33話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
学校では球技大会の日が近づいてメンバーを決めることになった。
球技大会の種目は毎年違い、今年はドッジボールに決まった。
学校内での親睦を深める為のイベントなのでメンバーを決める方法は基本立候補なのだが人数が集まらなければ推薦やくじ引きで決まる。
そして立候補ではメンバーが集まらず、去年活躍した志乃が推薦された。
立候補のメンバーとして陽葵と凛華もいる。
志乃を推薦したほとんどの生徒は志乃の活躍でクラスが優勝するからという思いだったので志乃は断ろうと思っていたが、凛華の「私、また浜名瀬さんと一緒に競技したいです。」と言う言葉で志乃は参加を決めた。
練習の時、志乃はいつも妖怪の攻撃を避けたりしているので動体視力も反射神経も良く、高校生の投げるボールは軽々躱し、ボールを取れば的確に相手に当てていく。
今回のルールではメンバーは8人でそのうちの1人が最初から外野にいるのだが、志乃の様子を見ていた先生が志乃をその外野に配置する事を決めた。
生徒からはブーイングが起きたが流石に一方的過ぎと言われてこの配置に落ち着いた。
そんな事があった放課後、志乃は陽葵と帰っている。
陽葵「浜名瀬さん。流石に目立ちすぎだよ。」
志乃「任された以上、全力でやろうと思っただけなんだがな。」
陽葵「だからって大人気ないよ。」
志乃「霊力は使ってないし、リストバンドもしているぞ。」
陽葵「それでももう少し控えてもいいじゃん。」
志乃「何を?」
陽葵「避けるのも当てるのも全部。」
志乃「だがどちらも反射的に動いてしまうんだ。戦闘で動けなければ怪我するからな。」
陽葵「浜名瀬さんの事知ってる人ならそれは分かるけど、殆どの人が知らないんだよ。」
志乃「演技はできるがそれだと相手にも味方にも失礼じゃないか?」
陽葵「周りに合わせるのも大事だよ。せっかく浜名瀬さんと一緒にできると思ってたのに。」
志乃「チームは一緒だろ。」
陽葵「外野とか遠くに行かれたらなんか違うの。」
志乃「前は遠くに居ても心強いとか言ってなかったか?」
陽葵「そりゃ外野でも心強いけど。あ、それなら私もボールに当たって外野に行けばいいのでは?」
志乃「そんな腑抜けた事するなら札の作成追加するぞ。」
陽葵「わ、わざとはしないよ。たまたま当たったら外野に行けるなと思っただけだから。」
志乃「本当だな。」
陽葵「勿論。」
その日の夜、学校に誰かが忍び込み鏡の前に立つと自分の顔を見ながら何かを唱える。
???「お前は誰だ。お前は誰だ。お前は誰だ。」
唱え終わるが何もなく、ただ静かな時間が流れる。
???「噂は噂だよね。」
鏡から出た黒い小さな人影みたいなものが忍び込んだ人の影に飛び込むがその人は見えてないようだ。
それから数日後の休み時間に陽葵が土蜘蛛の時に一緒にいた友達の澄花、沙羅、梨奈の3人と会話していると澄花の従弟の直人が教室に入って来た。
直人「澄花お姉ちゃんいますか?」
澄花「直人君どうしたの?」
直人「僕の蛇退治してくれた人、澄花お姉ちゃんが連れてきてくれたんだよね。」
澄花「そうだよ。どうしたの?」
直人「何て言えばいいのか分からないんだけど、僕のクラスが変なんだ。」
澄花「変?」
直人「うん。仲の良かった友達が急に喧嘩したり、今まで騒がしかった奴が静かになったり。」
澄花「それは変だね。」
陽葵「だけど直人君のクラス1年だから慣れない環境でストレス感じているだけかもよ。」
直人「だけど昨日まで何も無かった奴らだよ。変だよ。」
澄花「そうだよ。陽葵、師匠呼んで調査してもらおうよ。」
陽葵「え、でも師匠学校に来れるかな。」
沙羅「ねえ、師匠って前に蜘蛛退治してくれた人?」
澄花「そうだよ。この前もこの直人君に憑いた蛇を陽葵と退治してくれたの。」
梨奈「えー何それ。私も会いたかった。」
澄花「今回も解決してくれるよね?ね、陽葵。」
