43話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
志乃が樹霧之介と話したりリストバンドの修理をしていると、しばらくして夕食を終えた陽葵と凛華も戻って来た。
陽葵「戻ったよ。」
志乃「おかえり。」
樹霧之介「2人共おかえりなさい。」
凛華「浜名瀬さん、休めましたか?」
志乃「ああ。」
陽葵「じゃあ、トランプ持って来たんだ。遊ぼう。」
凛華「何します?」
樹霧之介「これどうやって遊ぶんですか?」
陽葵「樹霧之介は初めてなんだ。なら分かりやすい神経衰弱とかどう?」
凛華「いいね。」
それから神経衰弱で盛り上がっていると消灯時間になり、見回りの先生が来たがそれからも遊んでいるとばれて先生に怒られたので布団に入る事にした。
陽葵「樹霧之介、一緒に寝ない?」
樹霧之介「いや、僕は、、」
志乃「外の方が寝やすいなら一緒に行くか?」
樹霧之介「いえ、布団で寝ます。」
陽葵「じゃあ、おいで。」
樹霧之介「えっと、はい。」
布団に入ってからも話はしていたが最初に陽葵が寝てから静かになったので他も寝て次の日の朝、元気な陽葵の横で眠そうな樹霧之介がいた。
志乃「樹霧之介大丈夫か?」
樹霧之介「陽葵さんがずっと僕に抱きついてくるので眠れませんでした。」
陽葵「何か木の良い匂いして寝やすかったんだよね。」
樹霧之介「僕は匂い袋じゃないんですよ。」
陽葵「ごめんって。」
凛華「今から朝食行きますがまたあいついるんでしょうか。」
志乃「正直行きたくないがこのままじゃ良くないよな。」
陽葵「それじゃ行くの?」
志乃「ああ。もし会ったら話してみる。」
陽葵「話通じるのかな?」
志乃「それだけが心配なんだよな。」
志乃達が食堂へ行くと、昨日の響吾と名乗っていた男子が志乃を見つけてやって来た。
響吾「俺、あなたに聞きたい事があるんです。」
志乃「何だ?」
響吾「あの海から伸びた手は何だったんですか?あなたは何でそれを退治できたんですか?あと、、」
志乃「それらを聞いてお前は何をしたいんだ?」
響吾「俺、新聞部でこの不思議な体験を記事にしたいんです。」
志乃「そういう事か。」
響吾「教えてくれますか?」
志乃「人の居ない場所に移動しても良いか?」
響吾「もちろんです。」
志乃は響吾を連れて人気の無い廊下まで来た。
響吾「2人きりって少しドキドキしますね。俺実は助けてもらった時からあなたの事気になっているんです。」
志乃「そうか。4号。」
響吾「4号?」
志乃は2号が見えなくしている竹筒から4号を呼び出すと睡眠薬で響吾を眠らせて霊嚢石の霊力を使って昨日の記憶の一部を消してそのまま1人で食堂に戻る。
陽葵「浜名瀬さん、大丈夫だった?」
志乃「ああ、記憶消してきた。」
陽葵「消しちゃったんだ。」
志乃「このままだとしつこく付き纏ってきそうだったからな。」
陽葵「そうなんだ。」
凛華「記憶を消すって何ですか?」
志乃「気にするな。」
志乃達は朝食を済ませ今夜は違う場所に泊るので荷物をまとめたり準備をして志乃達が朝食中に仮眠を取っていた樹霧之介とバスに乗り込み水族館へ向かう。
樹霧之介はまだ寝たりないみたいで志乃の膝の上でまた寝ている。
陽葵「今日、友達の班と回っても良い?」
志乃「あのいつもの3人か。」
陽葵「うん。」
凛華「私は大丈夫だよ。」
志乃「私も構わない。」
陽葵「ありがとう。」
凛華「だけどはあまり関わったことない人だとそっちの輪には入れないかもしれない。」
陽葵「皆フレンドリーだから大丈夫だよ。」
凛華「それでも初めての人は苦手。」
陽葵「私が間に入るから。」
凛華「絶対に輪に入らなきゃダメ?」
陽葵「そんな事も無いけど、仲良くなったらいいなって思っただけだよ。」
凛華「まあ、少し話すくらいなら頑張ってみる。」
