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28話

この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。

オリジナルの妖怪が登場することもあります。

素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。

陽葵(ひまり)野々香(ののか)と屋敷内を探検するために行き、志乃(しの)篁音(たかね)と奥の部屋に移動する。

篁音(たかね)「それじゃ服、脱いでもらいましょうか?」

志乃(しの)「そんなことしなくていい。」

志乃(しの)が服を捲り腹部を見せると一部が灰になっていてそれを結界符(けっかいふ)を使い結界で覆っていた。

今回は9体の能力を一度に使いながら身体強化をかけてそれをしばらくの間続けていたため、霊力を使い過ぎた志乃(しの)は呪いを抑えていた霊力の一部を使ってしまい、抑え込められなかった呪いが志乃(しの)の体の一部を灰に変えたのだ。

篁音(たかね)「これがあなたの中にある呪いなのですね。」

志乃(しの)「何で分かった?」

篁音(たかね)「あなたの中には呪いがあってそれを霊力で抑え込んでいることは報告があり知っていました。そして手合わせの後、不死身であるはずのあなたが体を気にかけていましたね。」

志乃(しの)「相変わらず鋭いな。」

篁音(たかね)「これでもこの組織をまとめる長の補佐をしていますから。」

志乃(しの)「そうだったな。」

篁音(たかね)「こうなったのも野々香(ののか)の為なので今日は泊まっていきませんか?」

志乃(しの)「いや、少し休んだら帰る。」

篁音(たかね)「あら、ですがそれの回復どのくらい掛かるんですか?」

志乃(しの)「…。」

篁音(たかね)「霊力の回復後に再度押さえ込まないといけないのでしょう?時間掛かりますよね。」

志乃(しの)「何で知っているんだ。」

篁音(たかね)「憶測で言ったのですが当たっていましたか。」

志乃(しの)「だが陽葵(ひまり)の為にも早めにここを離れたい。」

篁音(たかね)陽葵(ひまり)さんの恐怖の対象は私だけですよ。野々香(ののか)とは仲の良い姿を見ているでしょう。」

志乃(しの)「、、分かった。」

篁音(たかね)「今日泊まるのであればその服も洗濯しましょうか。」

志乃(しの)が自分の服を見てみると血と土埃で汚れている。

篁音(たかね)「ほら、一緒にお風呂行きましょう。」

志乃(しの)「だが、、」

篁音(たかね)「あの2人は入れない様にします。もしかして濡れたら駄目でした?」

志乃(しの)「いや、大丈夫だ。」

篁音(たかね)「なら入りましょう。ほらほら。」

志乃(しの)篁音(たかね)に風呂場へ連れて行かれ、志乃(しの)は一方的に全身を洗われて今は髪を乾かしながら解かされている。

志乃(しの)「こんなにしてくれなくても良いのに。」

篁音(たかね)「ですがこうでもしないと自分で手入れしないでしょ。」

志乃(しの)「前も定期的にされたな。」

篁音(たかね)「見ていられなかったんです。初めてこの山に来た時なんて酷い状態でしたよ。」

志乃(しの)「たまに水浴びはしていた。」

篁音(たかね)「烏じゃないんですからちゃんとお風呂に入りなさい。」

志乃(しの)烏天狗(からすてんぐ)に言われてもな。」

浴衣に着替えた志乃(しの)篁音(たかね)が部屋に戻る為に歩いていると陽葵(ひまり)野々香(ののか)と出会う。

野々香(ののか)「母上。また志乃(しの)を洗っていたんですか?」

篁音(たかね)「汚れていましたから。2人も入って来なさい。」

陽葵(ひまり)「え。私も?」

志乃(しの)「山登りで汚れているだろ。もう今日は泊めてもらう事になったからお前も入って来い。」

陽葵(ひまり)「そうなの?なら家に連絡しなきゃ。」

