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29話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

春休みも終わり、クラスが発表される。

その結果志乃(しの)陽葵(ひまり)と同じクラスになり、陽葵(ひまり)と仲の良いあの3人も同じクラスになった。

その他にも凛華(りんか)も同じクラスだ。

そして入学式があり、翠嶺高校(すいれいこうこう)にも新入生が入ってきた。

入学式も終わってしばらく6限目の時間は部活の見学の時間なので帰宅部の人は早目に帰れるので志乃(しの)は帰ろうとしていたところだったが陽葵(ひまり)が他の友達から相談を受けている。

主な相談相手は土蜘蛛(つちぐも)の時に別荘を貸してくれていた水守(みもり) 澄花(すみか)という人でその澄花(すみか)の従兄弟がこの高校に入学予定だったが体調不良で来れなくなったんだそう。

しかもその従兄弟は春休み中に心霊スポット巡りをしていてから元気が無くなっていて変な痣ができ熱がでたが、病院でも原因不明で近くのお寺でお祓いをしてもらっても一向に良くならず陽葵(ひまり)に相談しに来ていた。

澄花(すみか)陽葵(ひまり)。どうだろう。陽葵(ひまり)の師匠に来てもらったりとかできない?」

陽葵(ひまり)「聞いてみないと分からないよ。」

澄花(すみか)「今も苦しんでいるんだよ。」

陽葵(ひまり)「相談はしてみるよ。」

澄花(すみか)「よろしく頼むよ。」

陽葵(ひまり)「分かったって。」

それから澄花(すみか)は部活があるので学校に残り、志乃(しの)陽葵(ひまり)は一緒に帰る。

陽葵(ひまり)「ねえ、浜名瀬(はまなせ)さんも聞いてたでしょ。」

志乃(しの)「ああ。」

陽葵(ひまり)「どう思う?」

志乃(しの)「どうとは?」

陽葵(ひまり)「妖怪だと思う?」

志乃(しの)「まあ、大体の予想は付いている。」

陽葵(ひまり)「それは何?」

志乃(しの)「あの本の最初の方に書いてあったと思うんだが?」

陽葵(ひまり)「え。」

志乃(しの)外道(げどう)。」

陽葵(ひまり)「酷いよ浜名瀬(はまなせ)さん。確かに本の内容あまり覚えてないかもしれないけどそこまで言わなくてもいいじゃん。」

志乃(しの)「妖怪の方の外道(げどう)だ。」

陽葵(ひまり)「妖怪に外道(げどう)っているの?」

志乃(しの)「再度写本した方が良いな。」

陽葵(ひまり)「待ってよ、あんなに多いのに覚えられないって。種類というより固有名詞の様なのもあるじゃん。」

志乃(しの)「ああ。そう言えばそういうのも一緒に書いたな。」

陽葵(ひまり)「覚えきれないって。」

志乃(しの)「分かったよ。そういうのを減らしてもう一度渡す。」

陽葵(ひまり)「良かった。」

志乃(しの)「話を戻すが今回は蛇外道(じゃげどう)という低級霊や動物霊が集まり蛇の形になって取り憑いているんだと思う。」

陽葵(ひまり)「何でそう思うの?」

志乃(しの)「心霊スポットへ行ったという事と痣が出ているっていう点だな。蛇系の妖怪の特徴として取り憑いてじわじわと締め付けて獲物が弱るのを待つものがある。」

陽葵(ひまり)「もしも弱り切ったらどうなるの?」

志乃(しの)「大体は自分の一部にする。つまり同じく霊となってこの世をあてもなく彷徨う事になる。」

陽葵(ひまり)「それ、早く退治しなきゃいけないんじゃないの?」

志乃(しの)「だから明日お前の師匠として付いて行く。」

陽葵(ひまり)「分かった。」

志乃(しの)「それと、書き直すから本を取りに今からお前の家行ってもいいか?」

陽葵(ひまり)「うん。いいよ。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)の家に寄ってから帰り、次の日の朝のホームルーム前。