陽葵「うん。ありがとう。」
凛華「浜名瀬さんも一緒にいてくれますもんね。あれ?」
志乃は目を閉じて壁にもたれかかって樹霧之介と一緒に寝ていた。
凛華「昨日の夜ちゃんと寝てましたよね。」
陽葵「悪戯できそうだね。」
凛華「そっとしておこうよ。昨日はキジムナー送り届けたりしているんだから疲れているんだよ。」
陽葵「冗談だって。」
それからバスは水族館へ到着する。
陽葵「着いたよ。樹霧之介、浜名瀬さん起きて。」
樹霧之介「あ、おはようございます。」
志乃「ん?寝てた?」
陽葵「珍しいよね。浜名瀬さんが起こすまで起きないなんて。」
志乃「記憶操作に神経使ったからかな。」
陽葵「そんなに難しいの?」
志乃「当たり前だろ。下手したら廃人にさせてしまうんだから。」
陽葵「そんな怖い事私にしようとしていたの?」
志乃「必要なら。」
凛華「そろそろ行きましょう。」
志乃「そうだな。降りよう。」
志乃達がバスを降りて水族館へ入ると陽葵の友達の澄花、沙羅、梨奈の3人の班と合流する。
澄花「陽葵、やっほ。」
陽葵「皆、やっほ。」
凛華「こんにちは。」
澄花「こんにちは。蓮見さんだっけ?」
凛華「はい。」
澄花「硬いな。まあ、いいけど。今日はよろしくね。」
凛華「よ、よろしく。」
澄花「浜名瀬さんもよろしく。」
志乃「よろしく。」
沙羅「ねえ、最初どこ行く?」
梨奈「私イルカショー見たいから時間合わせたい。」
陽葵「いいね。」
沙羅「そっちの2人は何かしたいことある?」
凛華「特にしたいことはないかな。」
志乃「お前達に付いて行く。それでも良いか?」
沙羅「良いよ。実は楽しみで色々調べてたんだ。」
澄花「楽しみだね。」
志乃達は沙羅の案内で順路に沿って展示を見ていく。
陽葵「綺麗だね。」
澄花「写真撮ろうよ。ほら2人も入って。」
凛華「私はいいかな。」
志乃「私も。」
澄花「もー。なら写真撮って。」
志乃と凛華はそれぞれ凛華と莉奈からスマホを受け取って写真を撮る。
樹霧之介も初めて見る海の中の光景にテンションが上がっている。
巨大水槽に来ると凛華が魚では無い何かが泳いでいるのを見つけた。
それは子供くらいの大きさの猿みたいな見た目で、頭に皿がある。
凛華「浜名瀬さん。あれ、妖怪ですか?」
志乃「ああ、あれはケンムンだな。」
凛華「どんな妖怪なんですか?」
志乃「河童みたいな妖怪だ。特に害はないからほっといていい。」
凛華「へー。何でこんな所にいるんでしょう。」
志乃「あいつらは自分で漁をするんだがたまに怠惰な奴もいて、あいつは多分ここの餌を狙って来た奴だろう。」
凛華「同じ妖怪でも性格があるんですね。」
陽葵「何の話してるの?」
凛華「あの泳いでいる妖怪の話だよ。」
陽葵「あ、あれ。私も浜名瀬さんに聞きたかったんだ。」
???「あー!人魚のお姉ちゃんだ!」
その声に振り向くとそこには志乃が助けた子供がいて、母親と共に水族館へ遊びに来ていたようだ。
その子供は志乃に駆け寄り足に抱きつく。
母親「すいません。」
志乃「昨日の子か。元気になって良かったな。」
母親「あなたが助けてくれた方なんですね。本当にありがとうございました。そちらのお2人も昨日はあまりお礼も言えずすみません。」
陽葵「それはいいですよ。」
凛華「私達救急車呼んだだけですから。」
子供「ねえ、人魚のお姉ちゃんは泳がないの?僕また見たい。」
母親「こら、ここは水族館なんだから変な事言わないの。」
志乃「人魚?」
母親「すみません。この子、助けられるときあなたが人魚みたいだったって言うんです。」
志乃「人魚を見たことあるのか?」
子供「この近くの海で見たんだ。だからここに来たらお姉ちゃんに会えるって思って連れてきてもらったんだよ。」