篁音(たかね)「それなら既に幻鴉(まどか)に行ってもらっていますので大丈夫ですよ。」

志乃(しの)「手回しがいいな。」

陽葵(ひまり)「それでお風呂から上がったら浜名瀬(はまなせ)さんと一緒に居られる?」

篁音(たかね)志乃(しの)さんは私と先約があるのでもう少し借りますね。」

篁音(たかね)志乃(しの)の霊力が回復するまでは離れていた方が良いと思い志乃(しの)と行動を共にしようとしている。

陽葵(ひまり)「え。」

志乃(しの)「すまない。しばらく野々香(ののか)と過ごしてくれないか?」

篁音(たかね)野々香(ののか)陽葵(ひまり)さんの事お願いね。」

野々香(ののか)「母上ばかりずるい。」

野々香(ののか)はボソッと呟く。

篁音(たかね)「何か言いましたか?」

野々香(ののか)「いえ、分かりました。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)篁音(たかね)と行こうとすると陽葵(ひまり)志乃(しの)の袖を掴む。

志乃(しの)「、、篁音(たかね)。やっぱり陽葵(ひまり)といて良いか?」

篁音(たかね)「あなたがそれでいいなら。」

志乃(しの)「ああ。大丈夫だ。ありがとう。」

篁音(たかね)は1人で自分の部屋に戻って行った。

野々香(ののか)志乃(しの)志乃(しの)。一緒にお風呂入る?」

志乃(しの)「さっき入った事は知っているだろ。風呂場の前で待っているから2人で入って来い。」

陽葵(ひまり)「せっかく一緒に居られるなら中まで入ってよ。」

志乃(しの)「お前、そんな寂しがり屋だったか?」

陽葵(ひまり)「だって浜名瀬(はまなせ)さんが浜名瀬(はまなせ)さんを傷付けた人と一緒にいるのが不安なの。」

志乃(しの)「あれは私が頼んだからだ。それにもう傷は無い。」

陽葵(ひまり)「それでも一緒にいて欲しいの。」

野々香(ののか)「私も一緒にいたい。母上ばかり志乃(しの)を独占してずるいもん。」

志乃(しの)「私はお前らが風呂に入っている間1人でのんびりしたいんだ。」

陽葵(ひまり)「もしかして私達を口実にして1人になりたかったの?」

志乃(しの)「それもある。だから2人で風呂入って来い。」

陽葵(ひまり)「、、分かったよ。だけど上がったら一緒にいて。」

志乃(しの)「分かってる。」

野々香(ののか)「だけど志乃(しの)。この山に居る限り監視はあるよ。」

陽葵(ひまり)「え?」

志乃(しの)「お前らみたいに付き纏ってくるわけじゃない。」

野々香(ののか)「そう。」

陽葵(ひまり)「私達監視されてたの?」

野々香(ののか)「気付いてなかったの?」

陽葵(ひまり)「お風呂場大丈夫?」

野々香(ののか)「今陽葵(ひまり)についているのは雌の烏だけど嫌なら私もいるから止めさせようか?」

陽葵(ひまり)「ううん。それならいい。」

陽葵(ひまり)野々香(ののか)はお風呂場へ行き、志乃(しの)はその前で大人しく待つ事になった。

2人がお風呂から上がり、3人で野々香(ののか)の部屋へ行って会話やボードゲームをして過ごしていると夕食に呼ばれる。

食堂へ移動すると篁音(たかね)が既に席に着いていた。

篁音(たかね)「いらっしゃい。志乃(しの)さんは私達と同じ食事で良かったですよね。」

志乃(しの)「ああ。」

陽葵(ひまり)「どういう事?」

篁音(たかね)「現代の人間には少し好まれない物も入っているんですよ。陽葵(ひまり)さんの方には別の物をご用意させていただきました。」

志乃(しの)「見れば分かる。席に着こう。」

志乃(しの)達が席に着くと食事が運ばれて来る。

陽葵(ひまり)のところには白米や焼いた川魚などが運ばれ、一方で志乃(しの)烏天狗(からすてんぐ)達は玄米に焼いた肉や焼いた幼虫などが運ばれていた。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。それ何?」