澄花(すみか)「どうだった?」

陽葵(ひまり)「あ。師匠は今日の放課後に来てくれるって。」

澄花(すみか)「やった。」

陽葵(ひまり)「やった?」

澄花(すみか)「いや。良かった。で、何処で待っているの?」

陽葵(ひまり)「池のある公園で待ち合わせだから澄花(すみか)も学校終わったらすぐ来て。」

澄花(すみか)「うん。」

そして学校が終わるとそれぞれ帰って公園に集まった。

志乃(しの)土蜘蛛(つちぐも)の時と同じように男性の姿に8号に変えてもらっている。

澄花(すみか)陽葵(ひまり)のお師匠さんですね。私は水守(みもり)澄花(すみか)といいます。この前は助けていただきありがとうございました。」

志乃(しの)「ああ。」

澄花(すみか)「それで何てお呼びすればいいですか?」

志乃(しの)「何でもいい。それより取り憑かれたという従兄弟はどこにいる。」

澄花(すみか)「はい。今は自宅で療養しています。ここから歩いて行けるので一緒に行きましょう。」

志乃(しの)「ああ。」

澄花(すみか)に案内されて移動中。

澄花(すみか)「ねえ、陽葵(ひまり)。師匠の名前って分からないの?」

陽葵(ひまり)「私も教えてもらってないの。」

男性姿の志乃(しの)の名前は陽葵(ひまり)も分からないので嘘ではない。

澄花(すみか)「何で。陽葵(ひまり)のお師匠さんとか呼びにくいよ。何も聞いてないの?」

陽葵(ひまり)「私は師匠って呼んでいるから思ったことないよ。」

澄花(すみか)「ならどうやって知り合ったの?」

陽葵(ひまり)「知り合った理由?」

陽葵(ひまり)は勘違いで真琴(まこと)に学校から帰っている途中の志乃(しの)管狐(くだぎつね)を攻撃してもらった事を思い出す。

陽葵(ひまり)「妖怪関係でちょっと、、」

澄花(すみか)「やっぱりそうなんだね。私も弟子にしてくれないかな。」

陽葵(ひまり)「さ、さあ。」

志乃(しの)「おい。ここか?」

志乃(しの)は5号が反応している家の前で止まる。

澄花(すみか)「はい。よくわかりましたね。」

志乃(しの)「さっさと終わらせるぞ。」

志乃(しの)がインターホンを鳴らすと女性が出てきた。

女性「はい。どちら様ですか?」

澄花(すみか)「おばさん。直人(なおと)君どうですか?」

女性「澄花(すみか)ちゃん?この人は?」

澄花(すみか)「妖怪とかに詳しい人です。一度直人(なおと)君を診てもらおうと思って連れてきました。」

女性「そうなの。まあ、澄花(すみか)ちゃんの知り合いなら。直人(なおと)は2階で寝ているので入って頂戴。」

澄花(すみか)「お邪魔します。」

志乃(しの)「失礼します。」

陽葵(ひまり)「お邪魔します。」

取り憑かれているという従兄弟の部屋に入るとベッドには男の子が寝ていて息が荒くグッタリとしていてそこに長い蛇が巻き付いてこっちを睨んでいる。

陽葵(ひまり)「はま、師匠。あれって。」

志乃(しの)「ああ。あれが蛇外道(じゃげどう)だ。」

志乃(しの)「春休みにあげた数珠持ってきたか?」

陽葵(ひまり)「うん。え。まさか。」

志乃(しの)「俺が動きを止めるからお前がそれで止めを刺せ。」

陽葵(ひまり)「むやみに使うなって言ったの師匠だよ。」

志乃(しの)「俺が許可したときは別だ。」

陽葵(ひまり)「分かったよ。」

志乃(しの)霊縛符(れいばくふ)を取り出し蛇外道(じゃげどう)に近づくと蛇外道(じゃげどう)は警戒し志乃(しの)に嚙みつこうと飛び掛かって来た。

志乃(しの)はそれを腕で受け止めて霊縛符を貼り付ける。

陽葵(ひまり)「ちょ。何してるの!?」

志乃(しの)「牙は避けているさっさとやれ。」

陽葵(ひまり)「分かったよ。」

志乃(しの)「親玉はちゃんと付けろよ。」

陽葵(ひまり)「焦らせないで。」

陽葵(ひまり)は数珠を使い親玉を蛇外道(じゃげどう)に付けて電撃を浴びせるが蛇外道(じゃげどう)は怯んだが消えず、霊縛符を剥がそうと暴れようとしたので志乃(しの)はすぐに9号に短刀を持って来てもらい蛇外道(じゃげどう)に突き刺し止めを刺すと蛇邪道は煙となって消えた。

