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4話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

樹霧之介(きりのすけ)達と出会った次の日、陽葵(ひまり)は朝から志乃(しの)の教室へと突撃していた。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さんいますか?」

その気配を察知して志乃(しの)は窓から逃げて2号で姿を消す。

クラスメイト1「浜名瀬(はまなせ)さんなら今、あれ?いない。」

クラスメイト2「浜名瀬(はまなせ)さん、今、窓から飛び降りた。」

クラスメイト1「え、ここ3階だよ!?」

そんな声を聞きながら志乃(しの)は窓のすぐ下の出っ張りに立っていた。

陽葵(ひまり)が慌てて下へと探しに行ったタイミングで姿を現して窓から教室へ入る。

クラスメイトから驚かれるが無視して自分の席に座り、本を開く。

それからも休み時間の度に陽葵(ひまり)が突撃して来るのでその度に志乃(しの)も隠れてやり過ごしている。

放課後、とうとう陽葵(ひまり)に見つかってしまう。

陽葵(ひまり)「やっと見つけた!」

志乃(しの)「部活は?」

陽葵(ひまり)「辞めてきた。」

志乃(しの)「はい?まだ1ヶ月くらいか経ってないぞ。」

陽葵(ひまり)「部活よりもしたいことが見つかったんだもん。」

志乃(しの)「妖怪の事なら素人が首を突っ込むことではないぞ。」

陽葵(ひまり)「もう巻き込まれてるし、自分の身は自分で守らなきゃでしょ?」

志乃(しの)「そうかもしれんが。」

陽葵(ひまり)樹霧之介(きりのすけ)が言うには私には霊力があるみたいなの。」

志乃(しの)「そうだな。」

陽葵(ひまり)「使い方教えて。」

志乃(しの)「何で?」

陽葵(ひまり)「自分を守るため。」

志乃(しの)「駄目だ。」

陽葵(ひまり)「何で?」

志乃(しの)「教えたら余計なことに首を突っ込みそうだ。」

陽葵(ひまり)「教わらなくても首を突っ込むよ。なら教えたほうが良いでしょ。」

志乃(しの)「自分で言うな。」

陽葵(ひまり)「それはそうと今からどこに行くの?」

志乃(しの)黒丸(くろまる)のところだったがお前が付いてくるなら別のところにする。」

陽葵(ひまり)「だけど妖ノ郷(あやかしのさと)って妖力が無いと入れないんでしょ?」

志乃(しの)「私の式神は妖力を使えるんだ。この竹筒もあそことは別の妖ノ郷(あやかしのさと)に繋がっている。」

そう言って管狐(くだぎつね)が出てくる竹筒を見せる。

陽葵(ひまり)「へぇ。」

そう言って竹筒に陽葵(ひまり)が近づくと志乃(しの)は小声で管狐(くだぎつね)を呼ぶ。

志乃(しの)「11号。」

すると顔を出した管狐(くだぎつね)がぶーっと煙を吐き出し、陽葵(ひまり)の視界をふさぐ。

志乃(しの)はその隙に走って姿をくらまします。

志乃(しの)「1号お願い。」

樹霧之介(きりのすけ)に案内されたときに手順は覚えているので管狐(くだぎつね)を使い妖ノ郷(あやかしのさと)への通路を開いて入る。

何とか陽葵(ひまり)をまいて黒根(くろね)の場所までたどり着くことができた。

とある事件の事について聞かないといけないので一人で会いたかったのだ。

樹霧之介(きりのすけ)が住む家を訪ねると元気よく釜に体が生えている姿の妖怪が飛び出す。

背は志乃(しの)の膝くらいしかない小さめの妖怪で勢いが強かったのか志乃(しの)にぶつかる。

