4話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
樹霧之介達と出会った次の日、陽葵は朝から志乃の教室へと突撃していた。
陽葵「浜名瀬さんいますか?」
その気配を察知して志乃は窓から逃げて2号で姿を消す。
クラスメイト1「浜名瀬さんなら今、あれ?いない。」
クラスメイト2「浜名瀬さん、今、窓から飛び降りた。」
クラスメイト1「え、ここ3階だよ!?」
そんな声を聞きながら志乃は窓のすぐ下の出っ張りに立っていた。
陽葵が慌てて下へと探しに行ったタイミングで姿を現して窓から教室へ入る。
クラスメイトから驚かれるが無視して自分の席に座り、本を開く。
それからも休み時間の度に陽葵が突撃して来るのでその度に志乃も隠れてやり過ごしている。
放課後、とうとう陽葵に見つかってしまう。
陽葵「やっと見つけた!」
志乃「部活は?」
陽葵「辞めてきた。」
志乃「はい?まだ1ヶ月くらいか経ってないぞ。」
陽葵「部活よりもしたいことが見つかったんだもん。」
志乃「妖怪の事なら素人が首を突っ込むことではないぞ。」
陽葵「もう巻き込まれてるし、自分の身は自分で守らなきゃでしょ?」
志乃「そうかもしれんが。」
陽葵「樹霧之介が言うには私には霊力があるみたいなの。」
志乃「そうだな。」
陽葵「使い方教えて。」
志乃「何で?」
陽葵「自分を守るため。」
志乃「駄目だ。」
陽葵「何で?」
志乃「教えたら余計なことに首を突っ込みそうだ。」
陽葵「教わらなくても首を突っ込むよ。なら教えたほうが良いでしょ。」
志乃「自分で言うな。」
陽葵「それはそうと今からどこに行くの?」
志乃「黒丸のところだったがお前が付いてくるなら別のところにする。」
陽葵「だけど妖ノ郷って妖力が無いと入れないんでしょ?」
志乃「私の式神は妖力を使えるんだ。この竹筒もあそことは別の妖ノ郷に繋がっている。」
そう言って管狐が出てくる竹筒を見せる。
陽葵「へぇ。」
そう言って竹筒に陽葵が近づくと志乃は小声で管狐を呼ぶ。
志乃「11号。」
すると顔を出した管狐がぶーっと煙を吐き出し、陽葵の視界をふさぐ。
志乃はその隙に走って姿をくらまします。
志乃「1号お願い。」
樹霧之介に案内されたときに手順は覚えているので管狐を使い妖ノ郷への通路を開いて入る。
何とか陽葵をまいて黒根の場所までたどり着くことができた。
とある事件の事について聞かないといけないので一人で会いたかったのだ。
樹霧之介が住む家を訪ねると元気よく釜に体が生えている姿の妖怪が飛び出す。
背は志乃の膝くらいしかない小さめの妖怪で勢いが強かったのか志乃にぶつかる。
???「いたた。いやー、止まらなかったよ。ごめんごめん。樹霧之介は今いないけどゆっくりしていくかい?」
志乃「いや、私は黒丸に用事があるんだ。」
???「黒丸って誰だい?」
そう言って妖怪は志乃を見上げる。
???「へ?お前さん人間か?どうやってここに。」
黒根「風見そいつはわしの客じゃ。」
家の後ろから声が聞こえる。
風見「おやっさんの客か、案内は必要かい?」
志乃「いや、大丈夫だ。二人にさせてもらえるか?」
風見「おやおや、おやっさんにも春が来たのか?」
黒根「わしは柚子一筋じゃ。余計なことは言うな。」
風見「へいへい。」
そう言って風見は家の奥に引っ込んでいった。
志乃は切り株のところまで移動する。
志乃「樹霧之介はどこか出かけているのか?」
黒根「ああ、さっきの風見が妖気を感知してな。」
志乃「それならあいつは鳴釜か。」
黒根「そうじゃ。ちなみにお前は何か感じたか?」
志乃「今日は一日、陽葵に追われてそれどころではなかったよ。」
黒根「前も思ったが本調子じゃなさそうじゃな。」
