32話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
志乃は妖ノ郷にある樹霧之介の家でさっき起こった事を話し合っていた。
黒根「わしが忘れていたせいで焔に怪我を負わせてしまったのか。すまんかった。」
焔「もう大丈夫だ。」
志乃「私が何のために夜に行ったか考えなかったのか?」
黒根「その時は人目のない時間に行ったのかと思ったんじゃ。」
志乃「昔は苦労して古寺に追い詰めたんだけどな。」
黒根「忘れてはおらん。思い出せなかっただけじゃ。」
志乃「それを忘れるというんだ。」
黒根「そ、それにしても志乃もわしも見た事無い妖怪か。」
志乃「話を変えるのか?」
黒根「お主はどう考えておるんじゃ?」
志乃「、、まあ、そうだな。姿形はヒレと鱗のある海坊主に似ていたが別種だと思う。」
黒根「今も新しい妖怪が生まれておるからの。もしかしたら新種かもしれん。」
志乃「凶暴性が無いとは言い切れないが調べる術も無いからな今は放置するしかない。」
黒根「そうじゃな。」
樹霧之介「志乃さん。切れましたよ食べてください。」
志乃「分かったよ。」
黒根「お主も素直になったの。昔だったら逃げておるじゃろ。」
志乃「これで安心してもらえるならいいんだ。別に変な事は考えてないからな。」
黒根「そうか。」
志乃は樹霧之介から果物を受け取り完食する。
志乃「ごちそうさま。どうだ樹霧之介。気分悪くなったりしてないか?」
樹霧之介「はい。大丈夫です。」
志乃「私はこのまま帰って寝るだけだが夢とかも見れるのか?」
樹霧之介「そこまでは試した事は無いですね。志乃さんは夢を見るんですか?」
志乃「最近見ていないな。」
樹霧之介「ならなんで聞いたんですか?」
志乃「ちょっと気になっただけだ。」
それから志乃がアパートへ帰ろうと道を歩いていると玄羽が現れる。
玄羽「母上から伝言がある。」
志乃「今でなければ駄目か?」
玄羽「急ぎの用でもあるのか?」
志乃「眠いから早めに帰りたい。」
玄羽「昔は徹夜してた事もあるだろ。」
志乃「最近は夜寝ないと眠いんだ。」
玄羽「お前も歳取ったって事か?」
志乃「不老不死にそれ言うか?」
玄羽「まあいい。烏が海で出来損ないを見たと報告があった。」
それを聞いて志乃は9号に木の棒を出してもらい電柱をカンカンと叩く。
玄羽「何でそんな回りくどい事をする。」
志乃「カンカンカン」
玄羽は志乃に合わせて持っている錫杖で地面を突く。
玄羽「カンカン」
志乃「カンカンカンカンカン」
玄羽「カンカンカンカンカンカンカン」
志乃「カンカンカンカンカン」
玄羽「カン」
志乃「カンカンカンカンカン」
玄羽「カンカンカンカンカン、カンカン カンカンカンカンカン」
志乃「カンカンカンカンカン」
玄羽「カンカンカンカンカンカンカン」
志乃「カンカンカンカンカンカンカン」
玄羽「カンカンカンカンカンカン カンカンカン」
志乃「カンカン」
玄羽「カンカンカンカンカンカンカンカン」
志乃「カンカンカンカンカンカンカンカンカン」
玄羽「カンカンカンカンカンカンカン」
志乃「カンカンカンカン カンカンカンカンカンカン」
玄羽「カンカン」
志乃「カンカンカン」
玄羽「カンカン」
志乃「そうか。」
玄羽「もういいのか。何だったんだ?」
志乃「個人的な都合だ。付き合ってもらって悪かったな。」
玄羽「別に良いが誰かに会話でも聞かれているのか?」
志乃「そんな感じだ。」
玄羽「昔は自由な奴だと思っていたんだがな。どうしたんだ?」
志乃「長く生きてれば心変わりくらいするさ。」
玄羽「そうか。」
志乃「もう何も無いなら帰って良いか?」
玄羽「ああ。時間を取らせたな。」
そう言って玄羽は飛んで行った。
志乃「はあ、一度寝たら妖ノ郷に行かないとな。」
学校は休みだったので志乃はアパートで寝て起きると妖ノ郷にある樹霧之介の家へと向かう。
樹霧之介「志乃さん。待ってましたよ。あの烏天狗と何の話していたんですか?」
志乃「個人的な話だ。」
樹霧之介「でもわざわざ烏天狗の暗号で話す事なんですか?」
志乃「お前はもう少し他人の生活を覗くという事を考えた方が良いぞ。」
