28話
この物語には自己解釈やオリジナル設定が含まれています。
オリジナルの妖怪が登場することもあります。
素人がただ思い付きで書いている物語なので最後まで温かい目で読んでいただければと思います。
陽葵は野々香と屋敷内を探検するために行き、志乃は篁音と奥の部屋に移動する。
篁音「それじゃ服、脱いでもらいましょうか?」
志乃「そんなことしなくていい。」
志乃が服を捲り腹部を見せると一部が灰になっていてそれを結界符を使い結界で覆っていた。
今回は9体の能力を一度に使いながら身体強化をかけてそれをしばらくの間続けていたため、霊力を使い過ぎた志乃は呪いを抑えていた霊力の一部を使ってしまい、抑え込められなかった呪いが志乃の体の一部を灰に変えたのだ。
篁音「これがあなたの中にある呪いなのですね。」
志乃「何で分かった?」
篁音「あなたの中には呪いがあってそれを霊力で抑え込んでいることは報告があり知っていました。そして手合わせの後、不死身であるはずのあなたが体を気にかけていましたね。」
志乃「相変わらず鋭いな。」
篁音「これでもこの組織をまとめる長の補佐をしていますから。」
志乃「そうだったな。」
篁音「こうなったのも野々香の為なので今日は泊まっていきませんか?」
志乃「いや、少し休んだら帰る。」
篁音「あら、ですがそれの回復どのくらい掛かるんですか?」
志乃「…。」
篁音「霊力の回復後に再度押さえ込まないといけないのでしょう?時間掛かりますよね。」
志乃「何で知っているんだ。」
篁音「憶測で言ったのですが当たっていましたか。」
志乃「だが陽葵の為にも早めにここを離れたい。」
篁音「陽葵さんの恐怖の対象は私だけですよ。野々香とは仲の良い姿を見ているでしょう。」
志乃「、、分かった。」
篁音「今日泊まるのであればその服も洗濯しましょうか。」
志乃が自分の服を見てみると血と土埃で汚れている。
篁音「ほら、一緒にお風呂行きましょう。」
志乃「だが、、」
篁音「あの2人は入れない様にします。もしかして濡れたら駄目でした?」
志乃「いや、大丈夫だ。」
篁音「なら入りましょう。ほらほら。」
志乃は篁音に風呂場へ連れて行かれ、志乃は一方的に全身を洗われて今は髪を乾かしながら解かされている。
志乃「こんなにしてくれなくても良いのに。」
篁音「ですがこうでもしないと自分で手入れしないでしょ。」
志乃「前も定期的にされたな。」
篁音「見ていられなかったんです。初めてこの山に来た時なんて酷い状態でしたよ。」
志乃「たまに水浴びはしていた。」
篁音「烏じゃないんですからちゃんとお風呂に入りなさい。」
志乃「烏天狗に言われてもな。」
浴衣に着替えた志乃と篁音が部屋に戻る為に歩いていると陽葵と野々香と出会う。
野々香「母上。また志乃を洗っていたんですか?」
篁音「汚れていましたから。2人も入って来なさい。」
陽葵「え。私も?」
志乃「山登りで汚れているだろ。もう今日は泊めてもらう事になったからお前も入って来い。」
陽葵「そうなの?なら家に連絡しなきゃ。」
篁音「それなら既に幻鴉に行ってもらっていますので大丈夫ですよ。」
志乃「手回しがいいな。」
陽葵「それでお風呂から上がったら浜名瀬さんと一緒に居られる?」
篁音「志乃さんは私と先約があるのでもう少し借りますね。」
篁音は志乃の霊力が回復するまでは離れていた方が良いと思い志乃と行動を共にしようとしている。
陽葵「え。」
志乃「すまない。しばらく野々香と過ごしてくれないか?」
篁音「野々香、陽葵さんの事お願いね。」