志乃「それは自分でも感じている。目が覚めてからずっと体が重く、感覚も鈍い。」
志乃は少し体を動かして見せる。
黒根「管狐達の声も聞こえて無さそうじゃったしな。それも呪いのせいか?」
志乃「自分の体は自分がよくわかっている。それより私が寝ていた間の事が知りたくてここまで来たんだ。」
黒根「わしもこんな姿になってからはあまり情報はないぞ。」
志乃「知っている事だけでいい。教えてくれ。」
黒根「わしもあの後お前に何があったか知りたいんじゃ。」
志乃「柚子から聞いていないのか?」
黒根「それでもお前の口から聞きたい。」
志乃「それなら。」
志乃が話そうとすると大きな声がこちらに近づいてくる。
風見「大変だ大変だ大変だー。」
黒根「どうした、風見。今大事なところなんじゃが。」
風見「これ、真琴の紙!」
そう言う風見の手には焦げた跡のある一枚の紙が握られていてそこには助けての文字が書かれている。
風見「何かあったんだよ。どうしよう。」
志乃「今日、樹霧之介達はどこへ何をするために行ったんだ?」
風見「え?廃工場がある方だよ。そこで嫌な妖気を感じたんだ。」
志乃「詳しい場所はわかるか?」
風見「案内ならできるけど。」
志乃「8号、10号。」
風見の返事を聞くと志乃は、8号で変化を解いて風見を抱えて走り出す。
10号は風が使えるので走るスピードを上げてくれる。
志乃は足元に結界を張り、それを足場に宙を走る。
黒根「無理はするなよ。」
黒根は志乃の後ろ姿を見送る事しかできなかった。
少し前。
木霊の樹霧之介、文車妖妃の真琴、雨女の雫、火車の焔、狸の茂蔵の5名は風見が感じた妖気の正体を確かめるために工場へ来ていた。
樹霧之介「ここは化学工場だったようですね。可燃性のものが残っていると厄介なのであまり焔の炎は使え無さそうです。」
焔「じゃあ来た意味ないじゃねえか、山も木が燃えるからって行けなかったのによ。」
雫「焔はもう少し加減を覚えるべき。」
焔「お前はいいよな。広範囲に技を使っても影響ないからな。」
雫「私だって状態異常をかける時とか気を使っているのよ。」
真琴「まあまあ、2人とも落ち着いて。」
焔「真琴はいいよな。万能で。」
真琴「そんな事無いよ。紙は弱点が多いもの。」
焔「俺の炎とかだな。仲間にいると気を使うからな。」
雫「それもあなたの実力不足でしょ。」
焔「あん。喧嘩なら買うぞ。」
雫「何でそう熱くなるのか。」
真琴「2人とも落ち着いて。」
樹霧之介はまとめられないことでおろおろしている。
茂蔵「はいはい。皆様、こちらにご注目。」
茂蔵はいつの間にか工場の屋根に上って何かをしている。
茂蔵「カリカリしても良いことあるのはベーコンと梅くらい。どうせならその体力、笑いに変えないかい?」
そう言って茂蔵は変な踊りを踊りだす。
茂蔵「ほいほいほいのぽんぽこポン。」
正直全員見飽きているのでまたかと冷めた気持ちにはなったが、焔も雫もイライラは消えていた。
雫「妖怪を探しましょうか。」
焔「そうだな。」
樹霧之介は仲直りできていることにほっとしている。
そんな話を始めると茂蔵の後ろに大きめの影が動く。
茂蔵が大きく動いていたことに本能が刺激されたのかその影は大口を開けて茂蔵を食べようとする。
茂蔵「うわわわわ。」
茂蔵は屋根から転がりながらそれを避ける。
工場の屋根には大きな蛇が這いあがって来た。
真琴「あれは蟒蛇、毒を持っているかもしれないから気を付けて。」
雫は状態異常を付与する雨を降らせるために準備を始める。
他の4名も戦闘態勢をとる。
だが危険を感じた蟒蛇は窓を割って工場内に入ってしまった。
狭いところでは戦いにくい、だけど外から追い出す方法も無いので危険だが樹霧之介、真琴、茂蔵の3名で工場内に入ることにした。