樹霧之介「う。でも、、」
志乃「私は心配をかけるような事をしていると自覚している。だからお前達が安心できるならいくらでも覗いてもらっても構わないが、聞かれたくないことだってあるんだ。」
樹霧之介「そうですよね、すみません。」
黒根「出来損ないというものの話に思うのじゃが何故聞かれたくないんじゃ?」
志乃「、、これについては話していいかな。」
黒根「何かあったのか?」
志乃「私も詳しい事は知らないが特定の人間を妖怪に変える奴がいるらしい。」
樹霧之介「そんな危険な妖怪放っておいていいんですか?」
志乃「その特定の人間も分からないし、そいつが何故そんな事しているかも分からない。場所も分からないから手が出せないんだ。」
黒根「じゃが烏天狗がお主に話に来るという事はお主がその人間かもしれないという事なのじゃろう?」
志乃「そうかもと言われたがあの魚頭の妖怪に私は違うと言われた。」
黒根「魚頭の妖怪と何か関係があるのか?」
志乃「玄羽が言うにはあの魚頭の妖怪が出来損ないらしい。」
樹霧之介「ならあの妖怪って元人間なんですか?」
志乃「玄羽が言う事が正しければな。まあ、人間が妖怪になる事なんて珍しい事じゃない。」
黒根「じゃが人為的に作り出すのは違うんじゃないのか?それに出来損ないと呼ばれておるなら本当に作りたいものが別にあると考えれる。」
志乃「それも分からない。」
黒根「本当か?」
志乃「本当だ。」
黒根「分かった。お主は無茶はするが無謀な事はせん。情報が集まるまでは手は出さんじゃろ。」
志乃「分かってくれて良かったよ。」
黒根「じゃが情報は共有してくれんか?」
志乃「分かったことがあれば言うよ。」
黒根「本当じゃな。」
志乃「ああ。出来損ないの情報が分かれば伝える。約束だ。」
黒根「、、ならいい。」
樹霧之介「それにしても人間をどうやって妖怪に変えているんでしょうね。」
志乃「人間を妖怪にする方法、、そう言えば孤児を集めて実験していた胸糞悪い事件あったよな。」
黒根「それは解決したじゃろ。」
志乃「狂骨の事もあるからどこかで妖怪になって生きてたりしてな。」
黒根「怖いこと言うな。何か心当たりでもあるんか?」
志乃「いや。少し思い出しただけだ。」
樹霧之介「何があったんですか?」
黒根「樹霧之介は知らん方が良い。」
樹霧之介「何故です?」
黒根「あの惨状は今思い出しても酷いもんじゃ。わしはもう見とうない。」
志乃「私もだ。」
樹霧之介「だけどそれがまた行われている可能性があるんですよね。」
志乃「今は子供がいなくなれば事件になる。可能性は低いだろ。」
樹霧之介「なら何で言ったんですか。」
志乃「なんとなく。」
黒根「なんとなくで嫌な事を思い出させるな。」
志乃「5号。どうした?」
5号が何かを感じて竹筒から出てくると同時にドタドタと足音がして扉を勢いよく開けて風見が現れる。
風見「樹霧之介!今嫌な妖気を感じたんだ。」
樹霧之介「何処でですか?」
風見「川の方だ。」
樹霧之介「皆を集めて行きましょう。」
志乃「手伝おうか?。」
樹霧之介「断っても来ますよね。」
志乃「5号も反応しているからな。」
樹霧之介「なら、真琴を呼んできてください。」
志乃「電話で呼べる。」
樹霧之介「そうでした。僕は雫と焔を呼びます。」
風見「ワイはいつも通り茂蔵呼べばいいんだな。」
樹霧之介「お願いします。」
そして全員が集まると妖気を感じた川辺に行くが妖気はもう出ていなかった。
だが慌てた様子で複数の人が誰かの名前を呼んでいるのが見える。
志乃はそのうちの1人に声をかけてみた。
志乃「すみません。どうしたんですか?」
女性「あ。この辺で子供を見ませんでした?」
志乃「見てないですね。もしかしていなくなったんですか?」
女性「えっと、そうなんですが。あなた、この辺では見かけませんがどちらの方ですか?」
志乃「たまたま通り掛かったらあなた方の声が聞こえたので何かあったのかなと思い声をかけさせてもらいました。」
女性「そうなんですね。」
女性は志乃に疑いの眼差しを向けてくる。
志乃「早く見つかるといいですね。」
女性「はい。それでは私はこれで。」
志乃はその場を離れて樹霧之介達と話をする。