野々香「母上ばかりずるい。」
野々香はボソッと呟く。
篁音「何か言いましたか?」
野々香「いえ、分かりました。」
陽葵「浜名瀬さん。」
志乃が篁音と行こうとすると陽葵は志乃の袖を掴む。
志乃「、、篁音。やっぱり陽葵といて良いか?」
篁音「あなたがそれでいいなら。」
志乃「ああ。大丈夫だ。ありがとう。」
篁音は1人で自分の部屋に戻って行った。
野々香「志乃、志乃。一緒にお風呂入る?」
志乃「さっき入った事は知っているだろ。風呂場の前で待っているから2人で入って来い。」
陽葵「せっかく一緒に居られるなら中まで入ってよ。」
志乃「お前、そんな寂しがり屋だったか?」
陽葵「だって浜名瀬さんが浜名瀬さんを傷付けた人と一緒にいるのが不安なの。」
志乃「あれは私が頼んだからだ。それにもう傷は無い。」
陽葵「それでも一緒にいて欲しいの。」
野々香「私も一緒にいたい。母上ばかり志乃を独占してずるいもん。」
志乃「私はお前らが風呂に入っている間1人でのんびりしたいんだ。」
陽葵「もしかして私達を口実にして1人になりたかったの?」
志乃「それもある。だから2人で風呂入って来い。」
陽葵「、、分かったよ。だけど上がったら一緒にいて。」
志乃「分かってる。」
野々香「だけど志乃。この山に居る限り監視はあるよ。」
陽葵「え?」
志乃「お前らみたいに付き纏ってくるわけじゃない。」
野々香「そう。」
陽葵「私達監視されてたの?」
野々香「気付いてなかったの?」
陽葵「お風呂場大丈夫?」
野々香「今陽葵についているのは雌の烏だけど嫌なら私もいるから止めさせようか?」
陽葵「ううん。それならいい。」
陽葵と野々香はお風呂場へ行き、志乃はその前で大人しく待つ事になった。
2人がお風呂から上がり、3人で野々香の部屋へ行って会話やボードゲームをして過ごしていると夕食に呼ばれる。
食堂へ移動すると篁音が既に席に着いていた。
篁音「いらっしゃい。志乃さんは私達と同じ食事で良かったですよね。」
志乃「ああ。」
陽葵「どういう事?」
篁音「現代の人間には少し好まれない物も入っているんですよ。陽葵さんの方には別の物をご用意させていただきました。」
志乃「見れば分かる。席に着こう。」
志乃達が席に着くと食事が運ばれて来る。
陽葵のところには白米や焼いた川魚などが運ばれ、一方で志乃や烏天狗達は玄米に焼いた肉や焼いた幼虫などが運ばれていた。
陽葵「浜名瀬さん。それ何?」
志乃「烏天狗達がいつも食べている物だな。」
陽葵「虫とかあるんだけど、、」
志乃「天牛の幼虫だ。蜂の子とかもあるけど食べてみるか?」
陽葵「遠慮します。」
志乃「そうか。」
陽葵「だけどそれって何のお肉?」
志乃「何だろうな。」
篁音「熊ですよ。少々、クセがあるので除きましたが興味ありますか?」
陽葵「だ、大丈夫です。いただきます。」
余計な事を言って食べさせられても嫌なので陽葵は黙って食事を始めた。
だが志乃も野々香も普通に虫とかを食べていて陽葵は自分がおかしいのかなと少し思ってしまった。
野々香「ごちそうさま。」
志乃「ごちそうさま。」
陽葵「ご、ごちそうさまでした。」
陽葵は満腹になったからか、緊張が解けてきたのかうつらうつらしてきている。
篁音「お粗末さまでした。志乃さん。陽葵さん。さっきの客室に布団を敷いてあるのでそこで寝てください。」
志乃「すまない。ほら陽葵、布団まで頑張れ。」
陽葵「うん。」
野々香「志乃。私も眠い。」
そう野々香は元気よく言ってくる。
志乃「嘘つくな。」