志乃(しの)烏天狗(からすてんぐ)達がいつも食べている物だな。」

陽葵(ひまり)「虫とかあるんだけど、、」

志乃(しの)天牛(かみきりむし)の幼虫だ。蜂の子とかもあるけど食べてみるか?」

陽葵(ひまり)「遠慮します。」

志乃(しの)「そうか。」

陽葵(ひまり)「だけどそれって何のお肉?」

志乃(しの)「何だろうな。」

篁音(たかね)「熊ですよ。少々、クセがあるので除きましたが興味ありますか?」

陽葵(ひまり)「だ、大丈夫です。いただきます。」

余計な事を言って食べさせられても嫌なので陽葵(ひまり)は黙って食事を始めた。

だが志乃(しの)野々香(ののか)も普通に虫とかを食べていて陽葵(ひまり)は自分がおかしいのかなと少し思ってしまった。

野々香(ののか)「ごちそうさま。」

志乃(しの)「ごちそうさま。」

陽葵(ひまり)「ご、ごちそうさまでした。」

陽葵(ひまり)は満腹になったからか、緊張が解けてきたのかうつらうつらしてきている。

篁音(たかね)「お粗末さまでした。志乃(しの)さん。陽葵(ひまり)さん。さっきの客室に布団を敷いてあるのでそこで寝てください。」

志乃(しの)「すまない。ほら陽葵(ひまり)、布団まで頑張れ。」

陽葵(ひまり)「うん。」

野々香(ののか)志乃(しの)。私も眠い。」

そう野々香(ののか)は元気よく言ってくる。

志乃(しの)「嘘つくな。」

志乃(しの)は眠そうな陽葵(ひまり)の手を引いて寝室へ連れて行き、3つ敷いてある布団の内1つに布団に寝かせるとそのまま寝てしまった。

野々香(ののか)志乃(しの)志乃(しの)。一緒に遊ぼ。」

志乃(しの)「さっき眠いって言っていただろう。私も眠いから寝る。」

野々香(ののか)「分かったよ。」

野々香(ののか)は1つの布団に入り、志乃(しの)は残った真ん中の布団に入る。

野々香(ののか)「ねえ、志乃(しの)。大丈夫だよね。」

志乃(しの)篁音(たかね)が言っていたことか?」

野々香(ののか)「うん。」

志乃(しの)「今は分からないとしか言えないな。」

野々香(ののか)「そう、だよね。」

志乃(しの)「だから今は今できる事しかしない。」

野々香(ののか)「うん。志乃(しの)は母上が話していた人のようにはならないでね。」

志乃(しの)「分かっている。私だってそんなことになるのは不本意だ。」

野々香(ののか)「うん。絶対だからね。」

志乃(しの)「はいはい。」

野々香(ののか)「うん。」

野々香(ののか)もいつのまにか寝てしまい志乃(しの)だけが起きていた。

昼間に夢籠(むかご)の中で寝ていたせいか眠くない志乃(しの)はしばらく布団の中で起きているとカンカンと音が聞こえる。

志乃(しの)はその音を聞いて起き上がり、2人を起こさない様に部屋を出て行くと篁音(たかね)が待っていた。

篁音(たかね)「少し付き合ってもらえませんか?」

そう言う篁音(たかね)の手には液体の入った竹筒を持っている。

志乃(しの)「別に良いが、私は酔う事はできないぞ。」

篁音(たかね)「私の愚痴を聞いてくれるだけで良いんですよ。」

志乃(しの)「面倒くさそうだな。」

篁音(たかね)「その様子じゃ眠れないのでしょう。愚痴くらい聞いてくれても良いじゃないですか。」

志乃(しの)篁音(たかね)に押されて篁音(たかね)の自室へ移動する。

篁音(たかね)「そこに座っていてください。」

そう言われて志乃(しの)が敷いてある座布団へ座っていると、篁音(たかね)がお猪口とつまみを準備してやって来た。

しばらくは静かに飲んでいたが酔いが回ってきた篁音(たかね)が話し始める。

篁音(たかね)「お千代(ちよ)とは私がまだ子供の時に出会いました。」

志乃(しの)「お千代(ちよ)とは誰だ?」

篁音(たかね)「あら、すみません。お千代(ちよ)は昨日言った情報に出てきた人間です。名前、言っていませんでしたね。」

志乃(しの)「あの私以外の不死の人か。」

篁音(たかね)「ええ。お千代(ちよ)は原因は分かりませんがある時から成長しなくなったと言っていました。他の人から気味の悪い人間だと迫害されていたところ、試験を受けていた私と出会ったのです。」