陽葵(ひまり)「私、何か間違えてた?」

志乃(しの)「いや、やり方は間違っていないし、ちゃんと威力も出ていた。今の蛇外道(じゃげどう)、妖力だけじゃ無かったな。」

澄花(すみか)「何が起こっていたの?大丈夫?」

陽葵(ひまり)「もう大丈夫だよ。」

そんな時志乃(しの)のスマホに真琴(まこと)から電話が掛かる。

志乃(しの)真琴(まこと)からだ。すまん。ちょっと出てくる。」

陽葵(ひまり)「まこ姉?」

志乃(しの)が電話をするために部屋を出ていくと寝ていた直人(なおと)が起きたので澄花(すみか)直人(なおと)の母親を呼びに行った。

志乃(しの)「どうした?」

真琴(まこと)「あ、浜名瀬(はまなせ)さん。また声変だけど大丈夫?」

志乃(しの)「気にするな。それでそっちの要件は?」

真琴(まこと)「それが廃村に風見(かざみ)が妖気を感じるって言うから見に来たんだけど人が何人かいて様子が変だから解呪が必要だと思って電話したわ。」

志乃(しの)「どんな風に?」

真琴(まこと)「地面を這っていたり木に登ってボーッとしていたり、とにかく正気ではないわね。」

志乃(しの)「そこで1番妖気の強いところはどこだ?」

真琴(まこと)「今風見(かざみ)が探してくれている。」

志乃(しの)「今確認できる人間は何人だ?」

真琴(まこと)「3人よ。全員体に痣があるの。」

志乃(しの)「鱗の様な痣か?」

真琴(まこと)「ええ。よくわかったわね。」

志乃(しの)蛇外道(じゃげどう)は取り憑いていないか?」

真琴(まこと)蛇外道(じゃげどう)?何も見えないわよ。」

志乃(しの)「そいつらはどこかへ向かっているとかあるか?」

真琴(まこと)「そう言えばゆっくりだけどどこかへ進んでいる感じがするわ。」

志乃(しの)「分かった。私もこっちで野暮用を片付けたらそっちに向かう。」

真琴(まこと)「場所は分かる?」

志乃(しの)「地図を送っておいてくれ。」

真琴(まこと)「分かったわ。」

志乃(しの)は電話を切って部屋に入る。

陽葵(ひまり)「まこ姉は何て?」

志乃(しの)「ちょっと気になる事を言っていた。それでお前にも聞きたいことがある。」

志乃(しの)直人(なおと)の方を向く。

直人(なおと)「何ですか?あなたは誰なんですか?」

陽葵(ひまり)「この人は私の師匠で怪しい人じゃ無いよ。」

志乃(しの)「お前、廃村に行ったか?」

直人(なおと)「廃村?行ったけど、、」

志乃(しの)「それはここか?」

志乃(しの)真琴(まこと)から送られた地図を見せる。

直人(なおと)「え?うん。ここだよ。」

その時バタバタと部屋に澄花(すみか)直人(なおと)の母親が入って来る。

直人(なおと)母「直人(なおと)。大丈夫?」

直人(なおと)「今は楽になったよ。」

直人(なおと)母「そうだ。さっきしょう君のお母さんから電話がきてしょう君居なくなったって。直人(なおと)何か知らない?」

直人(なおと)「知らないよ。僕、今起きたばかりだよ。」

