんな物があるの。」
志乃「烏天狗が人間に襲われたらしい。その人間の拠点で見つけたそうだ。」
陽葵「浜名瀬さんは平気なの?」
志乃「もっと酷いものをこの目で見てきた。」
陽葵「、、そうなんだ。それでどうするの?」
志乃「まだ実験が行われているなら潰すつもりだ。」
陽葵「危ない事だよね。」
志乃「昔から続けている事だ。」
陽葵「だけど、今の浜名瀬さんいつもより何だろう何か、あれだよね。」
志乃「何だ?」
陽葵「最初の頃に戻った感じする。」
志乃「2年も経っていないのに変わるか?」
陽葵「だけど最初の浜名瀬さん、怖かったよ。」
志乃「帰り道に襲われれば誰だって敵意を向ける。」
陽葵「いや、それはそうなんだけど。やっと馴染んできた感じしてたからさ。」
志乃「そうかもな。」
陽葵「戻らなくても良いんだよ。」
志乃「時代が変わろうが人が変わらなければ私がやる事は変わらない。」
陽葵「浜名瀬さんがしないといけない事なの?」
志乃「知ってしまった以上無視はできない。」
陽葵「何で野々香もこんなの浜名瀬さんに見せたんだよ。」
志乃「野々香に当たるな。お前にこれを見せたのは妖怪だけではなく人間にも気を付けてほしいからだ。」
陽葵「人も怖いのは分かるけど何で?」
志乃「今の時代霊力を使える人は貴重だ。騙されて利用される可能性がある。」
陽葵「だけど私の霊力そこまで無いんだよね。」
志乃「霊力の量ではなく、それが使えるかどうかが問題なんだ。」
陽葵「そうか。」
志乃「もう知らない人には付いて行くなよ。」
陽葵「もうしないよ。それにあの時は催眠にも掛かっていたんだから。」
志乃「お守りは持っているか?」
陽葵「うん。肌身離さず持ってる。」
志乃「ならいい。」
陽葵「浜名瀬さん。無理しないでね。」
志乃「善処する。」
陽葵「もー。」
それから志乃は樹霧之介達にも気を付けるよう言いに行く為に妖ノ郷へ向かうが志乃が妖ノ郷にある樹霧之介の家の前までくると何かもめているのか中から怒鳴り声が聞こえてきたので志乃は扉を開けて中に入った。
???「何でここに人間がいる!わしらを騙したのか!?」
黒根「落ち着かんか。こいつは昔わしと仕事しておった人間じゃ。」
中では樹霧之介と黒根と茂蔵が2匹の狸の話を聞いているようだが樹霧之介は大柄な狸に委縮していて茂蔵は隅で固まっていてまともに話せているのは黒根くらいだった。
志乃「刑部狸だな。狸の大将が何の用で来ているんだ?」
刑部狸「お前に言う必要はない!」
志乃「私も怒鳴る事しか脳の無い奴の話は聞く気はない。」
刑部狸「何だと。」
刑部狸は立ち上がり志乃に詰め寄る。
志乃「そうすれば誰もがお前に怯むと思うな。」
刑部狸「女のくせに生意気な奴だな。こんな細い奴片手で足りるぞ。」
刑部狸は志乃に手を伸ばすが志乃は一瞬で刑部狸を組み伏せてしまった。
刑部狸「いだだだだ。」
志乃「それで黒丸。こいつは何を怒鳴っていたんだ?」
志乃は刑部狸の上から黒根に話しかける。
???「それは私から話させていただきます。」
刑部狸の隣にいたもう1匹の狸が話し出す。
志乃「お前は?」
???「私は影吉と申します。この刑部狸の側近をさせていただいております。」
志乃「それでお前達は何しにここに来たんだ?」
影吉「その前に暴力を振るおうとしたことは謝りますので降りて頂けませんか?」
志乃は下にいる刑部狸を見て少し考えてから刑部狸から降りる。
それから全員ちゃぶ台に着くと影吉は不機嫌な刑部狸の代わりに話し始めた。
影吉「まずは騒がしてしまった事を謝罪します。」