樹霧之介達は霊感が無いと見えないので1人で喋る変な人に見えるかもしれないからだ。
樹霧之介「志乃さん。子供が行方不明って、、」
樹霧之介はさっき話した孤児の実験の話の事で不安そうだ。
志乃「まだどんな妖怪かも分からない。少しこの辺を探索しよう。」
志乃は2号で姿を消してから人探しをしている人の周辺の川辺を探すと子供が描いたような絵を見つける。
さっきの人達が回収したであろう絵を見てみると違和感を覚える。
その絵は川を模写した物のはずなのだが、川辺にあるはずの無い小さめの雑木や枝でできた小屋らしきものが描かれている。
その時もう一度妖気を感じてその場所に行くがすぐに感じなくなったうえにその場所には何も無い。
そこに風見も来ていたが同じような感じだ。
志乃は風見に声を掛ける。
志乃「風見も妖気を見失ったのか?」
風見「浜名瀬、そこにいるのか。」
志乃が姿を消している間は風見達にも姿は見えていない。
志乃「少し分かったことがあるんだが皆を集められるか?」
風見「分かった。」
風見が自分の釜を叩いて音を鳴らすとまずは茂蔵が現れて真琴、雫、焔と集まってくる。
志乃「樹霧之介は?」
真琴「そう言えばいないわね。」
茂蔵「風見の音、聞こえなかったのか?」
風見「ちゃんと風に乗せて音を出したんだ。障害物がほとんどないここで聞こえない事は無いと思うぞ。」
志乃「なら行方不明の子供達と一緒にいる可能性があるな。」
真琴「どういうこと?」
志乃「風見に集めてもらったのは情報を共有しようと思ったからだ。」
雫「何かわかったの?」
志乃「その前に誰か何か見つけていないか?」
真琴「何かと言われても変わったものは無かったと思うけど。」
雫「川の水も調べてみたけど特に気になる事は無かったわ。」
焔「変な匂いとかも感じなかったぜ。」
茂蔵「この辺走ってみたけど変わったものは見つけられなかった。」
風見「ワイもここの妖気以外気になった事は無いぞ。」
志乃「なら余計に厄介かもしれないな。」
真琴「どういうこと?」
志乃「犯人は隠里にいる可能性が高いというのとその入り方が分からないという事だ。」
風見「なら妖気が消えたのって隠里にいるからか?」
志乃「ああ。そして子供を攫う時だけそれを開けているんだろう。」
風見「ならさっきの妖気は樹霧之介を攫ったから感じ取れたのか?」
志乃「だと思う。そしてもっと厄介なのは樹霧之介達を攫ったのが油取りという妖怪の可能性が高い。」
真琴「それってどんな妖怪なの?」
志乃「子供を攫って油を搾り取る妖怪だ。」
焔「人から油を取るのか?」
志乃「しかも串に刺して搾り取る結構凶悪な奴だ。」
真琴「それ早く樹霧之介達見つけないとヤバいんじゃないの?」
雫「けど隠里の入り口が分からないんでしょ。」
志乃「入る事さえできれば中から開けることは可能だ。だからこうする。」
志乃は見られていないか確認して姿を現し、子供の姿に変えて服を8号に変えてもらう。
真琴「その姿で戦えるの?」
志乃「中に入ったら戻る。その為に服を茂蔵じゃなくて8号に変えてもらったんだから。」
茂蔵「おいらも子供に変化できるぞ。」
志乃「一緒に誘拐されるか分からないからな。竹筒を持っていれば出てこれる8号の方が良い。」
茂蔵「分かったよ。」
志乃「私はこのまま1人でこの辺を歩いてみる。」
真琴「気を付けてね。」
志乃「ああ。」
そして志乃が大人達に見つからないように川辺を歩いていると違和感を感じる。
さっきまでは無かった枝などの小さめの雑木でできた小屋が現れたのだ。
それからしばらくすると子供達を呼ぶ声が徐々に聞こえなくなり、代わりに小屋の中から子供の泣き声が聞こえてきた。
完全に隠里の中に入った事を確認し、志乃は大人の姿に戻ろうと腰に着けていたはずの竹筒に手を伸ばすが竹筒が無くなっている。
子供達が持っていたはずの絵があっちの大人達に回収されていることから持ち物がこっちに来ない事は予想できたのにと志乃は後悔するが子供達の安全の確保と、この隠里の出口を繋げることが目的なので先に小屋の中に入る。
すると油取りだろう、油を塗りたくった様なぬめった肌をしたしわだらけの老婆が古びた旅装束を着て壺の中に大きな串を振り下ろそうとしていた。