志乃(しの)「そのしょう君とやらはこいつと同じく痣があったのか?」

直人(なおと)母「何でそんな事を聞くんです?」

澄花(すみか)「おばさん。直人(なおと)君を治したのはこの人だよ。答えた方が良いよ。」

直人(なおと)母「、、痣はあったけど数日前から元気になったって聞きました。」

志乃(しの)「好みが変わったとかはあったか?」

直人(なおと)母「聞いていないので分かりません。何故そんな事を?」

志乃(しの)「そうか。それで直人(なおと)だったか?廃村には何人で行った?」

直人(なおと)「僕を合わせて6人だよ。」

志乃(しの)「6、2人足りないな。」

直人(なおと)「どういう事?」

志乃(しの)「お前、廃村で祠や井戸に触らなかったか?」

直人(なおと)「祠は知らないけど井戸ならあったよ。」

志乃(しの)「触ったか?」

直人(なおと)「僕は触ってない。だけど僕が別の所を見ている時に井戸の方で騒いでいた奴がいたよ。呼んでも無視されたから僕は途中で帰ったけど。」

志乃(しの)「それは誰だった?」

直人(なおと)「分からない。だけど僕はしょうといたからそれ以外の人だよ。」

志乃(しの)「だがそのしょうって奴も居なくなったのであればお前以外全員いなくなっていてもおかしくないな。」

陽葵(ひまり)「ねえ。何で直人(なおと)君だけ無事、と言うかいなくならなかったのかな。」

志乃(しの)真琴(まこと)蛇外道(じゃげどう)が見えないと言っていた。多分中に入って体を操っているんだろうな。直人(なおと)が無事なのはお祓いをしたからだろう。」

陽葵(ひまり)「お祓いは一応効いていたんだ。それで何で操るの?」

志乃(しの)「大体は取り憑いたらそのまま取り殺す事が多いが、他に目的があれば別だ。」

陽葵(ひまり)「目的?」

志乃(しの)「何かをさせたいとか特定の場所で殺したいとかだな。」

陽葵(ひまり)「なら何させたいんだろ。」

志乃(しの)「今の話しで大体の予想は付くが行ってみてだな。」

陽葵(ひまり)「行くの?」

志乃(しの)「ああ。解呪は必要だろうから。」

直人(なおと)「だけどその廃村、そこそこ遠いよ。」

志乃(しの)「知ってる。」

陽葵(ひまり)「私も行く。」

志乃(しの)「お前の歩幅に合わせる余裕はない。」

陽葵(ひまり)「、、分かったよ。」

志乃(しの)「それじゃ俺は行く。遊び半分でいわくつきの場所にはもう行くなよ。」

直人(なおと)「はい、、」

澄花(すみか)「あ、あの。」

志乃(しの)「なんだ?」

澄花(すみか)「あ、えと。ありがとうございました。」

志乃(しの)「ああ。」

志乃(しの)は買い物をしてから廃村へ急いだ。

志乃(しの)が廃村へ着くと、3人の人間が倒れていてその奥で大蛇と白い大蛇が格闘している。

周りを見てみると真琴(まこと)が倒れていてそれを(しずく)が介抱し、(ほむら)風見(かざみ)は木の陰に隠れていてそこには真琴(まこと)の紙で拘束している2人の人間もいる。