志乃「私は用事があってここに来たんださっさと本題に入ってくれ。」
影吉「はい。私達が来たのはこの刑部狸が治めている山に人間が入り仲間達を連れ去った事を相談に来たのです。」
志乃「何でここなんだ?」
影吉「そちらの黒根殿は昔そういう問題を解決していたと茂蔵に聞いていたのです。」
刑部狸「だが頼って来てみたらどうだ。こんなちんちくりんに何ができる。しかもその跡継ぎがこんな子供だと?わしを馬鹿にしているのか。」
刑部狸は黒根と樹霧之介を順番に指差す。
志乃「黒丸は昔負った傷で今はこんな姿だがそれが無ければお前よりも強いぞ。」
刑部狸「問題は今起こっているんだ。今強くなくては意味ないだろ!」
影吉「落ち着いてください。」
刑部狸「だから最初からこんな落ちこぼれの言う事なんて聞く必要はないと言ったんだ。」
刑部狸は茂蔵の方を睨みつけ、より小さくなる茂蔵を見て志乃は茂蔵を抱えて一度外に出ると1人で戻って来た。
志乃「つまりお前らの仲間を取り返せばいいんだろ。なら私が行く。」
刑部狸「確かにお前は強いだろうが人間は信用できない。」
黒根「じゃからこいつは昔破魔凪と呼ばれ、わしと一緒に妖怪達を助けていたんじゃ。」
刑部狸「だがそれは200年以上も昔の話だろ。人間がそんな長く生きられるはず無い。」
志乃「何だ。証拠が必要か?」
志乃は9号が持って来た短刀を受け取り腕を切ろうとする。
樹霧之介「待ってください!」
樹霧之介は志乃の短刀を持った腕を押さえる。
志乃「何でだ?こういう奴に信じさせるにはこれが一番早い。」
刑部狸「それで何するっていうんだ?」
志乃「お前は私が不死だと信じられないんだろ。」
刑部狸「不死?どんな妖怪でも神にでもならなければいつかは消える。弱い人間にそんな奴がいるか。」
樹霧之介「刺激しないでください。」
志乃「樹霧之介、放してくれ。」
黒根「刑部狸。こいつは人魚の肉を食べて不死なんじゃ。今はそれを信じてくれ。」
刑部狸「わしはこいつが不死だろうが関係ない。人間は信用しない。」
志乃「そうか。」
志乃は短刀を鞘にしまい、竹筒へ戻す。
黒根「それでその狸達を連れて行った人間に心当たりはあるんか?」
影吉「その人間どもは数匹攫っては引き上げるを繰り返していて尻尾を掴むことができません。」
刑部狸「影吉、こいつらに頼むことなんてない。帰るぞ。」
刑部狸は立ち上がり、出口へ歩いて行き、影吉はそれに付いて行く。
志乃「なら私は私の用事を済ませるか。黒丸、明辻家を覚えているか?」
黒根「、、そんな家あったかの?」
志乃「妖怪を攫って実験をしている家があると聞いて一緒に行っただろ。」
それを聞いて帰ろうとしていた刑部狸と影吉は足を止める。
黒根「ああ。行ったがもう無くなっていたあの家か。それでそれがどうしたんじゃ?」
志乃「今日、野々香に聞いた話なんだが烏天狗も攫われて篁音がそいつの拠点を潰したらしい。」
刑部狸「お前、烏天狗のまとめ役と知り合いなのか?」
志乃達は刑部狸を無視して話を進める。
黒根「それでそれが明辻家の者だという事が分かったんか?」
志乃「首謀者はまだ分からないがその拠点からこの資料が出てきたそうだ。」
志乃は野々香に貰った資料の入ったA4サイズの封筒をちゃぶ台の上に出す。
影吉「すみません。拝見してもよろしいですか?」
志乃「勝手にしろ。」
影吉が封筒から資料を出すと顔色が悪くなったが仲間の為か責任感があるのかそのままペラペラとめくって刑部狸と一緒に目を通す。
刑部狸「人間はどうしてこんな残酷な事ができるんだ。」