志乃(しの)「…。」

篁音(たかね)「私も最初は自分の正体を知られたくなくて、お千代(ちよ)を除け者にしていましたがお千代(ちよ)はそんな私に笑いかけてくれました。理不尽な扱いにも耐えて作業するあの子に私は聞きました。何故そこまでするのかと、あの子はそうしないと居場所が無いと答えました。」

志乃(しの)「居場所を求めて逃げた私とは正反対の人だったんだな。」

篁音(たかね)「そんな事ありませんよ。どちらも居場所がほしくてもがいていたのですから。」

志乃(しの)「、、そうだな。」

篁音(たかね)「私は試験に合格して山に戻ってからしばらく経った頃、心配でお千代(ちよ)事を見に行きました。お千代(ちよ)は相変わらず他の人間から虐げられながらも笑っていましたよ。私は見ていられずお千代(ちよ)をこの山に攫って来てしまいました。」

志乃(しの)「…。」

篁音(たかね)「ですがお千代(ちよ)は私の正体を見ても怖がらずただ笑いかけてくれました。私はここで一緒に住もうと提案しましたがお千代(ちよ)は結局元の場所へ戻ってしまいました。そしてそれからは私からちょくちょく遊びに行っていたのですが、ある日自分を殺してくれと頼んできたのです。怪物が頭の中で自分を呼ぶ、答えたら私食べられてしまうと。私には意味が分かりませんでしたがいつも笑っていたお千代(ちよ)の豹変ぶりに只事ではない事は分かりました。」

志乃(しの)「その怪物が昨日言っていた奴か。」

篁音(たかね)「はい。私は奴の目的も居場所も分かりません。お千代(ちよ)から聞いた情報と烏から聞いたお千代(ちよ)を見失ったという情報しかありません。」

志乃(しの)「そのお千代(ちよ)という人が言っていた情報が昨日聞いた話なのか?」

篁音(たかね)「そうです。私はお千代(ちよ)の話を聞いて助けようとしましたが結局助ける事はできませんでした。何度も殺してくれと頼むあの子を苦しまないようにと首を爪で引き裂いたのに、しばらくして咳き込みながら起き上がりました。その後はごめんねと一言残して帰って行ってそれっきりです。」

志乃(しの)「酒の力を借りないと言えない事なのに何故今私に言ったんだ。」

篁音(たかね)「昨日、話した時あなたは解決策を探すと言いました。そして今日、、」

そこまで言うと篁音(たかね)志乃(しの)の首を手で押さえて押し倒し、鋭い爪で志乃(しの)の首を横になぞる。

志乃(しの)は抵抗せずにその様子を見守っている。

篁音(たかね)「お千代(ちよ)と同じ様に首を切っても生き返りました。もう、2度と同じ事が起きないように警告としてあなたにお伝えしているのですよ。」

篁音(たかね)は酔っているのか眠いのか呂律があまり回っていない。

志乃(しの)「心配してくれるのは良いが、少し酔いすぎだ。片付けはするからもう寝ろ。」

志乃(しの)は起き上がり、篁音(たかね)を床に寝かせる。

篁音(たかね)「私のせいでお千代(ちよ)は食べられてしまったのでしょうか?」

志乃(しの)「お千代(ちよ)がどうなったかは知らないが篁音(たかね)のせいではないだろ。それより布団は何処にあるんだ?」

篁音(たかね)「もう、、」

志乃(しの)「あ、布団の場所だけ言ってから寝てくれ。」

篁音(たかね)が寝息を立て始めると1人の烏天狗(からすてんぐ)が入って来た。

烏天狗(からすてんぐ)志乃(しの)様。後は私がしますのでお部屋へお戻りください。」

志乃(しの)「すまない。」

志乃(しの)篁音(たかね)烏天狗(からすてんぐ)に任せて陽葵(ひまり)野々香(ののか)の寝ている部屋へ戻るといつの間にか野々香(ののか)陽葵(ひまり)の布団へ移動して寝ている。