陽葵「え。えっとちょっと師匠と相談しないと分からないな。」
澄花「分かった。ちゃんと伝えてね。」
陽葵「う、うん。」
それから予鈴がなって直人は自分の教室へ戻るがその後ろを5号が付いて行くのを陽葵は見ていた。
放課後、いつも通り志乃と陽葵は一緒に帰っている。
陽葵「浜名瀬さん。どうだったの?」
志乃「一応憑かれている奴と妖怪は特定した。明日話しかけて様子見だな。」
陽葵「実害出てるのに退治しないの?」
志乃「退治は簡単にできるがしない方がいい妖怪もいるんだ。」
陽葵「それはスキーの時知ったけど。何か守っている妖怪なの?」
志乃「いや、ほとんど実害しかない。」
陽葵「なら何で退治しないの?」
志乃「退治しない方が解決する問題もある。」
陽葵「なにそれ。」
志乃「お前も手は出すなよ。妖気が弱すぎて気づかないかもしれないが。」
陽葵「弱い妖怪なの?」
志乃「ああ。」
陽葵「どんな妖怪なの?」
志乃「解決したら教える。」
陽葵「今教えてよ。」
志乃「なら課題を出そうか。」
陽葵「え。」
志乃「妖怪の種類を特定しろ。あの本にも書いてあるから簡単だろ。」
陽葵「手は出すなって今言ったところだよね。」
志乃「手は出さなくても調べる事はできる。」
陽葵「妖気弱くて分からないんだよね?」
志乃「普通に過ごしていれば分からないが、いると思って探して近くに行けばなんとか見つかる。」
陽葵「そんなのどうしろと。」
志乃「直人のクラスは分かるんだろ。なら大丈夫だ。」
陽葵「それは澄花に聞けば分かると思うけど。」
志乃「期間は妖怪が取り憑いた奴から離れるまで。」
陽葵「え。祓わずに離れることあるの?」
志乃「普通にあるぞ。」
陽葵「それならなんでわざわざ調べなきゃいけないの?」
志乃「お前は少し人に頼りすぎだ。もう少し自分で調べる事を覚えろ。」
陽葵「だけど調べなくても終わったら浜名瀬さんが教えてくれるんだよね。」
志乃「そうだな。お前は今何か欲しい物はあるか?」
陽葵「もしかして正解したらくれるの?」
志乃「合っていればな。」
陽葵「なら、夏休みに浜名瀬さんの時間をください。」
志乃「修行なら付き合うぞ?」
陽葵「ううん、修行じゃない。付いて来てほしい場所があるの。」
志乃「分かった。今回お前が頑張れば何処にでも付き合ってやる。」
陽葵「やった。約束だからね。」
次の日、志乃は陽葵に気づかれない様に憑かれている人に話しかけるため朝早めに学校に来てその人を探す。
そしてその人は真面目な人なのか結構朝早くから登校していたので志乃は話しかける。
志乃「今時間いいか?」
女子「なんですか?」
志乃「お前、最近鏡に何かしなかったか?」
女子「何のことですか?」
志乃「悩みがあるなら相談に乗るぞ。」
女子「あなた2年生ですよね。何で私に話しかけるんですか?」
志乃「何でか、どう説明すればいいかな。」
女子「そもそも誰なんですか?」
志乃「私か?私は浜名瀬志乃だ。」
女子「浜名瀬、、聞いたことあります。去年の球技大会で1年生にも関わらず優勝したクラスで活躍した人ですよね。」
志乃「私1人でできた事じゃない。」
女子「それでも噂になるほどの人気者に私の気持ちは分かりません。放っておいてください。」
そう言ってその女子高生は走ってどこかへ行ってしまったが志乃はその女子高生に2号で姿を消した6号を付けて女子高生の会話を志乃に飛ばして聞こえるようにする。
???「澪。さっきの人は鏡の事を知っていた。もしかしたら夜に学校へ忍び込んだ事知っているかもよ。」
さっきの女子高生の名前は澪というらしい。
澪「え。どうしよう。」
???「この事を言われたらあなたは嫌われ者よ。」
澪「分かってる。」
???「だからさっさと入れ替わって頂戴。」
澪「だけど、、」
???「そうすれば私は全力を出す事が出来て性格だけじゃなく記憶を消すこともできるの。それにあなたも見たでしょ性格が反転したら周りの人との関係も変わったところ。あなたの性格と反対の私なら周りに人が集まるのよ。」