樹霧之介(きりのすけ)白蛇(しろへび)の動きを止めようと木の根を伸ばしているが白蛇(しろへび)が大きいのと暴れているために上手くいっていない。

志乃(しの)「何でこんなことになっているんだ?」

(しずく)浜名瀬(はまなせ)さんこそ何で男性の姿なの?」

志乃(しの)「ここに同じ学校の生徒がいる可能性があるから8号に変えてもらっている。こっちはいいから何があったかを教えてくれ。」

(しずく)風見(かざみ)が妖気が出ている井戸を見つけたんだけどそこに飛び込みそうな人も見つけてそれを真琴(まこと)が止めたのよ。」

志乃(しの)「それがあの2人か?」

志乃(しの)真琴(まこと)の紙で拘束されている人を指さす。

(しずく)「ええ。」

志乃(しの)「それで真琴(まこと)は不意を突かれて、(しずく)(ほむら)は水を操られて戦力外。樹霧之介(きりのすけ)茂蔵(もぞう)が応戦中って感じか?」

(しずく)「よくわかるわね。」

志乃(しの)「多分あの白蛇(しろへび)はここの村で祀られていた水神だったんだろう。」

(しずく)「え。神様?なら何で妖気が出ているの?」

志乃(しの)「放置されて神力が無くなり妖力に頼らざる負えなくなったんだろ。そして静かに寝ているところをこいつらに起こされたんだと思う。」

(しずく)「それで復讐のために操って井戸に落とそうとしたの?」

志乃(しの)「あそこに新しい土が付いた古いシャベルとバケツがあるだろ。復讐とは少し違うかもしれないな。」

(しずく)「違うとしても危害を加えているのよ。どうするの?」

志乃(しの)「まだ憶測だからな。井戸を見てみたい何処だ?」

(しずく)「それならあの暴れている蛇達の向こう側よ。」

志乃(しの)「なら一度止めた方が良いな。」

志乃(しの)は9号に打刀を取り出してもらい、それを持って白蛇(しろへび)から見える場所まで出ていくと踊り始める。

しばらくすると段々と白蛇(しろへび)の動きが鈍ってきた。

白蛇(しろへび)「それを止めろ!」

志乃(しの)に気付いた白蛇(しろへび)志乃(しの)に飛び掛かり、志乃(しの)はそれを飛んで避けると白蛇(しろへび)の頭が地面に着いたのでそのまま白蛇(しろへび)の頭に乗って霊縛符を貼る。

志乃(しの)樹霧之介(きりのすけ)。今ならいけるか?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

動きが鈍った隙に樹霧之介(きりのすけ)が木の根を使い白蛇(しろへび)の動きを止める。

一度木の根が絡まってしまえば振りほどくことは難しく、白蛇(しろへび)はしばらく暴れるが無駄だと悟ると静かになった。

志乃(しの)「すまないな。私は巫女じゃない。これしかできないんだ。」

志乃(しの)白蛇(しろへび)の上から頭を撫でながらそう言う。

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん。来てくれてたんですね。」

志乃(しの)「ああ。真琴(まこと)から連絡来たからな。」

樹霧之介(きりのすけ)「それで何で男性の姿なんですか?」

志乃(しの)「ここに同じ学校の生徒がいる可能性があったからだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「あの人たちと知り合いなんですか?」

志乃(しの)はここに来る経緯を話した。

土蜘蛛(つちぐも)の時に助けた同級生が陽葵(ひまり)を通して蛇外道(じゃげどう)に取り憑かれた従兄弟を助けてほしいと頼んできたこと。

その時に真琴(まこと)から電話が来て関係性があると思いその従兄弟から話を聞いてここに来たこと。

樹霧之介(きりのすけ)「そうだったんですね。それでここからどうするんですか?」

志乃(しの)「先ずは井戸を見よう。何するかはそれからだな。」

樹霧之介(きりのすけ)「井戸ですか。ただの古い空井戸にしか見えませんでした。」

志乃(しの)「空井戸?水は無かったのか?」

樹霧之介(きりのすけ)「はい。」

白蛇(しろへび)「空井戸じゃない。」

その話を聞いて白蛇(しろへび)が話し出す。

白蛇(しろへび)「あいつらが水を止めたんだ。数人で水が出なくなるまで土を入れやがった。住処を荒らされたから元に戻してもらおうと思って周りの動物霊に頼んであいつらを連れてきてもらったんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「だけどあなたは真琴(まこと)、僕の仲間を攻撃しましたよね。」