志乃「それで野々香が言うには篁音が見つけた資料は複製だったから元の資料はまだ人間の元に在って悪用される恐れがあるという事だった。だから樹霧之介達にも気を付けてほしいと言いに来たんだが既に他の被害が出ているとはな。」
影吉「これが本当なら既に攫われた仲間は、、」
志乃「妖力が弱くても狸を狙ったのなら可能性は高いな。」
刑部狸「おい!何でそんな平然としている。お前、影吉が仲間が攫われたと言った時からこれを予想していたんだろ!」
志乃「ああ。予想は出来た。だがお前が初めから冷静に話し合えばもっと早く分かった事だ。」
刑部狸「わしのせいだというのか!」
志乃「そうだ。仲間思いなのはいいが頭に血が上り相手の話を聞かない。頼み事をしに来ているくせに仲間の悪口を言う。そして信用できないから頼らないと言って来たのはお前だ。」
刑部狸「だがお前は妖怪を助けてきたんだろ。なら今回も、、」
志乃「何だ?人間は200年も生きられないんだろ。」
刑部狸「だが人間の起こした事だ。なら人間であるお前が解決してもいいだろう。」
志乃「なら、暴れて人を傷つける妖怪をお前は退治してくれるのか?」
刑部狸「それがわしの仲間なら解決するさ。」
志乃「お前の仲間を攫った人間は私の仲間じゃない。」
刑部狸「それは、、」
黒根「志乃よ。もういいんじゃないのか?」
志乃「黒丸。これ、覚えているか?」
志乃は資料の中から妖力を吸い取る結界と木霊を無理矢理生かして力を搾り取る術の資料を見せる。
黒根「これ、斎守家が使っていたやつか?」
志乃「そうだ。これを残すつもりは初めから無い。」
樹霧之介「だけどどうするんです?」
その時扉が開き、茂蔵と2匹の管狐が入って来る。
茂蔵「見つけた!見つけたぜ。」
志乃「刑部狸。お前の言う落ちこぼれの方が優秀だったようだな。」
刑部狸「いつの間に。」
志乃は茂蔵を連れて外に出た時、茂蔵に仲間を助けられないか相談を受けていた。
なので5号と7号を茂蔵に山に連れて行ってもらい、5号で狸の匂いがする人間をさがして拠点を特定する為に7号でその人間の後を茂蔵と共に追ってもらっていたのだ。
志乃「私はお前の依頼は受けない。お前らより先に仲間に頼まれたことがあるからな。茂蔵行くぞ。」
茂蔵「おう、こっちだ。」
そう言って志乃は茂蔵を連れて樹霧之介の家から出て行った。
樹霧之介「待ってください!僕も行きます。」
志乃「樹霧之介、対人戦の経験は?」
樹霧之介「、、無いです。」
志乃「なら私の指示に従ってもらうぞ。」
樹霧之介「志乃さん。無茶しませんか?」
志乃「私の方が慣れているんだ。」
樹霧之介「答えになっていません。」
志乃「しなくていいならしない。」
樹霧之介「、、指示には従います。だけど無茶はできるだけしないでください。」
志乃「分かった。」
樹霧之介「それで僕は何をすればいいんですか?」
志乃「茂蔵と一緒に狸達の誘導を頼みたい。ただ、特殊な結界が張っている可能性もあるから私が先に行って安全を確かめる。」
樹霧之介「分かりました。」
茂蔵「1人で大丈夫なのか?」
志乃「潜入は1人の方がやりやすい。」
樹霧之介「ここは志乃さんに任せましょう。」
茂蔵「気を付けてくれよ。」
志乃「ああ。」
それから茂蔵に案内されて古い倉庫に辿り着く。
樹霧之介と茂蔵は少し離れた木の陰に隠れ、志乃が1人で2号と6号で姿と音を消してまずは建物の外を調べる。
建物自体には結界は張っていなかったのでそのまま中にも忍び込み、中を確認する。
この廃倉庫は元々木材を保管や加工をしていた場所のようで区切られた部屋は無く、中は柱が少なくて天井が高い。