志乃は眠そうな陽葵の手を引いて寝室へ連れて行き、3つ敷いてある布団の内1つに布団に寝かせるとそのまま寝てしまった。
野々香「志乃、志乃。一緒に遊ぼ。」
志乃「さっき眠いって言っていただろう。私も眠いから寝る。」
野々香「分かったよ。」
野々香は1つの布団に入り、志乃は残った真ん中の布団に入る。
野々香「ねえ、志乃。大丈夫だよね。」
志乃「篁音が言っていたことか?」
野々香「うん。」
志乃「今は分からないとしか言えないな。」
野々香「そう、だよね。」
志乃「だから今は今できる事しかしない。」
野々香「うん。志乃は母上が話していた人のようにはならないでね。」
志乃「分かっている。私だってそんなことになるのは不本意だ。」
野々香「うん。絶対だからね。」
志乃「はいはい。」
野々香「うん。」
野々香もいつのまにか寝てしまい志乃だけが起きていた。
昼間に夢籠の中で寝ていたせいか眠くない志乃はしばらく布団の中で起きているとカンカンと音が聞こえる。
志乃はその音を聞いて起き上がり、2人を起こさない様に部屋を出て行くと篁音が待っていた。
篁音「少し付き合ってもらえませんか?」
そう言う篁音の手には液体の入った竹筒を持っている。
志乃「別に良いが、私は酔う事はできないぞ。」
篁音「私の愚痴を聞いてくれるだけで良いんですよ。」
志乃「面倒くさそうだな。」
篁音「その様子じゃ眠れないのでしょう。愚痴くらい聞いてくれても良いじゃないですか。」
志乃は篁音に押されて篁音の自室へ移動する。
篁音「そこに座っていてください。」
そう言われて志乃が敷いてある座布団へ座っていると、篁音がお猪口とつまみを準備してやって来た。
しばらくは静かに飲んでいたが酔いが回ってきた篁音が話し始める。
篁音「お千代とは私がまだ子供の時に出会いました。」
志乃「お千代とは誰だ?」
篁音「あら、すみません。お千代は昨日言った情報に出てきた人間です。名前、言っていませんでしたね。」
志乃「あの私以外の不死の人か。」
篁音「ええ。お千代は原因は分かりませんがある時から成長しなくなったと言っていました。他の人から気味の悪い人間だと迫害されていたところ、試験を受けていた私と出会ったのです。」
志乃「…。」
篁音「私も最初は自分の正体を知られたくなくて、お千代を除け者にしていましたがお千代はそんな私に笑いかけてくれました。理不尽な扱いにも耐えて作業するあの子に私は聞きました。何故そこまでするのかと、あの子はそうしないと居場所が無いと答えました。」
志乃「居場所を求めて逃げた私とは正反対の人だったんだな。」
篁音「そんな事ありませんよ。どちらも居場所がほしくてもがいていたのですから。」
志乃「、、そうだな。」
篁音「私は試験に合格して山に戻ってからしばらく経った頃、心配でお千代事を見に行きました。お千代は相変わらず他の人間から虐げられながらも笑っていましたよ。私は見ていられずお千代をこの山に攫って来てしまいました。」
志乃「…。」
篁音「ですがお千代は私の正体を見ても怖がらずただ笑いかけてくれました。私はここで一緒に住もうと提案しましたがお千代は結局元の場所へ戻ってしまいました。そしてそれからは私からちょくちょく遊びに行っていたのですが、ある日自分を殺してくれと頼んできたのです。怪物が頭の中で自分を呼ぶ、答えたら私食べられてしまうと。私には意味が分かりませんでしたがいつも笑っていたお千代の豹変ぶりに只事ではない事は分かりました。」
志乃「その怪物が昨日言っていた奴か。」
篁音「はい。私は奴の目的も居場所も分かりません。お千代から聞いた情報と烏から聞いたお千代を見失ったという情報しかありません。」