???「いたた。いやー、止まらなかったよ。ごめんごめん。樹霧之介(きりのすけ)は今いないけどゆっくりしていくかい?」

志乃(しの)「いや、私は黒丸(くろまる)に用事があるんだ。」

???「黒丸(くろまる)って誰だい?」

そう言って妖怪は志乃(しの)を見上げる。

???「へ?お前さん人間か?どうやってここに。」

黒根(くろね)風見(かざみ)そいつはわしの客じゃ。」

家の後ろから声が聞こえる。

風見(かざみ)「おやっさんの客か、案内は必要かい?」

志乃(しの)「いや、大丈夫だ。二人にさせてもらえるか?」

風見(かざみ)「おやおや、おやっさんにも春が来たのか?」

黒根(くろね)「わしは柚子(ゆず)一筋じゃ。余計なことは言うな。」

風見(かざみ)「へいへい。」

そう言って風見(かざみ)は家の奥に引っ込んでいった。

志乃(しの)は切り株のところまで移動する。

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)はどこか出かけているのか?」

黒根(くろね)「ああ、さっきの風見(かざみ)が妖気を感知してな。」

志乃(しの)「それならあいつは鳴釜(なるかま)か。」

黒根(くろね)「そうじゃ。ちなみにお前は何か感じたか?」

志乃(しの)「今日は一日、陽葵(ひまり)に追われてそれどころではなかったよ。」

黒根(くろね)「前も思ったが本調子じゃなさそうじゃな。」

志乃(しの)「それは自分でも感じている。目が覚めてからずっと体が重く、感覚も鈍い。」

志乃(しの)は少し体を動かして見せる。

黒根(くろね)管狐(くだぎつね)達の声も聞こえて無さそうじゃったしな。それも呪いのせいか?」

志乃(しの)「自分の体は自分がよくわかっている。それより私が寝ていた間の事が知りたくてここまで来たんだ。」

黒根(くろね)「わしもこんな姿になってからはあまり情報はないぞ。」

志乃(しの)「知っている事だけでいい。教えてくれ。」

黒根(くろね)「わしもあの後お前に何があったか知りたいんじゃ。」

志乃(しの)柚子(ゆず)から聞いていないのか?」

黒根(くろね)「それでもお前の口から聞きたい。」

志乃(しの)「それなら。」

志乃(しの)が話そうとすると大きな声がこちらに近づいてくる。

風見(かざみ)「大変だ大変だ大変だー。」

黒根(くろね)「どうした、風見(かざみ)。今大事なところなんじゃが。」

風見(かざみ)「これ、真琴(まこと)の紙!」

そう言う風見(かざみ)の手には焦げた跡のある一枚の紙が握られていてそこには助けての文字が書かれている。

風見(かざみ)「何かあったんだよ。どうしよう。」

志乃(しの)「今日、樹霧之介(きりのすけ)達はどこへ何をするために行ったんだ?」

風見(かざみ)「え?廃工場がある方だよ。そこで嫌な妖気を感じたんだ。」

志乃(しの)「詳しい場所はわかるか?」

風見(かざみ)「案内ならできるけど。」

志乃(しの)「8号、10号。」

風見(かざみ)の返事を聞くと志乃(しの)は、8号で変化を解いて風見(かざみ)を抱えて走り出す。

10号は風が使えるので走るスピードを上げてくれる。

志乃(しの)は足元に結界を張り、それを足場に宙を走る。

黒根(くろね)「無理はするなよ。」

黒根(くろね)志乃(しの)の後ろ姿を見送る事しかできなかった。

少し前。

木霊(こだま)樹霧之介(きりのすけ)文車妖妃(ふみぐるまようひ)真琴(まこと)雨女(あめおんな)(しずく)火車(かしゃ)(ほむら)(たぬき)茂蔵(もぞう)の5名は風見(かざみ)が感じた妖気の正体を確かめるために工場へ来ていた。