入り口の近くには数人の見張りがいて、奥には鉄製のケージが置いてあり、中には狸達がいるが全員妖力を封印されているみたいだ。
部屋の中心の方には血で汚れた金属製の机と縄や刃物などが入った箱、机の横にはガスボンベと膨らんでいる黒いビニール袋が複数置いてある。
そして少し離れた場所に水道があり、そこには液体に浸けた狸の皮があって干す場所も確保されていた。
今はもう暗くなりはじめる時間なので作業はしていないのだろう。
志乃は中を確認した後外に出て気付かれないように姿を現し、4号と10号を出すと4号の催眠薬を10号の風で中に充満させていく。
しばらくして中の人達が寝静まると志乃は樹霧之介と茂蔵を呼んで中に入る。
樹霧之介「何ですかこれ。」
樹霧之介は中の惨状に眉をひそめ、茂蔵は志乃の肩に乗って周りを見ないようにしている。
ケージの前に来ると中の狸達は志乃を見ると怖がってケージの奥で震える。
志乃「人間が怖いのか、仕方ないよな。ここから出すのは2人でできるか?」
茂蔵「頑張る。」
樹霧之介「いいですが志乃さんはどうするんですか?」
志乃「私はあいつらを処分する。」
志乃は寝ている人間達を指差す。
樹霧之介「処分って殺すんですか?」
志乃「殺しはしない。少し記憶を弄るだけだ。」
樹霧之介「霊力は足りるんですか?」
志乃「繊細な事はしない。記憶に干渉して引っ掻き回せる霊力があればいい。」
樹霧之介「そしたらその人達どうなるんですか?」
志乃「こいつらは生きたまま狸の皮を剥いでいるんだ。気にすることは無い。」
樹霧之介「何でそんな酷い事するんです!」
志乃「無駄話は止めておこう。狸達の救出が先だ。」
樹霧之介「はい、、」
それから順調に樹霧之介と茂蔵はケージの扉を開けて狸達を解放していく。
志乃は寝ている人の額に人差し指を当てた後、倉庫の外に放り投げるのを人数分繰り返していると見張りの人が持っている無線機から声が聞こえる。
定期連絡の催促で志乃は応答できず、異変を感じた仲間がもうすぐここにやって来るだろう。
志乃「樹霧之介、茂蔵。あとどれくらいかかる?」
樹霧之介「まだ、扉が重くて開けにくいんです。」
志乃は1つしかない出入り口に結界符を貼って結界を張り、狸達の解放を手伝おうとするが志乃が近づくとバラバラに逃げてしまう。
志乃「茂蔵。解放した狸達をあっちの隅へ集めてくれ。」
茂蔵「分かった。みんなこっちに集まってくれ。」
狸1「茂蔵、お前。人間の言う事に従うのか?」
茂蔵「そうだけどこいつはお前らを捕まえた人間と違う。」
狸2「出してくれた事は感謝するが落ちこぼれの言う事なんて信じられるか。」
狸3「そうだ、あいつらとグルだったらどうするんだ。」
茂蔵「落ち着いてくれ。」
狸1「そいつの言う事聞いて何かあったらお前責任とれるのか?」
樹霧之介「不安なのは分かりますがここで言い争っても時間の無駄です。落ち着いてください。」
狸3「お前も人間の味方か。」
まだ出していない狸もいるのに出した狸の一部が騒ぎだしてしまった。
茂蔵と樹霧之介は必死にそれを止めようとするが止まらない。
すると志乃が9号から短刀を受け取り空になった鉄製のケージの1つを真っ二つに切り裂き、騒いでいた狸の1匹に短刀を突きつける。
志乃「黙れ。ここで切られるか指示に従うかどちらかを選べ。」
樹霧之介「志乃さん。何してるんですか!」
志乃「もうすぐここに奴らの仲間が来る。救出を急がなくてはいけないのにお前らの文句に一々付き合ってられん。邪魔されるくらいなら今斬る。」