だが布だけが掛かった小屋の出入り口から入って来た志乃に注目が行き、手を止める。
壺の中から子供の手足が見えていて油取りは片手で壺の中の子供を押し付け、それに串を刺そうとしているようだ。
そして小屋の中には樹霧之介が戦ったのだろう、所々不自然に木の枝が伸びていてその一部は子供達を守るように伸びている。
油取り「おや、新しい子供が来たようだ。」
樹霧之介「止めろ!手を出すな。」
壺の中から樹霧之介の声が聞こえる。
志乃「樹霧之介!」
志乃は棒手裏剣を投げて壺に刺すと棒手裏剣に付けた爆炎符を爆破させて壺を割り、樹霧之介を解放する。
志乃は続けて樹霧之介の周りに4本の結界符を貼った棒手裏剣を投げて樹霧之介を囲うように結界を張ると油取りは結界に弾かれる。
樹霧之介「志乃さん、、」
樹霧之介は結構妖力を使った後のようで元気がない。
油取り「チッ、こいつの仲間か。だがいい油が取れそうな可愛い女の子じゃないか。」
志乃「できると思うなよ。」
油取り「子供のくせに生意気な。」
油取りは志乃に向かって串を投げつけるが、それは志乃の横をすり抜けて外の川辺に落ち、それを合図に志乃が油取りとの距離を詰める。
油取り「わしに体術は効かないぞ。」
そう油断している油取りのみぞおちに志乃は勢いよく一撃を入れる。
油取り「ぐぅあ。」
効かない、効いても子供の攻撃だとたかを括っていた油取りに会心の一撃が入り油取りは悶える。
志乃「体術も手裏剣もお前の体中に塗られた油で無効化されることくらい知っている。」
志乃の拳には紙が巻かれていてそれが油を吸収したので油取りに攻撃することができたのだ。
油取り「この力もだが封油草の油取り紙を何故お前みたいな子供が持っている。」
志乃「説明どうも。棒手裏剣が刺さらない以上こいつで戦うしかないんだ。もう少し付き合ってもらうぞ。」
油取り「先に搾られたいみたいだな。」
志乃「お前なんかにできると思うのか?」
油取り「生意気な。」
腹を立てた油取りは串を持って志乃を追いかけ、志乃は油取りを外に誘導する。
外で志乃は結界を足場にして体格差をカバーしようとするが、腕も短くて不意を突いたあの一撃以外当てることができない。
広い範囲を移動しながら攻撃を当てようとしていたが地面に足が着いた時に油で足を滑らせてしまい転んでしまう。
そこに油取りが串を刺そうと襲って来たので志乃は棒手裏剣を串に当てるが棒手裏剣は弾かれて地面に刺さってしまった。
油取り「無駄な抵抗だったな。」
志乃「狙い通りだよ。」
志乃は戦いながらあの川辺に繋がる場所を探していて霊門符が貼られた棒手裏剣をそこに刺さるように投げたのだ。
棒手裏剣の刺さった場所から川辺に繋がり、そこから12号が飛び込んでくるとそれに続いて真琴達も入ってくる。
油取り「何だこいつらは。」
志乃「焔!そいつは火に弱い燃やしてくれ!」
焔「任せろ!」
焔が火の玉を油取りに当てると油取りの体に付いていた油に引火して油取りの体は燃え上がった。
志乃は起き上がり真琴が持って来てくれた竹筒から8号を出すと服を戻して大人の姿になり、油取りが落とした串を拾って燃えて苦しんでいる油取りにその串を刺して止めを刺すと油取りは煙となって消えていった。
志乃は不安定になった隠里を1号に維持してもらい小屋に入ると樹霧之介が子供達を宥めている。
志乃「樹霧之介大丈夫か?」
最初は油取りの相手をしなくてはいけなかったのでよく見てなかったが所々攻撃を受けたのか怪我をしているのが見える。
志乃「人に無茶するなって言っといて自分はいいのか?」
樹霧之介「今回は仕方ないじゃないですか。」
志乃「そうだな。遅くなってすまなかった。」
真琴「でも私達が来た時浜名瀬さん、油取りに刺されそうだったよね。」
樹霧之介「え?」
志乃「この隠里を繋げるのに必要な事だったんだ。」
志乃は樹霧之介に見られて気まずそうだ。
志乃「それより崩れそうな隠里を長く維持するのは難しい。早く出るぞ。」
捕まっていた子供達は全員で3人いて、樹霧之介が守っていたおかげで怪我は無かった。
隠里から出ると探していた大人達がすぐに見つけてくれたので無事に帰る事が出来そうだ。