澪「本当にこのまま私の性格は反転できないの?」
???「私は今はあなたの影にいるでしょ。影の主には私の術が効かないのは何回も説明したよね。でもあなたが入れ替わる事を許可してくれれば同じ事なのよ。」
澪「でも、、」
???「その性格のせいで球技大会のメンバーになれなかったんでしょ。だけど今からでも遅くないわ。練習で活躍できればメンバーを交代してくれるかもしれないし、活躍すればあなたは認められてあなたを中心に輪ができる。その為に私を呼び出したんでしょ。」
澪「、、もう少し考えさせて。」
???「あなたがそう言うなら待つけど、さっきの人が待ってくれるかは分からないわよ。」
澪「うん。」
その日の休み時間、陽葵は澄花から直人のクラスを聞いて調査しに行っているみたいで教室にはいない。
陽葵はとても張り切っているようで何に付き合わせたいのか先に聞いておけばと志乃は少し後悔していた。
それから放課後も陽葵は妖怪の正体を探すために学校に残っており、志乃は1人で帰る。
そんな日が続いたある日、体育館では澪のクラスが他の1年のクラスと合同でドッヂボールの練習をしている。
澪はボールに当たらないように後ろの方で逃げ回るが結局は当たって外野へ行ってしまう。
???「ほら。だから私に変わりなさいよ。」
澪「もうちょっと。」
???「何で無駄に頑固なのよ。まあいいわ。」
その日の休憩時間、澪はまた2年生から声を掛けられる。
陽葵「ねえ、あなた。ちょっといい?」
澪「な、なんでしょう。」
陽葵「最近何か儀式的なものをしなかった?」
澪「何の話ですか?知りませんよ。」
陽葵「そうなの?だけどあなたの影から微かにだけど妖気が出ているの。私それの正体を知りたくて今調査してるんだけど何でもいいからヒントくれない?」
澪「何ですかそれ。何でこんなに2年生が私に話しかけてくるんですか?」
陽葵「他にあなたに声かけた人がいるの?」
澪「浜名瀬って先輩です。あなたも私に鏡の事聞きに来たんですか?」
陽葵「浜名瀬さんが?じゃあ、あなたで合ってたんだ。ねえ、鏡って何のこと?教えてよ。」
澪「あの先輩の友達ならどうせあなたも人気者なんでしょ。」
陽葵「私は違うよ。入学してしばらくしてから友達は出来たけど最初は1人だったよ。」
澪「そんな明るい性格をしていてもですか?」
陽葵「明るいも言われるけどどちらかといえばドジだとか考え無しとか言われることが多いかな。」
澪「能天気とか?」
陽葵「あー、言われたことあるかも。だけどそれが私なんだから仕方ないよね。」
澪「性格変えたいとか思わないんですか?」
陽葵「性格変わった自分なんて想像できないよ。」
澪「それでもこうなったらいいなとか思いません?」
陽葵「思ったこともあるけど最終的にはこのままで良くない?って感じかな。」
澪「私は変えたいです。」
陽葵「性格を?何で?」
澪「だって、私引っ込み思案で、それでしたい事出来なくて、後から後悔するんです。」
陽葵「確かに性格で行動は違うかもしれないけど、それって全部性格のせい?」
澪「なら、何のせいだって言うんですか?」
陽葵「うーん。」
澪「分かってますよ。本当は自分が悪いんだって。だから自信が出るように性格を変えたいんです。」
陽葵「自信出したいだけならわざわざ性格変える必要あるの?」
澪「え?」
陽葵「今何に自信がないの?手伝うよ。」
澪「手伝うって何を?」
陽葵「今近いのって球技大会だよね。なら一緒にドッヂボールの練習しよ。」
澪「え?え?」
陽葵「だから後でその妖怪の事教えてよね。」
陽葵は澪を強引に誘い、空いている体育館は部活で使っている為無かったがボールだけ借りて少し広い場所を探してそこで練習をする。
次の日の放課後、志乃は陽葵に鏡の前まで連れてこられた。
志乃「分かったのか?」
陽葵「うん。妖怪の名前はカゲノナ。取り憑く対象の反対の性格になって影に取り憑いて体を乗っ取ろうとする妖怪でしょ。」
志乃「正解。」