白蛇(しろへび)「だって土を退けてもらおうと思っていたら邪魔するんだもん。」

真琴(まこと)「あんな深い場所に飛び込んだら危ないでしょ。」

真琴(まこと)が目を覚まして(しずく)達と共に出てくる。

樹霧之介(きりのすけ)「大丈夫ですか?」

真琴(まこと)「まだ背中が痛いけど大丈夫よ。」

白蛇(しろへび)「だって。他に方法が思いつかなかったんだもん。」

志乃(しの)「だが、お前が操った人間の中には井戸に触っていない奴も居たんだぞ。」

白蛇(しろへび)「誰がやったなんて分からないよ。だから村に入った人間に取り憑いてもらったんだ。」

真琴(まこと)「やり方って物があるでしょ。」

白蛇(しろへび)「これ以外の方法が無かった。よそ者の悪ふざけで住処を追い出されてたまるか。」

白蛇(しろへび)がまた暴れはじめたので志乃(しの)白蛇(しろへび)の頭から降りて、買ってきたものを取りに行き、ワンカップのお酒の蓋を開けると白蛇(しろへび)は大人しくなった。

白蛇(しろへび)「酒の匂い。」

白蛇(しろへび)は小さくなって樹霧之介(きりのすけ)の拘束から外れると志乃(しの)に駆け寄っていく。

志乃(しの)「これは井戸にお供えするやつだ。」

白蛇(しろへび)「その井戸の神が俺なんだ。今くれたっていいだろ。」

小さくなった白蛇(しろへび)は1mも無く、志乃(しの)の足元をウロチョロしている。

志乃(しの)「ならまずはお前が操っている人間を解放してくれ。」

白蛇(しろへび)「駄目だ。それをしてしまえばもう井戸は戻らない。」

志乃(しの)「井戸は私が何とかする。」

白蛇(しろへび)「俺を封印しようとした奴の言葉なんて信じない。」

志乃(しの)「さっきも言ったが私は巫女じゃない。」

白蛇(しろへび)「お前みたいな男が巫女であってたまるか。」

真琴(まこと)「そう言えば何で浜名瀬(はまなせ)さん男性の姿なの?」

志乃(しの)「3回目はもういいだろ。」

白蛇(しろへび)「なんださっきからこいつは男だろ?」

志乃(しの)「知り合いにバレたくないから姿を変えているんだ。」

樹霧之介(きりのすけ)「それで志乃(しの)さんが封印しようとしたって何の話ですか?」

志乃(しの)「舞で神を鎮めるのは巫女しかできない。さっき私がしたのは神を封印するための剣舞だ。」

樹霧之介(きりのすけ)「それで動きが鈍ったんですね。」

志乃(しの)「封印する気は無かった。ちゃんと途中で止めただろ。」

白蛇(しろへび)「だけど、、」

志乃(しの)「酒のつまみに卵も用意したんだけどな。」

志乃(しの)が買い物袋から卵のパックを取り出すと白蛇(しろへび)は目の色を変える。

白蛇(しろへび)「解放します。」

茂蔵(もぞう)「ちょろいなこいつ。」

志乃(しの)「それで解放する前に全員をここに集めてくれないか?」

白蛇(しろへび)「いいが、何するんだ?」

志乃(しの)「ここに来る前に色々と用意してきた。」

志乃(しの)が作戦を話すと白蛇(しろへび)は操った人を1ヶ所に集めて蛇外道(じゃげどう)から解放すると次々と目を覚ますが目の前には大きな白蛇(しろへび)がいる。

逃げ出そうとする者もいるが志乃(しの)の張った結界で外に出ることはできない。

白蛇(しろへび)「お前らよくも俺の住処を荒らしてくれたな。」

さっきまで取り憑かれていたので繋がりができていて白蛇(しろへび)の姿は全員に見えている。

白蛇(しろへび)「お前らには井戸を掃除してもらう。終わるまで帰れると思うなよ。」

井戸には縄梯子が掛けられており、安全に下に降りれるようになっていた。