他の2名は蟒蛇が出て来た時に対応するために外で待機する。
工場内には様々な機械が置いてあり、視界が悪い。
おまけに蟒蛇は音を殺して動くことに長けている。
茂蔵「かくれんぼが上手だな。これなら風見も連れてくるべきだったんじゃないか?」
樹霧之介「それでも戦えないものを連れてくるのは危険です。」
茂蔵「俺もあまり戦闘は得意じゃないんだが。まあ、狭いところはやってやるさ。」
そう言って茂蔵は隙間に入って行く。
樹霧之介「気を付けてください。」
茂蔵「任せろ!逃げ足だけは自信があるんだ。」
そして茂蔵は見えなくなった。
樹霧之介と真琴は薄暗い中、周りを警戒しながら奥へ入って行く。
しばらく進むとガタンと背後から音がした。
音の方を見ると茂蔵が蟒蛇に追われてこっちに向かっている。
真琴は紙を使い、蟒蛇の目を塞ぐが止まらない。
茂蔵「駄目だ。蛇は目で獲物を追っているんじゃない!」
樹霧之介と真琴にぶつかる前に茂蔵が方向を変え、蟒蛇もそれを追う。
樹霧之介は右腕を変化させて木の根を作り、それで蟒蛇の尻尾を掴むが力が強く止める事はできない。
真琴は紙を刃のように飛ばすが鱗にはじかれてしまう。
茂蔵「塞ぐならピット器官だ!」
真琴「ピット?どこにあるの!?」
茂蔵「鼻の近く!わからないなら顔全体を覆ってくれ!」
真琴「わかった!」
真琴が紙で蟒蛇の顔を覆うと動きを止めることができた。
その隙に樹霧之介が木の根で蟒蛇の首を貫くと動かなくなった。
真琴「さすが被食者。蛇の事をよく知っているのね。」
茂蔵「誉め言葉として取っておくよ。」
工場の出口に向かおうとすると蟒蛇が動き、牙から霧状の液体を飛ばしてくる。
そして力なく倒れたと思うと煙になって消えてしまった。
茂蔵「蛇だけど鼬の最後っ屁ってか?」
軽口をたたくがその直後に体の力が抜ける。
あの液体は毒だったようだ。
体の小さい茂蔵、樹霧之介の順で倒れていく。
唯一体の動く真琴が2人を連れて外へ出る。
そこに雫と焔が慌てて駆け寄る。
毒を受けたことがわかるとすぐに雫は解毒に取り掛かる。
焔はそれを後ろで見ていた。
焔は後悔していた。
自分にもできることはあったんじゃないか、薄暗い倉庫内を照らすことができていればもっと不測の事態に対応できたのではないかと。
苦しむ3人を見て、今も何もできない自分を嫌悪する。
しばらくして雫のおかげで毒が抜けて動けるようになってきた。
樹霧之介「ありがとう。楽になってきました。」
茂蔵「いやぁ、びっくりしたぜ。」
雫「真琴は毒ある事自分で言ってたのに。」
真琴「だって吐いてくるなんて知らなかったもの。」
雫「まあ、噛まれてたらもっと危なかったけど。」
樹霧之介「あれ?そういえば焔は?」
いつの間にか焔の姿が消えている。
雫「あいつは何もできなくて拗ねて帰ったんじゃない?」
ドカーン
大きな音とともに振動が響く。
音の原因は倉庫の方で大きな火柱が立っていて、その上に浮いた人影が見える。
その正体は焔だった。
自身の武器である木製の車輪を持ち、興奮しているのか本来の姿である猫の一部の耳と尻尾が現れている。
雫「あいつ暴れたりないからってあんな事!」
樹霧之介「いや、何か様子がおかしいです。」
樹霧之介が言う通り表情は虚ろで何かに取り憑かれているように見える。
真琴「妖怪が妖怪に取り憑くなんてあるの?」
樹霧之介「焔は強いからそうそう取り憑かれる事なんて無いと思うけど。」
雫「どうせくよくよ悩んで弱みに付け込まれたんでしょ!まったく厄介な。」
そう言って雫は蟒蛇に用意していた状態異常にする雨を降らせるが焔に当たる前に蒸発してしまう。
敵意を感じた焔は雫に向かって炎を投げつけ攻撃するがそれを真琴が紙の盾でガードする。