志乃「そのお千代という人が言っていた情報が昨日聞いた話なのか?」
篁音「そうです。私はお千代の話を聞いて助けようとしましたが結局助ける事はできませんでした。何度も殺してくれと頼むあの子を苦しまないようにと首を爪で引き裂いたのに、しばらくして咳き込みながら起き上がりました。その後はごめんねと一言残して帰って行ってそれっきりです。」
志乃「酒の力を借りないと言えない事なのに何故今私に言ったんだ。」
篁音「昨日、話した時あなたは解決策を探すと言いました。そして今日、、」
そこまで言うと篁音は志乃の首を手で押さえて押し倒し、鋭い爪で志乃の首を横になぞる。
志乃は抵抗せずにその様子を見守っている。
篁音「お千代と同じ様に首を切っても生き返りました。もう、2度と同じ事が起きないように警告としてあなたにお伝えしているのですよ。」
篁音は酔っているのか眠いのか呂律があまり回っていない。
志乃「心配してくれるのは良いが、少し酔いすぎだ。片付けはするからもう寝ろ。」
志乃は起き上がり、篁音を床に寝かせる。
篁音「私のせいでお千代は食べられてしまったのでしょうか?」
志乃「お千代がどうなったかは知らないが篁音のせいではないだろ。それより布団は何処にあるんだ?」
篁音「もう、、」
志乃「あ、布団の場所だけ言ってから寝てくれ。」
篁音が寝息を立て始めると1人の烏天狗が入って来た。
烏天狗「志乃様。後は私がしますのでお部屋へお戻りください。」
志乃「すまない。」
志乃は篁音を烏天狗に任せて陽葵と野々香の寝ている部屋へ戻るといつの間にか野々香が陽葵の布団へ移動して寝ている。
真ん中の志乃の寝ていた布団を経由していて布団はぐちゃぐちゃになっていたので志乃はため息をついて布団を直してから入る。
朝になり志乃が起きるとまだ陽葵と野々香は寝息を立てている。
志乃は服装を正す時、腹部を見てみる。
まだ呪いのせいで灰になったままだが霊力は回復しているので抑え込む事ができそうだ。
2人が起きる前に元に戻し、志乃は2人に声を掛ける。
志乃「朝だぞ。」
野々香「まだ早いよ。」
陽葵「スピー。」
志乃「起きろ。」
野々香「もう少しこうしてても良いでしょ。」
そう言って野々香は陽葵に抱き付く。
陽葵「ウグ。」
野々香「あれ?志乃小さくなった?」
篁音「おはようございます。朝食の用意が出来ましたよ。」
優しくも威圧感のある声で篁音が登場する。
陽葵「!」
朝早くからトラウマになった人の声を聞いて陽葵は布団に隠れてしまった。
野々香「あれ?」
野々香は布団から追い出されキョトンとしている。
志乃「おはよう。篁音。」
篁音「志乃さん。おはようございます。」
志乃「元気なさそうだが大丈夫か?」
篁音「半日休めば大丈夫です。」
志乃「そうか。無理はするな。」
篁音「今日は他の山との会議に出ていた夫も帰って来るのでそれからはゆっくり出来ます。」
志乃「私の為にすまないな。」
篁音「いえ、私も昔の話が出来て少しすっきりしました。」
志乃「それなら良いが、、」
篁音「私がいれば起きれない人も居るみたいですし、先に食堂で待っていますね。」
志乃「すまない。」
篁音「これで失礼します。」
野々香「志乃。母上と何か話ししたの?」
志乃「少しだけだ。」
野々香「何話したの?」
志乃「それより食堂へ行くために準備しろ。」
野々香「別にこのままでいいよ。」
志乃「歯磨いて顔洗ってこい。」
野々香「仕方ないな。」
志乃「ほら陽葵も、篁音はいないから出て来い。」