陽葵「宿主の許可がいるとはいえ、そんな体を乗っ取る妖怪ほっといていいの?」
志乃「結構弱いからな。乗っ取られた後でも宿主が拒否すればすぐに出ていく。」
陽葵「え。乗っ取られても意識あるの?」
志乃「あいつが出来るのは体を少し動かすくらいだからな。」
陽葵「だけどクラスの人の性格変わってたよね。」
志乃「あいつは一応鏡の妖怪だからな。反転させるのは得意なんだ。1日も持たないけど。」
陽葵「弱くてもそれくらいはできるんだ。」
志乃「何もできないんじゃ宿主の許可も取れないからな。」
陽葵「それで私は正解したんだよね。」
志乃「そうだな。それで私はどこに何日付き合えばいいんだ?」
陽葵「日程はまだ分からないけど私のお父さんの実家に多分3日ほどなんだけど付き合ってほしいの。」
志乃「私はいいが無関係な人を呼んでもいいのか?」
陽葵「今年はお父さんの七回忌だから行かないといけないんだけど、あの時の事思い出すと不安で、、お母さんや親戚には私から説明するから付いて来てお願い。」
志乃「約束だから行くが七回忌?行方不明じゃなかったのか?」
陽葵「失踪したら7年で死亡届が出せるの。お母さんは反対してたんだけどお父さんの両親がお母さんは新しい人を探した方が良いって出したみたい。」
志乃「そうか。お前らの事も考えてくれる良い人達なんだな。」
陽葵「うん。今も仕送りしてくれてるからできれば行って顔を見せたくて、、」
志乃「分かった。日程が決まったら教えてくれ。」
陽葵「うん。」
それから球技大会が近づいた頃に澪のクラスでインフルエンザが流行り、メンバーの1人も欠席してしまう。
先生「代わりに出たい人、いるか?」
カゲノナ「ほら、チャンスよ。手を上げなさい。」
澪「...。」
カゲノナ「これを逃したらもう球技大会に出れないの!手を上げれないのなら早く替わりなさい!」
先生「いないのか?ならくじ引きで決めるぞ。」
澪「あ、あの。やっぱり私、出ても良いですか?」
先生「おお。朝倉か、練習しているの見たぞ。頑張れよ。」
澪「え、あ、あの、、はい。」
澪は声を上げた恥ずかしさと練習を見られていた恥ずかしさで俯いてしまったが後悔はしていなかった。
大会当日、志乃のクラスも澪のクラスも順調に勝ち上がったところで対決となった。
志乃にボールが渡るとまずは1人目にボールが当たるとボールは跳ね返って志乃の元に戻り志乃はもう一度狙いを定める。
志乃がボールを投げると澪が前に出てそのボールを取り、歓声が上がる。
志乃「お。」
陽葵「やったじゃん。練習の成果出てるよ。」
凛華「陽葵、敵を褒めないで。」
それから澪に何度かボールを取られたが志乃のクラスが勝ち上がり、それ以降は志乃のボールは取られる事なく優勝した。
結果発表と表彰式が行われ、女子のMVPには志乃が選ばれた。
試合後のホームルームでは澪のクラスは負けたがMVPに選ばれた志乃のボールを取った唯一の選手として澪の周りには人が集まっていた。
そして澪の影からもう妖気は出ていない。
その夜、学校に忍び込み鏡の前に立つ人がいた。
志乃「おい、いるんだろ。」
鏡から返事は無い。
志乃は手鏡を取り出すと学校の鏡と向き合わせて合わせ鏡にするとしばらくして声が聞こえる。
カゲノナ「おい。合わせ鏡は止めろ!気持ち悪くなるだろ。」
そう言って鏡から黒く小さい人型の妖怪が上半身だけ出して怒ってくる。
カゲノナ「俺を呼び出したいのならちゃんと手順を踏めよ。」
志乃「久しぶりだな。」
カゲノナ「げ。破魔凪。」
志乃「お前の妖気弱いから見つけにくいんだよな。」
カゲノナ「なんだよ。退治しに来たのか?」
志乃「今この学校の七不思議なんだって?」
カゲノナ「そうだよ。」
志乃「自分を変えたいと思った人が夜にお前の鏡に写した自分の姿に向かってお前は誰だと3回唱えるだったか。」
カゲノナ「いつの間にか広がっていた噂だ。何が言いたい。」
志乃「お前はあまり力が無いのに何でそんな噂が広がったのかなと思ってな。」
カゲノナ「知らねえよ。」