母親「気にしないでください、たまに変な事言うんです。さっきも水槽に向かって猿が泳いでるなんて言うんですよ。」
志乃「その人魚見た後、天気荒れなかったか?」
母親「そう言えばその日は晴れてたのにこの子が魚の人がいるって言った後に天気が悪くなりました。」
志乃「そうか。」
子供「ねえ、お姉ちゃん達も一緒に回ろうよ。」
母親「お姉ちゃん達はお友達と来ているの。迷惑かけちゃ駄目よ。」
子供「あの子はいいの?」
その子供は樹霧之介を指差す。
母親「そこには誰もいないでしょ。変な事言わないで。」
陽葵「ねえ、浜名瀬さん。この子見えてるよね。」
志乃「子供の時だけ見える人もいる。霊力の量はそこまで多くないから大きくなれば見えなくなるだろ。」
母親「ほら、行くよ。こっちに来なさい。」
子供「やだ。」
そこに他の場所を見ていた3人も合流する。
澄花「何、どうしたの?」
梨奈「浜名瀬さん、その子どうしたの?」
陽葵「昨日浜名瀬さんが溺れてたのを助けたんだよ。」
澄花「それでこんなに懐いてるの?」
母親「せっかく楽しんでいたのに邪魔してすみません。」
沙羅「いいんじゃない?私達この後イルカのショー見に行くんだけど一緒に行く?」
子供「人魚のお姉ちゃんも一緒?」
梨奈「人魚のお姉ちゃん?」
陽葵「浜名瀬さんの事だよ。泳いで助けたからそう呼ばれてるみたい。」
梨奈「へー。」
母親「ご迷惑じゃないですか?」
志乃「私は構わない。」
凛華「私もいいよ。」
陽葵「一緒に行こうよ。」
母親「すみません。」
それからその親子も一緒に水族館を回って子供は一度来た事があるようで楽しそうに水族館の案内をしてくれたのでそれに志乃と凛華は付き合っている。
澄花「ねえ、陽葵。浜名瀬さんって陽葵の師匠に雰囲気似てない?」
陽葵「そうかな。」
澄花「話し方とか人を助ける行動力とか。」
梨奈「確かに似てるよね。」
澄花「ねえ、浜名瀬さんってあまり人と話さないじゃん。陽葵はどうやって仲良くなったの?」
陽葵「えっと、覚えてないな。」
澄花「1年ちょっとで忘れるわけないじゃん。」
梨奈「私も気になる。1年の時はクラスも違ったのに何で仲良くなれたの?」
陽葵「どうだったかな、、」
志乃「何話しているんだ?」
陽葵「浜名瀬さん。」
沙羅「どうかしたの?」
志乃「あっちの体験ブースに寄ってもいいか聞きに来たんだ。」
沙羅「いいよ。思ったより早く回れてイルカショーの時間もまだだから。」
志乃「そうか。ならそこに行っている。」
澄花「あ。浜名瀬さん。」
志乃「何だ?」
澄花「浜名瀬さんは陽葵とどこで仲良くなったの?」
志乃「学校で毎日のように話掛けられた、それだけだ。」
澄花「そう言えば陽葵、教室にいないことが多かったよね。」
陽葵「その頃は教室に仲いい人いなかったから。」
梨奈「さっき覚えてないって言ってたけど陽葵から仲良くなりに行ってたんだ。なんで浜名瀬さんだったの?」
陽葵「えっと、、」
志乃「初めて話しかけてきた理由は帰り道が同じだったからじゃなかったか?」
陽葵「そう、そうなの。帰りに一緒に帰る人いたらいいなって思って話しかけたの。」
梨奈「それで部活まで辞めて一緒に帰るようになったの?」
陽葵「その時は他にやりたいこともできたからね。」
澄花「もしかしてその頃に師匠と出会ったの?」
陽葵「そんな感じかな。」
澄花「浜名瀬さんと仲良くなった直後に師匠と出会ったの?」
陽葵「そうだけどたまたまだよ。」
子供「お姉ちゃん早く行こう。」
志乃「分かった。」
母親「すみません。」
沙羅「私達も行ってみない?」
澄花「子供向けじゃないの?」
陽葵「いいじゃん。見てみようよ。」
体験ブースに行くと子供にも分かりやすく魚の事が学べる所になっていた。
樹霧之介も触れる展示に興味津々で、志乃が体で隠すようにしてくれたので樹霧之介も触って子供と一緒に遊んでいる。