紙の盾は燃えるが攻撃が通らないように常に紙を補給する。
樹霧之介「雫、真琴の盾を濡らしてください。」
雫「わかった。」
濡れたおかげで紙の盾は燃えることなく炎を防ぐことに成功する。
だが、焔に憑いている妖怪もわからず、焔をただ傷つけるわけにもいかないので攻撃ができない。
蟒蛇との戦闘で妖力の残りも少なく、3人は毒が抜けた直後なので本調子ではない。
そんな時、特大の炎に襲われ盾が保てなくなってしまった。
急いで工場の裏に隠れて耐えるがそれも長くは持たなさそうだ。
真琴は残った妖力で黒根に助けを求める。
妖力の余裕がある雫が応戦するが、水は蒸発して焔には届かない。
茂蔵「なあ、そんな小さな水玉じゃ届かないぜ。もっと大きなのをあいつの頭からかけられないのか?」
雫「今のあいつにそんなことしたら爆発するかもしれないのよ。」
茂蔵「何でだ?」
樹霧之介「水蒸気爆発?」
雫「そう、現にあいつはすべての攻撃を蒸発させている。」
茂蔵「それが?」
真琴「水が非常に温度の高い物質と接触することにより気化されて発生する爆発現象のこと。」
雫「そう、、スマホって便利なのね。」
雫は真琴を褒めようとしたが手元に持っているスマホに気づきスマホを評価する。
茂蔵「つまり今の焔に水を被せると爆発するかもしれないのか?」
雫「そういうこと、もし爆発が起これば私達はともかく正気を失っている焔は無事では済まないでしょうね。だから最終手段。」
茂蔵「だけど他に方法あるのか?」
真琴「さっき樹霧之介のお父さんに助けを求めたから何かしてくれるはず。」
そんな会話をしていると回り込んで来た焔が火の玉を飛ばす。
咄嗟に樹霧之介が右腕を木の枝に変えて防いだが、体の一部であるためダメージがある。
痛みで顔をゆがめる樹霧之介を見て茂蔵が前へ出る。
茂蔵「おいっ。何してんだ!拾われた恩を忘れたか!」
焔は顔色一つ変えずに次の火の玉を準備する。
樹霧之介がそれを防ぐ準備をしたが放たれた火の玉は結界符を持たせた管狐の結界の壁に阻まれた。
風見「間に合った、、のか?」
そこには火傷を負った樹霧之介と消耗している仲間がいる。
茂蔵「風見。それと誰だ?」
志乃は樹霧之介達の前へ降り、状況を見る。
焔の炎は結界が防いでくれている。
風見「こいつはあれ?名前何だっけ?」
樹霧之介「浜名瀬志乃さん、父さんの昔からの知り合いです。」
志乃「火車に追い詰められたのか?」
樹霧之介「いえ、あの火車は焔、僕達の仲間です。」
雫「何かに操られていると思います。」
志乃「なるほど、それなら4号、5号。」
4号は樹霧之介達の周りを飛ぶと一度竹筒の中に戻り、複数の液体の入った瓶を持ってきて中身を振りかけると火傷やまだ残っていた毒気も抜ける。
真琴「体が軽くなった。」
妖力も戻ったようで動けるようになる。
5号は焔に他の妖気が無いか調べて、何かわかったのかキューキュー鳴いているがその言葉の意味は志乃もわかっておらず、結界を張っている2号が幻を使って妖怪の正体を映し出す。
そこには頭が全面髪の毛で覆われている一つ目の白装束を着た妖怪が映っていた。
志乃「後髪か。」
樹霧之介「浜名瀬さん。焔を助けれますか?」
志乃「正直難しいな。」
雫「何で?見たところあなたは戦いなれている。」
志乃「確かに私は妖怪を何体も倒してきた。だが基本的に霊力で戦っている。憑いたのが人間なら簡単だったんだが。」
樹霧之介「攻撃すれば焔も倒してしまうんですね。」
志乃「そうだけどやれるだけやってみるよ。」
そう言って飛び出したもののまずは後髪を引きはがさないと本気で攻撃できない。
志乃「まずは火を消そうか。」
幸いなことにここは誰もいない廃工場、多少荒らしても多分問題ないだろう。