志乃は2号で姿を消して樹霧之介達と子供達を見送ると妖ノ郷の樹霧之介の家へ戻り、樹霧之介の怪我の手当をする。
樹霧之介以外は志乃が樹霧之介の面倒を見るならと自分の暮らす場所へと帰って行った。
黒根「油取りか。志乃、お主が寝ている時に一度出てきたな。」
志乃「その時はどうしたんだ?」
黒根「誰も退治できず何人か子供が犠牲になってそのまま行方が分からなくなった。」
志乃「そうか。」
黒根「じゃが今回はすぐに気付けて犠牲者は出なかった。」
志乃「樹霧之介が頑張ったからだ。」
黒根「じゃがお主がいなければ樹霧之介も犠牲になっていたかもしれん。隠里を繋ぐ技術も妖怪の弱点を知っているのもお主じゃ。」
志乃「妖怪の知識は黒丸も持っている。何が言いたい?」
黒根「志乃。もう少し樹霧之介達を見てくれんか?」
志乃「どういうことだ?」
黒根「死に急ぐなという事じゃ。」
志乃「私がいつそんなことした?」
黒根「いつもしとる。それに今は人魚の効果が操れるんじゃろ。なら時間の問題かなと思ってな。」
志乃「今は年齢を変えることくらいしかできないぞ。」
黒根「今はな。」
志乃「正直な話。不老不死の効果の範囲内でしか変えられないんだ。あの時はもしかしたらと思ったが今はこの呪いの根本にあるのは不老不死でそれは変えれないのかもしれないと思っている。」
黒根「お主が弱音を吐くなんて珍しいな。」
志乃「なあ、黒丸も私を置いて逝くのか?」
黒根「わしは、いれるまではいるつもりじゃ。」
志乃「そうか。」
樹霧之介「父さんはこの姿でもう200年いるんです。そんなに心配することでもないですよ。」
志乃「そうだな。元気な頃の黒丸と比べてしまうとどうしてもな。」
黒根「志乃。」
志乃「大丈夫だ。」
黒根「無理はするな。体は治っても心が壊れしまったら治らないんだ。」
志乃「分かってる。」
樹霧之介「どういうことですか?」
志乃「今は支えがあるから大丈夫だ。」
樹霧之介「僕、志乃さんの支えになっていますか?」
志乃「ああ。だから今日は無理せずもう休まないか?」
樹霧之介「そうですね。いつも志乃さんに無茶するなって言っていますから。僕も早めに休みます。」
志乃「おやすみ。」
樹霧之介「はい。おやすみなさい。」
黒根「おやすみ。」
樹霧之介は家の外に出て眠りについた。
志乃「それじゃ私も帰ろうかな。」
黒根「もう少し話していかんか?」
志乃「何を話すって言うんだ?」
黒根「お主が隠している事じゃ。」
志乃「私が何を隠しているって?」
黒根「出来損ないの事、、」
志乃「それは分かったら言うって、、」
黒根「それ以外の事じゃ。例えば出来損ないを作ったものについてとかか?」
志乃「...。」
黒根「図星か。お主が思い出したくもない孤児の実験の話をわざわざ出してきたんじゃ。惑わせようとしてきたんじゃろ。それに約束する時わざわざ出来損ないの情報と付け足した。それ以外の事を話さなくても良いようにな。」
志乃「どうして分かった。」
黒根「何年付き合ってると思っとるんじゃ。」
志乃「だったら分かるだろ。それを言いたくない理由も。」
黒根「わしらには関係ないと思っとるんか?」
志乃「しかも今回は不死者に直接関わる事だ。」
黒根「それなら人魚の情報を一緒に探したわしには関係あるじゃろ。」
志乃「それでも今の私に手出しはできない。」
黒根「相談してくれればこちらも知恵を出すぞ。」
志乃「お前達にも無理だ。」
黒根「何故そう言い切れる。」
志乃「私が生きているからだ。」
黒根「、、そういうことか。ならお主も手は出せんのじゃな。」
志乃「ああ。今の私には無理だ。」
黒根「なら安心だな。」
志乃「それでも情報は集めるぞ。」
黒根「分かっとる。お主が勝手することくらい。じゃがこちらも勝手させてもらうぞ。」
志乃「ああ。勝手にしろ。」
黒根「無駄じゃろうが一応言っておくぞ。志乃、お主はわしらの仲間じゃ、お主の事で関係ない事は無い。」
志乃「、、今日はもう帰る。」
黒根「ああ。」
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