真ん中の志乃(しの)の寝ていた布団を経由していて布団はぐちゃぐちゃになっていたので志乃(しの)はため息をついて布団を直してから入る。

朝になり志乃(しの)が起きるとまだ陽葵(ひまり)野々香(ののか)は寝息を立てている。

志乃(しの)は服装を正す時、腹部を見てみる。

まだ呪いのせいで灰になったままだが霊力は回復しているので抑え込む事ができそうだ。

2人が起きる前に元に戻し、志乃(しの)は2人に声を掛ける。

志乃(しの)「朝だぞ。」

野々香(ののか)「まだ早いよ。」

陽葵(ひまり)「スピー。」

志乃(しの)「起きろ。」

野々香(ののか)「もう少しこうしてても良いでしょ。」

そう言って野々香(ののか)陽葵(ひまり)に抱き付く。

陽葵(ひまり)「ウグ。」

野々香(ののか)「あれ?志乃(しの)小さくなった?」

篁音(たかね)「おはようございます。朝食の用意が出来ましたよ。」

優しくも威圧感のある声で篁音(たかね)が登場する。

陽葵(ひまり)「!」

朝早くからトラウマになった人の声を聞いて陽葵(ひまり)は布団に隠れてしまった。

野々香(ののか)「あれ?」

野々香(ののか)は布団から追い出されキョトンとしている。

志乃(しの)「おはよう。篁音(たかね)。」

篁音(たかね)志乃(しの)さん。おはようございます。」

志乃(しの)「元気なさそうだが大丈夫か?」

篁音(たかね)「半日休めば大丈夫です。」

志乃(しの)「そうか。無理はするな。」

篁音(たかね)「今日は他の山との会議に出ていた夫も帰って来るのでそれからはゆっくり出来ます。」

志乃(しの)「私の為にすまないな。」

篁音(たかね)「いえ、私も昔の話が出来て少しすっきりしました。」

志乃(しの)「それなら良いが、、」

篁音(たかね)「私がいれば起きれない人も居るみたいですし、先に食堂で待っていますね。」

志乃(しの)「すまない。」

篁音(たかね)「これで失礼します。」

野々香(ののか)志乃(しの)。母上と何か話ししたの?」

志乃(しの)「少しだけだ。」

野々香(ののか)「何話したの?」

志乃(しの)「それより食堂へ行くために準備しろ。」

野々香(ののか)「別にこのままでいいよ。」

志乃(しの)「歯磨いて顔洗ってこい。」

野々香(ののか)「仕方ないな。」

志乃(しの)「ほら陽葵(ひまり)も、篁音(たかね)はいないから出て来い。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「どうした。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)のいる布団に近づきしゃがみ込むと陽葵(ひまり)の手が出てきたのでまだ不安なのかと思い優しく握ってみる。

陽葵(ひまり)「まだ眠い。」

志乃(しの)「よし、顔洗いに行くぞ。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)の手を引っ張って布団から出し、洗面所へ連れて行く。

準備も終わり、食堂へ行くと篁音(たかね)が待っていたので志乃(しの)達も席に着いて朝食をいただく。

夕食の時と同じで陽葵(ひまり)のところに人間用、志乃(しの)野々香(ののか)には烏天狗(からすてんぐ)のいつもの食事が運ばれたが篁音(たかね)のところにはお粥が運ばれていた。