樹霧之介(きりのすけ)「ここは化学工場だったようですね。可燃性のものが残っていると厄介なのであまり(ほむら)の炎は使え無さそうです。」

(ほむら)「じゃあ来た意味ないじゃねえか、山も木が燃えるからって行けなかったのによ。」

(しずく)(ほむら)はもう少し加減を覚えるべき。」

(ほむら)「お前はいいよな。広範囲に技を使っても影響ないからな。」

(しずく)「私だって状態異常をかける時とか気を使っているのよ。」

真琴(まこと)「まあまあ、2人とも落ち着いて。」

(ほむら)真琴(まこと)はいいよな。万能で。」

真琴(まこと)「そんな事無いよ。紙は弱点が多いもの。」

(ほむら)「俺の炎とかだな。仲間にいると気を使うからな。」

(しずく)「それもあなたの実力不足でしょ。」

(ほむら)「あん。喧嘩なら買うぞ。」

(しずく)「何でそう熱くなるのか。」

真琴(まこと)「2人とも落ち着いて。」

樹霧之介(きりのすけ)はまとめられないことでおろおろしている。

茂蔵(もぞう)「はいはい。皆様、こちらにご注目。」

茂蔵(もぞう)はいつの間にか工場の屋根に上って何かをしている。

茂蔵(もぞう)「カリカリしても良いことあるのはベーコンと梅くらい。どうせならその体力、笑いに変えないかい?」

そう言って茂蔵(もぞう)は変な踊りを踊りだす。

茂蔵(もぞう)「ほいほいほいのぽんぽこポン。」

正直全員見飽きているのでまたかと冷めた気持ちにはなったが、(ほむら)(しずく)もイライラは消えていた。

(しずく)「妖怪を探しましょうか。」

(ほむら)「そうだな。」

樹霧之介(きりのすけ)は仲直りできていることにほっとしている。

そんな話を始めると茂蔵(もぞう)の後ろに大きめの影が動く。

茂蔵(もぞう)が大きく動いていたことに本能が刺激されたのかその影は大口を開けて茂蔵(もぞう)を食べようとする。

茂蔵(もぞう)「うわわわわ。」

茂蔵(もぞう)は屋根から転がりながらそれを避ける。

工場の屋根には大きな蛇が這いあがって来た。

真琴(まこと)「あれは蟒蛇(うわばみ)、毒を持っているかもしれないから気を付けて。」

(しずく)は状態異常を付与する雨を降らせるために準備を始める。

他の4名も戦闘態勢をとる。

だが危険を感じた蟒蛇(うわばみ)は窓を割って工場内に入ってしまった。

狭いところでは戦いにくい、だけど外から追い出す方法も無いので危険だが樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)茂蔵(もぞう)の3名で工場内に入ることにした。