志乃「大百足。地面を掘り起こして。」
すると地面が揺れ、大百足が出てくる。
大百足は地面を掘り返し、土を押し上げる。
志乃は結界を足場にして焔の上空へ移動する。
焔も反応し警戒するがそれよりも早く志乃のかかと落としが決まる。
焔は地面へ落下し、体勢を立て直す前にもう一度蹴りを入れて大百足の掘り起こした土の上へと飛ばす。
すかさず大百足は焔に土をかけて消火する。
志乃も下りて土の上から霊縛符を張り、焔の動きを阻害する。
樹霧之介「これからどうするんですか?」
焔の事が心配なのだろう見守っていた樹霧之介が走りよってきた。
志乃「このまま様子見だな。」
樹霧之介「そうですか、あ。火傷は大丈夫ですか?」
焔に触れた足の衣服が燃え、火傷している。
志乃「ああ、大丈夫すぐに治る。」
その言葉通り火傷はすでに治りかけている。
樹霧之介「でも痛くないですか?」
志乃「、、柚子。」
樹霧之介「何ですか?」
志乃「あ、いや、君の母親にそっくりだなと。」
樹霧之介「僕、母とは会ったことが無いんです。」
志乃「え?だけど柚子は消えたって。」
樹霧之介「父から聞きました。母は種の僕を父に預けて消えたって。」
志乃「そうだったのか。すまない、辛い事思い出させて。」
樹霧之介「いえ、大丈夫です。ただ、知らない母の事をもう少し知りたいなと。」
志乃「私に話せることなら話そうか?」
樹霧之介「ぜひ、お願いします。」
志乃「それはあれを何とかしてからにしようか。」
霊縛符が焼けて焔を埋めた土が盛り上がる。
そこには火のついた木製の車輪を両側に浮かせた黒猫が出て来た。
人型を保てないくらいには妖力を消耗したようだ。
志乃「もう少し弱らせれば出ていくか?」
志乃は霊縛符を用意するが焔は倒れ、車輪も消えてしまい、そこから後髪が出てくる。
後髪は後悔の念に取り憑く妖怪なので意識のないものに取り憑くことができないのだ。
志乃「9号。」
志乃は冷静に管狐から短刀を受け取り、後髪を切ると煙となって消えてしまった。
樹霧之介「焔!」
樹霧之介は焔に近づき抱き上げる。
志乃「酸欠になっているだけだからしばらくしたら起きると思うよ。」
樹霧之介「ありがとうございます。」
志乃「後は、あそこの消火かな。」
志乃の見ている方向では倉庫がまだ燃えている。
幸いにも他に可燃物は無かったのか燃え広がることは無かった。
雫が雨を降らせて、大百足は土をかぶせて消火する。
志乃「私はもう帰るよ。」
消火が終わるころには日は沈み、辺りは暗くなっていた。
樹霧之介「はい、今日はありがとうございました。」
焔「ご迷惑をおかけしました。」
消火中に焔は目を覚ました。
暴れている間の記憶は無いらしい。
雫「あれだけ暴れておいて覚えてないとかありえないけどね。」
茂蔵「まあ、この惨状見て反省しているんだから許しなって。」
焔は猫の姿でうなだれている。
猫の姿でも表情豊かでちょっと面白い。
樹霧之介「悪いのは後髪です。」
真琴「それにみんな無事だったんだから。」
雫「浜名瀬が来てくれなかったら危なかったけど?」
真琴「それに風見も頑張ってくれたよね。」
真琴は話をそらすために頑張っている。
風見「おう!道案内頑張った。」
雫「まあいいわ。この話は帰ってからするから。」
そうしてそれぞれの帰路に着いた。
志乃「治り、遅いな。」
家に帰り火傷の痕を見てみる。
このままだとこの痕はしばらく残っているだろう。
靴下で隠せるが動いてずり落ちると見えそうなのが不安だ。
明日もまた陽葵から追われるのだろうかと心配しながら眠りについた。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