野々香(ののか)「母上。もしかして昨日お酒飲みました?」

篁音(たかね)志乃(しの)さんに付き合ってもらって少し。」

野々香(ののか)「母上また志乃(しの)独り占めしたんですか?」

篁音(たかね)「少し話をしただけですよ。」

野々香(ののか)「何話したんですか?」

篁音(たかね)「大した事ではありません。」

野々香(ののか)「母上がそこまで酔わないと言えないことって何ですか?」

篁音(たかね)「分かっているのなら詮索はしない方が良いですよ。」

野々香(ののか)「あ、はい。すみません。」

朝食も終わり、部屋に戻ると洗濯してある着てきた服が用意してあった。

志乃(しの)陽葵(ひまり)はそれに着替えて帰る準備をする。

志乃(しの)「世話になったな。」

篁音(たかね)「またいつでもお越しくださいね。」

志乃(しの)「あ。いや。」

篁音(たかね)「ああ、大丈夫ですよ。あれは野々香(ののか)に緊張感を持たせるためにしたことなので。」

野々香(ののか)「そうなの!?」

志乃(しの)「巻き込まれだけだったか。」

篁音(たかね)「次からは普通に来てください。」

志乃(しの)「また来るかは分からないがそれなら良かった。」

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん何かあったの?」

志乃(しの)「何でもない。」

野々香(ののか)志乃(しの)陽葵(ひまり)と一緒に翠嶺町(すいれいちょう)へ戻る事になり、3人で山を降りて電車に乗る。

陽葵(ひまり)「ねえねえ。このまま今日どこかで遊ばない?」

志乃(しの)「断る。お前に渡す呪具の準備もしたい。」

陽葵(ひまり)「それって昨日言っていたやつ?」

志乃(しの)「ああ。いらないならいいが。」

陽葵(ひまり)「いる。」

志乃(しの)「分かった。奥の方にしまってあるから探さないといけないんだ。時間が掛かるかもしれない。」

陽葵(ひまり)「探すの手伝おうか?」

志乃(しの)「いや。他に危ないものもあるから他人に触らせたくない。」

陽葵(ひまり)「えー。」

野々香(ののか)「私の烏、探し物得意だよ。」

志乃(しの)「断る。」

野々香(ののか)「何で。」

志乃(しの)「烏だろうが危ないものもあるんだ。」

野々香(ののか)「何でそんなものがあるのさ。」

志乃(しの)「昔、呪具を作るのが好きな奴がいたからそいつに付き合ってしばらく作っていたことがあったんだ。」

野々香(ののか)「昔の志乃(しの)が他の人間と何かするなんてめずらしいね。」

志乃(しの)「ほんの数年くらいだったけどな。失敗の方が多くて私が封印した道具もある。」

陽葵(ひまり)「それでも作り続けたの?」

志乃(しの)「ああ。別れてからは知らないがどうせ作り続けていただろうな。」

陽葵(ひまり)「危ないものも作っていたのに浜名瀬(はまなせ)さんが居なくなっても大丈夫だったの?」

志乃(しの)「安全対策は怠らないよう教えたし、事故も聞かなかったから大丈夫だろう。」

陽葵(ひまり)「そうなんだ。」

3人は翠嶺町(すいれいちょう)へ戻るとそれぞれの家へと帰って行った。

志乃(しの)はアパートへ戻ると押入れから屋敷に入り、倉庫に行くと中から箱を一つずつ取り出して中を見る。

何処に入れたかを忘れていくつか箱を開けていくと目的の物を見つける。

それは輪になった紐にいくつかの玉が付いていている数珠なのだが玉の数が足りないのか紐が見えている。

志乃(しの)「やっぱり作り直さないといけないか。」

倉庫にまだ材料は残っていたので志乃(しの)は数珠の玉を作って修復しているともう夜になっていて途中だったが切り上げて学校の準備をする。

次の日の学校の休み時間、久しぶりにテンションの高い陽葵(ひまり)がやって来た。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。」