陽葵「浜名瀬さん。」
志乃「どうした。」
志乃は陽葵のいる布団に近づきしゃがみ込むと陽葵の手が出てきたのでまだ不安なのかと思い優しく握ってみる。
陽葵「まだ眠い。」
志乃「よし、顔洗いに行くぞ。」
志乃は陽葵の手を引っ張って布団から出し、洗面所へ連れて行く。
準備も終わり、食堂へ行くと篁音が待っていたので志乃達も席に着いて朝食をいただく。
夕食の時と同じで陽葵のところに人間用、志乃と野々香には烏天狗のいつもの食事が運ばれたが篁音のところにはお粥が運ばれていた。
野々香「母上。もしかして昨日お酒飲みました?」
篁音「志乃さんに付き合ってもらって少し。」
野々香「母上また志乃独り占めしたんですか?」
篁音「少し話をしただけですよ。」
野々香「何話したんですか?」
篁音「大した事ではありません。」
野々香「母上がそこまで酔わないと言えないことって何ですか?」
篁音「分かっているのなら詮索はしない方が良いですよ。」
野々香「あ、はい。すみません。」
朝食も終わり、部屋に戻ると洗濯してある着てきた服が用意してあった。
志乃と陽葵はそれに着替えて帰る準備をする。
志乃「世話になったな。」
篁音「またいつでもお越しくださいね。」
志乃「あ。いや。」
篁音「ああ、大丈夫ですよ。あれは野々香に緊張感を持たせるためにしたことなので。」
野々香「そうなの!?」
志乃「巻き込まれだけだったか。」
篁音「次からは普通に来てください。」
志乃「また来るかは分からないがそれなら良かった。」
陽葵「浜名瀬さん何かあったの?」
志乃「何でもない。」
野々香も志乃と陽葵と一緒に翠嶺町へ戻る事になり、3人で山を降りて電車に乗る。
陽葵「ねえねえ。このまま今日どこかで遊ばない?」
志乃「断る。お前に渡す呪具の準備もしたい。」
陽葵「それって昨日言っていたやつ?」
志乃「ああ。いらないならいいが。」
陽葵「いる。」
志乃「分かった。奥の方にしまってあるから探さないといけないんだ。時間が掛かるかもしれない。」
陽葵「探すの手伝おうか?」
志乃「いや。他に危ないものもあるから他人に触らせたくない。」
陽葵「えー。」
野々香「私の烏、探し物得意だよ。」
志乃「断る。」
野々香「何で。」
志乃「烏だろうが危ないものもあるんだ。」
野々香「何でそんなものがあるのさ。」
志乃「昔、呪具を作るのが好きな奴がいたからそいつに付き合ってしばらく作っていたことがあったんだ。」
野々香「昔の志乃が他の人間と何かするなんてめずらしいね。」
志乃「ほんの数年くらいだったけどな。失敗の方が多くて私が封印した道具もある。」
陽葵「それでも作り続けたの?」
志乃「ああ。別れてからは知らないがどうせ作り続けていただろうな。」
陽葵「危ないものも作っていたのに浜名瀬さんが居なくなっても大丈夫だったの?」
志乃「安全対策は怠らないよう教えたし、事故も聞かなかったから大丈夫だろう。」
陽葵「そうなんだ。」
3人は翠嶺町へ戻るとそれぞれの家へと帰って行った。
志乃はアパートへ戻ると押入れから屋敷に入り、倉庫に行くと中から箱を一つずつ取り出して中を見る。
何処に入れたかを忘れていくつか箱を開けていくと目的の物を見つける。
それは輪になった紐にいくつかの玉が付いていている数珠なのだが玉の数が足りないのか紐が見えている。
志乃「やっぱり作り直さないといけないか。」
倉庫にまだ材料は残っていたので志乃は数珠の玉を作って修復しているともう夜になっていて途中だったが切り上げて学校の準備をする。