それからイルカショーの時間が近付き席を取るためにも早めに向かうと一番前の席を取る事が出来た。
イルカショーも終わり、そのまま水族館の周辺にある施設で午後からの時間を過ごすためお昼にカフェに寄ってそれからイルカとのふれあいコーナーなどを回っていると集合時間になった。
志乃達は親子と別れてバスへ乗り込む。
樹霧之介「志乃さん。さっきは人の目があるので聞けませんでしたが人魚、探していたんじゃないんですか?」
志乃「さっきの親子が言っていた人魚はザンという妖怪だ。」
樹霧之介「ザン?人魚じゃないんですか?」
志乃「人魚の一種ではあるが私が探している人魚とは別の妖怪だ。」
樹霧之介「そうなんですね。」
志乃「樹霧之介が落ち込むことじゃないだろ。」
樹霧之介「だけどせっかく手掛かりが見つかったと思ったんですよ。」
志乃「ここのザンにはもう会っている。先に話せばよかったな。」
樹霧之介「そうですよね。志乃さんと父さんはもう全国回って人魚探したんですよね。」
志乃「それでも新しい情報はあるかもしれないから。」
樹霧之介「はい。」
陽葵「ねえ、今日水族館どうだった?樹霧之介初めてなんじゃない?」
樹霧之介「え、はい。人間の施設に入るのはあまりないので楽しかったです。」
陽葵「何が一番楽しかった?」
樹霧之介「え、えっと初めて海の中の景色を知れたのが一番嬉しかったです。」
陽葵「樹霧之介って泳げないの?」
樹霧之介「泳げないというより僕木なので浮いてしまって潜れないんです。」
陽葵「そうなんだ。確かに木って浮くよね。」
凛華「樹霧之介くんって木の妖怪なの?」
樹霧之介「はい。僕は木霊と呼ばれる妖怪です。」
凛華「へー。子供の妖怪だと思ってた。」
樹霧之介「確かに子供の姿ですけど人の形を取る妖怪は多いですよ。」
凛華「何で?」
樹霧之介「妖怪によって理由は違いますが人と関りを持ちたくて人の形を取る事が多いですね。」
凛華「なら人の姿をしている妖怪は友好的なの?」
樹霧之介「いえ、逆の事の方が多いのであまり近づかない方が良いです。」
凛華「逆?」
樹霧之介「人間を害する為に人の姿を取る事もあるんです。」
凛華「あ、そうか。」
志乃「それに今は妖怪の姿を見れる人は少ない。わざわざ人の前に人の姿で現れる奴は何かを企んでいることが多いんだ。」
凛華「そうなんですね。」
志乃「妖怪は見た目をごまかすことができるから見た目で良し悪しは判断できない。」
凛華「浜名瀬さんは何を基準に判断しているんですか?」
志乃「妖気だな。妖怪を形作るのは妖力だから人を殺したり負の感情で作られた妖力から発せられる妖気は嫌な感じがする。」
凛華「なら浜名瀬さんはそれが良い妖怪か悪い妖怪か分かるんですか?」
志乃「大体は分かるが隠すのが上手い奴もいるから一概には言えないな。」
陽葵「浜名瀬さんを騙せる妖怪がいるの?」
志乃「それに特化している妖怪もいるからな。」
陽葵「へー。」
志乃「ちなみにあの本に書いてあるが分かるか?」
陽葵「え?卑怯だよそんな急に質問してくるなんて。」
志乃「妖怪との出会いは大体急なものだ。」
陽葵「えっと狐とか?」
志乃「狐にも色々いるぞ。」
陽葵「そこまではまだ分からないよ。」
志乃「狐以外にもいるが今回は答えられただけでも良しとするか。」
陽葵「良かった。」
それから次の宿は民泊となっていてバスはそこに到着する。
そこは海も近く景色の良い場所で、次の日は沖縄の暮らしを体験することになっている。
ただ志乃は家に入ろうとするが門の前まで行くと止まってしまう。
陽葵「どうしたの?」
先に門の中に入っていた陽葵は志乃が付いて来ていないので振り返ると志乃の目の前には1匹の犬の様な生き物が志乃の前に立ちふさがっている。