志乃(しの)「まだだぞ。」

陽葵(ひまり)「まだ何も言ってないよ。」

志乃(しの)「呪具の事だろ。」

陽葵(ひまり)「まあ、そうだけど、見つからないの?」

志乃(しの)「手直しが必要なんだ。もう少しかかるから大人しく待て。」

陽葵(ひまり)「どのくらい?」

志乃(しの)「春休みに使い方を教えたいからそれまでにはできるだろ。」

陽葵(ひまり)「春休みか。」

志乃(しの)「どうした?」

陽葵(ひまり)「私達ももうすぐ2年生なんだよね。」

志乃(しの)「そうだな。」

陽葵(ひまり)「クラス替え、同じクラスだったらいいね。」

志乃(しの)「私は勘弁してほしい。」

陽葵(ひまり)「何で。」

それから卒業式も終わり、春休みになった。

志乃(しの)は完成した数珠を持って陽葵(ひまり)の家へ行く。

陽葵(ひまり)浜名瀬(はまなせ)さん。待ってたよ。」

志乃(しの)「そうか。使い方教えたいから広い場所行くぞ。」

陽葵(ひまり)「はーい。」

2人は人気のない空地へ移動しそこで志乃(しの)は数珠を陽葵(ひまり)に渡す。

陽葵(ひまり)「これ?どうやって攻撃するの?」

志乃(しの)「中には既に霊力を込めてあるから発動させるだけでいい。まずは腕に巻いてくれ。」

陽葵(ひまり)「こう?」

陽葵(ひまり)は左腕に数珠を巻いてみる。

志乃(しの)「発動はその大きな玉があるだろまずはそれを巻いた方の手で掴む。」

陽葵(ひまり)「はい。」

志乃(しの)「掌に霊力を集めて腕を伸ばして、狙いを定める。」

陽葵(ひまり)「はい。」

志乃(しの)「掴んだ手を開く。」

陽葵(ひまり)「はい。」

陽葵(ひまり)志乃(しの)の指示通りにすると数珠の大きな玉から電撃が出る。

陽葵(ひまり)「おお。浜名瀬(はまなせ)さんは何でこれ使わなくなったの?」

志乃(しの)「中の霊力を使い切るとまた霊力込めないといけないのともう一つの機能のせいだな。」

陽葵(ひまり)「まだあるの?」

志乃(しの)「ああ。今の電撃は遠くに離れるほど弱くなるから遠くまで攻撃飛ばしたくて付けたものなんだがそれが使いにくいんだ。」

陽葵(ひまり)「教えて。」

志乃(しの)「その大きな玉、親玉だがそれを触らずに小さい玉、主玉の1つを掴んで霊力を流してくれ。」

陽葵(ひまり)「こう?」

陽葵(ひまり)が主玉だけに霊力を流すとその主玉が紐から外れる。

陽葵(ひまり)「何これ面白い。」

志乃(しの)「親玉に霊力が流れていない時に主玉に霊力が流れた場合、その主玉が霊体になって紐から外れるんだ。」

陽葵(ひまり)「何で?」

志乃(しの)「あっちの何もない場所に投げてみてくれ。」

陽葵(ひまり)が外れた主玉を投げると主玉がはじけて電撃が辺りに広がった。

志乃(しの)「使い捨てだが遠くの敵に当てるには良いと思ったんだ。」

陽葵(ひまり)「へー。だけど今使ったら無くなっちゃったよ。」

志乃(しの)「予備は作っていたから大丈夫だ。」

陽葵(ひまり)「使い捨てだから使わなくなったの?」

志乃(しの)「それはお(ふだ)も同じだ。私は戦闘中に霊力で身体を強化しているんだがそのせいで勝手に主玉に霊力が流れてしまう事があったんだ。」

陽葵(ひまり)「え。霊力で体強化できるの?」

志乃(しの)「お前の霊力量ではまだ無理だ。それでちょっと貸してみろ。」

陽葵(ひまり)「うん。」

志乃(しの)陽葵(ひまり)から数珠を受け取るとバラバラと主玉がいくつか取れて足元で電撃が広がる。

志乃(しの)「この事故が何回かあったから使わなくなった。」

陽葵(ひまり)「びっくりした。」

志乃(しの)「お前は集中しないと霊力が使えないからこんな事にはならないだろう。」

陽葵(ひまり)「それは分かったけど、主玉減ったの大丈夫?」

志乃(しの)「補充する。」

志乃(しの)はポケットから巾着袋を取り出し、その中から主玉を取り出して1つずつ付けていき、全て付け終わると陽葵(ひまり)に渡す。

志乃(しの)「足止めくらいにはなるだろうが本当に弱い妖怪でないと退治まではできない。人には無害だが範囲攻撃になるから一応気を付けろよ。」

陽葵(ひまり)「分かった。」

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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