次の日の学校の休み時間、久しぶりにテンションの高い陽葵がやって来た。
陽葵「浜名瀬さん。」
志乃「まだだぞ。」
陽葵「まだ何も言ってないよ。」
志乃「呪具の事だろ。」
陽葵「まあ、そうだけど、見つからないの?」
志乃「手直しが必要なんだ。もう少しかかるから大人しく待て。」
陽葵「どのくらい?」
志乃「春休みに使い方を教えたいからそれまでにはできるだろ。」
陽葵「春休みか。」
志乃「どうした?」
陽葵「私達ももうすぐ2年生なんだよね。」
志乃「そうだな。」
陽葵「クラス替え、同じクラスだったらいいね。」
志乃「私は勘弁してほしい。」
陽葵「何で。」
それから卒業式も終わり、春休みになった。
志乃は完成した数珠を持って陽葵の家へ行く。
陽葵「浜名瀬さん。待ってたよ。」
志乃「そうか。使い方教えたいから広い場所行くぞ。」
陽葵「はーい。」
2人は人気のない空地へ移動しそこで志乃は数珠を陽葵に渡す。
陽葵「これ?どうやって攻撃するの?」
志乃「中には既に霊力を込めてあるから発動させるだけでいい。まずは腕に巻いてくれ。」
陽葵「こう?」
陽葵は左腕に数珠を巻いてみる。
志乃「発動はその大きな玉があるだろまずはそれを巻いた方の手で掴む。」
陽葵「はい。」
志乃「掌に霊力を集めて腕を伸ばして、狙いを定める。」
陽葵「はい。」
志乃「掴んだ手を開く。」
陽葵「はい。」
陽葵が志乃の指示通りにすると数珠の大きな玉から電撃が出る。
陽葵「おお。浜名瀬さんは何でこれ使わなくなったの?」
志乃「中の霊力を使い切るとまた霊力込めないといけないのともう一つの機能のせいだな。」
陽葵「まだあるの?」
志乃「ああ。今の電撃は遠くに離れるほど弱くなるから遠くまで攻撃飛ばしたくて付けたものなんだがそれが使いにくいんだ。」
陽葵「教えて。」
志乃「その大きな玉、親玉だがそれを触らずに小さい玉、主玉の1つを掴んで霊力を流してくれ。」
陽葵「こう?」
陽葵が主玉だけに霊力を流すとその主玉が紐から外れる。
陽葵「何これ面白い。」
志乃「親玉に霊力が流れていない時に主玉に霊力が流れた場合、その主玉が霊体になって紐から外れるんだ。」
陽葵「何で?」
志乃「あっちの何もない場所に投げてみてくれ。」
陽葵が外れた主玉を投げると主玉がはじけて電撃が辺りに広がった。
志乃「使い捨てだが遠くの敵に当てるには良いと思ったんだ。」
陽葵「へー。だけど今使ったら無くなっちゃったよ。」
志乃「予備は作っていたから大丈夫だ。」
陽葵「使い捨てだから使わなくなったの?」
志乃「それはお札も同じだ。私は戦闘中に霊力で身体を強化しているんだがそのせいで勝手に主玉に霊力が流れてしまう事があったんだ。」
陽葵「え。霊力で体強化できるの?」
志乃「お前の霊力量ではまだ無理だ。それでちょっと貸してみろ。」
陽葵「うん。」
志乃が陽葵から数珠を受け取るとバラバラと主玉がいくつか取れて足元で電撃が広がる。
志乃「この事故が何回かあったから使わなくなった。」
陽葵「びっくりした。」
志乃「お前は集中しないと霊力が使えないからこんな事にはならないだろう。」
陽葵「それは分かったけど、主玉減ったの大丈夫?」
志乃「補充する。」
志乃はポケットから巾着袋を取り出し、その中から主玉を取り出して1つずつ付けていき、全て付け終わると陽葵に渡す。
志乃「足止めくらいにはなるだろうが本当に弱い妖怪でないと退治まではできない。人には無害だが範囲攻撃になるから一応気を付けろよ。」
陽葵「分かった。」
ここまで読んでいただいてありがとうございます。