他の2名は蟒蛇(うわばみ)が出て来た時に対応するために外で待機する。

工場内には様々な機械が置いてあり、視界が悪い。

おまけに蟒蛇(うわばみ)は音を殺して動くことに長けている。

茂蔵(もぞう)「かくれんぼが上手だな。これなら風見(かざみ)も連れてくるべきだったんじゃないか?」

樹霧之介(きりのすけ)「それでも戦えないものを連れてくるのは危険です。」

茂蔵(もぞう)「俺もあまり戦闘は得意じゃないんだが。まあ、狭いところはやってやるさ。」

そう言って茂蔵(もぞう)は隙間に入って行く。

樹霧之介(きりのすけ)「気を付けてください。」

茂蔵(もぞう)「任せろ!逃げ足だけは自信があるんだ。」

そして茂蔵(もぞう)は見えなくなった。

樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)は薄暗い中、周りを警戒しながら奥へ入って行く。

しばらく進むとガタンと背後から音がした。

音の方を見ると茂蔵(もぞう)蟒蛇(うわばみ)に追われてこっちに向かっている。

真琴(まこと)は紙を使い、蟒蛇(うわばみ)の目を塞ぐが止まらない。

茂蔵(もぞう)「駄目だ。蛇は目で獲物を追っているんじゃない!」

樹霧之介(きりのすけ)真琴(まこと)にぶつかる前に茂蔵(もぞう)が方向を変え、蟒蛇(うわばみ)もそれを追う。

樹霧之介(きりのすけ)は右腕を変化させて木の根を作り、それで蟒蛇(うわばみ)の尻尾を掴むが力が強く止める事はできない。

真琴(まこと)は紙を刃のように飛ばすが鱗にはじかれてしまう。

茂蔵(もぞう)「塞ぐならピット器官だ!」

真琴(まこと)「ピット?どこにあるの!?」

茂蔵(もぞう)「鼻の近く!わからないなら顔全体を覆ってくれ!」

真琴(まこと)「わかった!」

真琴(まこと)が紙で蟒蛇(うわばみ)の顔を覆うと動きを止めることができた。

その隙に樹霧之介(きりのすけ)が木の根で蟒蛇(うわばみ)の首を貫くと動かなくなった。

真琴(まこと)「さすが被食者。蛇の事をよく知っているのね。」

茂蔵(もぞう)「誉め言葉として取っておくよ。」

工場の出口に向かおうとすると蟒蛇(うわばみ)が動き、牙から霧状の液体を飛ばしてくる。

そして力なく倒れたと思うと煙になって消えてしまった。

茂蔵(もぞう)「蛇だけど(いたち)の最後っ屁ってか?」

軽口をたたくがその直後に体の力が抜ける。

あの液体は毒だったようだ。

体の小さい茂蔵(もぞう)樹霧之介(きりのすけ)の順で倒れていく。

唯一体の動く真琴(まこと)が2人を連れて外へ出る。

そこに(しずく)(ほむら)が慌てて駆け寄る。

毒を受けたことがわかるとすぐに(しずく)は解毒に取り掛かる。

(ほむら)はそれを後ろで見ていた。

(ほむら)は後悔していた。

自分にもできることはあったんじゃないか、薄暗い倉庫内を照らすことができていればもっと不測の事態に対応できたのではないかと。

苦しむ3人を見て、今も何もできない自分を嫌悪する。

しばらくして(しずく)のおかげで毒が抜けて動けるようになってきた。

樹霧之介(きりのすけ)「ありがとう。楽になってきました。」

茂蔵(もぞう)「いやぁ、びっくりしたぜ。」

(しずく)真琴(まこと)は毒ある事自分で言ってたのに。」

真琴(まこと)「だって吐いてくるなんて知らなかったもの。」

(しずく)「まあ、噛まれてたらもっと危なかったけど。」

樹霧之介(きりのすけ)「あれ?そういえば(ほむら)は?」

いつの間にか(ほむら)の姿が消えている。

(しずく)「あいつは何もできなくて拗ねて帰ったんじゃない?」

ドカーン

大きな音とともに振動が響く。

音の原因は倉庫の方で大きな火柱が立っていて、その上に浮いた人影が見える。

その正体は(ほむら)だった。

自身の武器である木製の車輪を持ち、興奮しているのか本来の姿である猫の一部の耳と尻尾が現れている。

(しずく)「あいつ暴れたりないからってあんな事!」

樹霧之介(きりのすけ)「いや、何か様子がおかしいです。」

樹霧之介(きりのすけ)が言う通り表情は虚ろで何かに取り憑かれているように見える。

真琴(まこと)「妖怪が妖怪に取り憑くなんてあるの?」

樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)は強いからそうそう取り憑かれる事なんて無いと思うけど。」