志乃「この学校が出来た当初。自殺未遂があったらしいな。」
カゲノナ「それが?」
志乃「その生徒、今はここの先生になっているんだぞ。」
カゲノナ「知ってるよ。今もたまにここに来るんだ。」
志乃「お前が人助けとはな。」
カゲノナ「体が欲しかっただけだ。」
志乃「なら何でまだ鏡にいるんだ?」
カゲノナ「お前には関係ないだろ。」
志乃「今も人助けしている理由が知りたくてな。」
カゲノナ「一度処分されそうだったこの鏡を守ってくれたからな。」
志乃「その鏡が無くなっても別の鏡に行けばいいだろ。」
カゲノナ「今はここが気に入ってんだ。」
志乃「良かったな。」
カゲノナ「お前こそ何で来たんだ。」
志乃「悪戯しかしなかった奴がいきなり人助けとか怪しくて、確認しに来たんだ。」
カゲノナ「昔の話だろ。」
志乃「ああ。今は違う。」
カゲノナ「ならもういいだろ。」
志乃「そうだな。私は帰るよ。」
カゲノナ「けっ。もう来んなよ。」
志乃「それは無理だ。」
カゲノナ「あん?なんだ俺が恋しいのか?」
志乃「今は私もここの生徒なんだよ。」
志乃は高校生の姿になってカゲノナに見せる。
カゲノナ「お前、あの時の。似てるとは思ってたんだ。」
志乃「じゃあな。」
そう言って志乃は帰って行った。
カゲノナ「嫌な事を思い出した。」
カゲノナは昔、悪戯ばかりしていたので志乃に討伐依頼がきたのだが貴重な鏡を傷つける事が出来ないからと、もうその鏡には入れないようにされたのでカゲノナは志乃と一緒にいた黒根の影に憑いて拠点まで行ったのだ。
不安定な状態の妖怪が多い中、性格を反転して柚子を困らせて志乃が追いかけるという事が何回かあったが、ついに志乃に捕まり柚子の説教を受けて嫌になり飛び出したまま行方を眩ませたのだ。
それから鏡や人の影を転々としていると、ある日鏡に話しかける変な人間と出会う。
その人間はカゲノナと同じく弱くて悩んでいるみたいだった。
自分でも乗っ取れそうだと思ったカゲノナはその人間の影に憑いて体を乗っ取る為に話しかける。
次第にカゲノナは鏡の妖精と呼ばれ、人間の悩みを聞くがしばらくして人間の限界が来た。
屋上から飛び降りそうになった時はもうすでに精神が弱り切っていたので許可無しに体に入る事ができたので屋上の縁を掴むと下を確認して木の生えた場所に落ちる事が出来た。
死にはしなかったが骨折をして、木の枝で大きな傷もできていた。
カゲノナは別に見捨てて鏡に戻っても良かったのだが、話を聞くうちに放っておけなくなっていたのだ。
それからカゲノナはしばらくその人間に憑いていたがこの事をきっかけにいじめが表沙汰になり、その人間をいじめる人はいなくなったため、体を操る事は無く人間の悩みに答えながら暮していたが卒業の時にはすっかり明るくなった人間にこの学校の生徒の悩みを聞いてほしいと言われて鏡に戻った。
志乃は2号で姿を消してカゲノナの鏡の場所から帰ろうとすると掃除道具を持った腕に大きな傷跡を残しながらも隠さない年配の先生とすれ違う。
その先生は生活指導を担当していて生徒の悩みを聞いてくれる優しい先生だ。
そんな先生が傷を隠さない理由は「心の傷は見えないがこうしていると嫌でも目に入る。これはあの時の自分の心の傷だ、こんな傷を誰も作らないように自分はこの傷を隠さないようにしている。」と言っている。
醜いものを見せるなという人も言うが「ならあなたは相手にこんな傷を付けまいと接したことはありますか?こういうのは見なくても生きていけますが学べる人は少ない。これが心にあれば人は死ぬこともあるんですよ。」と強気に話している。
そんな先生は夜、たまに鏡に向かってお前は誰だと唱えている。
それでもカゲノナが出て行かないのは取り憑く際、取り憑く人物の性格を反転させた性格になってから取り憑くからだ。
今の先生の性格を反転させた性格になりたくないのだろう。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