志乃「何もしないから通してくれないか?」
???「グルル。」
凛華「石像と同じ、もしかしてシーサーですか?」
陽葵「何で浜名瀬さんを入れないようにしているの?」
志乃「私の中にあるもののせいだろうな。」
志乃達はバスでは一番後ろの席に座っていて降りるのも最後だったので後ろから来る人はいないがいつまでもこうしていることはできない。
樹霧之介「この人は悪い人じゃないですよ。」
シーサー雌「グルルルル。」
樹霧之介も宥めようとするがシーサーは興奮しているのか聞こうとしない。
志乃「、、使うか。」
志乃は9号から木片を受け取るとシーサーの鼻先に差し出す。
するとシーサーは大人しくなってその木片をクンクンと嗅ぐと咥えてどこかへ行ってしまった。
そのため志乃は中に入る事ができるようになって陽葵達と部屋へ移動する。
陽葵「浜名瀬さん、さっきシーサーに何あげたの?」
志乃「香木だ。」
凛華「シーサーって香木好きなんですか?」
志乃「少し特殊な物なんだ。」
陽葵「特殊ってどう特殊なの?」
志乃「あれは柚子からもらった物で気を静めることができる。」
樹霧之介「あげてもよかったんですか?」
志乃「気に入っていたんだが、仕方ない。」
凛華「柚子って誰ですか?」
陽葵「樹霧之介のお母さんだよ。もういないけど。」
凛華「形見って事?」
志乃「柚子から貰ったものはまだある。」
樹霧之介「でも気に入っていたんですよね。」
志乃「いつかは無くなる物だったんだ。ほら、夕飯までに荷物片づけるぞ。」
それから夕飯を終えて寝る準備をする。
陽葵「樹霧之介、今日何処で寝るの?」
樹霧之介「ここ広めの庭があったのでそこで寝ようと思います。」
凛華「外で大丈夫なの?」
樹霧之介「僕、木なので外の方が良いんです。」
凛華「そうなんだ。」
志乃「付いて行こうか?」
樹霧之介「1人で行けます。」
志乃「そうか。おやすみ。」
樹霧之介「はい。おやすみなさい。」
樹霧之介は出て行って志乃達も布団に入る。
今日は歩き回ったのでいつも煩い陽葵も布団に入ると寝てしまった。
皆が寝静まった夜、門の方で誰かが話している。
???「それ、持ち主に返してくれない?」
シーサー雌「気に入ったの返したくない。」
???「だけど先にここのお客さんに牙を向いたのはあなたよね。」
シーサー雌「嫌な匂いがしたんだもん。」
???「だけどそれが悪さしないのは分かってたでしょ?」
シーサー雄「すまないな。こいつは一度興奮するとなかなか収まらないんだ。」
???「それでそれが欲しいのね。」
シーサー雄「そうだ。どうしたら譲ってもらえる?」
???「うーん。」
シーサー雌「いいわ。返す。」
シーサー雄「いいのか?」
シーサー雌「この癖、いつかは自分で直さないといけないもの。」
シーサー雄「それを使えば直せるだろう?」
シーサー雌「これは気持ちを落ち着けてくれるけど、私が望んでいる物とは少し違うわ。」
???「あなたが望んでいるのって何なの?」
シーサー雌「冷静に判断する事よ。落ち着くのと冷静になるのとじゃ少し違うでしょ。だから自分で直さないといけないの。」
シーサー雄「だけど落ち着ければ冷静にもなれるだろう。」
シーサー雌「そうだけどこれ使うと闘争心もどっかいって侵入者に対処できないの。」
???「そうね。それはくつろぎたい時に使う物だから。」
シーサー雄「そうか。なら少し違うな。」
シーサー雌「だから返しに行く。」
???「分かってくれてよかったわ。ありがとう。」
シーサー雌「ううん。最初は我儘言ってごめん。」
???「意外と素直なのね。あなたなら良い門番になれるわ。」
シーサー雌「ありがとう。頑張るから。」
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