(しずく)「どうせくよくよ悩んで弱みに付け込まれたんでしょ!まったく厄介な。」

そう言って(しずく)蟒蛇(うわばみ)に用意していた状態異常にする雨を降らせるが(ほむら)に当たる前に蒸発してしまう。

敵意を感じた(ほむら)(しずく)に向かって炎を投げつけ攻撃するがそれを真琴(まこと)が紙の盾でガードする。

紙の盾は燃えるが攻撃が通らないように常に紙を補給する。

樹霧之介(きりのすけ)(しずく)真琴(まこと)の盾を濡らしてください。」

(しずく)「わかった。」

濡れたおかげで紙の盾は燃えることなく炎を防ぐことに成功する。

だが、(ほむら)に憑いている妖怪もわからず、(ほむら)をただ傷つけるわけにもいかないので攻撃ができない。

蟒蛇(うわばみ)との戦闘で妖力の残りも少なく、3人は毒が抜けた直後なので本調子ではない。

そんな時、特大の炎に襲われ盾が保てなくなってしまった。

急いで工場の裏に隠れて耐えるがそれも長くは持たなさそうだ。

真琴(まこと)は残った妖力で黒根(くろね)に助けを求める。

妖力の余裕がある(しずく)が応戦するが、水は蒸発して(ほむら)には届かない。

茂蔵(もぞう)「なあ、そんな小さな水玉じゃ届かないぜ。もっと大きなのをあいつの頭からかけられないのか?」

(しずく)「今のあいつにそんなことしたら爆発するかもしれないのよ。」

茂蔵(もぞう)「何でだ?」

樹霧之介(きりのすけ)「水蒸気爆発?」

(しずく)「そう、現にあいつはすべての攻撃を蒸発させている。」

茂蔵(もぞう)「それが?」

真琴(まこと)「水が非常に温度の高い物質と接触することにより気化されて発生する爆発現象のこと。」

(しずく)「そう、、スマホって便利なのね。」

(しずく)真琴(まこと)を褒めようとしたが手元に持っているスマホに気づきスマホを評価する。

茂蔵(もぞう)「つまり今の(ほむら)に水を被せると爆発するかもしれないのか?」

(しずく)「そういうこと、もし爆発が起これば私達はともかく正気を失っている(ほむら)は無事では済まないでしょうね。だから最終手段。」

茂蔵(もぞう)「だけど他に方法あるのか?」

真琴(まこと)「さっき樹霧之介(きりのすけ)のお父さんに助けを求めたから何かしてくれるはず。」

そんな会話をしていると回り込んで来た(ほむら)が火の玉を飛ばす。

咄嗟に樹霧之介(きりのすけ)が右腕を木の枝に変えて防いだが、体の一部であるためダメージがある。

痛みで顔をゆがめる樹霧之介(きりのすけ)を見て茂蔵(もぞう)が前へ出る。

茂蔵(もぞう)「おいっ。何してんだ!拾われた恩を忘れたか!」

(ほむら)は顔色一つ変えずに次の火の玉を準備する。

樹霧之介(きりのすけ)がそれを防ぐ準備をしたが放たれた火の玉は結界符(けっかいふ)を持たせた管狐(くだぎつね)の結界の壁に阻まれた。

風見(かざみ)「間に合った、、のか?」

そこには火傷を負った樹霧之介(きりのすけ)と消耗している仲間がいる。

茂蔵(もぞう)風見(かざみ)。それと誰だ?」

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)達の前へ降り、状況を見る。

(ほむら)の炎は結界が防いでくれている。

風見(かざみ)「こいつはあれ?名前何だっけ?」

樹霧之介(きりのすけ)浜名瀬(はまなせ)志乃(しの)さん、父さんの昔からの知り合いです。」

志乃(しの)火車(かしゃ)に追い詰められたのか?」

樹霧之介(きりのすけ)「いえ、あの火車(かしゃ)(ほむら)、僕達の仲間です。」

(しずく)「何かに操られていると思います。」

志乃(しの)「なるほど、それなら4号、5号。」

4号は樹霧之介(きりのすけ)達の周りを飛ぶと一度竹筒の中に戻り、複数の液体の入った瓶を持ってきて中身を振りかけると火傷やまだ残っていた毒気も抜ける。

真琴(まこと)「体が軽くなった。」

妖力も戻ったようで動けるようになる。

5号は(ほむら)に他の妖気が無いか調べて、何かわかったのかキューキュー鳴いているがその言葉の意味は志乃(しの)もわかっておらず、結界を張っている2号が幻を使って妖怪の正体を映し出す。