その他にも樹霧之介(きりのすけ)が木を操り柱を立て、そこに滑車が付いていてそこに紐を付けたバケツが付いているので中の土を外に出せるようにしてある。

箒や雑巾などの掃除用具も置いてあり準備は万端だ。

1人が恐る恐る降りるとそこそこ深いにも関わらず風が吹いている。

10号に風を操ってもらって井戸のそこまで空気が循環するようにしてもらっているのだ。

もう1人も降りて2人で井戸のそこの土を攫い、2人がかりで土を滑車で上げて捨てる。

残りの1人は周りの草むしりやゴミ拾いをしている。

途中で役割を交代しながら続けて終わったのは深夜で、全員が疲労で動けそうになさそうだ。

取り憑いていた動物霊達に住んでいた場所を聞いた白蛇(しろへび)はその人達を自宅へ送り届ける。

白蛇(しろへび)が戻るころには志乃(しの)達が道具を片付けて井戸の周りに柵を作り井戸に触れられないようにしていた。

志乃(しの)「おかえり。」

白蛇(しろへび)「お前誰だ?」

志乃(しの)はもう見られる可能性がないため元の姿に戻っていた。

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さん。こっちは終わりました。あ。白蛇(しろへび)さんおかえりなさい。」

白蛇(しろへび)「おい。小僧、こいつがさっきの男なのか?」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんは女性ですよ。」

志乃(しの)「道具やごみは私が処分するからもう帰るな。」

白蛇(しろへび)「ちょっと待ってくれよ。」

志乃(しの)「何だ?」

白蛇(しろへび)「お前巫女をする気は無いか?」

志乃(しの)「無い。」

白蛇(しろへび)「少しくらい考えてもいいだろ。」

志乃(しの)「お前の神力が無くなってきているのは分かるが巫女がいたからって増えるのもではないぞ。」

白蛇(しろへび)「そのくらい俺だって分かる。」

志乃(しの)「なら何でだ?」

白蛇(しろへび)「この村が栄えていた時は度々祭りで踊っていたんだ。また見たい。」

志乃(しの)「だから私は巫女でないと、、」

白蛇(しろへび)「お前他に踊れるものは無いのか?」

志乃(しの)「さっきの剣舞以外か?」

白蛇(しろへび)「ああ。真似事で良いから他に踊れたり見たことあるものはあるか?」

志乃(しの)「それなら昔、雨乞いの儀式を見た事がある。」

白蛇(しろへび)「覚えているのか?」

志乃(しの)「うろ覚えだが良いのか?」

白蛇(しろへび)「いいぞ。例え振付間違えたりしても笑ったりしないからな。」

茶化す白蛇(しろへび)を無視して志乃(しの)は準備を始める。

志乃(しの)「確か扇を使っていたな。場所はここで良いか?」

白蛇(しろへび)「いいぞ。」

志乃(しの)が準備していると真琴(まこと)達も集まって来る。

真琴(まこと)「何?何か始まるの?」

樹霧之介(きりのすけ)志乃(しの)さんが踊るらしいです。」

茂蔵(もぞう)「楽しそうじゃないかおいらも踊りたい。」

(ほむら)「なら俺も俺も。」

白蛇(しろへび)「それも楽しそうだな。なら次に踊ってくれよ。」

志乃(しの)「うろ覚えだから期待するなよ。」

志乃(しの)は3号に照らしてもらい舞を始める。

(しずく)「これ、懐かしいわね。」

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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