騒いでいた狸は志乃の気迫に押され大人しくなり、狸は全員静かに隅へと固まった。
おかげで他の狸の救出もスムーズに済み、最後のケージを開けたところで外が騒がしくなってきた。
志乃は壁の一部を短刀で切ると小さめの出口を作る。
志乃「樹霧之介、ここから木の枝で道を作って隠れながら山に戻れるか?」
樹霧之介「はい出来ます。」
志乃「茂蔵は山までの道案内を頼む。」
茂蔵「任せておけ。それで浜名瀬の服、子供用に変えれば良いか?」
志乃「なぜそんな事する?」
茂蔵「だってこの穴、今の浜名瀬じゃ通れないだろ。」
志乃「このままここを放っておいたらまた同じ事が起こる。再起不能になるまで潰さないといけない。」
樹霧之介「志乃さん残るつもりですか?無茶しないって約束したじゃないですか。」
志乃「無茶な事じゃない。昔はよくやっていた事だ。それに人間に不信感を持っている狸達がいる所に私が行くわけにはいかない。」
樹霧之介「それは、、」
志乃「終わったら樹霧之介の家で待っているから。」
樹霧之介「無事に戻ってくださいね。」
志乃「ああ。」
戻って来た人達は3人で外に放り出した人に気付いたらしく外から声が聞こえる。
人間1「おい、お前ら大丈夫か?」
志乃「早く行け。」
樹霧之介「はい。」
樹霧之介は木の枝を静かに操作して道を作り、茂蔵が最初に出ると他の狸達も付いて行った。
志乃は奥を見られないように人間達の前に現れる。
志乃「煩いぞ。」
人間2「お前誰だ。」
人間1「もしかして仲間を助けに来た狸か?」
人間3「化けているのか、獣が生意気だな。」
人間1「こいつらはお前が何かしたのか?」
志乃「そうだがお前らがした事を考えれば妥当じゃないか?」
人間3「獣が人間様に何言ってんだ。」
人間の1人が志乃に向かって猟銃を撃つが結界に弾かれる。
人間1「結界か?何で狸がこんなのを張れるんだ?」
志乃「こんな簡単な事も分からないんじゃお前らの頭は獣以下らしいな。」
人間3「何だと。」
跳弾を恐れた人間の1人が体当たりをしようとして来た時、志乃は樹霧之介が最後に出て行ったのを確認して結界を解くと体当たりしようとした人はバランスを崩して倉庫の中に倒れ込む。
志乃「さて、どうしようか。」
志乃は倒れ込んだ人が起き上がる前に背中を足で押さえつけて腕を掴み、そのまま肩の関節を外す。
人間3「ギャア。」
志乃「痛いか?生皮を削ぐよりマシだと思うが?」
人間2「こいつ、そいつを放せ。」
1人は志乃に銃を向けるが志乃の足元に倒れている人に当てられないので撃てずにいる。
志乃「仲間が傷つくのが怖いか?殺さないだけマシだと思うが?」
人間2「獣を殺して何が悪い。お前らだって他の動物を食べているだろ。」
志乃「ならお前らは狸を殺さないと生きられなかったのか?」
人間2「そうだよ。狸の皮を売らなきゃ生活できないんだ。」
志乃「ここには20匹を超える狸がいた、狸の皮ってそんなに安いのか?」
人間2「俺は雇われているだけだ。値段なんて知らない。」
人間1「会話なんてするな。足元に当たらないように頭を狙え。」
そう言って後ろにいた人が前に出て志乃に銃口を向けてきたので志乃は撃たれる前にその狙ってきた人の腹に蹴りを入れるとその人は吹っ飛んでもう1人の人間の後方で気絶する。
志乃はそれを見て戦意を消失している最後の1人に近づき銃を取り上げる。
志乃「お前は素直に色々話してくれそうだ。」
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