そこには頭が全面髪の毛で覆われている一つ目の白装束を着た妖怪が映っていた。

志乃(しの)後髪(うしろがみ)か。」

樹霧之介(きりのすけ)浜名瀬(はまなせ)さん。(ほむら)を助けれますか?」

志乃(しの)「正直難しいな。」

(しずく)「何で?見たところあなたは戦いなれている。」

志乃(しの)「確かに私は妖怪を何体も倒してきた。だが基本的に霊力で戦っている。憑いたのが人間なら簡単だったんだが。」

樹霧之介(きりのすけ)「攻撃すれば(ほむら)も倒してしまうんですね。」

志乃(しの)「そうだけどやれるだけやってみるよ。」

そう言って飛び出したもののまずは後髪(うしろがみ)を引きはがさないと本気で攻撃できない。

志乃(しの)「まずは火を消そうか。」

幸いなことにここは誰もいない廃工場、多少荒らしても()()問題ないだろう。

志乃(しの)大百足(おおむかで)。地面を掘り起こして。」

すると地面が揺れ、大百足(おおむかで)が出てくる。

大百足(おおむかで)は地面を掘り返し、土を押し上げる。

志乃(しの)は結界を足場にして(ほむら)の上空へ移動する。

(ほむら)も反応し警戒するがそれよりも早く志乃(しの)のかかと落としが決まる。

(ほむら)は地面へ落下し、体勢を立て直す前にもう一度蹴りを入れて大百足(おおむかで)の掘り起こした土の上へと飛ばす。

すかさず大百足(おおむかで)(ほむら)に土をかけて消火する。

志乃(しの)も下りて土の上から霊縛符(れいばくふ)を張り、(ほむら)の動きを阻害する。

樹霧之介(きりのすけ)「これからどうするんですか?」

(ほむら)の事が心配なのだろう見守っていた樹霧之介(きりのすけ)が走りよってきた。

志乃(しの)「このまま様子見だな。」

樹霧之介(きりのすけ)「そうですか、あ。火傷は大丈夫ですか?」

(ほむら)に触れた足の衣服が燃え、火傷している。

志乃(しの)「ああ、大丈夫すぐに治る。」

その言葉通り火傷はすでに治りかけている。

樹霧之介(きりのすけ)「でも痛くないですか?」

志乃(しの)「、、柚子(ゆず)。」

樹霧之介(きりのすけ)「何ですか?」

志乃(しの)「あ、いや、君の母親にそっくりだなと。」

樹霧之介(きりのすけ)「僕、母とは会ったことが無いんです。」

志乃(しの)「え?だけど柚子(ゆず)は消えたって。」

樹霧之介(きりのすけ)「父から聞きました。母は種の僕を父に預けて消えたって。」

志乃(しの)「そうだったのか。すまない、辛い事思い出させて。」

樹霧之介(きりのすけ)「いえ、大丈夫です。ただ、知らない母の事をもう少し知りたいなと。」

志乃(しの)「私に話せることなら話そうか?」

樹霧之介(きりのすけ)「ぜひ、お願いします。」

志乃(しの)「それはあれを何とかしてからにしようか。」

霊縛符(れいばくふ)が焼けて(ほむら)を埋めた土が盛り上がる。

そこには火のついた木製の車輪を両側に浮かせた黒猫が出て来た。

人型を保てないくらいには妖力を消耗したようだ。

志乃(しの)「もう少し弱らせれば出ていくか?」

志乃(しの)霊縛符(れいばくふ)を用意するが(ほむら)は倒れ、車輪も消えてしまい、そこから後髪(うしろがみ)が出てくる。

後髪(うしろがみ)は後悔の念に取り憑く妖怪なので意識のないものに取り憑くことができないのだ。

志乃(しの)「9号。」

志乃(しの)は冷静に管狐(くだぎつね)から短刀を受け取り、後髪(うしろがみ)を切ると煙となって消えてしまった。

樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)!」

樹霧之介(きりのすけ)(ほむら)に近づき抱き上げる。

志乃(しの)「酸欠になっているだけだからしばらくしたら起きると思うよ。」

樹霧之介(きりのすけ)「ありがとうございます。」

志乃(しの)「後は、あそこの消火かな。」

志乃(しの)の見ている方向では倉庫がまだ燃えている。

幸いにも他に可燃物は無かったのか燃え広がることは無かった。

(しずく)が雨を降らせて、大百足(おおむかで)は土をかぶせて消火する。

志乃(しの)「私はもう帰るよ。」

消火が終わるころには日は沈み、辺りは暗くなっていた。

樹霧之介(きりのすけ)「はい、今日はありがとうございました。」

(ほむら)「ご迷惑をおかけしました。」

消火中に(ほむら)は目を覚ました。

暴れている間の記憶は無いらしい。

(しずく)「あれだけ暴れておいて覚えてないとかありえないけどね。」

茂蔵(もぞう)「まあ、この惨状見て反省しているんだから許しなって。」

(ほむら)は猫の姿でうなだれている。

猫の姿でも表情豊かでちょっと面白い。

樹霧之介(きりのすけ)「悪いのは後髪(うしろがみ)です。」

真琴(まこと)「それにみんな無事だったんだから。」

(しずく)浜名瀬(はまなせ)が来てくれなかったら危なかったけど?」

真琴(まこと)「それに風見(かざみ)も頑張ってくれたよね。」

真琴(まこと)は話をそらすために頑張っている。

風見(かざみ)「おう!道案内頑張った。」

(しずく)「まあいいわ。この話は帰ってからするから。」

そうしてそれぞれの帰路に着いた。

志乃(しの)「治り、遅いな。」

家に帰り火傷の痕を見てみる。

このままだとこの痕はしばらく残っているだろう。

靴下で隠せるが動いてずり落ちると見えそうなのが不安だ。

明日もまた陽葵(ひまり)から追われるのだろうかと心配しながら眠りについた。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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